凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
執務室の受話器を戻しながらリットリオはため息をつく。
リットリオ「狡猾な手口は流石はロイヤルと言ったところか。だが、奇襲と言えども分かっていればどうと言うことはない」
リットリオは愚痴をこぼしながら、ヴィットリオ・ヴェネトが座っていた総旗艦の椅子に軽く腰を掛けて後ろに倒れる。
リットリオ「さて、かの大戦の英雄……いや鉄血では悪魔だったか?その最後はどうなるか。報告を待つとしよう、この特等席でな」
体勢的にはリラックスさせながらも、獲物を捕らえたような目で電話機を見つめて報告を待つのであった。
――サディア帝都:チッタ エテールナ近海――
紅き日の光が背後の帝都をオレンジ色に染め、洋画のような光景を映すサディアの夕暮れ。
補給と簡易な整備を済ませたハボクック艦隊は鉄血近海へ進軍を開始していた。
「これから先は鉄血海域……皆様、お覚悟は出来ていますか?今ならまだ引き返せますよ?」
ヴィットリオ・ヴェネトが後ろを向きながらハボクック達に問いかける。
「総旗艦様の護衛が私の任務です!何処までもお供いたします!」
「ここまで来て帰れません!鉄血の可愛い子にも会っていませんし!」
カラビニエーレ、リオンが即答する。
「どうしましょう~?戦力差的に圧倒的に足りませんからね~」
「このまま残って美しい星々の輝きを楽しむのも悪くないわ」
サディアにて新しく編成されたトレントと整備によって全快したザラがのんきに答えながらも速度は緩めない。
「本来であればロイヤルには手を貸さない……だが、他ならぬ君の頼みだ。小生も力を貸そう」
「カブール……素直に助けるって言えばいいのに。もちろん、私も付いて行くわ」
同じくサディアから配属になったコンテ・ディ・カブールとジュリオ・チェザーレがハボクックを一瞬だけ見て視線を前へと戻す。
「母港のみんなの為にも負けないよ!」
「受難こそ戦士の証……祖国の為、この試練を乗り越えて見せよう!」
ル・テメレールとサン・ルイは祖国アイリスを思い返しながら闘志を燃やしている。
「例え我々の数倍の敵が待ち構えていたとしても……それでも行かれるのですか?ハボクック様」
ヴィットリオ・ヴェネトがハボクックに問いかける。
「私は私を信じ送り出したロイヤルに、私を頼ったアイリスに、私についたサディアに、私に立ち塞がったヴィシアに応えなければなりません」
ハボクックはそう言うと数機の戦闘機を飛ばす。
「それに、私は幼い貴方と約束しました。必ずこの青い海と空を守ると……。私はこう見えて子供との約束は違えた事はないんです」
その言葉を聞いたヴィットリオ・ヴェネトは「やっぱり変わりませんね」と言ってクスッと笑うと正面に向き直す。
「もうすぐ日が落ちます!明かりを消して進行すれば、暗闇が私達を隠してくれるでしょう。航空機からはもちろん、潜水艦からも発見されにくくなるはずです!」
真剣な顔に戻ったヴィットリオ・ヴェネトがハボクックに言って先導する。
「鉄血とヴィシアを退けたその日のうちに……それも航空母艦である君が夜襲をかけてくるとは鉄血も夢にも思わないだろう」
「まさかハボクックさんが夜襲が出来たなんて……私も驚いたわ」
コンテ・ディ・カブールとジュリオ・チェザーレが驚いているのに対してハボクックは「若い子に教わりました」と答える。
「道案内はお任せください!警戒が手薄なルートをエスコートします!遠回りになるため、到着は真夜中を予定しています!」
「承知いたしました。対空警戒及び迎撃は私が丁重にお相手させていただきます」
先導している戦艦ヴィットリオ・ヴェネトと駆逐艦二隻。後方にハボクックと重巡洋艦三隻、戦艦三隻。
合計十隻の艦船(KAN-SEN)が暗闇の鉄血近海へ目指す。
目的は鉄血の航空母艦建造阻止。奇襲をもって停泊中の輸送船を攻撃し戦線を離れる一撃離脱の作戦。
彼女達を追いかける夜の闇が空と海の境界が同化させ、彼女達を暗闇へと隠していく。
前衛艦隊
ヴィットリオ・ヴェネト、ル・テメレール、カラビニエーレ
後衛艦隊
ハボクック、サン・ルイ、トレント、ザラ、リオン、コンテ・ディ・カブール、ジュリオ・チェザーレ
読者の皆様、アズールレーンのイベント「刹那觀る胡蝶の夢」頑張っていますか?
あともう少しでイベント終わりますが、シナリオがあと一つ埋まっていない作者です。
地道に貯めていたキューブを文字通り全て溶かして二百連ガチャを回し三隻目の信濃を獲得しましたが、途中で燃料が尽きイベントが回れず今現在もかなり焦っています。
ダイヤがもうないので何とか自然回復のみで頑張りますが果たして間に合うか……間に合ってほしいな!っと作者は祈っております。
皆様も建造や衣装などに使うダイヤの使用は計画的にイベントを楽しみましょう!