凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
土佐が見つめる先には赤城、加賀と言い争っている天城の姿があった。
土佐が心配している理由は天城と初めて会った時のことを思い出したからだ。
布団に伏して時折咳き込んでいた時に比べれば、今は顔色が良い。
土佐「私が頑張らないと!」
自らを奮い立たせて土佐は天城たちに駆け寄った。
――ユニオン南方海域:南東西海域――
「敵と接敵するよ!みんな気を引き締めて!」
クリーブランドの号令に海上騎士団のメンバー(コロンビア、モントピリア、デンバー)が「はーい」「はい!」「は~い」と、それぞれ応える。
「インディちゃん、ついてきて!姉ちゃんが守ってあげるからね~」
ポートランドの言葉にインディアナポリスは「お姉ちゃん、うるさい」と反応した。
「妹達にお手本を見せないと……みんな私についてきて!」
「ビーバーズ、三十一ノット全速前進っ!正義を示すわよ!」
フレッチャーとチャールズ・オースバーンが号令をかけてフレッチャーの後方にラドフォード、ジェンキンス、ニコラス、
フレッチャーの横にチャールズ・オースバーン、後方にフート、スペンス、オーリックと続く。
「こっちは~インディちゃんと一緒に右へ大きく迂回しながら撃つわね~」
「了解!なら私達は正面に陣取りながら目の前の敵を撃つ!」
ポートランド、インディアナポリス、その後ろにチャールズ・オースバーン率いるビーバーズ(フート、スペンス、オーリック)が続く。
ポートランド率いる六隻が右へ移動し左舷の敵を撃ち、クリーブランド率いる八隻が正面で待ち構えて正面の敵を撃つ事で十字砲火になる作戦だ。
「姉貴!本当に正面で良かったんですか?」
モントピリアの言葉にクリーブランドが「何が?」と聞き返す。
「いや、機動力のある私達の方が右に展開して撃った方が戦果は大きく、被弾も少なくなります」
「そうだね、だけど私達の目的と敵の目的は?こちら側の最悪のシナリオは航空母艦が攻撃されること。なら、いつでも援護に回れる様に近い方がいいでしょ?」
クリーブランドの言うことにモントピリアは納得する。
それに加えてクリーブランドは「それに……」と続けて。
「もし、航空母艦の空襲が上手くいって敵が散り散りになったのならそこへ奇襲して全てを倒す方法もあるもんね!」
「な、なるほどっ!流石姉貴!そこまで考えてきたとは!モントピリア感服いたしました!」
クリーブランドの作戦にモントピリアは驚き、尊敬のまなざしをクリーブランドに向ける。
「私達の艦隊は燃料も弾薬も少ない。とにかく急いでいるんだ……全員まとめてかかってきな!」
「姉貴かっこいい!このモントピリアどこまでもお供します!」
「どうでもいいけど、敵さんもう目の前まで来たみたいだよ!」
クリーブランドとモントピリアが漫才しているうちに敵が接近、コロンビアが二人を注意する。
「さて、敵さんはどう出てくるか……うん?今光った?」
「!敵の発砲だ!全員回避行動!」
デンバーの言葉にクリーブランドがすぐさま対応して艦隊に指示を出す。
艦隊は全速力で前進。数秒後、先程居た位置に数本の水柱が出来上がっていた。
「この距離的に考えれば巡洋艦とは考えにくい……まさか敵は戦艦!?しかも、最前列にいるの!?」
「どうやら、そのようだね。これは少し予想が外れたかな?」
コロンビアの言葉にクリーブランドが言葉を返す。
おおよそ敵との位置は三万五千メートル。とてもではないが巡洋艦では撃てない位置からの砲撃だ。
「射程が足りない以上近づかないと話にならないなこれは……。皆!この戦いは結構厳しい戦いになる!気を引き締めて行くぞ!全速前進っ!」
クリーブランドの号令に艦隊全員が答えて全速力で敵へと接近する。
立ち上がる水柱、被弾することを恐れずにクリーブランド達は前進し続けた。
この後、クリーブランドは苦戦を強いられることになるが彼女達はまだ知らない。戦いは、始まったばかりだ……。
今回は予定通りクリーブランド視線で書かせていただきました!
天城の主砲は長門と同じだと考えて使わせてもらっております。
クリーブランドの四十五口径六インチ両用砲が射程どれくらいかがちょっと分からないですがおそらく長門砲(四十五口径三式四十㎝連装砲)の射程半分よりは大きいと思います(誰か情報ください!)。
今度もユニオン視線で書くつもりですが次は誰にしようかまだ決まっておりません。
次回を楽しみにしていてください!