凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー 作:ルチルネリネ
――ロイヤルガードとして誓います。必ず、この海を平和にしましょう。
そう言ってハボクック様は少女だった私の頭をなでてくださいました。
ヴェネト「私は忘れません。あの時の援護を」
――困った時は呼んでください。いつでも貴方を助けます。
そう言ってハボクック様はいつも先頭に立って戦ってくださいました。
ヴェネト「私は忘れません。あの時の作戦を」
――どうして、ですか……?どうして……!
そう言ったハボクック様は燃え盛る海の中で涙を零し泣いていました。
ヴェネト「私は忘れません。私は忘れません」
数々の思い出を……私は忘れません。
ヴェネト「今度は……今度こそは絶対に守って見せます!」
――鉄血本土近海:鉄血海軍港――
「まさか……この近距離でも倒せないなんて」
ヴィットリオ・ヴェネトの主砲をまともに受けたビスマルクはよろけながらも崩れない。
「……何故、裏切った?」
ビスマルクはヴィットリオ・ヴェネトに問いかける。
「ビスマルク様、裏切りというのは味方を背いて敵方につくと言う言葉です。ですが、私は裏切ってはおりません」
「ではっ!これは一体なんだと言うんだ!味方に発砲することが裏切り以外のなんだと言うのだ!」
ビスマルクが叫びながら主砲を回頭、素早く標準を合わせると発砲した。
それをヴィットリオ・ヴェネトは難なく回避する。
「ビスマルク様、貴方は大きな間違いをしていらっしゃいます」
続けてヴィットリオ・ヴェネトが主砲の標準を合わせて発砲し、ビスマルクはその場に動かず砲弾は彼女の横を通過する。
「大きな間違い……か。貴方達サディアの行動から薄々は気が付いていた。だけれども信じたくはなかった」
そう答えるビスマルクに「家族として?」とヴィットリオ・ヴェネトが続ける。
「鉄血は同盟を重視し!家族は皆守るのが私の信念だ!答えろ!何故レットアクシズを……我々家族を裏切った!」
ビスマルクの叫びが砲弾に込められ轟く。
今度はヴィットリオ・ヴェネトがその場から動かず砲弾の一発を被弾した。
「最初に裏切ったのは貴方です、ビスマルク様。いいえ、鉄血っ!」
砲弾を受け止め、硝煙を晴らすようにヴィットリオ・ヴェネトは撃ち返した。
「貴方が我々サディアから全てを奪いました!機会も!平和も!そしてハボクック様も!私は知っています!かの大戦で犯した鉄血の裏切りを!」
ビスマルクは回避行動をとりギリギリで回避すると、体勢が崩れながらも前門二基の主砲を発砲する。
お互いに被弾しながらの応戦。かわしては撃つ、いなしては放つ、両者一歩も引かない激しい砲撃戦。
「ここで貴方を倒して今度こそハボクック様をっ!?」
危険を感知したヴィットリオ・ヴェネトだったが回避する間もなく数本の水柱が上がった。
「ちょっとまさか私達を忘れているなんてないわよね?」
「遅くなりましたビスマルク様。援護します」
アドミラル・ヒッパーとプリンツ・オイゲンが放った魚雷を右舷に三本直撃したヴィットリオ・ヴェネトがフラフラになりながらも立ち上がる。
「耐えてプリエーゼ!私はまだ果たさないといけなっ」
ヴィットリオ・ヴェネトが発音するより早くビスマルクの砲弾が彼女を襲いかき消した。
「助かったわヒッパー、オイゲン」
ビスマルクは帽子をクイッと上にあげながら主砲をヴィットリオ・ヴェネトが居た位置に向ける。
燃え盛る海の中、ヴィットリオ・ヴェネトは仰向けの状態で倒れていた。
「……最後に質問に答えよ。何故、今になって我々を裏切ったのか」
数回、咳をしながらヴィットリオ・ヴェネトは答える。
「私はハボクック様を裏切った鉄血を許さない。ただそれだけです」
起き上がる気力もないヴィットリオ・ヴェネトは空を眺め、自身の最後を確信した。
遠くで交戦していたサディアの艦船(KAN-SEN)が異常に気が付き、ヴィットリオ・ヴェネトを呼ぶ声が聞こえる。
「ハボクック様……。どうかご無事に」
ビスマルクの発砲音が聞こえ、ヴィットリオ・ヴェネトは意識を失った。
火曜日に投稿できなくて、大変申し訳ございませんでした!
本当に申し訳ございません、活動報告にも書いた通り会社と話し合いをしていました。
今も色々と勉強中ですが、書類の文章は読みなれていないのか全く頭に入らない困った状態です。ラノベなら頭に入るのになぁ……。
現在は悪阻が徐々に強くなってきて辛そうな妻を介護しながら、空いている時間にアズレンと小説を書いているため本当に時間がカツカツです。
今後も予定通りに投稿できない場合は活動報告に書かせていただきますが、なるべく無いように頑張りたいと思いますので今後ともよろしくお願いいたします!