凍える航海の悪魔 -彼女はただこの海を守りたかったー   作:ルチルネリネ

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クック「あら?後方より接近する艦影?これは……あらあら、珍しいお客様ですわ」

晴天の滑走路、ハボクックは喜びを隠さずシェルターへステップを踏むように歩き出す。

彼女をここまで喜ばせるのは、近づいてくる艦影が良き友人だからだ。

クック「今日はとっておきのティーを使いましょう。あともうすぐイレブンジズティー(十一時に飲む紅茶)ですから、どのお茶菓子がいいかしら?……スコーン?それともバタつきパン?」

ああでもないこうでもないと迷うハボクック、その顔は嬉しそうに困っていた。


淑女の嗜み

――ロイヤル北方海域:偽物の滑走路――

 

 

 艦載機の道案内を受けてその者はハボクックの元へと到着した。

 

「ようこそいらっしゃいました、フッド様。外は冷えますので、こちらのシェルターにいらっしゃいませ。中に熱々の紅茶を用意させていただいております」

 

「これはこれはご丁寧にありがとうございます、ハボクック様。吹雪いていなくて幸いでした。イレブンジズティーのお誘い、お言葉に甘えさせてもらいますね」

 

 ハボクックに勧められ、白いシェルターの中へと入る。

 

 シェルターの中は小さいながらも一面に敷き詰められた人口芝生の緑と、温かなオレンジの壁。中央に白いテーブルチェアーとセットの白い椅子が鎮座してる。

 

 テーブルチェアーの上には白いティーカップセットとスコーン、そばにイチゴとブルーベリージャム、クロテッドクリームが置かれている。

 

「あら?この香りはルフナかしら?」

 

「バレてしまいましたか。そうです、私の大好きなルフナです。ミルクもご用意しておりますよ」

 

 そう言うと椅子を引いて座るように催促する。

 

「ハボクック様、ありがとうございます。しかし、イレブンジズティーにしては豪華過ぎではありませんか?」

 

「久しぶりに会えたのですもの、ちょっとぐらい贅沢してもいいじゃないですか」

 

 ちょっと拗ねたような顔をしているが内心からあふれる喜びは隠していない。

 

「それで、本日はどのような用件で参られたのでしょうか?補給の件でしょうか?鉄血艦隊の件でしょうか?」

 

「本日はお茶をしに来ました。ご迷惑だったでしょうか?」

 

 ハボクックは「そんなことはございません」と言う。

 

「私はいつでもお待ちしておりますわ。それではどのような話をしましょうか……このシェルターを作った話?それとも滑走路を造った話?をしましょうかしら?」

 

 その話を持ち出すとフッドは表情が固まる。

 

 そもそも、この偽基地は彼女とその上層部が作ったものだからだ。

 

「……冗談ですわ。貴方に害する話題は私にとってもあまり好ましい話題ではございません。ですが、何もないこの地では話題がございません。ちょっとした悪戯にございます」

 

「まったく……ハボクック様は意地の悪い方ですわね。では私から色々とお話しさせていただきますわ。まずは、そうですね陛下のお話からさせていただきます」

 

 その後、フッドはクイーン・エリザベスとウォースパイト、ベルファスト、ロイヤルの方々、四季の移り変わりや季節のイベントなどを語った。

 

 それをハボクックは笑顔で楽しそうに聞いている。

 

 フッドが一通り話した後、ハボクックに問いかけた。

 

「貴方はなぜ、ここに留まるのですか?私たちと一緒に過ごさないのですか?」

 

 その質問にハボクックは黙り込む。そしてこう答えた。

 

「これは私の贖罪です。私が私であるために、私を必要としない世界のために、私はここにいるのです」

 

 フッドが「それはどういうことでしょうか?」という問いに対してハボクックは「贖罪は贖罪です」と答えるだけだった。

 

「では、貴方が必要になった場合はここを動いてくれますか?」

 

「そんな世界は来ない方が良いでしょう……紅茶のおかわりは要りますか?」

 

 ハボクックはそう言うと椅子から立ち上がりティーポットを手に持つ。

 

 それは、この話を申したくないというサインだった。

 

「わかりましたわ……紅茶のおかわりをいただきましょうか」

 

 ハボクックは「はい」と元気良く返事をした。

 

 こうして、優雅で長いお茶会は静かに終わりへと向かうのであった。




作者はお茶会に参加してこともないのでマナーが間違っている可能性大!
今回は戦闘シーンではなくハボクックとフッドのお茶会をしてみました。
たまには優雅に過ごす姿を書いてみたいと思って書きました。
本編が進んでいませんが、後悔はしておりません。
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