凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
そう言いながら彼女はカタカタと揺れる窓を眺めながら少し冷めた紅茶を飲み干す。
吹き付ける吹雪は猛烈で、今いるシェルターの上にどんどんと雪を積んでいく。
???「いつまで続くのかしら?これでは艦載機を飛ばしてロイヤルの補給の方を発見することも難しいですわ」
そんな心配をしているとギィ……と天井から鈍い音がする。
「……この音は誰かがいるとかではなくシェルターの針がきしんだ音ですわよね?ここに閉じ込められたりしませんよね……?」
その日、彼女は吹雪がやむ朝まで一睡もできなかった。
-鉄血北方基地:第一会議場-
「ハイハイ、みんな座った座った!これよりロイヤル北方海域攻略作戦会議をするわよ」
パンッ!パンッ!と会場内に響き渡る手拍子に会場はすぐに静かになる。
「ケルン、今回の趣旨と作戦完遂事項を言ってちょうだい」
「はい、今作戦の最終目標はロイヤル北方より本土攻撃。そのためにもロイヤル北方海域に存在する敵の基地の索敵と無力化もしくは壊滅を速やかに行う必要があります」
眼鏡をクイッと上げて淡々と語るが、その眼の奥にはこの作戦にかける確かな意欲が見られる。
「ここまで異議がある者はいる?……いないなら話を続けるわよ、では敵戦力報告をケーニヒ」
「はーい。お姉さんが観測した対空電探と観測からの情報によると現状で分かっている敵戦力は北西西、氷山地帯に海軍基地。攻撃に出てきた敵機は百三機。全てフェアリー・ソードフィッシュで爆弾搭載しているのはそのうち七十機。他は戦闘機で間違いなさそうよ」
想定以上の敵の勢力に会場内が再びざわめきだしたが、アドミラル・ヒッパーが手を叩いて静かにさせる。
「はい、みんな!今の時点で何か意見があるのなら手を挙げてはっきりと言いなさい。ただし、質問内容を話し合ってからね」
アドミラル・ヒッパーがそう言うと、しばし各自で話し合った後Z23(ニーミ)が代表として手を挙げた。
「駆逐艦を代表して話させてもらいます、ニーミです。敵機の数があまりにも多すぎます。これでは敵基地を索敵するどころか逆に返り討ちにあってしまいます。あと、敵勢力は……水上艦は確認されましたか?仮に空襲を突破できたとして基地前で待ち伏せされては攻撃どころではありません。その所をどうお考えですか?」
ニーナの質問に対してアドミラル・ヒッパーは「このことに対する意見を……ケルンお願いするわ」と手を挙げたケルンが立ち上がり語りだす。
「敵機に対してはこちらも海軍基地より支援航空してもらう予定です。ですが、それでも敵機は完全には落とせないと思われます。そこで、部隊を三つに分けて運用してます」
ケルンの提案に会場は再びざわめきだすが、アドミラル・ヒッパーが強めに手を叩いて黙らせる。
「続けます。部隊の三つのうち二つは私達のように機動力が高い軽巡洋艦と駆逐艦で構成された高速部隊。残り一つは後方で支援する射程の長い戦艦と重巡洋艦の遠距離打撃部隊です。最初の空爆攻略を軽巡洋艦率いる高速部隊で敵弾を完全といかなくても回避し敵水上艦及び敵基地を発見次第、後方に控えている遠距離打撃部隊で敵水上艦を殲滅、滑走路を破壊するのが今回の作戦です」
ケルンの横槍を入れるかのようにプリンツオイゲンが口を開く。
「この作戦なら空襲が来たとしても半分の数の五十、そこに我らの優秀な戦闘機が数を減らしてだいたい爆撃機は二十機ぐらいで済むわ。万が一、空襲が一部隊に集中したとしても五十機以上の空襲はないはず。それに、もう片方は晴天そのもの……海軍基地を簡単に攻略できるわけ」
「オイゲン?意見があるなら手を挙げなさいって言っているでしょ!ケルンの意見の邪魔をしない!」
怒られたオイゲンは悪びれる様子もなく「次から気を付けるわ」と言った。
次に手を挙げたのはこの中で唯一の戦艦グナイゼナウだ。
「私も高速戦艦ですので空襲はある程度回避可能です。対空強化のためにも後方に控える遠距離打撃部隊を無くして部隊は二つでよろしいのでは?と思います」
これに対して手を挙げたのはケーニヒスベルク。
「その意見だと敵機は一番の脅威である貴方に攻撃が集中してこの作戦自体が出来なくなる恐れがあるわ。確認されてはいないけど水上艦に戦艦クラスがいた場合、軽巡洋艦の私達や重巡洋艦だけでは突破は難しいわね。それに、滑走路を使わせないのであれば別に破壊しなくてもいいのよ。例えば……雪崩で使えなくさせたりとかね?そうなると一番の射程を誇る戦艦を失うわけにはいかないわ」
その意見を聞いたグナイゼナウは「なるほど……理解しました」と引き下がる。
「他に意見がある者はいる?……ん?そこ!もっとしっかりと手を上げなさい!見えなかったじゃない!」
そう言われたUー47は「うるさいな……」と小声で言いながらも意見を出した。
「今まで相手から何もしてこなかったんだろ?ならこっちから無理に動かなくてもいいんじゃないかな?下手に攻めて被害を出すよりしっかりと準備を整えてからでもいいんじゃないか?人がいっぱいなのはうるさくて困るが」
「却下よ却下。そんなの無理だわ。今攻めなければどんどん強化されるに決まっている。それで、航続距離が短いフェアリー・ソードフィッシュから航続距離が長い新型の航空機にされてみなさい?この基地がずっと空爆にさらされるわよ。設備を強化されていない今が唯一のチャンスなの」
そこの答えを聞いたU-47は「空爆はもっとうるさいから嫌だな……」と手をひっこめた。
「話をまとめるわよ。今作戦を簡易に説明すれば高速部隊で空襲を回避、遠距離打撃部隊でとどめを刺す!あと、潜水艦は氷山で近づけないから遠距離打撃部隊と一緒に後方に控えて空襲で傷ついた味方の援護をする!以上、分かったら返事しなさい!」
アドミラルヒッパーが会場に響き渡るぐらいの大声で返事を求め、会場にいたすべての艦船(KAN-SEN)が返事を返して意思を固める。
こうして次の作戦が決まったのであった。
第一高速部隊、旗艦ケーニヒスベルク、ライプツィヒ、Z1(レーベルヒト・マース)、Z18(ハンス・リューデンマン)、Z19(ヘルマン・キュンネ)
第二高速部隊、旗艦ケルン、カールスルーエ、Z2(ゲオルク・ティーレ)、Z20(カール・ガルスター)、Z21(ヴィルヘルム・ハイドカンプ)
遠距離打撃部隊、旗艦グナイゼナウ、アドミラル・ヒッパー、プリンツ・オイゲン
撤退支援部隊、旗艦Uー47、Uー81
総員15名による艦隊作戦です。人選はアズレン実装艦船(KAN-SEN)を選んで後々セリフを言ってもらうつもり……(予定では!)