その後、姫乃を庇って不埒でどスケベな担任を殺した事で、かえって警察に目を付けられ、『仲間』を増やせば警察も手が出せないと進言して、それが姫乃が『女王』である事が日本警察にバレて本気を出させてしまう等と、良かれと思ってやった事が裏目裏目になる不器用な人達。
そんな彼女達もまた、『蜂』を悪用しようとする者……いや、傲慢で強欲な権力者の我が儘の犠牲者なのかもしれません。
2019年6月29日
服部渚が墓に手を合わせていた。
その墓は、姫乃が得てしまった『女王』の力を我が物にしようとした日本政府と警察組織に惨殺された『鷺宮女子高銃撃テロ事件』の被害者達を祀る為に造られたものだ。
そんな、姫乃にとっても警視庁にとっても黒歴史(姫乃に『鷺宮女子高銃撃テロ事件』の存在を忘れる気は無いが)とも言える慰霊碑の中に、かつて渚の取り巻きだった者達も、残念ながら名を連ねていた。
だが、渚が今回墓参りしに来たのは、そんな警備部機動隊と特殊急襲部隊に惨殺された取り巻き達の知恵を借りたかったからだ。
(図々しい事は解ってる。だが、マジでピンチなんだ!頼む!力を貸してくれ!)
2019年6月27日
『女王』園藤姫乃と
「以上が、
「私としては、その方が良いね」
宇崎は、そのまま退室する。
「じゃ。また明日な」
「はい。また明日」
『兵士』達は、宇崎が去ったのを確認してから、まるで飛び掛かるかの様に姫乃を問い詰めた。
「おい。どう言う事なんだよ姫乃!?正気か!?いくらあの四大会長に遭遇する絶好のチャンスとは言え、あんなふざけた大会に出るとは、在り得ねえだろ!」
確かに、良識的な人物から視たら、
そもそも、
故に、1対1では絶対に起こらない事態が平然と起こる混沌とした戦いであり、
だが、
「確かに、
「そう言う問題じゃねえだろ!あの糞大会に出る獣人は『駒』なんだぞ!」
そう。
言わば、
出資者代表であるプレイヤーの意志や選択で、参戦する
それが
「つまり、殺人の片棒を担がされるんだぞ!その事が、そこら辺のハイエナの様な屑記者共にバレて変な風評を流されたら、
一方の姫乃は冷静だった。
「そうする心算なら、とっくにやっている筈です。力の差は歴然。国の規模も『兵士』の数も王の経験も、圧倒的にあちらの方が上です。もし戦えば、必ず負けます」
姫乃に
「……そ……そりゃそうかも知れないけど……」
「先ずは様子を視ましょう。今事を荒立てるのは得策ではありません。
だが、姫乃の台詞に決意が帯び始めた。
「……ですが、この学校の生徒や、私の大切な『仲間』に、少しでも危害が及ぶの様であれば、その時は……」
姫乃に目に殺意が宿る。
「容赦はしません」
姫乃の静かな殺気に気圧されてドン引きする『兵士』達。
「園藤姫乃の名において、四大会長を殺します」
2019年6月29日
渚は、この先どうなってしまうのかが不安であった。
その時、懐かしくてもう聞けない筈の声が聞こえた。
(らしくないじゃん渚)
「え?」
(渚は、私達とは違って、最期まで姫乃を護り抜くんでしょ?)
「その通りだ!……その通りなんだが……」
(だったら、戦うしかないじゃん。例え、誰が相手だろうと)
この声は幻だったのか、妄想だったのか、亡霊だったのか……
今は、この声の正体などどうでも良い。
問題は、渚が
「そう……だったな?変に迷ってた私が大馬鹿だったな!」
2019年6月27日
一方のエルザは、宇崎の気楽さに疑問視しつつも呆れていた。
「確かに、『
宇崎は聞く耳を持たず、ただパンケーキを黙々と嬉しそうに食べているだけであった。
「今からでも遅くはない。棄権するか、他の出資者を探してエントリーし直すか……ちょっと、聞いてんの?」
だが、姫乃同様に宇崎も冷静だった。
「別に良いよ。
呆れて驚きを隠せないエルザ。
「はあ?あんた、私の話を聞いてなかったの!?いい?
宇崎が、漸くエルザの意見に反論した。
「そこがいいんだよ。弱い奴ほど強い奴を嗅ぎ分ける。だからあいつは、私に絶対に逆らわない。つまり、私の意志で自由に動けるって事だ」
が……そんな重大さに似つかわしくない者が近づいていた。
(こんにちは。
一見すると、乃塒の方が怪しく見える。
(何の話をしてるの?もっと近くに行かないと……)
エルザは、既に乃塒の不審さに気が付いて背後に回っていた。
「あのさ……あんた偵察下手ね?」
(!?な……つい今しがた、普通にヒトミちゃんと喋ってたのに、いつの間に!?)
チーターは、己が走力に対する自負から、群れでの狩りを決してしないナチュラルハンター。
獲物を発見すると近距離まで忍び寄ってから、全力で疾走しながら獲物を追跡し引き倒す。
気が付けば追い詰められている。それがチーターの狩りである。
「あれ?オシエじゃん。何してんのお前?」
エルザは、ある誤解のせいで呆れ果ててしまっていた。
「何してんのって……こいつ、園藤姫乃が送り込んだ偵察よ!」
宇崎が即座にエルザの誤解を訂正する。
「そいつ、『兵士』じゃないよ」
「え!?」
「それに……」
宇崎は、女性店員がエルザに向けている殺気に気が付いていた。
「
エルザは、宇崎に指摘されて漸く気が付くが、知らないふりして話題を乃塒に戻した。
「『兵士』じゃないとしたら、何でコソコソ尾けてきてんのよ?あんたの友達?それともストーカー?」
乃塒が涙目で宇崎に助けを求めた。
「ヒトミちゃーん。説明してあげてー」
だが、宇崎が考え込んでしまった。
「……そう言われてみると……どっちだ?」
乃塒が人目を気にせずに涙で自分の頬を濡らした。
2019年6月29日
墓参りを終えた渚の許に三門陽湖が訪れたが、
「姫乃の
凛とした態度で言いたい事を先に言われて黙るしかない陽湖。
「それと……私も姫乃に1票だ。直にお前達がどんだけ危険かを、この目で確かめねえとな」
陽湖は、静かだが気丈に振舞った。
「まあ好きにすれば?100%後悔するとおもうけどね。でも、後で泣きベソかかないでね。気持ち悪いから」
渚は、陽湖の挑発を無視した。
『鷺宮女子高銃撃テロ事件』に思い知らされたからだ。こういう勝利を約束されていると勘違いしている者ほど、敗北と言う名の罠に堕ちやすいと。
実際、『仲間』が溢れていた頃の自分達がそうだったし、姫乃を逃がす為に学校に居残ってくれた『仲間』を部外者ごと皆殺しにする様指示した黒田も、事前に用意した罠を姫乃に掻い潜られて殺害され、日本の警察の威厳や名誉を底辺まで失墜させている。
渚は確信していた。陽湖もそうなると。
「用が無いなら帰れ。墓場で騒いでもカッコ悪いだけだぜ?」
そう言いながら帰って行く渚。その顔に、もはや迷いはなかった。
まるで、警察に殺された渚の取り巻き達が背中を押したかの様に。
陽湖は、待たせていたリムジンに乗り込んだ。
同乗していた異様な老人が、陽湖の様子を視て何かを悟った。
「出る様だな?園藤姫乃も」
「はい、お爺様。出場を阻止できないなら、
陽湖の自信を見て不気味な微笑みを浮かべる異様な老人……いや、三門財閥会長『三門陽参』。
「ふぉふぉ、強気よのう陽湖」
だが、そんな陽湖の強気を疑う様な疑問が浮かんだ陽参。
「じゃが、いくらお前が知略に長けているとはいえ、殺し合いは殺し合い。弱い駒では話にならん。仮にも、この
谷優牛が代わりに答えた。
「ご心配無く。城戸を使います」
陽参がニヤリと笑った。
「城戸か……」
「そうです。1度は凄惨と言う理由から出禁となった、あの城戸です」
陽参が満足そうに笑った。
「面白いではないか。特定遺伝子組換改革法を真鍋総理の言う通りに動かすか否かを決める試金石のつもりでいたが……今回の
2019年7月1日
その後、
その事についてエルザ曰く、
「何言ってんの?闘んないように見張ってんのよ。
……まあ、宇崎のあの性格なら、仕方ないなと言える理由であった。
獣人とは、
ヒトのDNAに含まれるあらゆる生物の遺伝情報から、その人間に最も近い「動物の因子」を抽出し強化する「獣化手術」を受けた者の事である。
つまり、ライオンやヒョウなどの大型動物の狩場に入り込み、堂々と居座り堂々と獲物を盗み、しかも、見つかると逆ギレするという、ギネス級の横暴さを誇るラーテルの因子を色濃く持つ宇崎の性格が、生まれつき横暴なのも自明の理である。
pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。
内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。