凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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???「あちゃ~……完全に出遅れちゃったかも」

彼女はそう言うと後ろを振り返る。後ろには複数の艦船(KAN-SEN)が待機していた。

???「それじゃ~今から反撃始めるよー!」

彼女の号令にその場にいた艦船(KAN-SEN)が拳を高く上げて答えた。

???「全艦隊、速力最大!攻撃機の発艦はじめ~!」

彼女はピンク色のツインテールと手に持った旗をなびかせながら、戦地へと向かっていった。


援軍の到着

――ユニオン南方海域:南西群島海域――

 

 

「!?敵戦艦の対空砲火に艦載機……あれはユナイの艦載機か!」

 

 エンタープライズを遠方から狙う敵戦艦に次々とユナイテッド・ステーツの艦載機が飛んでいき攻撃を開始する。

 

「これはまずいでござるな……扶桑さん達はエンタープライズの監視で動けないでござる。仕方がないでござるな。第六駆逐隊!伊勢さんを攻撃する敵大型航空母艦を攻撃しに行くでござるよ!」

 

「分かったわ!大金星はこの響が取ってやるんだから!」

 

「電!遅れないようにね!」

 

「雷……転ばないようにね」

 

 エンタープライズを包囲していた駆逐艦、暁、響、雷、電が離れていく。

 

「……これはチャンスかもしれませんね。包囲網は手薄。しかも、敵戦艦も正確に狙ってこれるか不明ですし」

 

「残念だけど、貴方達の思っていることは予想済みだわ。変な動きを見せた瞬間、魚雷の的になってもらうから」

 

 フレッチャーの発言に対して浦風が反応する。

 

「動かないさ。私の舵は治っていないんだ。そう睨むことはないだろう?」

 

「笑えない冗談ね。舵が治ったら攻撃してくるつもりかしら?第十七駆逐隊四隻、六十一cm魚雷発射管四連装二基、計三十二本の魚雷が狙っていることを忘れているの?」

 

 エンタープライズの答えに対して浜風が魚雷を構えながら答える。

 

「磯風たちは戦いたくないんです。大人しく捕まっていてくださいー!」

 

「うるさい敵さんだな。相手するのも面倒だよ……」

 

 磯風の声にフートがめんどくさそうにしている。

 

「うん?風が……変わった?」

 

 谷風がそう言った次の瞬間、浦風達の上空の雲から急降下爆撃機が攻撃態勢で現れた!

 

「っ!敵機来襲!対空防衛しながら最大船速まで上げて一気に転舵!回避よ!」

 

 浦風が磯風、浜風、谷風に指示を出すが艦船(KAN-SEN)と言えどそんなに早くは動けない。

 

「くっ!ひ、被弾しました!」

 

「うわあっ!?今のは危なかったよぉ……」

 

「きゃっ!?至近弾!でも、谷風には当たらないよ!」

 

「次から次へと……!みんな、今が踏ん張り時よ!」

 

 急降下爆撃で浜風が被弾、磯風と谷風に至近弾、浦風は回避に成功して当たらない。

 

「今しかありません!妹達、砲雷撃戦用意!」

 

「すすすスペンス、がんばりますっ!」

 

「はぁ……面倒い……」

 

「正義の裁きを受けなさい!」

 

 フレッチャーの合図でスペンス、フート、チャールズ・オースバーンが攻撃を始める。

 

「これはまずいわ……伊勢さんに砲撃支援してもらわないと!」

 

「それは無理な話よね~」

 

 浦風の言葉に対して少し離れたところから言葉が返ってきた。

 

「誰だ!……あ、あの姿は!」

 

「そう!魔女っ娘アイドル!サラトガだよ~!満を持して華麗に登場!」

 

 浜風の答えに対してサラトガがポーズを決めながら答えた。

 

「今、サラトガちゃんだけなら問題なさそうとか考えたでしょ!私だけじゃないんだな~。後ろには航空母艦ラングレー、レンジャー、ボーグ。敵戦艦のところには戦艦ネバダ、オクラホマ、テネシー、カリフォルニア。重巡洋艦ポートランド、インディアナポリスがいるし~」

 

「今ここには海上騎士団、私クリーブランド、コロンビア、モントピリア、デンバーに加えて駆逐艦ラドフォード、ジェンキンス、ニコラス、オーリックが到着したからね!サラトガさん、前に出過ぎだって!」

 

 クリーブランドのお叱りにサラトガは「大丈夫大丈夫」と軽く流した。

 

「これはかなり厳しいですね……第十七駆逐隊は全速力で伊勢さん達の元へ!谷風!伊勢さん達に連絡です!鹵獲中止をして撤退準備を!」

 

「おっと、私達から逃げられるとでも思ったのかな?当然、逃がさないよ!」

 

 浦風の指示を聞いてクリーブランドが前に立ちふさがる。

 

 前方にはエンタープライズ率いる護衛艦隊とサラトガ、クリーブランド。後方にはクリーブランドが言った三隻の軽巡洋艦と四隻の駆逐艦。

 

 逃げられないことを悟り少しでも抵抗しようとする第十七駆逐隊。

 

「私は砲撃も出来るけど……上空からの攻撃があることも忘れないように!」

 

 サラトガが空を指さす。そこには航空母艦から飛び立った艦載機が急降下爆撃を行おうとしている最中だった。

 

 浦風達が最後の時を覚悟しながら空を見上げる。急降下爆撃機は風を切りながら猛スピードで降下していき。

 

 エンタープライズ及びサラトガに急降下爆撃を行う。

 

「きゃっ!?な、なにが起こったの!?」

 

「違う!あれは重桜の艦載機だ!空襲に気を付けろ!」

 

 油断していたサラトガの走行甲板に二発の爆弾が被弾、エンタープライズは治った舵で至近弾に留まる。

 

「今です!第十七駆逐隊全速力でこの海域から逃げます!」

 

「っ!逃がさなって、危な!?」

 

 逃げる浦風達を追いかけようとするクリーブランドに爆弾が落とされる。クリーブランドは急停止で何とか回避できたが浦風達を逃してしまった。

 

「敵戦艦のところに行ったわね……あっち側が不利かな。ネバダに電信して撤退するように伝えて!」

 

「え?撤退するんですか?」

 

 サラトガの指示にフレッチャーが聞き返した。

 

「これ以上の戦闘はお互いの損耗が激しくなるだけだし。それに加えて、ちょっと困った状態になっているから、今は燃料と弾薬を温存しておきたいんだよね~……」

 

「困った状態……?」

 

「うん、ちょー困っている!だから、いったん基地に戻るよ。全艦隊、戦闘止めて帰投!ほい、信号弾!」

 

 サラトガは理由を話さずに撤退を指示し、赤の信号弾を上空に撃つ。

 

 遠くで戦っているネバダ率いる主力艦隊は赤の信号弾を見るや、さっと反転して基地へと帰還していく。

 

 その光景に戸惑いながらも伊勢達も撤退を開始した。

 

 こうして、エンタープライズは救出され、双方に微妙な被害をもたらした戦闘は幕を閉じることとなる。




重桜艦隊
南西艦隊、旗艦伊勢、日向、扶桑、山城、暁、響、雷、電、浦風、磯風、浜風、谷風。
南東艦隊、旗艦翔鶴、瑞鶴、龍驤、祥鳳、ティルピッツ。
航空母艦四隻、戦艦五隻、駆逐艦八隻。合計十七隻

ユニオン艦隊
前衛艦隊、旗艦エンタープライズ、ユナイテッド・ステーツ、フレッチャー、フート、スペンス、チャールズ・オースバーン。
援軍艦隊、旗艦サラトガ、ラングレー、レンジャー、ボーグ、ネバダ、オクラホマ、テネシー、カリフォルニア、ポートランド、インディアナポリス、クリーブランド、コロンビア、モントピリア、デンバー、ラドフォード、ジェンキンス、ニコラス、オーリック。
航空母艦六隻、戦艦四隻、重巡洋艦二隻、軽巡洋艦四隻、駆逐艦八隻。合計二十四隻。

今回はサラトガ率いる機動部隊が重桜艦隊を奇襲してエンタープライズを助ける話でした。
エンタープライズとユナイを助けるために十八隻もの艦隊が援軍に駆け付けてきました!
ですが、どうして援軍がタイミングよく出てこれたのか?七隻差もあるユニオンがどうして攻めずに撤退を選択したのか?……次回明らかになります!
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