凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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ジャン「何?所属不明の艦船(KAN-SEN)がこちら側に接近しているだと?航空母艦はいるか?」

報告を受けたジャン・バールはすぐさま航空母艦の存在を聞き返した。

それは、一度航空母艦にやられそうになったから経験から来る警戒だ。

ジャン「敵は航空母艦ありの艦隊……あのシルエット!まさか、ロイヤルか!」

ロイヤルが再びヴィシアに来た。それは、過去の悪夢を思い出させるには十分だった。

ジャン「全軍!戦闘準備!オレが先行する!」

そう言うとジャン・バールは真っ先に海へ出る。祖国を守るために、仲間のために……。


ヴィシアのエース

――自由アイリス教国:南東海域――

 

 

「全軍この場にて待機!決して対空警戒を怠るな!」

 

 そう言うとジャン・バールは敵艦隊に全速力で接近する。

 

「この海は荒らさせん!好き勝手させてたまるものか!」

 

 ジャン・バールは過去の出来事を思い出していた。

 

 あの日、海は燃えて、侵略の軍靴が迫っていた時の事。

 

 未完成だったジャン・バールは奮闘したが力及ばず、眠りにつく。

 

 それから数年の月日が経ち、目を覚ましたジャン・バールは思った。

 

「アズールレーンは信用できない。特にロイヤルとは相容れない」

 

 選択を与えるふりをして強制し、信頼していたロイヤルはあっさりと裏切った。

 

 一方的な選択、不意打ちのような戦法、数による蹂躙。

 

「かつてのオレ達は不完全で弱かった……だが、今は違う!今度こそオレが勝つ!完成された戦艦であるこのオレが勝利する番だ!」

 

 ジャン・バールは三十二ノットと言う快速であっという間に敵艦隊を射程内に捉えた。

 

「止まれ!これより先はヴィシアの海域だ!何用かは知らんが即刻立ち去れ!さもなくば撃つ!」

 

 ジャン・バールが拡声器で言葉を発する。

 

 ジャン・バールの言葉が届いたのか前方の艦隊は停止して、話し合う姿が強化された視力から分かる。

 

 しばらくして、一隻の艦船(KAN-SEN)がこちらに向かってきた。

 

「ロイヤル所属の航空母艦、ハボクック氷山空母と申します。ヴィシアに協力して欲しい事があり、代表として参りました」

 

 そう言うとハボクックは両手でスカートの裾をつまみ、軽くスカートを持ち上げて挨拶をした。

 

「ハボクック氷山空母……?どこかで聞いたことのある名前だな。 だが、ロイヤルか。正直話にならんな」

 

 ジャン・バールは警戒心をさらに高めながらハボクックに問いかける。

 

「ハボクックとやら、ここヴィシアに来た理由はなんだ?目的は?まさか観光ではあるまい?」

 

 ジャン・バールはハボクックを挑発するように言う。だが、ハボクックは気にしていない。

 

「単刀直入に言います。鉄血の航空母艦建造を止めるためにヴィシア近辺を横切り鉄血南方への海路を通らせていただきたいのです」

 

「ヴィシアに侵入する行為だ!それに、ただ横切るだけで終わると思わんな。前回のように裏切って侵略を開始するんじゃないのか?」

 

 ハボクックの要望にジャン・バールは即切り捨てた。

 

「前回の作戦……とは存じませんが、侵略は決してあり得ません。私達が戦うのは無益な戦いを終わらせるためです。そのためにも、鉄血の航空母艦建造はなんとして止めなければなりません」

 

「そんな詭弁では騙されないぞ。今すぐにこの海域から出ていけ、さもなくば撃つ」

 

 ジャン・バールの主砲がハボクックに向けられる。

 

「どうしても通らせていただけませんか?どうしたら通らせていただけますか?」

 

 ハボクックの言葉にジャン・バールは考えていった。

 

「全武装を解除して我々の監視を受けながら通過するのであれば許そう。ただし、ロイヤルの艦船(KAN-SEN)及び航空母艦は含まれないでだ」

 

「今作戦は航空母艦を主軸とした作戦です。武装解除は出来ますが、航空母艦が対象外では作戦の達成が不可能です。その条件は受け入れられません。」

 

 ジャン・バールの出した条件にハボクックは即答する。

 

「では、この様な条件はいかかでしょう?全ての武装解除したアイリスとサディア、そしてロイヤルからは私だけが通過メンバーとして参加する。もちろん私も武装は解除しておきます……いかがでしょうか?」

 

「却下だね。いかなることがあろうとも航空母艦とロイヤルはヴィシアには近寄らせない……交渉は決裂だ。戻って仲間に伝えな。今から引き返すのであれば追わないでおこう。だが、進んでくるのであれば容赦はしない」

 

 ハボクックの出した条件を跳ね飛ばし、ジャン・バールは主砲を下ろす。

 

 ハボクックは悲しそうな顔をしながら艦隊へと戻る。

 

「……全艦隊に告げる。交渉は決裂した、これより戦闘になると予想される。各員は戦闘準備用意」

 

 ジャン・バールが無線で艦隊全員に伝える。ジャン・バール自身も主砲の装填を済ませ、いつでも撃てる用意をした。

 

「敵艦隊の前進を確認!これより防衛に入る!駆逐艦は左右から奇襲を仕掛けろ!俺が囮となって手助けする!」

 

 ハボクック達の前進を確認したジャン・バールは駆逐艦に指示を出して主砲の標準を合わせた。

 

 こうして、未来を守りたい者達と祖国を守りたい者たちの戦いが始まった。




今回は祖国を守りたいジャン・バール視線で書かせていただきました。
話は変わりますが、今日(五月十四日)アズールレーンの作戦履歴にイベント「光と影のアイリス」が追加されましたね!
それに伴い、常設の建造にもイベントキャラが追加になりました!持っていない指揮官はこれを機に建造を回してみてはいかがでしょうか?
この小説のジャン・バールはイベント「光と影のアイリス」より後のジャン・バールになっております。
ジャン・バールとハボクックとの接点はなく、初対面となりました。
これから、どのように戦闘が行われるのか、お楽しみに!
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