凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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クック「――親鳥からひな鳥へ巣の場所を特定しました――」

ハボクックが通信で誰かと連絡を取っていた。

そのことをリオンに聞かれるとハボクックは「今は内緒です」と答える。

クック「――親鳥からひな鳥へ今から巣に帰ります――」

ハボクックはそう言うと通信を切って艦載機の操作に戻る。

リヨンは何のことか分からず、頭をかしげるのであった。


サディアの策略

 

 

――自由アイリス教国:南方海域――

 

 

「本部に連絡――ひな鳥から親鳥へお土産楽しみにしています――」

 

「えっと、ザラさん?で良かったのかな?通信は作戦が終わってからにしてください。今は敵地です。そう頻繁に通信されては敵に気が付かれます」

 

 ザラが本部に通信を行ったあと、飛龍はザラを注意する。

 

「あら、ごめんなさいね。でも大丈夫よ。敵とは周波数が違うから気が付かれないわ」

 

 ザラの言葉に対して飛龍は「本当かな……」と言いながらも渋々納得した。

 

「対空電探に反応あり!敵機に補足されたわ!飛龍、追撃機を飛ばして!輸送船は海域を離脱、私達は前へ出て防衛するわよ!」

 

「先手を取られるなんて……!各自散開して!姉様の命令に従ってください!」

 

 蒼龍の声に飛龍は追撃機を出しながら、先手を取られたことに対して悔しがった。

 

 航空戦において先手を取られることがどれほど不利か、下手すれば最初の空襲で何も抵抗できずに無力化されてしまう可能性もあるからだ。

 

「あら、重桜の航空母艦は意外とおちゃめな方なのですね。ですが、戦場でそれは出さなくても大丈夫ですわよ?」

 

 ザラが戦闘準備しながら蒼龍と飛龍に皮肉を言う。

 

「いくら同盟国の仲とはいえ、姉様への無礼は許さない!」

 

「飛龍!今は目の前の敵に集中しなさい!」

 

 ザラの挑発に飛龍が反応するが、蒼龍が飛龍を叱って意識を集中させる。

 

「ザラ、お前もおちょくるな。それよりも敵機の数は分かるか?重桜の航空母艦」

 

「言われなくても数えているっ!十、二十、三十、四十……で、電探の故障か?まだ増え続けている!?」

 

 リットリオの言葉に苛立ちを感じながらも飛龍が数を数え始める。

 

 だが、四十を超えても増え続ける艦載機を前に「まさか……!」と顔を青くする。

 

「飛龍!敵は例のIcePhantom(アイスファントム)……氷山空母よ!気を引き締めて戦いなさい!各員、対空戦闘用意!」

 

「はい!姉様!生き残ることを最優先します!相手が伝説だからってここで沈むわけにはいかない!二航戦の誇りにかけて必ず!戦闘機を優先して発艦はじめ!」

 

 蒼龍が飛龍に喝を入れる。飛龍は自らを奮い立たせて艦載機を発艦していく。

 

「一つ質問だけど、私達のところにも戦闘機の援護はあるわよね?まさか二人だけ助かろうだなんて……思っていないわよね?」

 

「まさかそんなわけはないだろう。仮にも同盟国だ。そんなことはあるまい」

 

 ザラが少し威圧的に問いかけ、リットリオはザラの意見を否定した。

 

 だが、戦闘準備を終わらせたザラとリットリオの砲塔はしっかりと蒼龍と飛龍を捉えている。

 

「……これはどういうつもりかしら?」

 

「なに、万が一と言うことも考えてだ。気にしなくていい。それよりも艦載機の発艦が遅れているぞ?」

 

 砲塔を向けたことに対して蒼龍が質問するが、リットリオは「万が一」と笑顔で答える。

 

「今は仲間割れをしている場合ではない!こんなことをして、何の意味がある!?私達は貴方達を見捨てない!」

 

 飛龍が叫ぶように訴える。

 

「言葉では何とでも言えるわ……と、言うつもりだったけど時間ね。お芝居はもう終わり」

 

「……?それは一体どういう――」

 

 ザラが意味深な言葉を言い、それを蒼龍が問いかけようとした時。

 

 後方に退避していた輸送船から大爆発が発生して蒼龍たちのところまで轟いた!

 

「な!?ゆ、輸送船が!敵もいないのになぜ爆発した!?」

 

「頻繁に通信、輸送船の爆発。そういう事……!やってくれたわね!」

 

 輸送船の爆発に飛龍は驚き、蒼龍はすべてを察してギリッ!と歯を鳴らして怒りをあらわにする。

 

「もしかして……いや、もしかしなくとも裏切ったな!」

 

 飛龍がザラに問いつめた。

 

「そうよ、そういう事。上空には戦闘機、甲板上にも戦闘機。私達を沈めれる方法はないわ。さて、大人しく投降してもらおうかしら」

 

「一時的に捕虜となってもらうが、悪いようにはしない。抵抗するならすればいい。だが、どちらが先に沈むかは目に見えているがな」

 

 ザラとリットリオは不敵な笑みを浮かべながら選択を迫る。

 

 飛龍が抵抗しようとしたところを蒼龍が手で制して艦載機をしまっていく。

 

 飛龍は悔しそうにしながらも蒼龍と同じように艦載機をしまっていった。

 

「良い判断ね、歓迎するわ。――ひな鳥から親鳥へ。カッコウ卵は排除した。これより合流する――」

 

 通信を行うと数分後、周りを取り囲んでいた敵機は数機を残して帰っていった。

 

「さて、私達も行きましょうか。ハボクックお姉さまの元へ」

 

 ザラとリットリオは蒼龍と飛龍の手を繋いで引っ張っていく。

 

 蒼龍と飛龍は抵抗はせずに引っ張られるまま連れて行かれるのであった。




はい、と言うことで今回はまさかのサディアが裏切って蒼龍と飛龍を捕虜とするシーンを書かせていただきました!
前回、ここから激しい攻防が始まる……と見せかけて。今回の話は読者の意表を突いたつもりでしたが、いかがだったでしょうか?
最初は戦闘を行う気満々だったのですが、今後の事を考えると少しでも戦力を残しておきたくて……と言うことで今回は策略により被害なし!と言うことに決定いたしました!
だまされた!と言う人は是非、感想でコメントしてください。作者が喜びます。
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