ヒメノスピア×キリングバイツ   作:モッチー7

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尊聖羅……牙闘獣獄刹(キリングバイツデストロイヤル)に参加したプレイヤーの中で、第2章以降も出ているのは、野本裕也と陽湖お嬢様とこの御方のみです。夫で石田財閥運営会総務の尊正義を差し置いて……

八菱にキナ臭さを感じて密かに調査する主人公側の黒幕と言った感じの役になりつつあり、我らが紳士的武人の岡島壱之助の人格形成に大きな影響を及ぼした方でもあります。


第25話:尊聖羅

2019年9月20日 アメリカ合衆国バーモント州ウッドストック

 

八菱財閥に裏切られ、違法薬物大量所持の濡れ衣を着せられ、モリカケ問題や桜を見る会などの様々な不正の真相を暴露され、ダンプカー飲酒運転に巻き込まれて焼死したと言われて日本から追い出された真鍋進造()内閣総理大臣。

『女王』園藤姫乃に植え付けられ、『女王(クィーン)』セレナ・セルバンテスに仕える女性SP達からの拷問によって劇的に悪化した切れ痔のせいで、ズボンはおろかパンツすら履けずに下半身裸(アンダーレス)を余儀なくされ、つま先立ちガニ股以外の歩行がほぼ不可能な状態に陥っていた。

それでもなお、八菱財閥と牙闘(キリングバイツ)管理局が今後の為に知っておきたかった『蜂』の天敵の本名を最後まで言わなかったので、最終手段として1万円相当のアメリカドルを渡されてアメリカの田舎町に放置されたのである。

住人を発見しては、自分が日本国内閣総理大臣の真鍋進造であると告げて協力を求めたが、下半身裸(アンダーレス)な上につま先立ちガニ股で近づく行為が女性の危機感を煽ってしまい逃げられる事もあった。

更にダメ押しとして、真鍋の話を聞いた者達に、日本史上最凶最低最悪の総理を騙るのは得策ではないと(冗談交じりで)アドバイスされる始末であった。

 

2019年9月20日 アメリカ合衆国某所リビング

 

それをテレビで観ていたセレナが満足げに拍手しながら大笑いした。

「ははははははははは!」

女性SP達は微動だにしなかった。

「最高だな!?我々『蜂』に歯向かった者の末路を広報するにはうってつけの愚者だな」

女性SPがセレナに質問する。

「これでよろしかったのでしょうか?」

「ん?」

「あの者は、楽園都市(ヒメノスピア)に仇為す者達の黒幕について何も語りませんでしたが?」

セレナが肘掛けに左肘を置き、頬に左手を添えながらジト目でテレビに映る真鍋の痴態を観る。

「つまり、奴は勝利を未だに諦めていない……と言う事だな?八菱の言う黒幕さえ無事なら巻き返しは利くと思い込んでいる。その思い込みを消さない限りは、奴は真の意味で屈服せんよ」

セレナが、おもむろに質問をする。

「ところで、私と真鍋進造()内閣総理大臣、どっちが貫禄あると思う?」

「うっ!」

女性SP達は、平然とセレナを讃える言葉を並べる。

「『女王(クィーン)』の命令こそが絶対。二君に仕えるつもりはありません」

「あの男如きに『女王(クィーン)』を超えられるとは、微塵も思っておりません」

ただし、1人だけ意見が違った。

「私は逆です『女王(クィーン)』。岩崎弥芯は危険です。やはりあの船の中で始末すべきではなかったのですか?」

「ジョイス!またお前―――」

「よい。案じてはおらぬぞ。お前達がいるからな」

「勿体無き御言葉!」

「で、ロナウドはどっちだと思う?」

「うっ!」

セレナの眼前で全裸土下座を行っている中年男性が必死で平謝りする。

「申し訳ございません。あの時は本当に気が迷っておりました。故にあの愚かな誇大妄想のペテン師の巧みな話術に踊らされ、誤って愚かな選択を選んでしまった事を深く反省し、今後とも『女王(クィーン)』の隷属として―――」

セレナがロナウドの後頭部を踏んだ。

「よいか……二度目は無いぞ?その心算で身を粉にして働けよ」

「はははははい!喜んでえええぇええー!」

 

2019年9月20日 アメリカ合衆国バーモント州ウッドストック

 

その頃、真鍋は自分を補導しようとした警官に自分の身分を明かして保護してもらおうとするが、全く信じてもらえずパトカーに乗せられてしまった。

無理矢理座らされた事が超重度の切れ痔を刺激して悲鳴を上げるというおまけ付きで。

 

2019年7月27日 東京港晴海客船ターミナル

 

牙闘獣獄刹(キリングバイツデストロイヤル)を終え、東京港に戻って来た豪華クルーズ船『獣王』。

観客、管理局、今回の獣獄刹(デストロイヤル)を生き延びた獣闘士(ブルート)が次々と下船する。その中に、姫乃と姫乃に従う『兵士』達も含まれていた。

ただし、東京港に帰り着く前に死亡した城戸剛、新崎敦子、椎名竜次、角供雅、三門陽参は、むろん死体として処理された。

更に、セレナとセレナに従う女性SP達は、八菱財閥に裏切られて全てを失った真鍋進造総理と共に東京港に帰り着く前に下船してそのままアメリカに直行した。

 

それに、未だに下船しない者達もいた。

三門陽参殺害計画の密告を計る安達を一時的に捕縛したあの三門を裏切った青年と、その青年に協力する『兵士』達である。

「三門陽参と真鍋進造は、ちゃんと滅んでくれたようね?」

声を掛けられた青年が振り返ると、青い瞳にクリーム色のショートボブで、口からは八重歯が覗くロシア系幼女がいた……様に見えるが、この女性こそ三門を裏切った青年に協力する『兵士』達を従える『女王』祭紫明であった。

「暢気に獣獄刹(デストロイヤル)を観戦していた金持ち共は、もう直ぐ驚くわね。アンタたちの計画通りなら、今頃日本は大混乱なんだから」

青年が笑顔を見せた為、紫明が慌てて青年に指示を出す。

「屈むなよ!絶対に屈むなよ!こう見えて、私はお前とほぼ同年齢なんだから!」

紫明の身長は127cmしかない幼児体型で、小学3年生くらいから殆ど背が伸びていないらしい。

一方の青年は冷静に話を進める。

「どっちにしろ……全ては終わった。三門財閥も特務捜査課もな」

それを聞いた紫明がクスッと笑った。

「三門……陽湖も?」

青年は真顔で答えた。

「あの女の真価を計測するのはこれからだ。今までの三門陽湖は、ただの井の中の蛙だ。だが、これで漸く三門財閥という井の中から出られた。鷺宮女子高銃撃テロ事件で全てを失った園藤姫乃が大化けした」

紫明が呆れながら言い放った。

「陽湖は、私やあの憎ったらしいセレナと違って『蜂』に認められていない。園藤姫乃の真似事が出来るとは、到底思えないけどね」

だが、青年の考えは違った。

「君達『女王』には悪いが、園藤姫乃が『女王』だからと言う理由で日本の警察をあそこまで辱めれる訳ではない」

「地の底から這い上がれるか否か……って事?」

青年と紫明が暫く睨み合うが、不毛だと感じて紫明が話題を変えた。

「で、牙闘(キリングバイツ)は、日本政府の手からどんどん離れていくって寸法?」

「……そうだ。祠堂の獣化手術を人類進化促進と新時代創造の道具として利用する。それが、岩崎総帥が描いた絵図だ」

「それで、日本政府が企てていた……『女王』の力を技術として摘出して軍事や政略として利用する計画が邪魔になったと?」

青年が真顔で不快感を表した。

「戦争は、俺も岩崎総帥も嫌いだ。尊夫人の言うところの“軽々に価値ある命を無駄に捨てる愚かな行為”だ」

紫明が笑顔で告げた。

「戦争は儲かる……は、もう古き悪きと言ったところか」

「そう言う意味では、お前もまだまだ生きてもらうぞ祭紫明。『女王』同士の殺し合いを阻止する為にな」

「三すくみか……一方の『女王』がもう一方の『女王』を殺せば、その隙に第三の『女王』が残りの『女王』を殺す……これは確かに下手な動きは出来ないわ」

「そう意味では、安達瑞は大いに役立ってくれた。アイツの証言のお陰で、お前をセレナや園藤姫乃の目に晒す事なくお前の生存を思い知らせる事が出来た」

「狡い男ね」

 

紫明が青年のいる部屋から出ようとするが、その直前に紫明が口を開く。

「日本有数の企業グループ『KUSAKA』。今はまだ八菱財閥傘下組織だけど……岩崎弥芯の望み通りの新時代が訪れた後はどうするの?」

その言葉が、青年の側近である黒隅を驚かせた。

「世界に君臨する……帝王か……」

それに対して、青年はただ笑顔を見せるだけであった。

紫明が笑顔で皮肉を言った。

「……ま、好きにしたら?『KUSAKA』グループ総帥の日下俊一郎さん」

俊一郎も笑顔で皮肉った。

「好きにさせてもらうよ。ロシア系中国人の祭紫明『女王』陛下」

紫明が退室した。

 

2019年8月10日 楽園都市(ヒメノスピア)[[jumpuri:デニーズひばりが丘店 > https://shop.dennys.jp/map/2517]]

 

くだらない理由で呼び出された安達が不快感を示した。

「じゃ、帰るわ」

それを聞いた乃塒押絵が驚いた。

「全然聞いてねぇーーーッ!?鷺宮女子高生徒全員が、宇崎瞳の退学危機について、フル回転で頭を悩ますこの時に」

乃塒が安達の胸倉を掴みながら叫んだ。

「上の空とは何事かぁーーーーーッ!営倉行きでござるぞォーーーーー!」

安達もまた、乃塒の見当違いな言葉に呆れて言い返した。

「現実を視やがれ!宇崎があの学校を出ていった事を悩んでるのはお前だけだ!他の奴らは別の事で頭をフル回転させてるってぇーの!」

そう言いながら独白する安達。

(あの狂気の宴から解放されて、もう二週間が経とうとしている。船を降りた翌日には、日本中が真鍋総理の違法薬物大量所持と焼死と言うフェイクニュースに震撼するのを尻目に、楽園都市(ヒメノスピア)に日常が帰ってきた)

乃塒が安達の胸倉を掴みながら何かを叫んでいたが、安達の耳には全く入らず、安達は窓の方を見ながら独白を続ける。

(よほど時坂って奴の身体に黒田って奴の脳みそが移植される可能性にムカついたのか、うちのお姫様は真鍋をほったらかしにするよう命じた。そのおかげで楽園都市(ヒメノスピア)は、日本の他の街と違って平穏を保っている)

乃塒が安達に何かを言ってから大急ぎで店を出たが、安達は何を言われたのか知らなかった。

(ま、確かに真鍋の悪意が楽園都市(ヒメノスピア)を襲う事は無くなったわな。それに、宇崎達がいなくなってくれたお陰で……心地良い静寂が戻った)

安達は、学校に向かって歩き出した。

 

2019年8月10日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

安達がスマホでニュースを観ていた。

特定遺伝子組換改革法。

農作物・家畜などの品種改良を隠れ蓑に獣化手術を合憲合法化した法律がとうとう可決成立してしまったのだ。

(これからは……牙闘(キリングバイツ)も野球やサッカーの様なメジャーなスポーツとして流行っていくんだな……あの岩崎の思惑通りに……)

生徒会執務室の隅に置いてあるアタッシュケースを見る安達。

(怖くて手のつけられない……現金入りの重たいケースが2つ増えて3億円分。牙闘(キリングバイツ)が現実だった証拠として君臨している)

「どうなっちまうだよ……日本は……いや、世界は……?」

 

2019年8月10日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校学生寮

 

渚を含めた複数の『兵士』達が、帰宅する姫乃に同行した。

「けっこう買ったねー。冷蔵庫に入りきるかな?ねえ姫乃」

『兵士』達は『兵士』達なりに気にしていたのだ。岩崎の陰謀と獣化法可決を阻止出来なかった事を姫乃が気にしているのではないかと。

「やっぱ私だけでも泊まろうか?1人にするのは心配だし……」

だが、姫乃が笑顔で答えた。

「いえ、大丈夫ですよ。ありがとうございます。いつまでも付きっきりで護ってもらう訳にもいきませんし、皆さんは家に帰って下さい」

「そっか……」

だが、渚は食い下がる。

「じゃあ姫乃、何かあればすぐに連絡してね」

「分かりました。では、また明日」

そう言うと、姫乃はドアを閉めた。

一部の『兵士』が楽天的な事を言い出した。

「気にし過ぎなんじゃないの?」

獣闘士(ブルート)の軍事利用の危険性も無くなったみたいだし」

「もう、何も起きないんじゃない」

「だよね」

だが、渚だけは姫乃の先程の明るさを否定した。

「……いや、姫乃は悩みがある時ほど、明るく振る舞うクセがあるんだ」

 

2019年8月10日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校学生寮シャワールーム

 

姫乃は、只々ボーとシャワーを浴びていた。

(私は……『女王』としては幼過ぎた。真鍋の悪意から日本と牙闘(キリングバイツ)を救った岩崎は、こちらの手の内を読み、脅し、賺し、試し、鼓舞し、あまつさえ、身を焦がすような懊悩まで与えていった。勝ち負けを競うレベルじゃない。完全に掌に乗せられて弄ばれている)

姫乃は……深刻な顔をしながらシャワーを止めた。

(……だけど、それよりもっと深刻で残酷な現実が、私の胸に深く突き刺さってる。それは……)

姫乃の脳裏に浮かぶのは、鷺宮女子高銃撃テロ事件が発生する前に魅せた渚の取り巻き達の笑顔であった。

(日本政府が未だに『仲間』への悪意を捨ててない事だ!奴らは自分の望み通りにする為なら、死者すら平然と悪用する!このままじゃいけない!このままじゃまた、あの悲劇を繰り返し、全てを失う事になる!)

姫乃は、『針』を露出させながら決意を新たにする。

(させない!私の楽園(ヒメノスピア)は絶対に護る!たとえ、どんな手を使っても!)

 

2019年8月22日  首都高速都心環状線

 

安達は不安だった。

姫乃達と共に車に乗せられて何処かへ連れて行かれているからだ。

(何なんだ?今度はどんな目に遭うってんだ?)

どうやら、『兵士』達も知らないらしく、チラチラと姫乃が乗る車を不安そうに見ていた。

(どうやら……こいつらの目論見って訳じゃなさそうだな?まさか、特務捜査課の残党がまたぞろって訳じゃねえよな!?)

 

2019年8月22日 東京都港区東新橋一丁目9番1号。東京汐留ビルディング

 

到着したのは、東京汐留ビルディングという店舗・オフィス・ホテルが入居する複合ビルである。

安達と『兵士』達が驚く中、姫乃だけは堂々とビルに入って行った。

安達は慌てて渚に質問する。

「ちょちょちょちょちょちょ!これはどう言う事だよ!?」

「それはこっちの台詞だよ!まあ、姫乃の事だから、何か考えがあっての事だと思うけど……」

「……敵を欺くならまず味方からって奴か?」

「……だと良いけどな」

その間も、姫乃が受付嬢に何かを語り、それを受けた受付嬢が電話をし、ブルドックの様な警備員の案内でとある場所へと向かって行った。

安達と『兵士』達が慌てて姫乃を追った。

 

応接室に招かれた姫乃がある人物に挨拶をする。

「お久しぶりです。尊社長。尊夫人」

姫乃を呼んだ人物の正体が石田財閥の大幹部だと知って、『兵士』達が慌てて『針』を露出させたので岡島が慌てて釈明する。

「ち、違うでごわんど!これは―――」

姫乃が岡島に助け舟を出した。

「この2人を呼んだのは、私の方です」

安達は、理解に苦しみ過ぎてボケーとしていた。

「……へ?」

どうやら……ソンバンクが楽園都市(ヒメノスピア)と何らかの取引をしようとしていたのだ。

「って!嘘吐け!あの時、岩崎の側に回った癖に!」

安達の疑問は尤もだが、姫乃は、その点に関してはそんなに気にしていなかった。

「あの時は、仲間のフリをしなければ、尊社長も黒居さんに殺されていたかもしれませんので」

「たっ……確かにその通りかもしれないけど……」

尊夫人が姫乃に不意に質問する。

「園藤姫乃さん、八菱が掲げるクリーンな牙闘(キリングバイツ)についてどう思います?」

川辺はドキッとした。彼女もぜひ訊きたい質問だったからだ。

姫乃は、冷静に落ち着いて答えた。

牙闘(キリングバイツ)は間違いなく世界的エンターテインメントスポーツとして流行するでしょう。それに伴い、獣人の人口は爆発的に増え……いずれはこの日本本土に収まりきらなくなります」

「よい予測です。で、その予測の続きを……言えますか?」

尊夫人のとんでもない言葉に、一同が困惑する。

姫乃が一呼吸してからとんでもない事を言い始めた。

「祠堂零一がやろうとしている事は、人類の進化のため」

渚が即座に否定する。

「いやいやいやいや!いくら姫乃の言葉でも、だったらおかしいだろ!遺伝子組み換えに没頭してまで人殺しの様な決闘を推進して、それのどこが進化なんだよ!?」

だが、姫乃の衝撃的な予測は続く。

「それは、残るべき人間(・・・・・・)を選別するため」

「残るべき人間!?」

「これから起こる牙闘(キリングバイツ)の世界的大流行に耐えられる者。つまり、獣化技術に寛容な精神的な余裕を持った人間。その選ばれた人類だけが新人類となる。岩崎弥芯の目的は、新人類による高度精神文明を築かせること」

安達が、姫乃の飛躍し過ぎた予測にツッコむ。

「ちょ待て待て待て!これって、牙闘(キリングバイツ)を理解出来ないアナログは死ねって言うのか?いくら何でも―――」

尊夫人が安達に問う。

「では、なぜ特務捜査課は八菱財閥に裏切られたのです?『女王』の逮捕と『蜂』の殲滅を訴える特務捜査課を」

安達は答えられなかった。沈黙しか出来なかった。

「つまり、八菱はもう軍事に何も期待していないって事なのよ」

「だから、日本国憲法第9条の改正を計った真鍋を排除した?」

尊社長が首を縦に振った。

「園藤さん……牙闘(キリングバイツ)が世界的エンターテインメントスポーツとして大流行するのは構いませんが、八菱はやり過ぎです。何らかの抑止力を用意しないと行く所まで行ってしまいます」

姫乃はソンバンクの要求を受け入れたが、条件を加えた。

「御2人には、しばらく私の私怨に付き合って頂く事になりますが、それでも宜しいのであれば……ソンバンクと楽園都市(ヒメノスピア)の姉妹都市提携を受け入れます」

尊社長が不安そうに呟いた。

「……私怨……?」

 

2019年9月1日 東京都千代田区霞が関二丁目1番1号。警視庁本部庁舎公安部

 

かつて公安警察特務捜査課に所属していた刑事大貫賢が呆然としていた。

「……首相代理……」

中井内閣総理大臣臨時代理が直々に公安部第6課に辞令を通達していた。

「公安警察特務捜査課の名称は刑事部人外対策課に変更。管轄は公安部から刑事部に異動する。任務も『蜂』の駆除と『女王』の捕獲から獣人犯罪や獣化技術悪用の阻止・抑止に移行する。よろしいですな」

大貫が呆然としながら訊ねる。

「な、なぜだ首相代理!あ、貴方は特務捜査課(われわれ)の―――」

だが、中井首相代理は意に返さなかった。

「より以上の“義”が動けば、私はその“義”に従う。当然の事です」

大貫が食い下がる。

「奴らは所詮寄生虫!宿主(ヒト)に頼らず生きる術はありません!『蜂』が人類を滅ぼす事は有り得ませんが、人類が『蜂』を駆除する事は不可能ではありません!我々は必ず勝ちます!公安警察特務捜査課を信じ―――」

中井首相代理が去り際に……大貫に対して冷酷な冗談を言い放った。

「大貫君……台詞を間違えてます。ちゃんと台本を読んでいます?」

この言葉で、大貫は中井首相代理が公安警察特務捜査課を刑事部人外対策課としか見ておらす、ある計画の要であったある手術の中止とソンバンクグループと楽園都市(ヒメノスピア)の姉妹都市提携が事実だと思い知らされて、怒号を上げながら泣き崩れた。

「うっ……うおおおおおぉぉぉーーーーー!」

 




pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。

内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。
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