本作でも扱い悪いし……
原作第3章でも、かませキャラの匂いが(https://www.heros-web.com/news/%e3%80%90%e6%9c%ac%e8%aa%8c%e6%83%85%e5%a0%b1%e3%80%91%e6%9c%88%e5%88%8a%e3%83%92%e3%83%bc%e3%83%ad%e3%83%bc%e3%82%ba12%e6%9c%88%e5%8f%b7%e7%99%ba%e5%a3%b2/)……
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
「今回は、三門が石田に苦戦しておりますなぁ……」
「いつも通りに三門対八菱で終わると思いましたが……」
「まさか
「となると、
だが、直ぐに話題が宇崎から離れた。
「おぉーとぉー!?11-24で新たな動きがありましたぁー!」
篠崎の実況により、八菱と角供による2対2を思い出した。
(そうだ!虎が卑劣な罠に堕ちる切っ掛けとなった例の戦いはどうなった!?)
2019年7月26日 フィリピン海炎蹄島廃墟エリア
宇崎が矢部と戦っている(?)間、
「がふっ!?」
「クク……やっと効いたか?」
犯人は風間と同行していた大沼電であったが……
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
完全獣化した大沼の姿に仰天する川辺。
「何だこいつは!?殆ど人の形を保ってない!まるで象ほどもあるコブラじゃないか!?」
驚く川辺を見て、尊夫人が悲し気に告げた。
「以前の
それを聴いた川辺は、1ヶ月程前のあの会話を思い出す。
2019年6月17日
陽湖が残念そうに呟いた。
「ある時期までは言えたわ。獣化手術を取り入れてもなお『
「……余計な事?」
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
川辺が慌てて陽湖を問い詰めようとしたが、当の陽湖が爪を噛み続ける程焦っていた。
(駄目だ!とても何かを訊ける雰囲気じゃない!)
代わりに尊夫人が答えた。
「しかし5年前、管理局長に就任した祠堂零一氏が、独断で規制を緩和」
「!?」
「その結果、凶悪犯罪者、精神異常者、その他得体の知れない者達が、金目当てに次々と獣化手術を受け、下品で粗野で自制の利かぬ
川辺は、ビックリ仰天し過ぎて沈黙してしまった。
2019年7月26日 フィリピン海炎蹄島廃墟エリア
大沼が偉そうに説明する。
「噛んで直接流し込むよりちと時間はかかるが、戦闘中に毒牙から散布した霧状の神経毒は、半径3m圏内の獲物を麻痺させ、自由を奪う。名付けて、
「ドクハキコブラ」と呼ばれる。アフリカの一部に生息するヘビは、その名の通り、毒液を噴霧するという特性で知られる。
相手の目を狙って噴出する事もできるというこの禁断の「飛び道具」は、肉弾戦が基本の自然界において、種の優位性を保証する強力な武器となる。
ご機嫌な大沼が偉そうな事を言っている。
「ふははははははは。まんまと俺様の策略に嵌ったな牝教師!俺はハナからてめーの作戦を見抜いていたのさあ!てめーの作戦にわざと嵌りテメーを油断させ自惚れさせて、
「ムキキー!まねすんなあぁぁ!」
強がってはいるが、
だが、大沼はトドメをさそうとしなかった。
「何だか身体が軽いし痛みも感じねえ。今ならイケる」
そう言いながら腹部からニョキっと生やしたのは……
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
大沼の身体から生えた物を観てドン引きする渚。
「……こ、これは……もしかして……いや、もしかしなくても……」
(男根!)
ヘビは、1対2本の陰茎を持つ。
腹部に収納された有隣目特有の袋状の生殖器である。
人間の陰茎とは構造が大きく異なり、形状も種により千差万別だが、特筆すべきはその攻撃性。メスの体内に侵入した後、内部で膨張。複雑に発達したトゲやコブが「返し」になって容易には抜けない仕組みになっている。
「マジかよアイツ……」
大沼の狂気性に驚きっぱなしの渚に対し、姫乃はモニターを観ずにある駒の動きを追っていた。
2019年7月26日 フィリピン海炎蹄島廃墟エリア
大沼は、力任せに
ひとたまりもなく
「ぐっ!?」
「1度挿入ったが最後。どんなに暴れようが、決して抜ける事はない。愉しみだぜェ。激痛で我に返った瞬間―――」
だが、大沼が行おうとしていた凌辱が唐突に終わった。
「ギアアアアアアアア!痛えええええええ!」
漸く到着した大河が大沼の陰茎を切断したのだ。
「ティ……
大河の姿を見た大沼は嫌な予感がした。
「あいつが生きているって事は、竜次の兄貴はもう……」
大沼が大河の目に向けて毒液を噴射するが、大河は右腕で楽々と防御した。
リンカルスはドクハキコブラとして非常に有名である。
防御行動として敵の眼を狙い、毒を吐く。 その毒は非常に正確に目をめがけて2.5メートルから3メートル弱にまで飛ぶ。 毒が眼に入ると、激しい痛みを感じる。最悪の場合失明に至る事も有る。
だが、大沼も馬鹿ではない。
右腕で目を防御している隙にヘビ独特の締め上げを大河に見舞おうとする。
「竜次の兄貴でも勝てねぇ相手に、誰が正面から行くってんだよ!?」
だが、大河は力づくで大沼の締め上げを押し返した。
「俺の
それでも、大沼は勝ちを諦めていなかった……と思いきや、
「うっ!?」
大沼は、腹を抱えながら突然倒れた。
大河が首を傾げながら、倒れた大沼に近付いた。
(けけけ!そうやって近付いて来たところを、俺の渾身の噛み付きで一気に毒を注入して殺してやるぜ!)
ゆっくりと大沼に近付く大河。
(来た来た♪俺は目が無くてもお前の動きが観えてんだよ!)
ヘビが獲物を「視る」際に最も重要な器官は眼ではない。
では何か?
それは、意外にも舌。
ヘビは舌で「匂い」を感じ取り、口内上部に位置する解析装置「ヤコブソン器官」に送る事で、嗅覚情報を視覚情報に変換。獲物の位置や大きさを正確に把握する事ができる。
ヘビの舌が二股に分かれているのも、表面積を増やし「匂い」の粒子を捕らえ易くするためである。
大河が十分に近付いたと思った大沼が大河に飛び掛かる。
(いまだ!)
だが、大河がいきなり消え、その直後に大沼が胴体を真っ二つに両断された。
「がッ……ゲボァッ!バカな!?この俺が……
これには、動けずに見届ける事しか出来なかった
(今の何?何かが爆発したと思ったら、次の瞬間、
トラは正真正銘の無敵。アジアにおける生態系の頂点に君臨する動物である。
事実、800㎢もの広大な敷地を持つインドのサリスカ保護区も、その全てが僅か数頭のトラの縄張り。即ち、そこに棲む全ての動物は、ヒグマであれ、ゾウであれ、ワニであれ、人間であれ、トラにとってはただの餌なのである。
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
何が起こったのかを正しく分析した渚。
「影身だ!」
「かげみ!?」
「腰を落としながら素早く相手の脇に回り込んで背後から攻撃する。躱しと攻撃の一体技だよ」
「それを凄まじい脚力で行ったのか!?」
改めて大河の小細工が通じぬ実力に戦慄する川辺であった。
2019年7月26日 フィリピン海炎蹄島廃墟エリア
圧倒的な大差で大沼を撃破した大河が風間を睨む。
(
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
横田が風間のプレイヤーに逃亡を促すアイコンタクトを行った。
2019年7月26日 フィリピン海炎蹄島廃墟エリア
「駒の移動が確認されました。3分以内に北方向のマスに進んで下さい」
(やっぱりそう来るわな!?)
風間が、待ってましたとばかりに逃走を図るが、その動きは壁や柱などに掌や足の裏を引っ付けながら連続ジャンプを続けるという変則的なものだった。
それを観ていた大河は、ただ風間の逃げる背中を見送るだけだった。
(何で?チャンスなのに……)
2019年7月26日 フィリピン海豪華クルーズ船『獣王』メインダイニング
川辺は、風間の行き先が気になっていた。
「頼むから宇崎の許に行くなよ!」
「何で?」
渚はその意味がいまいち解らなかった。
「アレを見せられたら誰も信じないけど……宇崎は絶対に
「勝て……ない……?」
「あの眼鏡が言った通り、ラーテルの強みは、背中の強靭さと柔軟性を合わせ持った甲皮と神経毒に対して強い耐性がある事。だが、風間の掌が宇崎の身体に1度でも張り付けば、その頑丈さは完全に無力化される!」
分子間力。
人類が19世紀末にやっと辿り着いたこの物理現象を、太古の時代から駆使する動物が存在する。
守宮。
英語圏では、その鳴き声から「ゲッコー」と呼ばれるこの爬虫類は、普通のトカゲとは違い、民家の壁や天井に苦もなく住み着く。これは、爪や鱗などを細かな凹凸に掛けているだけだと長らく信じられていたが、事実はそう単純ではない。
ヤモリの掌に生えた約10万本もの剛毛が、ナノ単位の物質が引き合う力「分子間力」を生み出しているのである。
ヤモリ1匹の体毛が生み出す分子間力の総量は、実に120㎏。
この桁外れのパワーを利用すべく、超吸着テープやヤモリ型ロボットなと、最先端科学による再現研究が進められているが、その性能は、未だ本家に遠く及ばない。
それに、川辺の悩みはこれだけではなかった。
其処へ、姫乃のスマホが鳴った。
「もしもし」
相手は宇崎だった。
「私がどこへ行くのか訊くのも良いけどよ……」
「何でしょうか?」
「お前はこの後どうしたいんだ?」
川辺は、今日ほど宇崎の気まぐれさを恨んだ事は無いだろう。これ程迷う状況で指揮を求められるなど、並の者ではいとも簡単に圧し潰されることだろう。
(こっちの気も知らないでえぇーーーーー!)
だが、姫乃は即答した。周囲の注目を浴びる暇すら無く。
「そのまま、城戸を追って下さい」
陽湖が恨めしそうに姫乃を見た。だが、それがかえって姫乃にある確信を与えてしまった。
「その方が、宇崎さんが城戸さんと大河さんの両方と戦える可能性が高いと思いますので」
それに対し、宇崎はあっけらかんと質問する。
「そうなの?」
「はい。どう言う訳か、三門さんは大河さんが廃墟エリアにいるのを知っていながら城戸さんに廃墟エリアに逃げ込む様に指示しています」
「そうなんだ?」
「だとするなら、今宇崎さんと戦うのは得策ではないと判断したと思われます。だからこそ、あえて城戸さんと大河さんの潰し合いを避け、城戸さんを倒してから大河さんと戦う方が色々と得と考えます」
人は迷う生き物である。
選択肢が多ければ多い程、迷うものだ。
だが、この時の姫乃の眼差しに迷いは無い。選択肢が1つしかないからである。
必要なのは、
控え目な物腰と憂い。激しい気性と冷徹な思考。その相反する2つがない交ぜとなった選択肢を持たない女の瞳が、
何も言い返せずに汗だくとなる陽湖。
川辺は笑顔で確信した。自分は絶対に姫乃に勝てないと。
それは、理屈ではなく真理であり、教義なのだ。
pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。
内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。