9歳の頃に母親の愛人に全裸にされ、それが原因で高校まで児童虐待の被害に遭い、服部渚が援助交際常習者に堕ちた担任を殺したせいで警察に目を付けられ、挙句の果てには、卑屈で卑劣な上に何度斃してもゾンビの如く蘇る黒田二郎の仇敵になり果ててしまい……
しかも、彼女がヒメノスピアの中心人物のせいで……ヒメノスピアに登場する男性キャラとキリングバイツに登場する男性キャラとの品質の差が開く開く!開くばかりだな!
2020年4月13日 東京湾獣人特区郊外
稲葉初は焚火に当たりながら困り果てていた。
「
「うー、寒いよー。お腹空いたよー」
既に何度も弱音を吐く続けている稲葉を発見した
「ヒョー♪こんな所にカワイコちゃんがいるぜ」
「マジかよ?すげー!」
そして、この3人の邪はどんどんエスカレートした。
「ここって無法地帯だからさ、誰に何したってバレないんだよねー」
「ヒヒ♪」
稲葉もこの3人の卑劣さに気付いたのか、驚き目を見開いてしまう。
(やばい!犯される!)
だが、アロハシャツを着た極道風の男性とボロボロの頭巾とマントで正体を隠す謎の人物が、邪な考えを持ってしまった3人に声を掛けた。
「待ちな」
「何だよおっさん、邪魔すんなよな」
「稲葉初に先に唾を付けたのは私達なんだ。返して貰うぜ」
「いなばうい?何言ってんだ?」
しかし、3人組の方の内の1人がとんでもない事を思い出してしまった。
「……って、え!?
とんでもない事実に気付いてしまった
「
「マジか!?」
そして、とうとう一目散に逃走してしまった3人であった。
「おみそれしましたー!実家に帰らせて頂きまぁーす!」
邪な3人組を追い返した2人に対して、可能な限りの虚勢を張る稲葉。
「い、いやー、まさか正体がバレてしまうとは……力でねじ伏せても良かったのだが、上手く手加減できるかどうか分からなくてね。ハッハッハ―――」
「あっ。この格好じゃ気付かないか?」
頭巾を外すと、その正体は服部渚であった。
「ほら!姫乃と一緒にいたヤンキーの!?」
稲葉は、謎の人物の正体に漸く気付く。
「もしかして!?服部さん!?」
焚火に当たりながら異様な格好の訳を話した。
「裏の世界に潜む『女王』……ですか?」
「そう。紫明から姫乃と
稲葉は、あからさまに嫌そうな顔をした。
(裏の世界って、ヤクザやマフィアが出てくるあれじゃないよね?だとしたら……)
アロハシャツを着た極道風の男性が稲葉の逃げ腰を察して図星を突いた。
「逃げても良いが、お嬢ちゃんの就職先はどこなんだい!?」
「うっ!」
図星だった。
何も考えず逃げる様に
渚は、稲葉に優しく語りかけた。
「大丈夫だ。アンタは、ただの親玉なんだよ」
「親玉!?」
渚がとんでもない計画を語り始めた。
「裏って付くもんをやって行ったら、いずれは裏の世界の到達するだろうと考えたんだが、それじゃあ時間が掛かると思って。だから、逆に表に有る物を無理矢理裏にしちまおうと考えたんだ」
「裏って……何を裏にするつもりなんですか?」
「
稲葉は停止してしまった。
「……はい?」
「つーまーり、
稲葉は、また停止してしまった。
「……はい?」
そんな噛み合ってる様で噛み合ってない稲葉と渚。アロハシャツを着た極道風の男性がこの2人と手を組むのには、一応理由があった。
2019年9月8日
「服部さんは、今日は留守番をお願いします」
黒田のお見舞いに出掛けてしまった姫乃にそう言われてしまった。
まあ、理由は解ってる。
私が行ったら、勢い余って黒田を殺してしまうかもしれないからだ。涼子達の仇な訳だし。
そんで、手ぶらになった私は、最近
とは言え……どっちも私にとっては捨て置けない2人だけどね。
その内の1人は既に出頭して校長室のソファーに座っている。
2019年9月8日
で、このヤクザくさいおっさん……自称『黒田二郎の性根を捻じ曲げた男』らしいんだ。
「やっぱ……俺みたいなヤバい奴の前に、園藤姫乃はださねぇか……」
私は、その質問には答えず、こっちも一方的に質問させてもらった。
「で!あの悪名高い黒田二郎の性根をどうやって捻じ曲げたって!?」
おっさんは、想い出を語る様に話し始めた。
「俺の旧姓は黒田でね、俺はこう見えて二郎の兄なんだ。つまり長男」
「で、それと黒田の腐った性根と、何の関係がある?」
おっさんがフッと笑いながら、まだ黒田だった頃の事を語り始めたんだ。
「俺のクソ親父は警官でね、と言っても、何も無い叩き上げだがな。そんなこったでよく二郎と2人で空手教室に通わされたもんだ」
んー。これは長そうだ。だが、どうも重要な部分な気がしたから、切らずにそのまま話させちまった。
けど、私の予想よりは短かったんだ。
「あの頃の俺は、まだ忖度ってもんを知らねぇクソガキだから、言って良い事と悪い事の区別があいまいだったんだ。だから、俺に敗けちまった二郎にこう言っちまったんだ……『次男である二郎が、長男である俺に勝てる訳ねぇだろ!』てよ」
私達は、まるで漫画の様なズッコケ方をしちまった。
「若かった……」
「『若かった……』じゃねえよ!あいつのメンタルってそんなに紙装甲かよ!?」
「女には女なりの意地が有る様に、男には男なりのプライドがあるんだよ!俺は、そのプライドを面白半分で傷つけたんだよ!」
姫乃と同じ学校に通い続けている私にとっては、その程度でへこたれるこいつらの方がおかしいと思えた。
私達やママにイジメられ続けても、めげず懲りずに学校に通い続けた姫乃に比べたら……
だが、
「それに、俺がしちまった二郎への仕打ちが、俺がぐれて極道に堕ちたきっかけを作ったんだよ!」
……はい?
「それから……二郎が中学に上がる頃から、クソ親父が俺の進路に首を突っ込む様になったんだよ」
「本当に豆腐メンタルだなお前ら……そこら辺の親が普通にやる事だろ?」
「いや違う!あいつは二郎には何も期待していなかったんだよ……俺が空手教室でしでかした事を知っていながら、俺の罪を棚に上げて二郎から警察への道を奪ったんだよ!」
いや、全然奪えてないじゃん!現に1年前に警察率いて私達を皆殺しにしようとしたじゃねえかよ!
「そこで、二郎ではなく俺を警察に仕立て上げようとしたんだよ!『二郎じゃ心の鬼には勝てない』って言いながらなぁ!」
「心の……鬼……ね」
まあ、そいつのせいで、私は姫乃達の黒田へのお見舞いに同行できずに、ここでヤクザくさいおっさんと尋問ゴッコなんだけどな。
だから、私はこいつにこう言ってやったんだ。
「人間はみんな鬼を飼ってる。怒りにまかせ、その鬼を解き放つのは簡単だ。だが、そいつを抑えきるのが本物の男なんだぞ」
すると、おっさんがトーンダウンした。
「そ……それは確かに、クソ親父は、『警察は、犯罪だけでなくクレームや屁理屈とも戦わなければならない』って言ってたけど……」
「けど?」
「それでも、あの時の俺はクソ親父の言いなりになるのが嫌だったし、クソ親父のクソ予言を覆してやりたいって思っちまったんだ!」
多分……この後はお決まりのパターンだろう……
「それで、家出してヤクザになったって言うのか?」
「ああそうだよ!名前も、黒田一郎から室戸純次に変えてよ!」
まあ……『黒田二郎の性根を捻じ曲げた男』を騙る理由は解ったが、肝心の質問がまだだったよ。
「それと……この
すると、このおっさんが急に頭を抱えやがった。
「……解らねぇんだ……馬鹿の俺にゃア答えが解らねぇ……」
ははぁーん。こいつ、姫乃を殺そうとしたが……
「7か月前に、風の噂で二郎が園藤姫乃に滅多刺しにされて病院送りにされたって聞いて、いてもたってもいられず
こいつ!?犯罪者が『闇』で警察が『光』だと思ってやがる!ヤクザも警察も……素は唯の人間なのによ。
「何でだ!?何で『光』同士が潰し合わなきゃならねぇ!?俺の様な『闇』同士なら解るけどよぉ!」
……そこまで言われると、言い辛いなあ……姫乃の奴が逮捕される
そこへ、もう1人の珍人を尋問していた『仲間』がやって来て、私に変な事を言ったんだ。
「渚!これはどう言う事!?」
「どう言う事って、何が?」
「あんたに似すぎてんだよ!あいつ!」
……はい?
2019年9月8日
そのもう1人の珍人を見て視ると、
「え?私!?」
私似の女が大慌てでわめいていた。
「こんな事してる場合じゃねぇんだよ!早く玄野二穂を此処へ呼べ!」
玄野二穂!?何でこいつがそんな事を知ってんだ!?
「早くしろ!玄野が姫乃をぶっ壊そうとしている裏切り者なんだよ!」
しかも、玄野二穂を造ろうとした理由まで知ってやがる!
「いや……だから、くろのにほって……誰よ?」
「いいから早くここへ呼べ!何もかもが手遅れになる前に!」
私は、正直言ってこいつが私達を惑わす為に八菱が送り込んだ……とも思ったが、あの眼は嘘を言ってる眼じゃねぇ……な。
だとすると……気が引ける真実がまた1つ増えやがった。
「すまないけど……こいつと2人にしてくれねぇか」
心配する『仲間』達を無理矢理追い出して、別世界(たぶん)の私と2人だけになった。
「お前……服部渚なんだよな?」
「信じねぇとは思うが……未来から来たな」
うわぁー……気が引ける真実に拍車をかけやがった。
「私達はもう手遅れだけど、ここはまだ間に合うんだよ!だから!」
「玄野二穂をブチ殺せと?」
「そうだ!あいつは『仲間』じゃねぇ!あい―――」
別世界の私は、やっぱりここが過去だと勘違いしてやがる!?ここだと玄野二穂は……
「それと、セレナに頼っても駄目だぞ!」
でしょうね。よほどの報酬がないと、アイツは絶対に手を貸さ―――
「あいつも負けて死んだからな!」
え?敗けた!?あのセレナがか?って、八菱に裏切られた真鍋が、日米安保がどうだかって言ってたけど……つうか、こっちの世界のトランポリン大統領はまだ
と言うか、どう騙そうか……こいつに真実を言っても……
と思ったが、あっちの世界の姫乃に対する非道な仕打ちを聴かされて、私は決心した!
言おう!あの2人に……あの気が引ける真実を!
2019年9月8日
で、私とあっちの世界の私と黒田の兄さんの3人だけにして貰った私は、取り敢えず深呼吸した。
「このお嬢ちゃんは誰だ?」
「このおっさんは誰だよ!って、こんな事してる場合じゃ―――」
「それについて話す前に2人に訊きたい事がある!」
「だから!こんな禅問答―――」
「今から話す事は……あんたらにとって、かなりショックな事だらけだけど、覚悟はいいか?」
あっちの世界の私が驚く。
「どう言う意味だよ?」
「先ずは……その前に、このおっさんに玄野二穂がしでかした事を全部話してくれねぇか?」
あっちの世界の私は、意外と素直に語ってくれた。
姫乃に『仲間』になりたいと言って近づいた事、新崎敦子を殺してそれを安達に擦り付けた事、警察に連れていかれるふりをしながら姫乃を拉致した事、そして……あの姫乃が心を壊す程の非情な拷問を行った事、更に、トランポリン大統領まで抱き込んでセレナを殺害した事を。
で、黒田の兄さんは、玄野の『闇』に驚いたのか、変な冗談を言いやがった。
「何だよそいつ?まるでエロ小説に出てくる極悪人みたいな女は?」
「……読んでるの?」
まあ、その冗談についてのツッコミはここまでにして、あっちの世界の私が唯一言わなかった事を言う事にした……超気が引けるけど……
「で、玄野二穂の正体を知ってるのか?」
「知るか!どうせ、『蜂』を1人占めしようとしたどこぞの『女王』だろうよ!」
『蜂』を1人占めだけは正解だけど……黒田の兄さん、覚悟はいいか!?
「実は……私は知ってんだよ。玄野二穂の正体」
「そんな事どうでも……えっ!?」
「で、エロ小説に出てくる極悪人みたいな女の正体って、何なんだよ?」
私は、一呼吸おいてから、黒田の兄さんにとって最も不都合な真実を口にした。
「黒田二郎の脳みそを移殖された時坂涼子だよ」
2人とも……開いた口がふさがらなかった。特に、黒田が警察と言う『光』に向かって突き進んでいると思い込んでいる黒田の兄さんにとっては……
「ふざけんな!二郎は警察なんだ!俺の様な極道とは違うんだよ!」
そこへ、あっちの世界の私がダメ押しを言いやがった。
「私達を皆殺しにしやがったのは警察だろうが!黒田ってクソ刑事の指示でよ!」
黒田の兄さんが、悔しそうに壁に頭突きしていやがった。
「くっ……くくっ……」
まあ……当然の反応だろう、まともな生活を送ってる筈の弟が大量虐殺の片棒だからな。
だが、あっちの世界の私は、私が玄野二穂の正体を知ってる理由に対して何の疑問も持たなかった。
「何で……何でそこまで知っていながら、玄野二穂を殺さない!?」
生憎……そいつはもう……
「いないからだよ。こっちの世界の黒田二郎は、八菱に騙されて……玄野二穂に成れなかったんだよ」
「え……?」
「この様子だと、八菱も
「何だよそれ……っていうか……ここってまさか……」
「そうだよ。ここは過去じゃない。別世界だ」
うわぁー……完全にお通夜だよ。このまま、自殺するんじゃねぇだろうな?
だが、私がこんな非道な仕打ちをした理由を話さなくちゃならない。勇気をもって。
「お前達にこの事を話したのは……玄野二穂が望む
「ビジョン?」
この時……私は号泣していたと思う。多分……きっと……
「最近の私の周りは、未来を欲しがってる奴ばかりだった。存続(園藤姫乃)、支配(セレナ・セルバンテス)、出世(祭紫明)、成長(岩崎弥芯)、進化(祠堂零一)、栄光(谷優吾)、冒険(宇崎瞳)、善意(尊聖羅)、保身(真鍋進造)などといった具合にな。だが、玄野二穂には何も無い!あいつは後先考えてねぇいじめっ子に過ぎない!そう思うと、気の毒なんだよあいつが!」
だから、私は黒田の兄さんに詰め寄った。
「けど、こっちの世界の黒田二郎は、まだ玄野二穂じゃねぇ!だから……まだ間に合うんだよ!」
2019年9月8日 東京都墨田区堤通2-14-1。東京都リハビリテーション病院正面玄関
いない筈の私を見て姫乃が驚いている。
んで、川辺が食って掛かってきた。
「渚!?何でここにいる!?姫乃様のご命令はどうした!?」
嬉しさ余って抱き着いてしまった私に驚く姫乃。
「姫乃……姫乃おおぉぉーーーー!」
「わああぁぁーーーーー!?」
「今度は……今度は必ず護るからな!絶対に!」
「え!?ちょっと!?服部さん!?」
「て言うか!?渚の証言にちょっと気になる事があるんですが!?と言うか!?黒田ってそんなにヤバいの!?」
ミツバチの兵士は、女王バチの身体を執拗に舐める習性を持つ。
ロイヤルコートと呼ばれるこの行為は、女王の身体を清潔な状態に保つと共に、女王特有の支配フェロモンを受け取る事で、主従を明確にし、女王への忠誠を新たにする意味を持つ。
……そんな……
あっちの世界の私の姫乃への抱き着きを、遠くから観ている私と黒田の兄さんである。
「よかったのか?アレで?」
「良いんだよ。あいつは、地獄を彷徨い過ぎた。そろそろ、あの時に戻してやらねぇとな」
「でも……それだと、お前が―――」
「私は、こっちの世界で充分堪能した。私は大丈夫だ!」
と言う訳で……そっちは頼むぜあっちの世界の私!裏の世界に潜む『女王』祭紫明は、私達が何とかするから!
2021年6月25日 東京湾獣人特区番外地
私は、
はぁー……
2年前のあの時……変なタイミングで目を覚ましたら、偶然優勝しちゃって以来、試合に出るのが怖くなっちゃって、番外地に隠れ住んでたら、噂にどんどん尾びれがついて、いつの間にやら、
そのせいか、服部さんの思い付きで始めただけの裏
はぁー……
ん?
「……二郎……あんた、どんどんクソ親父が言った悪口どおりの人生になっていくぜぇ……」
あなたは確か……室戸さんでしたっけ?
その……二郎さんって、何ですか?
2021年6月1日 東京湾獣人特区KBスタジアム広場
1人の少女が、受付の機械の説明を聴いていた。
「ようこそ!ここは政令指定獣人解放特別区域、略して獣人特区。獣化法で定められた獣人に関する様々な規制緩和を実施するため、日本各地に設置された特別自治区です。そして、この東京湾獣人特区は世界的獣人格闘イベント・
少女は、受付の機械の『案内終了』のボタンを押した。
すると、さっきまで受付の機械の説明と重なっていた解説アナウンスが聞こえてきた。
「
少女は、拳を握り締めながら宣言した。
「ついに来た……獣人の聖地。ここで私は……
少女の名は戌井
pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。
内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。