ヒメノスピア×キリングバイツ   作:モッチー7

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盛山順也……ここからしばらくギャグ回をやって行こうかと思います。先ずは彼から。

野本裕也と宇崎瞳の同居を聞いて驚く、宇崎VSエルザを見て猫耳メイドが観たいと言い出す、見たい番組が重なった事を嘆く、アイドルグループ『JTK48』の魅力に完全に取り憑かれるなど、ほとんどギャグパートにしか登場しない彼ですが、殺害された野本が鴉(カラス)という鳥獣人(アヴェシア)となって復活した事実を知って、シリアスパートに入る糸口を得ましたが……はてさてどうなる事か?


ギャグ回
第29話:盛山順也


2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校正門

 

複数の男性達が大きめのダンボールを持ってやって来た。

「城彩大学漫画研Q会の者でござる!今日は、園藤姫乃様にお願いの義が有って参ったしだいでござる!」

対応に当たった『兵士』達は困惑する。

「お前ら、姫乃様に何をさせる気だ?」

「それは……貴女方の大好きな持ち物チェックをしていただければ判るでござる!」

妙な大学生達の勢いに負けて渋々ダンボールを受け取る。

「この箱から変な物が出てきたらブチ殺すからね!」

『兵士』達は、取り敢えずダンボールの中身を確認した。

そして、その中身はある意味怪しかった……

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

姫乃も渚も……この箱の事を宇崎にどう説明しようか悩んでいた。

「よりによって……」

箱から出て来たのは……未使用のメイド服であった。

「どうやら……この前の山荒(ラウディ)との戦いを目撃したらしく、時間が経つにつれて猫耳メイドが観たいという衝動が大きくなった……との事です」

渚が悪態を吐く。

「たく!あの2人がこんなの着ると思うか?」

「2人?まさか、中西の事も言っているのか?」

「まあ……あいつ等の言い分は猫耳メイドだろ?だとすると……」

「中西を生贄にして宇崎が逃げるって?渚、アンタって時々怖い事言うわね?」

「悪かったな?私は元いじめっ子ですよー!」

とは言え、『兵士』達の意見は、あの2人は着ないと言ったと偽って返却するで一致した。

「あのオタク共、あの2人の正体を知らな過ぎる」

だが、姫乃だけは違った。

「宇崎さんと中西さんを呼んでください。突き返すと言っても、やはり直に訊かないといけません」

渚は、頭を掻きながら姫乃の意見に疑問を感じた。

「あいつらを呼んでも、結果は変わらないと思うんだけどな……?」

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校廊下

 

学校内に校内アナウンスが響き渡った。

「緊急連絡緊急連絡。宇崎瞳さんと中西エルザさん、至急、生徒会執務室まで来てください。繰り返します。宇崎瞳さんと中西エルザさん、至急、生徒会執務室まで来てください」

それを聞いた乃塒押絵が不安そうにスピーカーを見た。

「案で!?中西は良く解るけど!案んでヒトミちゃんが姫乃に呼び出されなきゃ井げないの!?」

少々慌てたのが仇となって語彙が少々可笑しくなる乃塒に呆れる川辺。

「完全に取り憑かれたわね?」

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校正門

 

「緊急連絡緊急連絡。宇崎瞳さんと中西エルザさん、至急、生徒会執務室まで来てください。繰り返します。宇崎瞳さんと中西エルザさん、至急、生徒会執務室まで来てください」

漫画研Q会にも先程のアナウンスが聞こえたので騒ぎ出した。

「2人も!?こうしてはいられない!」

漫画研Q会は、急いで大学に戻って行った。

「あ!?ちょっとおい!……何だったんだあいつら?」

「……こっちが知りたいよ」

だが、この漫画研Q会の一時帰還を許した事が、今回の騒動を更に大きくする要因であった。

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

呼び出された宇崎は、その理由を聞いて不快になった。

「知るかボケ。殺すぞ」

渚達にとっては予想通りだった。

「でしょうね。まあ、そのくらいの事で姫乃が殺されるのは勘弁だけど―――」

だが、エルザの意見は逆だった。

「いいよ」

「それは、承諾と受け取ってもよろしいのですね?」

姫乃以外の誰も直ぐには反応出来なかった。

「……」

「え?」

渚が慌てて反論する。

「良いよって!?このメイド服を無理矢理着させられるんだぞ!?普通に考えて宇崎の反応の方が自然だろ!?」

だが、エルザはあっけらかんと答えた。

「いいじゃない。逃げて疑われるよりマシでしょ」

「それはそうかもしれないけど……」

「それに」

エルザが宇崎の方を向く。

「ガチバトルしか能のない不器用な新人(ルーキー)に処世術ってモンを教えてあげるいい機会だわ」

「あ?お前に教わる事なんかねーよ」

「ふーん。じゃあ……こういうのできる?」

すると、エルザの耳だけが獣化した。

「なるほど……獣化部分を減らして消耗を最小限に抑えると言う訳ですね?」

「……それを園藤姫乃が先に言うとはね?」

宇崎がエルザに詰め寄る。

「それ、どうやんだ。教えろよ」

「別にいいけど……」

エルザが突然、宇崎の服を脱がし始めた。

「まずは、お着替えしてからね♡」

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校廊下

 

会話を立ち聞きしていた乃塒が、貪欲故の混乱に陥っていた。

(宇崎ちゃんが……コスプレ!?しかも獣耳メイド!?み……観たい!物凄く観たい!でも……それだと……あの穢れたクソオタクどもにヒトミちゃんの崇高なお姿を晒してしまう!でも観たい!どうしたら……どうしたらぁーーーーー!?)

そして、乃塒の脳裏に邪な嘘が浮かんでしまった。

気配に気づいて、走り去る乃塒の背中を見送った渚が姫乃にツッコんだ。

「やっぱ……アイツも『仲間』にして制御し易くした方がいいじゃね?」

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校校門

 

邪な嘘を携えて校門に向かった乃塒だが、全てが遅かった。

「『兵士』殿、首尾は如何に?」

(何この数!?)

「写真部や映画部も関心を寄せているのでござる。よもや今さら中止になどと―――」

乃塒は愕然とした。

本当は「当人が拒否したので中止になった」と嘘を言うつもりだったが、とてもじゃないが『中止』の一言が言える状態ではなかった。

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

その様子を窓から見ていた『兵士』が、呆れながら言い放った。

「馬鹿だよ……男ってさあ……」

 

「お待たせー♪」

エルザの声が校庭に響く。

皆が校庭の方を見ると、宇崎とエルザが本当にメイド服を着ていた。

「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」

漫画研Q会を見張っていた『兵士』達が『針』を露出して威嚇しようとするが……

「正門を開けてください」

「よろしいのですか!?姫乃様!」

姫乃が首を縦に振ったので、『兵士』達が校門を開けた。

「ヒョオオオオオ!」

「話が解るうううぅぅ!」

「スゲー!かわいー!」

「やべー!いける!」

「こっち向いて」

「最高オオオオ!」

皆が楽しむ中、宇崎は部分獣化の事しか頭になかった。

(確かに楽だな。自転車のギアを1番軽くしてるような……)

だが、

「すみません!ちょっとポーズとってください!」

「へ?私?」

不意に声を掛けられて驚く宇崎と、そんな動揺を感じて呆れる渚。

(こいつ……絶対に次の獣獄刹(デストロイヤル)の事を考えてたな)

「ぽ……ポーズと言われても……」

と言いながら、取り敢えず尻を突き出して尻尾を強調した。

「うおおおおおお!」

「すばらしい!」

「最高です!」

これには、乃塒も我を忘れて写真を―――

「こらこらこら!乃塒!いい加減に正気に戻りなさい!」

だが、そんな川辺のツッコミを無視して写真を撮りまくる乃塒。

「ヒトミちゃぁぁぁぁーーーーーん!」

「おい!」

そんな中、宇崎が独白。

(何だか知んねーけど、すっげーウケてる?やばい、もしかしてこれって……結構楽しいかも!?)

 

ラーテルは、非常に好奇心の強い動物である。

少しでも興味を惹く物があれば、危険か顧みず、どこまでも追いかけて行く為、ナワバリの範囲は実に700㎢以上。これは他種アナグマの約20倍に相当する。

ミツオシエと呼ばれる鳥は、この性質を利用し、ミツバチの巣を発見すると、けたたましい鳴き声でラーテルの注意を自分に向けさせて現場に誘導し、ハチミツを掘らせておこぼれに与るという、共生関係が成立している。

即ち、ラーテルの恐れ知らずの性質は、強固な攻撃性のみならず、どんな状況にも順応し己が利を見出すという、柔軟性をも生んでいるのである。

 

そんな中、乃塒がスマホを見て絶叫した。

「があぁーーーーー!スマホの容量がぁーーーーー!?」

川辺が冷静にツッコんだ。

「そりゃあ、そんだけ録れば容量がパンパンになるわな?」

だが、乃塒は諦めない!

「よし、かくなる上は……今彼や元彼やエゴザイルや三代目なんとかなどの……どうでもいい男共のデータを、片っ端から消してやる!」

「おい!切羽詰め過ぎ!少しは冷静になって!」

 

ミツバチの巣では、環境の良い中心部に女王やメスの卵が配置され、オスの卵は、歪な場所や巣の端っこなどに配置される。

これは、餌不足などの有事の際に巣を断片的に切り落とし、不要なオスを『間引き』する為の合理的な措置なのである。

 

「ヒトミちゃぁぁぁぁーーーーーん!」

呆れる川辺。

「……付いてけん……」

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

壮絶な撮影会を終えて宇崎と渚が悪態を吐く。

「ったくよー、しょうがねえ奴らだな。あんなんで大喜びしやがって」

「お陰で、こっちは校庭でまたお祭りだよ。お前らも片づけを手伝えよ!」

だが、姫乃が楽しそうに微笑んだ。

「えっ!?なに面白そうにしてるの!?」

「何言ってんのよ?結構楽しんでたクセに」

エルザのツッコミに慌てて反論する宇崎。

「そ!?そりゃお前だろ!」

「私達は部外者だぞ?」

だが、姫乃が変な事を言った為、その火消しに四苦八苦する渚。

「服部さんも、かつては写真撮り過ぎてスマホの容量に余裕が無くなる事があったじゃないですか。覚えていません?」

「ちょ!?それは!」

呆れながら叫ぶ川辺。

服部渚(ブルータス)!お前()か!?」

「ちょ!?どういう目で私を視てるんだよ!つうかブルータス!?」

だが、川辺にとって重要な所は、お前()の中のの部分であった。

 

2019年7月15日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校廊下

 

リラックスし過ぎてボケた感じになっている乃塒。

「はぁー……すばらしいかったぁー……もう何も考えられない程に……」

 




pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。

内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。
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