凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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???「ヤツが動いたか……」

送られて来た電文を見て彼女はすぐさま直感した。

百機を超えるロイヤルの航空戦力は彼女の象徴だったから。

???「私達も動かなければなるまい」

そう言うと彼女は玉座を離れる。

???「先の大戦の借り……今度こそ返させてもらう」

カーテンを開けて暗い部屋に光を入れる。

その青色の瞳には確かな決意が宿っていた。


鉄血の反省会

――鉄血北方基地:第一会議場――

 

 

「ハイハイ、みんな座った座った。これよりロイヤル北方海域攻略反省会をするわよ」

 

 パンッパンッと狭い会場に響く手拍子、しかし元から騒いでなく静かだからこそ響くだけだった。

 

「ケルン。今回の失敗と第二高速部隊の状態を言ってちょうだい」

 

 アドミラル・ヒッパーがやる気がなさそうにケルンに指示をした。

 

「はい。今作戦における被害は甚大で沈没こそ免れたものの、第二高速部隊の半数以上が大破、他も中破状態で速やかに整備が必要です。また、作戦途中報告が遅れた理由に関しましては敵空襲の回避に専念していたこと、中破、大破により通信設備が故障していたことが挙げられます」

 

 眼鏡に手を添えて語る彼女からは今作戦がどれほど危険だったのか読み取れる。

 

「はい次。第一高速部隊の失敗と状態を言ってちょうだい」

 

「はい、第一高速部隊は一番被害が少なく小破がほとんどで大破はいません。失敗と言いますと敵基地が思ったよりもはるかに後方に控えていたこと、撤退に時間がかかったことが挙げられます」

 

 いつもの余裕はそこにはなく真剣な顔でケーニヒスベルクは語った。

 

「次、遠距離打撃部隊の失敗と状態について私がしゃべるわ。戦艦を集中攻撃されてグナイゼナウは大破、他の私達は中破ね。失敗としてはそもそも敵基地の場所が分からない状態にもかかわらずいるものだと仮定して作戦を進めたことにあるわ」

 

 アドミラルヒッパーが語った後に一人手を挙げる者がいた、基地で待機していたZ23(ニーミ)だ。

 

「えと、発言を許してください。フェアリー・ソードフィッシュの航続距離的に北西西に基地があると仮定していて、報告を聞いた限り敵基地を発見して攻撃した、ということで問題ないのであれば今作戦自体は成功なのではないでしょうか?」

 

「……ケルン、敵航空機の来た方角について話してちょうだい」

 

 アドミラルヒッパーの問いに対してケルンは「西方面から来ました」と答える。

 

「北西西にあった敵の基地はおそらくダミーよ。フェアリー・ソードフィッシュの航続距離から考えるに前回使われていたかも怪しいわ」

 

 この発言に対して「だから手を挙げて……もういいわ、話を続けて」とアドミラル・ヒッパーが諦めてプリンツ・オイゲンは語りだす。

 

「私が思うに敵は複数の空母からなる機動部隊。そう考える理由は空爆時の数。あそこまで多い航空機は一つの滑走路では不可能、複数の滑走路があることが予測できる。今回、西に向かったケルンが空襲を受けたのも空母という動くことが出来る攻撃手段があってこそ、敵が目の前にいるとわかっていて迂回し西に向かうとも思えない。となると守りもなく簡易に砲撃出来た基地は要らない基地……ダミーってなるわけ」

 

 プリンツ・オイゲンが話し終えると会場内は騒がしくなる。

 

 それも当然だ、敵主力空母は本部にほど近い海域で確認されていた。つまりこちら側には空母がいないと想定されており、こちら側は空母戦を想定していない。

 

 さらに、今まで確認されていない空母というのも厄介だ。急造艦であればいいが、今回の航空機の動かし方が手慣れしていることから軽空母等の線は怪しく、最新型の正規空母の可能性が高かった。

 

 航空戦力がない鉄血艦隊は途方に暮れる。どこにいるかわからない空母を探すのは難しく、必ず先手を取られて探そうと動いたころには移動していて消えている。

 

 一番の問題は移動できることにある。基地からなら届かないと思われたフェアリー・ソードフィッシュの航続距離が空母により近づけばいつでも攻撃可能である。つまり、これからこの基地は空襲にも気を使わなければならなくなったのだ。

 

「私たちの手に余るわ……本部に連絡!こっちも空母で対抗するわよ!」

 

「ですが、我々の空母はグラーフ・ツェッペリン一隻しかおりません!本部が早々に手放すとも考えれないかと……」

 

「何のための同盟だと思っているの?この基地が落とされれば次は鉄血本部まで空襲が来る……同盟国の危機よ、同盟国の危機には重桜も見逃すわけにはいかないわ。幸い、重桜には軽空母を含めて空母がたくさんいるわ、一隻か二隻……三隻借りてもまだ余裕があるはずよ。本部には頑張ってもらわないとだけどこれは仕方ない事よ」

 

 アドミラル・ヒッパーの言葉に落ち込んでいた士気が回復する。

 

「今回の反省会はこれにて閉幕!今後の対策を含めて何か異論や質問などはある?」

 

 アドミラル・ヒッパーの言葉に誰も異議を唱えなかった。この道しかないからであるが、集まっていた皆がまだ希望を捨てていなかった。

 

「潜水艦隊と軽傷で済んだ者はこの基地の見回りを範囲を少し広げて強化!本部からの増援が来るまで頑張るわよ!それじゃあ解散!」

 

 こうして、今後の方針が固まったのであった。




今回は鉄血の今後の方針を決める話となります。
今回もシリアス回が続きますが……と言いますか、今のところシリアス回しかございませんが、戦闘メインで書く予定なのでこれもシリアス回が続きます。
たまにギャグも入れれたらいいなとは思いますが、センスがどうも無いようなので控えさせてください。
あと、後悔と言いますか力不足と言いますか……主力メンバー以外出番をあげることが出来なかったことが一番の悔やみどころです。
今後はさらに艦船(KAN-SEN)が増える予定なので早いうちに複数の会話になれなきゃ……頑張ります!
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