凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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天城「そうですか。敵艦隊を発見しましたか」

赤城から報告を受けて天城は安堵した。

一番の問題であった敵との接触が出来たからである。

おおよその経路は固定されているとはいえ、この大海原では敵と会敵せずに終わる可能性もあったからだ。

天城「さて、敵はどのように動くでしょうか……」

天城の目は獲物を見つけた狐のように鋭く怪しく微笑むのであった。


嵐の前の静けさ

 

――ユニオン南方海域:南東西海域――

 

 

「――レーダーに艦影あり!艦影は編隊を組みながらこちら側に接近中!――」

 

「編隊の組み方、補給艦隊との連絡が取れなくなった事を考えるに近づいてくる艦影はおそらく重桜艦隊ね」

 

 ユニオン南方基地を放棄してユニオン本土への帰還を目指すサラトガ艦隊の正面に、敵と思われる艦影がクリーブランドのレーダーに映し出された。

 

 駆逐艦と共に先行していたクリーブランドのレーダーに艦影が表示されたことを、クリーブランドはサラトガに無線で知らせて、その知らせを受けたサラトガはすぐに味方艦隊ではないと判断する。

 

「これはチャンスなのです!ユナイ達航空母艦で敵艦隊をボッコボコにしてやるのです!」

 

 前回、駆逐艦に追い回されていたユナイは前回の借りを返すつもりのようで、戦う気満々だ。

 

「そうね~こっちには軽空母も含めて航空母艦が六隻、出せる艦載機は約三百機ってところかしら。航空母艦全ての艦載機が出せた場合の話だけどね」

 

 戦う気満々のユナイを見ながら、サラトガは言った。

 

「まず、エンタープライズはエレベーターに被弾して稼働出来ているものの発艦に時間がかかるでしょ?サラトガちゃんは走行甲板に二発貰って応急修理したけど発艦が少し難しいでしょ?ユナイちゃんだって前回の戦闘で艦載機がもうほとんどの残っていないでしょ?」

 

 サラトガが指を折りながら問題点を言っていき、最後の言葉でユナイが「うっ!」言葉詰まる。

 

「今健在なのはラングレー、レンジャー、ボーグの三隻で一度に飛ばせる艦載機が約七十機ぐらい、そこに私達三隻が艦載機を全て飛ばして約二百五十機ほどね。加えて第二次攻撃以降はその半分以下になるわ」

 

「そうなると、問題となるのは接触する重桜艦隊の航空母艦の有無だな。もし、航空母艦が居なければまだ勝負になると思うが。もし、居た場合はこちらの艦載機がどこまで活躍できるだろうか……」

 

 サラトガ、エンタープライズと意見を言っていく。

 

「――敵観測機に見つかった!頑張って落とそうとしてみるけど距離が遠い!――」

 

 サラトガとエンタープライズが話し合っている最中、クリーブランドの無線から敵艦載機と接触した報告が流れてきた。

 

「……どうやら、重桜艦隊は航空母艦がいるみたいだな。さて、どうしたものか」

 

「発見された以上、どうしたもこうしたもないでしょう!覚悟を決めて戦いながら全力で逃げるしかないわ。――駆逐艦、巡洋艦は前に出て!航空母艦は敵予想位置より大きく回って艦載機の発艦に専念!戦艦は航空母艦と共に動きながら駆逐艦、巡洋艦の砲撃支援と航空母艦に飛んできた艦載機の対空支援!この戦い、生きて祖国へ帰るわよ!――」

 

 サラトガの指示に他のユニオンの艦船(KAN-SEN)は素早く陣形を変えて対応する。

 

 皆、この戦いで勝とうとは思っていない。ただ生き延びたい、祖国へ帰るのだという意思が彼女達を突き動かす。

 

 こうして、ユニオン艦隊と重桜艦隊の大規模な戦いが始まろうとしていた。

 

 この時のサラトガはまだ、中距離戦における航空戦艦がどれほど厄介な存在であるかを理解するすべはない。




今回はユニオン艦隊が重桜艦隊に見つかって大規模海戦が始まる前を書かせていただきました。
ユニオン艦隊二十四隻、重桜艦隊二十五隻(と潜水艦四隻)の大規模艦隊同士の戦闘と言うことで、作者も頑張って皆様に白熱した戦闘シーンをお届けしたいと思っております!
三話連続で重桜視線だったので、次もユニオン視線で書きます。
最初は前衛艦隊同士の戦いになるのでクリーブランドが活躍する話になる予定です。
二~三日の更新と遅いですが、今後ともよろしくお願いいたします!
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