ヒメノスピア×キリングバイツ   作:モッチー7

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乃塒押絵…が中心のお話しをすっ飛ばして、瞳とエルザが屋上で出会うシーンを先に書こうか迷いましたが、結局書いてしまいました。巻末おまけ「導け!オシエちゃん」の主人公。

因みに、『導け!オシエちゃん』の内容は、「流石は『傅け!服部さん』のお姉さん!」と言った所です。キリングバイツの1~10巻を購入して確かめてください。


第8話:乃塒押絵

2019年6月26日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校屋上

 

かつて西東京市と呼ばれ、今はバチカン市国の様な特別自治区となっている楽園都市(ヒメノスピア)

そこは、『女王』園藤姫乃が生み出した『兵士』達によって管理されている。

『兵士』は、楽園都市(ヒメノスピア)のあらゆる場に溶け込み、効率的に住人を監視している。

そして、何か問題が起きれば、その解決に如何なる手段も努力も惜しまない。

何故ならば、『兵士』にとって、巣の安定を維持する事が『女王』に対する忠誠であり、生きる意味そのものだからだ。

その為、適当に『兵士』を挑発していれば、次の牙闘(キリングバイツ)を待つ間の生活を飽きさせない……宇崎瞳はそう思っていた。

だが、楽園都市(ヒメノスピア)では問題を起こさせないと言う『兵士』達の意志の強さを侮っていた。

現に、楽園都市(ヒメノスピア)の犯罪率は奇跡的に低い。通りのベンチでスーツ姿のOLが白昼堂々と授乳しているのがその証拠と言えよう。

それでも、『女王』に巣の管理と警護を押し付けられた『兵士』が、憂さ晴らしの為に裏で喧嘩……とも思った。

けど、ある日に見たある出来事が、宇崎の予想を裏切った。

 

2019年6月21日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校3年A組

 

姫乃を支える最初の『兵士』である服部渚が、どう言う訳か姫乃を突き飛ばしたのだ。

宇崎は、渚がとうとう刑務所の囚人の様な生活に耐え切れずに反旗……と思いきや……

「ポッキーって、こんな精神の堕落と体重増加を美味しいだけのお菓子なんか、姫乃に相応しくない!」

宇崎は呆れた。単なる過保護ゆえの暴走だったのだ。

 

ミツバチの女王は、生涯を通じて口移しで働き蜂から食事を与えられる。

その際、女王が口にするのは、働き蜂の体内で精製された、非常に栄養価の高い発酵食品である。

 

「姫乃に相応しい棒状のバランス栄養食!それは、森谷製菓のエネルギーinシリアルバープロテイングラノーラ!」

もう此処まで来ると、何がしたいのかが全く解らない。何らかのお菓子を口に銜えているので、ポッキーゲームがしたいと言うのは大体解ったが……

「あ、あの……」

「食べろ!」

「何だか物凄く趣旨と違ってきていませんか!?」

「早く食べろおおお!」

宇崎は、これ以上観ても何の得も無いと思い、その場を離れた。

「……アホだ」

だが、姫乃に対してやや暴走気味な愛情を懐いている渚に呆れる宇崎を偶然発見した川辺が独白する。

(君の隣にも……愛情超過剰な奴がいるんだよ……気付かないか?)

 

2019年6月24日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校1年B組

 

彼女の名前は乃塒押絵(のどぐろおしえ)

趣味は、同級生・宇崎の観察である。そして、スマホで宇崎の顔の写真を撮り続けていた。

「ヒトミちゃん、もう放課後よ。甘い物食べに行こ」

乃塒の言葉に、楽園都市(ヒメノスピア)に漂う安寧に耐え切れずに寝ていた宇崎が目を覚ました。

「んあ?甘いモノ?」

「こっちこっち。良いお店見つけたよ」

 

2019年6月24日 楽園都市(ヒメノスピア)HBショップKUE NAIYA

 

メープルシロップパンケーキ(ドリンク付)¥800(税別)を美味そうに食べる宇崎をスマホで撮り続ける乃塒。

(きゃああああああ♡何て幸せそうなy表情(かお)なの。普段はあんなにぶっきらぼうで不愛想な癖に、可愛すぎる)

そして、乃塒の独白は、渚が懐く姫乃に対してやや暴走気味な愛情によく似たモノへと変異していく。

(あーーーーー……結婚したい♡)

 

ノドグロオミツシエ。

蜂の蜜や幼虫、巣そのものが大好物。

蜂の巣を発見する能力に長けるが、自力で地中から掘り起こす事は出来ない為、同じ蜂蜜には目がないラーテルを巣の在り処まで誘導し、ラーテルの食事の脇からおこぼれに与るという共生関係が成り立っている。

 

「超うめーよコレ。お前も食ってみ」

だが、乃塒は宇崎の顔を写真で撮る事に夢中であった。

「私は良いから、もっと食べるトコ見せて!」

宇崎は、乃塒が言ってる意味が解らないが、それでもパンケーキを乃塒に食わせた。

「何言ってんだ?ホレ」

「あむ」

「な、美味いだろ?」

だが、

(ヒ……ヒトミちゃん……)

「好きいいいい♡」

「うわヤメロ!?抱き着くな!」

因みに、乃塒は獣人でも何でもない。

 

2019年6月25日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

体育教師の荒水巌から苦情が来た。

「園藤君、この前の転校生の事なんだが」

渚が嫌な予感がした。

「あの野郎、何かしでかしたか?」

「それだけじゃない!他の生徒に校則違反を促したのだ!」

荒水の証言に、姫乃も聞き捨てならなかった。

「その話……詳しくお聞きしたいのですが!」

 

2019年6月25日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校付近

 

(今日の体育は、校外マラソンの練習です。皆がうだってる中……ヒトミちゃんだけは元気です)

「はー、無意味にダラダラ走んの楽しいなー♪」

「ひゃ、100%共感不能ー」

乃塒は、目の前に物凄い物がある事に気が付いて、それを指差した。

「はっ!ヒトミちゃん、見て見て!」

それは、古びた今にも壊れそうな自動販売機であった。

「超古い自販機に見た事ないジュースがあるよ!」

「な、何だこりゃ!?」

宇崎は、自販機の品揃えを視て更に驚いた。

「緑色だぜ。[[jumpuri:マウンテン…… > https://products.suntory.co.jp/d/4901777045682/]]何?山?」

乃塒は、取り敢えず買ってみる事にした。

「うお。何でお前金持ってんの?」

「やった!買えた!」

 

ミツオシエという鳥は、ラーテルを甘味処へ導くため、いかなる時も注意を怠らない。

 

見た事の無いジュースを飲む宇崎。

「ヒトミちゃんどう?山の味する!?」

が、宇崎の口元から垂れたジュースを観て、乃塒の脳裏に[[jumpuri:邪な考え > http://livedoor.blogimg.jp/anico_bin/imgs/3/0/30ac2583.jpg]]が浮かんだ。

その時、荒水が宇崎と乃塒がサボっている事に漸く気が付いた。

「コラー!お前ら!」

[[jumpuri:逃げる宇崎と乃塒。追う荒水。 > http://livedoor.blogimg.jp/anico_bin/imgs/1/f/1f046024.jpg]]

「お前ら!授業中だぞ!」

「逃げろ!」

「待ってー!」

「待てー!」

乃塒はただの女子高生であり、獣人でも何でもない。

その為、乃塒はあっさり荒水に捕まった。

 

2019年6月25日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校生徒会執務室

 

荒水の証言を聞いて、川辺が右掌を顔に当てながら溜息を吐いた。

「先生……逆です……」

「逆?」

蜜獾(ラーテル)の校則違反を誘導したのは、乃塒さんの方なんですけど」

 

2019年6月26日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校1年B組

 

スマホで何かを検索していた乃塒が絶叫した。

「なんだってー!?」

周りが驚き、川辺が呆れた。

「[[jumpuri:iPS細胞で同性間でも子供を作ることが可能に!? > https://girlsjamboree.tumblr.com/post/148451920594/%E7%B6%9Aips%E7%B4%B0%E8%83%9E%E3%81%A8%E3%81%84%E3%81%86%E3%81%AE%E3%81%A7%E5%90%8C%E6%80%A7%E3%81%AE%E9%96%93%E3%81%A7%E3%82%82%E5%AD%90%E4%BE%9B%E3%81%8C%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%82%8B%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%84%E3%81%A7%E3%81%99]]」

まるで漫画の様な事を言い出す乃塒に絶句する川辺。

「それって私とヒトミちゃんの赤ちゃんも作れるってこと!?」

(冗談でしょ?)

「素晴らしい!エクセレント!最新医学万歳!」

(その最新医学が、獣闘士(ブルート)牙闘(キリングバイツ)を生み出したんですけど)

乃塒は、少しだけ冷静になった。

「でも、私子育てなんてできるの?」

(え?ツッコミ所其処?と言うか、産むの前提!?)

 

ミツオシエ科の繁殖形態は卵生。

確認されている限りでは樹洞を巣にする鳥類の巣に、1回に1個の卵を産む(托卵)。孵化した雛は宿主の卵を破壊したり雛を殺して、宿主から与えられる食物を独占する。

 

だが、乃塒の決意は固かった。

「ううん!大丈夫!ヒトミちゃん!私と一緒に!幸せな家庭を築きましょう!」

(逃げ切ってくれ頼む!今回だけは、貴様の味方だ!)

 

2019年6月26日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校廊下

 

川辺は、乃塒から逃げる様に宛ても無く歩き出した。

「ふーう……」

(だめだ。あの空間耐えきれねー)

あの山荒(ラウディ)事件以来、乃塒は変わった。変わり過ぎた。

「姫乃様が、『兵士』に変えずに置いておくから、よもやただのバカではあるまいと思っていたけれど、まさか、ただのバカだとはね……」

川辺は、偶然藤本に出会う。

「あ、藤本先生」

「どうしました?何か悩んでいる様ですが?」

 

2019年6月26日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校保健室

 

「なるほど。それは興味深い」

「何処がよ!?あれ以上話したら、バカが感染(うつ)るところだったわ」

だが、藤本の意見は逆だった。

「それはどうですかな?」

「え?」

「女性は、社会性を重んじ、元来争いを好まない生物です。が、女性同士が争わなければならない決定的な理由があります。それが何かわかりますかな?」

川辺は、色々と答えを言う。

「子孫……妊娠、子育て、巣の確保」

「若いのによく解ってらっしゃる」

でも、川辺は藤本が言いたい事が解らない。

「生命の目的は、遺伝子を後世に伝える事です。ですから、最近の乃塒の行動は理解不能です!」

「あほらしいなどととんでもない。遺伝子を後世に伝える為なら、どんな愚行も正当化されるのです」

「だからiPS細胞を使ってでも好きな女の精子を手に入れようと!?まるで漫画だ!」

 

2019年6月26日 楽園都市(ヒメノスピア)鷺宮女子高等学校廊下

 

ますます乃塒の事が解らくなる川辺。

そんな川辺の目に、本来なら閉じられている屋上へと続く扉の鍵が開かれているのに気が付いた。

「こ……今度は何だ!?」

川辺は、恐る恐る屋上へと向かう川辺。

 




pixivに連載中の私の作品であるヒメノスピア×キリングバイツ(https://www.pixiv.net/novel/series/1143454)を、こちらでも掲載させて頂きます。

内容としましては、ヒメノスピア第11話(https://www.heros-web.com/comics/9784864685900/)以降の園藤姫乃がキリングバイツ第30話(https://www.heros-web.com/comics/9784864684729/)までの野本裕也の役割を担うが、無料では引き受けないぞ!的な内容です。
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