作/武論尊 画/池上遼一のstrain(https://www.shogakukan.co.jp/search/site/strain?solrsort=ds_created+desc)の中盤以降に登場する重要人物で、実際は肥満体形の男性です。まあ、チャン・コーハン(https://www.youtube.com/watch?v=kytYHZD8L9E&feature=emb_logo)がプリティー・チャン(https://www.youtube.com/watch?v=q9KOEBfPw60&feature=emb_logo)になる様なもんだと思って頂ければ……
最初の内は、主人公である馬勇(日下慎吾)と“KUSAKA"の総帥である日下俊一郎とアジアンメジャーを握る為に日下兄弟を傀儡の王に仕立て上げようとする祭紫明との壮絶な“KUSAKA"争奪戦を繰り広げるが、陣元典とマハラーン将軍の本格参入によって馬勇の1人勝ちとなった後は、祭紫明を見捨てた華総連との死闘に移行する……と言った感じです。
2019年9月8日 東京都墨田区堤通2-14-1。東京都リハビリテーション病院
無礼極まりない黒居と紫明を止められず、ただ小声で助けを求めるのが関の山になってしまった看護師。
「助けて……誰か……助けて……」
その願いが通じたかの様に、1人の女子高生が黒居に声を掛けた。
「黒居さん、ご友人のお見舞いの花に、プリザーブドフラワー化した紫アネモネは如何です?紫は本来避けるべきですが、花言葉が『あなたを信じて待つ』だと言えば、患者さんも許してくれると思いますよ?」
その声は、お世辞にも大音量とは言えなかったが、黒居と紫明の無礼を止めるには十分過ぎる威力だったので、看護師にとっては大助かりだったが、黒居と紫明の無礼の被害者である筈の黒田にとっては、最も聞きたくないタイミングで聞かされた仇敵の声だった。
「園藤……姫乃……?何故ここにいる?」
それに対して、姫乃はあっけらかんと答えた。
「貴女方が教えたんですよ?黒田がここにいると」
黒田は汗だくだが、黒居と紫明は余裕だった。
それは、現存する『女王』が3人もいるからだ。
働き蜂の全ては、自分の遺伝子よりも『女王』の遺伝子を優先する。この習性により、争いの火種は完全に消滅し頑強な社会性を形成するのである。
だが、他人の『女王』は、自分の『女王』にとって、まさに遺伝子を伝えるという目的を阻害する敵に他ならない。
だが、どの勢力も同じ事。故に、他の2人を潰し合わせて楽に1人勝ちを狙う『漁夫の利』になる事態を皆恐れている。
それが、紫明が分析した現状であった。
黒居が呆れながら言い放った。
「お前さあ……この屑に何しに来た?まさか、あの忌まわしい大虐殺の元凶のお見舞いに来た……なんて能天気な事を言うんじゃねえだろうな!?」
それに対し、姫乃はあっけらかんと答えた。
「ええ……今の私は能天気で無警戒ですよ」
更に呆れる黒居。
「ああぁー!?」
「黒田さん、未だに貴方を恨んでいますし、貴方が起こした悲劇の数々への後悔と苦悩が今も私の心を蝕んでいます」
「ふざけるな!」
黒居と紫明の無礼の連続を受けてボロボロにも拘らず、立ち上がって姫乃の胸倉を掴んだ。
「全てお前のせいだろ虫けら!」
それを観た看護師が理解に苦しんだ。
「何で!?非道いのは、あの2人の方でしょ!」
それを観ていた川辺が悔しそうにガクガク震えていた。黒田がどんだけ姫乃に無礼を働いても、いっさい助けるなと姫乃に厳命されていたのだ。
それを無理矢理ここに連れて来られた安達が皮肉る。
「嫌いか?あのおっさんそんなに嫌いか?」
黒居が代弁する。
「あー!嫌いだね!アイツに私が鷺宮女子高銃撃テロ事件から逃れた本当の理由を話しているから詳しい説明は省くが、私もこいつに殺されかけたんだよ!」
黒居が黒田を思いっきりぶん殴る。
と、ここで姫乃が漸く口を開いた。
「見ての通りです。貴方がやろうとしていた
黒田は、黒居の言い分を思い出して歯軋りする。
「だから……」
その姫乃の宣言は、黒居と紫明の無礼の連続を憎む看護師達にとっては当然の結果であり、黒田にとっては理解不能な事であった。
「私も貴方も八菱と戦う運命なんです!」
「俺と貴様の共通の敵だとぉー!?」
再び立ち上がろうとする黒田だが、そのあまりの痛々しさに、さっきまでの川辺が懐いた憎しみは完全に消えてしまった。
「哀れだな……」
姫乃が優しそうな笑顔を止めて、話題を変えた。
「それより……かつてマレーシアで奇妙なジンクスがあったそうですね?」
敵意満載の視線を紫明に向ける姫乃。
「祭紫明さん!」
姫乃の殺意を感じてはいたが、3すくみ効果に胡坐をかいているせいか、それほど警戒していなかった。
「何かしら?」
2001年9月16日 マレーシアクアラルンプール某歩道。
1人の男性が、複数のフード姿の男性達に囲まれながら周囲を警戒した。
「つまり、その無礼な暗殺者を殺す為に我々を雇ってくれた訳ですな?」
この男性は、マレーシアで一旗揚げようとしている実業家だが、運悪く華僑の総本山を自負する中国系企業複合体『華総連』の傘下マフィア『祭一族』と揉め事を起こして命を狙われる立場になってしまったのだ。
「それはそうなのだが……」
ターゲットの男がガタガタ震えながら1枚の写真を取り出した。
「この娘は?」
「この女が、祭一族が私を殺す為に雇った暗殺者なのだが……」
フード姿の用心棒の内の1人が強気な発言をした。
「可愛い子ですね?解りました。もう2度とおいたが出来ない様にしてやりますよ」
だが、ターゲットの男の不安はそこではない。
「その子……祭紫明って言うんだが、どう言う訳か、こいつに命を狙われた奴は……きゃつが暗殺を開始する前に必ず病死するんだよ!」
フード姿の用心棒達は、いまだ自信が揺らいでいないのか、お気楽な予測を口にする。
「なるほど……毒殺と言う訳ですな?」
「ならば、その娘が毒を盛ったところを捕まえれば良いのですな?」
だが、ターゲットの男の不安は消えなかった。
「違う……きゃつに狙われたターゲットからは、毒物がいっさい検出されなかったんだよ!」
フード姿の用心棒達がターゲットの男を安心させる為に言い放った。
「ありますよ。警察はおろか医者すら騙せる暗殺方法が」
「ですが、今回は我々がいます。病死を装った毒殺は……させませんよ!」
だが、フード姿の用心棒達は致命的な見落としを犯してしまった。
すれ違った一般人
2019年9月8日 東京都墨田区堤通2-14-1。東京都リハビリテーション病院
姫乃が語ったジンクスは、傍目から聞けば荒唐無稽のオカルトにしか思えなかったが、姫乃にはある確信があった。
「もし、祭紫明に私と同じ能力があったとしたら……」
それを聞いた安達が、三門を裏切った青年が安達を監禁しようとした時に協力した2人の『兵士』を思い出した。
「あー!もしかして、あの船にいた『兵士』はお前のか!?」
それを聞いた姫乃と川辺が立ち上がった。
「祭紫明……安達さんの証言通り、あなたが新崎さんを殺したんですね」
紫明が動揺するが、3すくみ効果に胡坐をかいているせいか、それほど警戒していなかった。
「こっちも事情があってね。あの時は、ああするしかなかったんだ。でないと、三門陽参の暗殺が失敗して―――」
大男が紫明を背中に隠すが、川辺の『針』が大男の腹に刺さってしまった。
黒居と紫明にとっては予想外の展開であった。
「お……お前馬鹿か!?いま祭一族と
だが、姫乃はハッキリと言った。
「関係ありません!肝心なのは、あなたが私の大切な『仲間』を殺したか否かです!」
姫乃のこの台詞を合図に、黒居と紫明の背後に多数の『兵士』が『針』を露出させながら待機していた。
「油断しましたね祭紫明。3すくみ効果に胡坐をかかず、いつ私と遭遇しても良い様にそれなりの準備をするべきでしたね?」
黒居が獣化しながら唸り声を上げたが、安達には絶大に効果を発揮しても、2人を包囲する『兵士』達にはまるで通用しなかった。
「くそ!何故だ!?何故『兵士』には
そして、紫明に対して冷酷な事を言い放つ姫乃。
「あなたがまた『仲間』を殺すのであれば、死を以って償って頂きます」
安達は、姫乃の即決に驚いた。
(え?殺すの?3すくみ効果はどこ行ったの?)
だが、
「ぐおおぉーーーーー!」
紫明を庇って『針』に刺された大男が、最期の力を振り絞って姫乃にチキンウィングフェイスロックを見舞った。
「は……早く
死を覚悟で姫乃に複合関節技を決める大男に促された黒居が、紫明を腋に抱えながら動揺する『兵士』達の包囲を掻い潜って窓から飛び降りた。
が、川辺は咄嗟に真逆な命令を『兵士』達に出す。
「悔しいけどほっておけ!今は姫乃様の安否確認が先だ!」
そういうや、川辺が大男の左目に『針』を刺した。
「クソ!貴様、『兵士』の『針』を無力化するワクチンを飲んだな!?」
それでも、大男は既に限界だったのか、全身がガクガク震えていた。しかも呼吸も荒かった。
大男の限界を悟った川辺が説得を試みる。
「『女王』の『仲間』になれるのは女性だけの筈でしょ?なのに、男性である貴方がなぜそこまでするの?」
瀕死の大男は、出来る範囲内で微笑んだ。
「……クク……それがそうじゃねぇんだ……おめぇらにゃうちの
大男は知らず知らずの内に涙を流していた。
「うちの
大男はとうとう吐血して姫乃を手放してしまった。
「姫乃様!?」
苦しそうに咳き込む姫乃だったが、幸い命に別状はなかった。
両膝をついた大男は、最後にこの言葉を言い放った。
「
大男は……うつ伏せに倒れて動かなくなった。
戦いが終わって平穏が戻った病院。
姫乃が必死に平謝りをしていた。
「申し訳ございません。こんなにも大騒ぎをしてしまって」
看護師達は、この謝罪を聞かされて悔しかった……
本当は、こっちがお礼の言葉を言いたいのに、どの様な理由があれ、姫乃達が行った行為も暴力なので、面と向かって黒居と紫明を追っ払ってくれた姫乃達にお礼が言えないのがとても悔しいのだ。
「いえ……私達は大丈夫ですし……」
悪いのは黒居と紫明の方だと言って姫乃達を安心させたいのだが、姫乃達が明確に『針』を使用したので、それすら飲み込むしかなかったのだ。
「今後気をつけてくれれば、それで十分です」
看護師達は、今日ほど自分が恥知らずだと確信した日は無かった。
姫乃がお見舞いの花をベンチの上に置くと、申し訳なさそうにそそくさと帰ってしまった。
ただ、忠臣のシンバシーを感じたのか、紫明の逃走時間を稼ぐ為に命懸けで姫乃と戦った大男の治療を依頼する川辺。
「図々しいとは思いますが、そこに斃れている忠臣を看てやってはくれませんかねぇ?」
これが、黒居と紫明を追っ払ってくれた姫乃達に対して出来る看護師達の唯一の恩返しであった。
姫乃達が去り、残っているのは、黒田を含む患者達と看護師達と漸く到着した警察だけであった。
「これは……戦争でもあったんですか!?」
恩知らずな自分への恨みを必死に抑えながら答える看護師。
「はい……この病院と……祭紫明と名乗る外道との戦争です!」
看護師とは思えない言葉遣いに、警察は唖然とする。
(いったい……ここで何が遭ったんだ?)
2019年9月8日 大阪府大阪市浪速区。KUSAKA本社
姫乃の予想外の攻撃に、只々逃げ帰るだけの黒居と紫明。
「3すくみに頼り過ぎて油断したな?」
返す言葉が無い2人。
だが、日下俊一郎が更に畳みかける様に姫乃の思惑を予想した。
「これは、警告であり挑戦状だよ」
「どう言う意味だ?」
「私は、お前達ほど3すくみに胡坐をかいていない。お前達3人の『女王』の
俊一郎の予想に、黒居が首を傾げる。
「あの地味子の園藤がか?」
俊一郎が首を横に振る。
「いいや、只の地味が憎い相手を病院の産婦人科と小児科以外の全科を受診する程の重傷にまで追い詰めるか?」
紫明が舌打ちをする。
「そうだった。あいつは激情家だったわ」
俊一郎が注意を促す。
「兎に角だ、せっかくセレナを即決させない為の3すくみだ。下手に殺されない様に砕身の注意を払ってもらおう!」
「解ったよ」
2019年9月8日 東京都墨田区堤通2-14-1。東京都リハビリテーション病院
半ば無理矢理病室に戻された黒田は、姫乃が残したプリザーブドフラワーを飾ろうとした看護師に訊ねた。
「その花はどっちのだ?あの虫けらの忌まわしい汚れか?それとも、あの虫けらに追い返された哀れな2人か?」
看護師が質問で返す。
「今日、黒田さんの元を訪れたのは、虫けら2人と虫けらを追い返してくれた『女王』様だ―――」
黒田が強い口調で命令した。
「そっちは捨てろ!あの虫けらの心配される程落ちぶれてはいない!」
それを聞いて、規則と言う理由だけで恩知らずな恥じるべき行為をさせられた怒りをぶつけるかの様に反論した。
「黒田さんと黒田さんを救ってくれた『女王』様との間に何が遭ったのか、私には解りません!」
「五月蠅い!アイツは虫けらだ!『女王』どころか人間ですらない害虫だ!」
「ですが、私が観る限りでは、あの方はあの2人とは比べ物にならない程ご立派な方です!」
「五月蠅い!とにかく捨てろ!」
これ以上の説得は不可能だと感じた看護師は、姫乃が残したプリザーブドフラワーを飾るのを諦めてナースセンターに持ち帰った。
2019年9月10日 東京都墨田区堤通2-14-1。東京都リハビリテーション病院
病院に呼び出された大貫は、ブルブル震えている看護師からUSBメモリーを手渡された。
「これ!黒田さんが園藤さんへの憎しみが完全に消えるまで預かってもらえませんか!?」
「どう言う意味です?」
「園藤さんが持って来たお見舞いの品の中に紛れ込んでいたんです!ですが、黒田さんは園藤さんの事を異常なまでに嫌っていまして、内容を観る前に壊してしまうのではないかと思い預かっていたのですが!」
「このまま預かり続ける事は出来ないのですか?」
「実は……ちょっとした好奇心から……その中身を観ちゃったんです!それ以来……怖くて怖くて持っていられないんです!」
「でも捨てる事も出来ないと?」
「これを絶対に黒田さんにお見せしないといけないのは解ってるんです!でも、私は怖いんです!ですから、警察の中で黒田さんに1番親しいという貴方が持っていて欲しいんです!」
ただ事ではないと感じた大貫は、渡されたUSBメモリーを注視した。
2019年9月10日 東京都千代田区霞が関二丁目1番1号。警視庁本部庁舎
大貫は、早速USBメモリーを再生した。
中に入っていたのは……声だった。
お久しぶりです。園藤姫乃です。
恐らく……黒田さんの事ですから、これを最後まで聴くと決めるのに数年はかかったと思いますが、あえて2019年時点での
まず、残酷な事を言わせていただくなら、黒田さんが待ち望んだ(?)手術の事ですが、アレは八菱財閥の岩崎弥芯と『
あの手術が
とは言え、私は、時坂さんの遺体を公安警察から取り戻してくれた八菱と戦わなくてはならないのです。
その理由をお伝えする前に、1つ質問させてください。
黒田さんは、2019年に起こった真鍋進造総理違法薬物大量所持事件についてどう思います?
まさかと思いますが、真に受けていませんよね?
あの時と……私のママを逮捕したと嘘を吐いた時と同じです。八菱財閥が
そして、三門陽参と角供雅を殺したのも、八菱財閥が雇った獣人なんです。
信じられないと思いますが、これは事実です。残念ながら、証拠はまったくありませんが……
今はどうなっているか解りませんが、2019年時点での
多分ですが、ソンバンクグループも八菱財閥がやろうとしている
私も、八菱財閥がやろうとしている人類大選別には反対です。
それと、祭紫明という『女王』には気を付けてください!
祭紫明は、手に入れた『女王』を使って中国系マフィア『祭一族』から請け負った暗殺の仕事を次々と成功させ、
祭紫明は、見た目に反してかなり狡猾で狡賢いので注意してください。
私が黒田さんにお伝えしたい事は以上です。
黒田さんがここまで話を聞いてくれている頃には、ソンバンクグループが
もし、万が一、私が黒田さんと仲直り出来るのであれば、ソンバンクグループと共に
では……私はそろそろ戦場に戻ります。
私が大好きだった『
pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。
内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。