凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

56 / 76
クイーン「遂に恐れていたことが現実となったわ……」

クイーン・エリザベスは送られてきた招待状を机に置き、ため息をつく。

その内容はアズールレーン陣営の晩餐会。場所は自由アイリス教国の本土。

クイーン「これがただの社交界ならば私も喜んで参加するのだけど……」

招待状に書かれている一文「先の大戦の英雄、ロイヤルガード様も是非ご参加をお願いします」とは、どう考えてもウォースパイトではないのだろう。

クイーン「言い逃れが出来ない以上、出席しなさい……と言うことですわね」

これから起こる騒動の事を考えるとクイーン・エリザベスは気が重くなるのであった。


三国共同作戦
三国の晩餐会


――自由アイリス教国:本土基地――

 

 

「本日は我が自由アイリス教国の晩餐会にお越しいただきありがとうございます。司会を務めさせていただいておりますサン・ルイと申します。今宵これだけの義人が集まれた事も神の思し召し……皆様、ゆっくりとご寛ぎくださいませ」

 

 サン・ルイの司会の挨拶が終わり、その場に集まっている少女達は食事へ、会話へと花を咲かせ始める。

 

 中でも大きな花を咲かせているのは、ハボクックの周辺だ。

 

「貴方が先の大戦で活躍された英雄様ですね!お会い出来て嬉しいです!私はシュルクーフよ!ちょっと大きいけど、こう見えてれっきとした潜水艦よ!とにかく、これからよろしく!」

 

「我が名はソビエツカヤ・ロシア、北方連合の切り札にして最大最強の戦艦が一人だ。同志ロイヤルガードよ。今度一度手合わせ願いたいのだが、よろしいか?」

 

「こんばんわ、英雄様。私はラントレピート級駆逐艦のル・テメレールです!良かったら英雄譚を聞かせてください!」

 

「貴方がかの有名なロイヤルガード様ね……あ、失礼。私は北方連合所属の軽巡洋艦チャパエフよ。ふふふ、お会いできて光栄ですわ。これからよろしくお願いします」

 

 ハボクックの周りを囲むように自由アイリス教国からシュルクーフとル・テメレールが、北方連合からソビエツカヤ・ロシアとチャパエフが挨拶に来る。

 

「こんばんわ、初めまして。ご存知かと思いますが、ハボクックと申します。今宵はお誘いいただきありがとうございます」

 

 周りに気圧される事無くハボクックが一礼すると周囲からは歓喜の声が上がった。

 

「……おかしいわ。前の晩餐会ではここまで和気藹々とした雰囲気はなかったし、今日は絶対に荒れることを覚悟で来たのに……」

 

「そうですね、女王陛下。正直私も驚いております」

 

 ハボクックの周囲の輪からはじき出されたクイーン・エリザベスとウォースパイトは、不気味そうにハボクックに集まる者達を観察していた。

 

「不思議でも何でもありませんわ」

 

 クイーン・エリザベスとウォースパイトの背後から声がかかる。二人が慌てて振り返ると四人の艦船(KAN-SEN)がこちらに向かって歩いてくる。

 

「Bonjour(ボンジュール)お久しぶりですね女王陛下、ウォースパイト様。数年ぶりでしょうから改めてご挨拶を。自由アイリス教国所属のエミール・ベルタン。エミールって呼んでね。」

 

「こんばんわ、女王陛下ウォースパイト様。アヴローラと申します。私達北方連合は社交界は殆どしませんから、こうした場では初めましてになるかしら?」

 

「はははは!同志諸君よ私がガングートだ!こう言った場はどうも好かんが旧友がくると聞いて来てやったぞ!どうだ?ちゃんと飲んでいるか?って、コップが空じゃないか……おーい!ウォッカを人数分の六本くれ!」

 

「やっほー女王陛下、ウォースパイト様!パーミャチ・メルクーリヤちゃんよ!情報から聞いてはいたけど本当だったとは驚きだね。おーい!ハボちゃん!こっちこっち!」

 

 エミール、アヴローラ、ガングート、メルクーリヤがクイーン・エリザベスとウォースパイトに挨拶をする。

 

「遅れてすみません、メルクーリヤさん。それに他の皆様もお久しぶりです」

 

 メルクーリヤの声が届いて取り囲んでいた者に一礼してからハボクックが合流する。

 

「待ったました!ハボちゃーん!はい、ぎゅーっ!」

 

「あらあら、仕方ないですわね。はい、ぎゅーっ」

 

 メルクーリヤはハボクックに近づくとぎゅーっと抱き着く。それをハボクックは受け止めてぎゅっと優しく包むように抱き返す。

 

「いやいや!あんた達何してんの!?ハボクックも慣れた感じで抱き合っているんじゃないわよ!」

 

「こうしないとメルクーリヤさんは大人しくならないので……もういいですか?」

 

 クイーン・エリザベスの言葉にハボクックはちょっと困った顔をして答えた。

 

 ハボクックを堪能したのかメルクーリヤは「満足満足」と言いながらハボクックから離れる。

 

「えーっと、コホン。では、説明していただきましょうか。何故、ここまで熱烈な歓迎をしていただけたのかを」

 

 ウォースパイトが話を戻すように本題を言う。

 

 今回、晩餐会と聞いてクイーン・エリザベスとウォースパイトは条約を破ったことに対しての追及と非難を予想していた。

 

 しかし、蓋を開けてみれば誰も追及や非難をせず、むしろ何事もなかったかのように歓迎した。そのことが、クイーン・エリザベスとウォースパイトには不可解でしかなかったのだ。

 

「ハボクックをこの場に呼んで私達の条約破りを非難することが目的じゃなかったんじゃないの?するならさっさとしなさい。私は覚悟を決めているわ」

 

「体罰を与えるとなれば私が受けましょう。女王陛下に万が一のことがあってはロイヤルは成り立ちませんから」

 

 クイーン・エリザベスが胸に手を当てて、ウォースパイトが、クイーン・エリザベスの。前へ一歩進み出て言った。

 

 その行動を見た周りの艦船(KAN-SEN)は騒がしくなる。

 

 クイーン・エリザベスとウォースパイトはこれからどんな言葉を言われるのか……周りの騒がしさは次第に静寂へと変わっていった。

 

 だが、肝心の四人からは何も言わず、ただ困惑した顔をしていた。

 

「……なあ、同志よ。何か勘違いをしていないか?」

 

 




第三章が始まりました!
最初はどこからかハボクックの情報が洩れて自由アイリス教国主催の晩餐会に出席するクイーン・エリザベスとウォースパイト、ハボクックを視線に書かせていただきました!
久しぶりのロイヤルとハボクックの登場でしたが、いかがだったでしょうか?
新しい勢力。自由アイリス教国と北方連合、彼女達の目的とは一体……!?
これからどんな展開になっていくのか、楽しみにしていてください!
感想、お気に入り登録お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。