ヒメノスピア×キリングバイツ   作:モッチー7

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川辺のぞ美……本作オリジナルキャラである。
彼女は、園藤姫乃に仕える『兵士』であり、理科(生物)が得意ゆえにキリングバイツに興味津々な女子高生です。本作の主な役目は説明役ですが、まだ発揮しておりません。後、美少女とは程遠い顔ゆえか世渡りはあまり得意ではない様です。


第4話:祠堂零一

2019年6月18日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校保健室

 

保健室のベットで寝かされていた獣闘士(ブルート)蜜獾(ラーテル)』が目を覚ました。

「……ん……あ?ここは……」

「お。気が付きましたかな?宇崎瞳さん」

突然藤本に声を掛けられて少々困る獣闘士(ブルート)蜜獾(ラーテル)』。

「おっさん誰?医者?」

「私は、この学校の保健医、藤本です。以前は『蜂』に関する研究施設に勤めていたのですが、訳あって解雇されてしまいましてねえ、今は専門知識を活かしながら『蜂』の巣窟であるこの学校で働きつつ、観察を続けている訳です」

蜜獾(ラーテル)』もまた、藤本の話に全く興味を持たないが、陽湖とは違って話を強引に終わらせる程の乱暴さは無かった。

「あっそ。そんな事より、園藤姫乃は何処だ?祠堂さんが園藤姫乃に用が有るって―――」

「下手にその様な質問をしない方が賢明ですな」

まさか止められるとは思わず、『蜜獾(ラーテル)』は不機嫌になる。

「……お前も、園藤姫乃の『兵士』かよ?」

「いえいえ、『蜂』の『兵士』に成れるのは女性だけです」

「じゃあ、何で止めた?」

「私の見解では、家庭や身内、中でもとりわけ女性(メス)に対しては愛情が深まり穏やかで温厚になりますが、『女王』に仇為す者に対しては苛烈な攻撃性を帯びる筈です。即ち、園藤姫乃の敵にとってこの学校は、地獄そのものと言う事です」

だが、『蜜獾(ラーテル)』は藤本の警告を無視した。

「うるせえ。祠堂さんが園藤姫乃に用が有るって言ってんだ。会わせろ」

そこへ、タイミング良く姫乃と渚が現れた。

「私もぜひお会いしたいです。牙闘(キリングバイツ)の最重要人物に」

蜜獾(ラーテル)』は少し悩んだが、祠堂の指示に逆らうつもりは無い為、やっぱり会わせる事にした。

「……でも、その前に……」

「え?」

 

2019年6月18日 楽園都市(ヒメノスピア)[[jumpuri:デニーズひばりが丘店 > https://shop.dennys.jp/map/2517]]

 

[[jumpuri:キャラメルハニーパンケーキ・Tallサイズ > https://www.dennys.jp/menu/dessert/caramelhoneypancakes/]]を注文し、蜂蜜をたっぷりかける『蜜獾(ラーテル)』。

それに対し、あまりの蜂蜜の量にドン引きする渚。

「お前……甘党だったのか?て言うか、(蜂蜜の)量が多くねえ?」

「黙れ。祠堂さんが園藤姫乃に会いたがってるもう直ぐここに来るから……それまでの間、口閉じてろ。なるべく呼吸もすんな」

「随分嫌われたものだな?」

「て言うか……何でお前までついてきてんだよ?邪魔なんだよ。消えろ腰巾着」

「てめえが消えろ化物。本当ならとっくにぶっ殺してるところを、姫乃の恩情で見逃してやってるんだからよ、役立たずの駄猫(谷優牛)を連れてさっさと消えろ」

このままだと口論では済まなくなると感じた姫乃が渚を制止させた。

「服部さん、私は平気なので、もうその辺で……」

「あ。うん」

その直後、『蜜獾(ラーテル)』が急に立ち上がり、深々とお辞儀をした。

「あ、あの、昨日は本当にすみませんでした」

突然の『蜜獾(ラーテル)』豹変に面食らう渚。

「な!?何なんだいきなし!?」

蜜獾(ラーテル)』豹変の元凶は、姫乃達の背後にいる人物であった。

「何を謝る?お前は完璧に仕事をこなした。そうだろ?瞳」

(この方が……祠堂さん?)

 

そこから少し離れた席で『蜜獾(ラーテル)』と渚のやり取りを観察していた川辺が、陽湖に言われた言葉を思い出していた。

 

2019年6月17日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会雑務室

 

「ある時期までは言えたわ。獣化手術を取り入れてもなお『牙闘(キリングバイツ)』の伝統的な姿を維持してきたわ。5年前にあの馬鹿が余計な真似をするまでは」

「……余計な事?」

 

2019年6月18日 楽園都市(ヒメノスピア)[[jumpuri:デニーズひばりが丘店 > https://shop.dennys.jp/map/2517]]

 

祠堂と思われる人物の前で赤面する『蜜獾(ラーテル)』。

「で、でも、あの、獅子(レオ)を1発で倒そうと思ったけど序盤でラッシュされて、まあ、あんなの屁でもなかったですけど……私がうまくやれないせいで、その、祠堂さんを不安にさせちゃったかもしれないと思って―――」

祠堂が安心させるかの様に『蜜獾(ラーテル)』の頭を撫でた。

「俺はお前を信じている。不安を感じた事など1度も無い」

(こいつが祠堂か?ていうか……この人も誰?)

未だに祠堂到着前と後で性格がまるで違う『蜜獾(ラーテル)』に面食らい続ける渚。

(とても同一人物には見えねぇ。何だこの態度の変わり様は……)

テーブルに重そうなアタッシュケースを置いて席に着く祠堂。

「はじめまして。祠堂零一と申します。瞳の保護者です。どうぞよろしく」

「はじめまして……と言うのも変ですが、私は―――」

「園藤姫乃。鷺宮女子高等学校普通科3年生。現住所は、鷺宮女子高等学校学生寮。当たってるかね?」

(やはり、姫乃の事を調べてたか!?)

「で、どうだった?『牙闘(キリングバイツ)』を特等席で観た感想は?」

姫乃の眉がピクっと動いた。

「単刀直入に言いまして……人間の手に負える力じゃないですね」

「ほう」

それを聞いた渚が祠堂に質問する。

「て言うか、四大財閥は、自分達の仲違いを防ぐ為にあんな事を繰り返してたのかよ」

祠堂は素直に答える。

「400年前から続く世界最古の豪商の一族。それが財閥だ。戦後GHQに解体させられた事になっているが、現在(いま)も日本経済は、4つの財閥に支配されている」

祠堂の解説に、姫乃が付け足しを加える。

「各財閥の代表者同士が財界の発言権を賭けて戦う。言わば代理戦争」

祠堂と姫乃達の間でピリピリとした緊張感が漂っている中、客のフリして聴いていた川辺も別の意味でピリピリしていた。

 

2019年6月17日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会雑務室

 

「余計な事って誰がよ?」

川辺の質問に対し、陽湖が不機嫌そうに答えた。

「お爺様は、祠堂を野放しにし過ぎです。『牙闘(キリングバイツ)』は彼の遊び場ではないのですよ!」

その言葉に、川辺は牙闘(キリングバイツ)参戦者の獣人化を推し進めたのが祠堂零一だと解釈した。

「その獣人作りの名人が、お前達四大財閥に何の用なんだ?」

「決まってるわ。『牙闘(キリングバイツ)』管理局長、祠堂零一の企てよ。あの男にとって『牙闘(キリングバイツ)』とは、研究成果を証明するための実験場に過ぎない。由緒正しい決戦の場を私物化する者を、私は断じて許さない」

川辺は、「貴様等が仲違いせずに日本経済を支配し続ける為だろ」と言ってやりたかったが、祠堂が恐ろしい事をしようとしている様に思えたので、それを飲み込んで換わりに更に突っ込んだ質問をしようとした。

「祠堂は、『牙闘(キリングバイツ)』を利用した実験を成功させた後、何をやろ―――」

だが、『蜜獾(ラーテル)』と交戦中の優牛の咆哮による金縛り騒ぎへの対応に追われる形で退室を余儀なくされる川辺であった。

 

2019年6月18日 楽園都市(ヒメノスピア)[[jumpuri:デニーズひばりが丘店 > https://shop.dennys.jp/map/2517]]

 

(もっと踏み込んだ質問をして欲しかったが、この店の店員の何人かは『仲間』だが、学校と違って此処は『仲間』の数が変動しやすい。ここで戦闘開始(はじめる)のは得策ではないか?)

 

「そう言えば、『牙闘(キリングバイツ)』を円滑に(・・・)管理するのも、貴方方管理局の仕事でしたね?」

「それが何か?」

姫乃の舌先が陽湖への処罰に触れた途端、川辺は悔しそうに舌打ちをした。

(くっ!結局、祠堂の最終目標は聞けず終いかよ!?)

「私達が拘留している三門陽湖さんの事ですが、本来なら罪を問う所ですが、ただ殺意を口にしただけであり実行犯になる筈だった谷優牛さんも全く動きませんでした。よって、今回の事は不問に付します。陽湖さんを連れて帰って下さい」

「随分寛大な処罰ですな」

楽園都市(ヒメノスピア)は、世間が思っている程不自由を強いていませんので」

それを聞いた祠堂が決断する。

「なるほど、そう言う事なら安心して……瞳を預けられるな」

祠堂の言葉に、渚がまた面食らう。

「預けるって、お前の手駒を私達がか?こいつ、一応女だぜ?」

「て、てめえ……何で其処で一応を付けんだよ!」

「普通の女はライオンの前足を噛まねー!」

「『兵士』のクセに平和ボケかよ!」

「てめえみてえな異常者を姫乃から遠ざけんのが私達の仕事なんだよ!」

今度は祠堂が渚と『蜜獾(ラーテル)』の口論を説き伏せた。

「我々には君達を護る義務がある」

「何故ですか?」

「彼女は、今現在唯一の獣闘士(ブルート)蜜獾(ラーテル)』の出資者だ。彼女に万一の事があれば、君も『牙闘(キリングバイツ)』の参加資格を失う。そうなれば我々も大損だ。是非、協力して欲しい」

完全に飼い犬状態の『蜜獾(ラーテル)』はふたつ返事で了承した。

「祠堂さんのお役に立てるなら、喜んで……」

「判り易いなてめえ……」

祠堂は、退席際に姫乃に告げた。

「園藤君、君には次の試合でも『出資』してもらう。費用はそのケースの中、今回の『配当金』の一部だ。日時は追って指示する」

そう言って店を後にする祠堂。

一方、相変わらず面食らってばかりの渚。

「配当金って……こんな大きなケースが必要な賞金って……」

「フン。お前の事なんかどーでもいいけど」

「何気に非道(ひど)いなソレ」

「要は、この金を見張るのが私の仕事だ。持ち逃げしやがったら殺すかんな。覚えておけよ」

「生憎だが、私達が姫乃以外の命令―――」

ケースに敷き詰められた大量の札束(一万円札)を見て、慌ててケースを閉じる渚。

「持てるかあー!?怖すぎるだろ!」

 

姫乃と祠堂のやり取りを観ていた川辺が、感想を独白していた。

(結局、祠堂の目論見は視られなかったが、なかなか有意義な会話だったと思う)

川辺が注目するのは、姫乃達が座っている椅子と『蜜獾(ラーテル)』が座っている椅子の違い。

(しかし、姫乃様も人が悪い。姫乃様と渚がいちいち引いたり押したりする1人用の椅子に対して、『蜜獾(ラーテル)』や祠堂が座ったのは数人用の固定されたソファ。くく……咄嗟に動く時の動きやすさは段違いか?)

姫乃が席を立ったが、出入り口とは逆方向に歩き始めた。

(と言うか……まさか!?こっちに!?)

川辺が慌ててテーブルの下に隠れたが遅かった。

「川辺さん、こんな所で何をしてるんですか?」

照れ臭そうにテーブルの下から出てくる川辺。

「あぁ……バレてました?」

蜜獾(ラーテル)』がダメ押しのツッコミを入れた。

「普通解るだろ?」

慌てて取り繕う川辺。

「いや!……姫乃様に仕える『兵士』としましては、姫乃様に万が一の事がありますとね―――」

「嘘付け。獅子(レオ)の時、お前いなかったじゃねぇかよ」

「え!?なんでそんな……いや、そう言う事じゃなくて!そう言う意味じゃなくて!」

蜜獾(ラーテル)』の余計なツッコミのせいで、どんどん泥沼にはまる川辺であった。

 




pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。

内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。
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