凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

6 / 76
クック「敵の前衛は撃破。後続に控えている戦艦部隊も発見と……続けて攻撃してください。第二次攻撃の準備急いで!」

ベル「まだ艦載機を搭載していたとは……ハボクック様の力は底が知れないですね……」

クック「伊達に先の大戦を生き延びてはいませんわ、それよりも紅茶のおかわりは必要ですか?」

ベル「まだ口を付けておりません。それと、ここは危険ですので避難の準備をお願いします」

 ベルファストが紅茶を置いて出撃の準備をしようとするのをハボクックは止めた。

「敵の前衛は倒しましたわ……つまり今、この基地を発見できるのは誰もいません。後は後続の戦艦を仕留めれば相手の計画は失敗です」

 そう言って彼女は第二次攻撃隊を発艦させた。


翻弄される鉄血艦隊

-ロイヤル北方海域:流氷地帯-

 

 

「敵機真上!爆撃来るわよっ!」

 

 アドミラル・ヒッパーは焦っていた。来るはずのない空爆の回避に手こずっている事。

 

 次に前衛の西に向かった第二高速部隊の音信不通になった事。

 

 特に焦らせていたのは北西西に向かった第一高速部隊による基地の発見報告がいまだに無い事だ。

 

「第一高速部隊はまだ敵の基地を発見できないの!?もうそろそろこっちの射程ギリギリなんだけど!」

 

「落ち着きなさい、ヒッパー!焦ったらこの空爆もしのげないわよ!」

 

 そう言ったプリンツ・オイゲンもまた焦っていた。

 

「前回の空爆は北西西から来て北西西に帰っていった……なのにどうして今回は北西西に向かった第一高速部隊じゃなく、西に向かった第二高速部隊の方がやられた……!前回の空爆は迂回してからの攻撃……?いや、それだとしたら航空機の燃料が持つとは思えない……まさかっ!」

 

 プリンツ・オイゲンは最悪の答えを導き出す。

 

「敵は複数の航空母艦でこの海域を防衛していた……!」

 

「くっ!油断したか……!」

 

「グナイゼナウ!よくもやってくれたわね!」

 

 後方にいた戦艦グナイゼナウなら苦痛の声が聞こえる。どうやら被弾したようだ。

 

 このままでは相手の思うつぼだと認識したプリンツオイゲンが撤退を指示しようとしたとき、北西西に向かった第一高速部隊のケーニヒスベルクから無線が届く。

 

「……--こちらケーニヒスベルク!敵の海軍基地及び滑走路を発見!滑走路には第二次攻撃と思われる飛行機が点在しているわ!至急援護射撃を要請します!--……」

 

 困惑するプリンツ・オイゲン、なぜ今頃になって発見できたのか?送られてきたデータからは完全に砕氷艦が必要な位置に基地が存在している。

 

「ようやく見つけたわね!グナイゼナウあんたなら届くわよね!」

 

「勿論です!私の射程範囲。二十八cmだからと甘く見ないで、射程は二万mだって当てて見せる!前部主砲斉射!……続いて後部主砲斉射!」

 

 爆撃を華麗に避けつつ前部主砲三連装二基、続いて後部主砲三連装一基と撃っていく。

 

「……--敵基地に着弾を観測!敵の滑走路に被害あり!航空機が弾け飛んだわ!--……」

 

「よくやったわ!敵が反撃できないように徹底的にやっちゃいなさいグナイゼナウ!」

 

「--射程範囲に入ったね……次も当てます!全門一斉射!」

 

 報告を受けては誤差を微調整して次々と砲弾を打ち出していく。撃ち出された砲弾によって敵の基地は壊滅的な被害を出した。

 

 作戦が完了しこれから前衛艦隊の撤退を護衛しようとしていた遠距離打撃部隊に無線が届く。

 

「……--こちら第二高速部隊ケルン!部隊は壊滅的、それよりも今すぐに逃げて!--……」

 

「ケルンからの報告……?もう脅威なんてないはずなのに何をそんなに慌ててたの……?」

 

「やっぱりそうよ!この季節凍結して滑走路の航空機が稼働できるわけがない!あの滑走路と航空機はダミー!敵は基地なんかじゃない!最初から仕組まれていたんだわ!」

 

 遠くから聞こえてくるエンジン音。五十を超える第二攻撃隊の爆撃隊がこちらに向かってくるのが晴れた空から確認できる。

 

 既に同じ数の航空機が飛んでいる戦場にとどめをさそうと飛行してきたフェアリー・ソードフィッシュ、可愛らしい名前とは真逆の首に鎌を掛けようとする死神。

 

「撤退よ」

 

 プリンツ・オイゲンの声が爆撃音が轟き渡る戦場に発せられる。

 

「全軍撤退!撤退よ撤退っ!」

 

 爆撃音をアドミラル・ヒッパーがかき消す。無線を通して第一高速部隊、第二高速部隊、撤退支援部隊にも伝えられる。

 

「第一高速部隊及び撤退支援部隊は第二高速部隊の撤退援護、遠距離打撃部隊は爆撃を回避しながら第二高速部隊の撤退時間を稼ぐわよ!グナイゼナウいける?」

 

「問題ありません。爆弾の一つや二つ耐えて見せます!」

 

「回避できますじゃないのは仕方ないけど頼もしいわ!さあ、踏ん張るわよ!Viel Glück(健闘を祈る)!」

 

 飛び回る航空機の爆弾の雨を回避し、時々当たりながら母港へと全速力で撤退する。

 

 今回の鉄血による侵攻作戦は作戦参加者の半数が負傷になる大失敗に終わったのであった。




基地による航空攻撃だと認識していた鉄血が予想外の空爆を受けて敗走するところで今回は終わりです。
この世界にはキューブによる絶対保護システムが働いており、撃沈判定のダメージは艤装に吸収されて沈没を免れることになっておりますが、艤装にダメージを負えば砲撃、航行に支障が起きて最終的には海に浮かぶことが出来なくなってしまうため、それまでに母港へと帰り整備する必要があります。
また、母港には新品の艤装があり交換すれば一応すぐに出撃可能の状態になることが出来ます(例外あり)。
ですが、新品の艤装と体に残る練度の差による調整が必要で整備に数日かかります。

……という自分の設定話でした。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。