様々な世界と神化の旅   作:卯皐月

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外の世界

 ずっと能力の確認をしていて忘れていたが、俺は今服を着ていなかった。

 

 機凱種の身体だから裸でも問題は無いが人間の感性が残っている俺は普通に恥ずかしい。しかし、俺は今着れる服なんぞ持っていない。

 

 持ってないなら作ればいい。ということで、物質生成で灰色の生地の動きの邪魔にならないような半袖半ズボンを6ポイント使って生成したところで翼と疑似精霊回廊接続神経の尻尾がある事に気がついた。

 

「これ収納出来んのかな?」

 

 変形を使ってみると簡単に収納出来た。しかし尻尾を収納している時は疑似精霊回廊接続神経が使えなくなるようだ。まあ、封印するつもりだしいいか。

 

 これで服の問題も解決っと。あ、名前も決めてなかった。

 

 この身体で前世の名前を使うと不自然だし、種族は半機凱種(エクスマキナ)だからマキナでいいか。

 

 ちなみに先程ほど封印すると言った疑似精霊回廊接続神経とは、星の精霊回廊から精霊を吸い上げ殺し、膨大なエネルギーを生産できるが精霊を殺すため霊骸という物質を生み出してしまうといったものである。

 

 

 

 そろそろここを出てリク達に合流したいから課題を確認してここを出るか。

 

 俺は課題が書いているだろうクエストを表示した。

 

 

 ──────

 クエスト

 ──────

 星杯(スーニアスター)を解析し概念を理解しろ。

 

 

 星杯(スーニアスター)とは、種を創造を行えるレベルの魔法を行使できる神霊種(オールドデウス)を一人に限定するために設定された概念装置である。すなわち、この星杯(スーニアスター)を手にした者が唯一神になれるため、これを求めて大戦が起こった。

 

 原作ではリクが星杯(スーニアスター)を出現させてたからその時に解析させてもらうか。

 

 さて、大体の能力の確認が終わったから洞窟を出るか。

 

 洞窟を歩いて行くと外に出た。

 

「さすが、星をも殺したと言われる大戦だな、自然のしの字も無いな」

 

 空は、生命に有害である霊骸が飛散し、それによって赤黒く分厚い雲がかかり薄暗くなり、そして地は枯れ果て所々ひび割れていた。

 

「リク達に合流したいけど今、原作前なのかすでに始まってるのかもわからないしなぁ」

 

 リク本人を見つけたら今どのくらいなのかわかるから、とりあえずどこにいるか探すスキルを作って探すか。

 

 というわけで作ったスキルがこれ。

 

 ──────

 座標探索

 ──────

 指定した人または、物の座標がわかる。

 指定出来るものは自身の知っているものだけである。

 指定数は最高5つである。

 指定する時にポイントを10消費する。

 

 

 色々な制限をつけたがこのスキルを作るのに129ポイント消費した。

 

「どんどんポイントが減っていくなぁ」

 

「まあ、ポイント気にしててもしょうがないしリク探すか」

 

 座標探索でリクを指定すると、だいぶ遠くにいる事がわかった。

 

「遠いから体慣らしに走っていくか」

 

 魔法を使うと他種族に精霊を感知されるかもしれないから、素の身体能力で走って行くことにした。

 体に慣れていないため何回か転ぶと思っていたが、機凱種(エクスマキナ)の体だからなのか思い通りに動いた。

 

 

 少しすると破棄された森精種(エルフ)の都市が見えてきた。

 座標探索によると都市の中にいるようだった。

 

「あれ? ここってリクがシュヴィと会うところじゃね?」

 

 そう、原作ではここで主人公のリクがヒロインのシュヴィと出会うのだ。

 

 ここでシュヴィかリクに見つかると、リクがシュヴィを人の里に連れて帰るというイベントが無くなってしまうかもしれないから、二人のやりとりが終わって帰る直前に接触しようと思い、姿を隠しながら探した。

 

 少しの間探していると、人類種(イマニティ)の青年に馬乗りしている機凱種(エクスマキナ)を見つけた。

 

 この人類種(イマニティ)の青年が主人公のリクで、機凱種(エクスマキナ)がヒロインのシュヴィである。

 

 俺は二人の会話が終わるまで待とうと思い、隠れ続けた。

 

 

 ───────────────────────

 

 

 リク視点

 

 俺は墜落した地精種(ドワーフ)の空中戦艦にあった地図に載っていた森精種(エルフ)の滅ぼされた都市を目指して馬を走らせていた。

 

 森精種(エルフ)に関する情報は極めて高度で、そして貴重なものだ。

 

 奴らは触媒を必要としない魔法で、全てを片付けるため、集めた知識も欠落が多かった。

 

 そして、さらに知識を集めるため遺跡を探索していると、何かの気配を感じ取り振り返るが何もいなかった。

 

 ──────気のせいか? 

 

 フッと背後を何かぎ通るのを感じた。

 

 ──────いや! 何かいる!? 

 

 そう思うや否や全力で逃走しようとするが何らかの魔法を使われ吹き飛んだ。

 

 気づくと裸の少女に見えるものに馬乗りされていた。

 

 ──────機凱種(エクスマキナ)!? 

 

「……【検討】……状況整理中……」

 

 ──────落ち着け、こいつらは『連結体(クラスタ)』という群れで行動するためここで敵意を向けることは全機凱種(エクスマキナ)との敵対を意味する。

 

 ──────抵抗するな……。

 

「おにぃちゃん、もう我慢出来ない。私を女にして」

 

「はぁ?」

 

 次の瞬間、唇を奪われた。

 

「【問題】……理解、不能」

 

 ──────理解不能はこっちだクソが! 

 

「【推測】……該当シチュエーションでは、充足できない?」

 

「あいにく俺はお前達に観察されて興奮する程、変態じゃないんでね」

 

「【疑問】……お前達とは、誰?」

 

「とぼけるなよ、全部『連結体(クラスタ)』とやらに筒抜けなんだろ?」

 

「【否定】当機は『連結体(クラスタ)』から連結解除されている」

 

「連結解除? ……単独ってことか」

 

「【肯定】」

 

「それで……、その彷徨える機凱種(エクスマキナ)が人間の俺になんの用ですかって聞いてもいいのかな」

 

「【解答】人間が交わす独自言語を解析する、心という独自言語」

 

「心……」

 

「【理由】当機は心の存在に関して調査、解析の実行過程において論理破綻を多発し、破棄された。以後単独で観察を続けている」

 

 ──────観察ね……、自力で心の解析をして『連結体(クラスタ)』に戻してもらおうって魂胆か。

 

「【要求】肌を重ねる、皮膚組織接触を用いた独自言語は心を交わす行為と推定、当機と生殖行為を「断る!!」

 

 俺はすぐ自殺出来るように首もとにナイフを持ってきて言った。

 

「【代案】当機を欲望のまま蹂躙して問題ない……穴ないけど」

 

「しねぇよ、てか無ぇのかよ!!」

 

 機凱種(エクスマキナ)の少女は無言で立ち上がった。

 

「【典開(レーゼン)】──遊戯001『チェス』──」

 

 すると少女の頭の上がひかり、その光が輪郭線を描くようにチェスのシルエットが浮かび上がり、具現化した。

 

 ──────こいつが……機凱種の武装展開……! 

 

 俺が機凱種の武装展開に驚いていると、おもむろに少女が言った。

 

「【勝負】ゲームを申し込む」

 

「【条件】当機が勝てば当機を持ち帰り、生殖行為の実践を要求」

 

「よりによって、チェス……だと? 機械種族、演算機相手に勝ち目ないだろ」

 

「で、もし俺が勝ったら?」

 

「【解答】当機を持ち帰り生殖行為の実践を許可」

 

「どっちも変わんねぇよ!!」

 

「まあいい、どのみちこのまま逃してはもらえねぇだろうから、言う通りにしてやるよ」

 

「【結論】条件に従いゲームを実行」

 

「ああ、ただし条件はちょっとばかし変更させて貰うぞ」

 

 

 ■■■

 

 

 ──ゲームは、一方的だった。

 俺は、わずか二十九手で敗北した。予定通り。

 

「くそ、俺の負けだ。……仕方ねぇ、約束通り『集落』へ案内しよう」

 

 高度な演算を駆使する機械種族相手に、最善手を読み合うゲームで勝てるわけがない。だから俺は──敗北した方が有利な条件──を提示した。

 そして、……うまくいった。

 

 

 

 俺は帰宅した後、起こることを考え頭を抱えながら立ち上がり、いざ帰ろうとした時、後ろから声がかけられた。

 

「ちょっとそこのお二人さん、少し俺の話を聞いて貰えないかな」

 

「なッ!?」

 

 ──────気配を感じなかった……!? 

 

 俺は飛び跳ねるように後ろへ振り向いた。

 

 すると、先程チェスをした機凱種(エクスマキナ)の少女に瓜二つの質素な服をきた機凱種(エクスマキナ)がいた。




残りのポイント831
やっと原作に入れた!
。゚(゚´Д`゚)゚。

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