不思議の墳墓のネム   作:まがお

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今回もほのぼの回。
ナザリック内でのお話です。



幕間 一を聞いて十を知り、百を深読みし、千の成果を出す悪魔

 ナザリック地下大墳墓の中でも、他の階層と物理的に繋がっていない特殊な空間。

 リング・オブ・アインズウールゴウンを使用しない限り、絶対に立ち入る事が叶わない特別な領域――宝物殿。

 あらゆる財宝が詰め込まれたこの場所は、ナザリックにおいて最重要施設と言っても過言ではない。

 そんな宝物殿に転移して来た二人の人物。

 赤いストライプのスーツを着こなす最上位悪魔(アーチデヴィル)――デミウルゴス。

 メイド服に身を包み、左目をアイパッチで隠した可憐な自動人形(オートマトン)――シーゼットニイチニハチ・デルタ。通称シズ・デルタ。

 

 

(やはりこの指輪を使うと、自然と気も引き締まりますね……)

 

 

 自らの指にある指輪を眺め、デミウルゴスは軽く呼吸を整えた。

 理由は定かではないが、モモンガを除くギルドメンバーはこの地を去ってしまっている。

 そのため、現在ここに入る資格を持つ者は非常に限られていた。

 一人は役職上当然とも言えるが、宝物殿を守護している者――モモンガが創り上げた唯一のNPC"パンドラズ・アクター"。

 

 

(我々は御方の慈悲に縋るばかりではいけない。モモンガ様のご期待に少しでも応えなければっ)

 

 

 そして、デミウルゴス自身も貴重な指輪を下賜された、数少ないNPCの内の一人だった。

 この指輪を着けていることは、自分の中で密かな誇りとなっている。

 ――ちなみに某守護者統括にも下賜されていたのだが、とある問題を起こして没収された。詳しくは言えないが、御方の寝室に忍び込んでナニかをしていた。

 

 

「……解除、完了」

 

 

 宝物殿のセキュリティは非常に高度であり、状態異常対策などのアイテムの準備を怠れば、一瞬で死に繋がりかねない。

 また、扉一つとっても難解なパスワードが施されている。

 ナザリックのギミックを全て熟知しているシズが居なければ、目的地に向かう事すら出来はしないだろう。

 

 

「助かるよ、シズ」

 

「……必要であれば、いつでも」

 

 

 口数の少ないシズと共に煌びやかな財宝の間を通り抜け、宝物殿の奥へと足を進めたデミウルゴス。

 お目当ての人物は開けた空間でソファーに座り、何かを熱心に磨いていた。

 

 

「おや? 多忙な貴方が直接ここに来られるとは……」

 

 

 自分達の気配を察知したのか、パンドラズ・アクターはこちらを見ずに声を上げると、ゆったりとした動きで腰を上げる。

 

 

「私の力を振るう時が――」

 

 

 手に持った道具をアイテムボックスにしまい――緩急をつけて自分の方へ振り向いた。

 四本の指先は軍帽に添えられ、顔は少しだけ斜めに傾けられている。

 この所作になんの意味があるのかは、デミウルゴスの優れた頭脳でも理解不能だ。

 

 

「――再びやって来たの、ですね……」

 

 

 非常に慣れた動きで靴の踵が打ち鳴らされ、ポーズを取った音が静かな空間に響き渡る。

 自らが守護する領域に足を踏み入れた者を、パンドラズ・アクターはオーバーリアクションと共に出迎えてくれた。

 歓迎してくれているのは分かるが、もう少しスマートに喋ってくれたら尚良かった。

 

 

「――デミウルゴス殿」

 

「話()早くて助かるよ」

 

 

 まるで相手の動きが目に入っていなかったかの様に、デミウルゴスは平然とした顔でパンドラズ・アクターと挨拶を交わす。

 「早く喋れ」という内心を全く表に出さない、実に紳士的な対応である。

 

 

「そしてご機嫌麗しゅう、お嬢様」

 

「……うわぁ」

 

「パンドラズ・アクター。早速で悪いが、本題に入らせて貰う」

 

「ええ、どうぞ。話が早いのはこちらも大歓迎ですので」

 

 

 しかし、それでも尻尾には感情が反映されてしまったのか、普段より少し垂れ下がっていた。

 元々無表情なシズは、少しどころか思いっきり不満が声に漏れていたが。

 

 

「ゴホンっ。君も知っているとは思うが、我々は今、新たな資源を探している最中だ。それを君にも手伝って貰いたい」

 

「外部での仕事ということですね」

 

「ああ、もちろん本来の仕事に支障が出ない範囲で構わない。言うまでもないが、モモンガ様の護衛は当然最優先だ」

 

 

 デミウルゴスは彼本来の仕事を奪うつもりは全くない。そしてモモンガから彼に与えられた使命を邪魔する訳にもいかない。

 あえて告げる必要もないが、その辺りは最初から融通を利かせるつもりだった。

 

 

「資源の調達、つまりはナザリックの財源にも関わる重要な仕事。……手伝う事も吝かではありませんが、財源確保自体は順調だとお聞きしておりますが?」

 

 

 今でも十分回っている仕事に対して、更に人員を増やそうとする事に疑問を抱くパンドラズ・アクター。

 体を捻ったポーズは意味不明だが、疑問自体は当たり前とも言える内容である。

 

 

「ただ順調なだけだ。至高の御方に捧げる成果としては、その程度では相応しくないだろう?」

 

 

 これまた当然の如く表情で、デミウルゴスは言葉を返した。

 御方に見せる結果が凡庸な物ではいけない。自分にとって極々当たり前の事だった。

 

 

「あー、なるほど。それもそうでしたね」

 

「それにこの仕事は君にしか任せられない。様々な観点から目利きが出来るのは、ナザリックにおいて君くらいだろう?」

 

「もちろんです。その手の事には一家言ありますとも」

 

 

 デミウルゴスにとって、パンドラズ・アクターは非常に信頼出来る仲間だ。

 モモンガに対する忠誠心は当然として、非常に頭も良い。能力面では申し分ない。

 しかし、性格などはまだ掴み切れていなかった。

 

 

「我々ナザリックの者にとって、外にある物の価値など等しく無価値。宝と言う意味では期待出来ないが、あくまでも換金目的なら、それなりの物が見つけられるはずだ」

 

「なるほど……」

 

「まぁ、ここを彩る宝の足下に及ぶ様な物があれば、モモンガ様に報告のしがいも出てくるのだがね」

 

 

 それ故に、自分は会話の進め方をほんの少し間違えたようである。

 自分のちょっとした言葉に反応させてしまい、パンドラズ・アクターの丸くて黒い目が輝いた気がした。

 

 

「――如何にも!! この宝物殿を彩る財宝の数々に比べれば、外部の宝石など石ころも――同っ然!!」

 

 

 パンドラズ・アクターは片手で軍帽を押さえながら、指をピンと伸ばして天を指し示す。

 アイテムフェチの魂に着火してしまったようだ。

 高らかに叫ぶその姿は、まさに舞台役者(アクター)

 目の前で見せつけられる者からすれば、うるさいだけの二重の影(ドッペルゲンガー)

 

 

(名前から推測するに、この言動は彼の魂と呼べるもの…… ですが、モモンガ様は役者の才までは与えなかったようですね)

 

 

 横で静かに控えてくれているシズの表情すら、心なしか険しい様に思えてくる。

 シモベとして非常に優秀でも、彼は役者としては二流。

 いや、観客をイラッとさせるところからして、精々三流のようだ。

 

 

「ぇえ、ええ、分かりますとも。デミウルゴス殿もアイテムには目がないご様子」

 

「違います」

 

「興味、持たずにはいられない!! 外にあるのは希望か、それとも絶望か…… あぁ、現地のアイテムの可能性や如何に!!」

 

「探して欲しいのは資源です」

 

「ふむ。アイテム作成のための素材や、鉱石の純度なども気になりますねぇ」

 

「話聞いてます?」

 

 

 まるで会話のドッジボールだ。

 デミウルゴスは創造主にそうあれと望まれた事を否定する気はない。

 シモベの中にはナザリックの支配を目論み、それを日々公言している執事助手のエクレアなどもいるが、彼も創造主に定められたことを遵守しているに過ぎないからだ。

 ――否定はしないが、周りがそれをどう受け取るかは別であるが。

 

 

「まぁそれはそれとして…… 我らにとって無価値でも、エクスチェンジボックスで換金するのなら、どんな物でも多少は価値がありますからね」

 

「その通りだよ。以前見つけたアレ――『酒が無限に湧く大壺』のように、掘り出し物がないとも限らないからね」

 

「近所で盗ん――もとい拾ってきたというアレですか」

 

 

 デミウルゴスは諸々の感情を飲み込み、仕事の話を進めた。

 

 

「私が偶然にも発見出来たのは僥倖だったよ。もしシャルティアが見つけていたなら、汚い壺だと言って見向きもしないか…… 叩き壊していたかもしれないね」

 

「込められた魔力量が低いのは事実ですし、皆様には中々価値が判断がしづらいのでしょう」

 

「だからこそ君にこの仕事を任せたい。ところで、壺は今どうしているんだい? 換金などの管理は君がしているはずだろう?」

 

「あの壺は今もちゃんと活用していますよ。それが私の役目でもありますから」

 

 

 マジックアイテムの話とくれば、急激に饒舌になるパンドラズ・アクター。

 アイテムの行方が気になったのは事実だが、今口に出したのは失敗だった。

 

 

「あぁ、現地のレアなアイテムというだけで心躍ります!! 一体どのようにして生み出されたのか…… 効果はナザリック基準だと大したことはないんですがね。しかし無限に使えるという点は素晴らしい!!」

 

(彼の前でアイテムの話は厳禁ですね……)

 

 

 前のめりになって近づいて来た顔面から、デミウルゴスは一歩退く事で距離を空けた。

 自分の横に控えていたはずのシズは、いつの間にか自分達から五歩は離れている。

 

 

「以前は私が『音改』様の御姿を借りて、一日中壺を抱えたままエクスチェンジボックスに酒を流し入れていたのですが……」

 

 

 パンドラズ・アクターはその時の様子を表すように、壺を抱えたジェスチャーをダイナミックに繰り出し始める。

 誰よりも仲間思いなNPCは、無の心でそれを眺めるしかなかった。

 アイテムの話を彼に振った、十秒前の自分を殴りたい。

 

 

「アレ、私がやる必要あると思います? 御方の力をお借りしても効率が悪すぎるので、今では適当なアンデッドにやらせているのですが」

 

「君じゃなくてもいいという意見には、全面的に同意しよう」

 

 

 表情の変わらないパンドラズ・アクターではあるが、その動きから換金が「面倒くさい」という意思だけは感じられた。

 強制的に一人オペラを鑑賞させられている自分も、全く同じ気持ちを抱いている。

 なんなら三割り増しくらい強く思っている。

 

 

「非常に興味深い話を遮って悪いが、話を戻させてもらうよ。君が資源の候補さえ見つけてくれれば、どんな物であれ採取、採掘、運搬などは私が手配しよう」

 

「それは助かります。ところで、私が動く事にモモンガ様は同意されているので?」

 

 

 軽い調子で放たれた問いかけ。

 しかし、そこだけは譲らないという強い思いが滲んでいた。

 

 

「当然だ。この通り、モモンガ様からのご許可も既に頂いている」

 

 

 だからこそ、自分も自信を持って断言する。

 そう言ってデミウルゴスが取り出したのは一枚の紙。

 細かな文字がびっしりと書かれており、読もうとすれば内容の把握には少々時間のかかる文章量だろう。

 内容の詳細はともかく、承認欄にはしっかりとモモンガの判子が押されてあった。

 

 

「この作戦の必要性。そして君に対しての信頼もあって、即座に決断なされたのだろうね。他の書類と合わせて、ものの一分もかからず押印されていたよ」

 

「……流石はモモンガ様。一瞬にして数多の情報を処理して判断なさるとは」

 

「あれほど早い判子捌きは、執務能力に長けたアルベドでも不可能でしょう」

 

「なんとっ、それ程ですか」

 

「ああ、まるで書類を全く見ずに、ただ流れ作業で押印されているかのようだった」

 

 

 モモンガの驚異的な作業スピードを思い出し、デミウルゴスは思わず震えた拳を握りしめる。

 

 

「くっ、どうやら本当に惜しいものを見逃した様ですね……」

 

「それは残念だったね。偶々報告のために伺っていた私は幸運だった。あの時は本当に瞬く間に作業を終えられて、その後すぐにネム様との冒険に出かけられたよ」

 

 

 意趣返しをしたつもりはないが、パンドラズ・アクターが悔しがる姿にほんの少しだけ愉悦を感じてしまった。

 まぁ自分は悪魔なのでこれくらいは許して欲しい。

 

 

「私も是非とも拝見したかったです。仕事の都合上、ナザリック内でのモモンガ様のご様子は中々見られないもので」

 

「君は外でのご様子を見られるのだからお互い様さ」

 

「それはそうなんですが、仕事中のお姿も見たいじゃないですか」

 

「いずれ君にも機会は来ると思うよ。……己の不甲斐無さを、悔いる事になるかもしれないがね」

 

 

 思わず自嘲の言葉が口をついて出てしまった。

 未だ影すら見えぬ遠い遠い御方の背中。

 しかし、自分は至高の御方と同じ領域に辿り着く事を諦める気はない。

 

 

「遥か空の彼方に輝く星――本当に、遠い背中を見ている気分になるよ」

 

「デミウルゴス殿……」

 

 

 そう思う事が出来るのは、モモンガの友人であるネムのおかげだ。

 幼い少女の言葉によって、自分は大切な事を気付かされた。

 ――後ろに付き従うのではなく、隣に立てる者を目指すべきだ。

 本当の意味で御方の力となるには、能力だけでも対等にならなければいけない。

 

 

「私もいずれあの境地に達したいものです。今の私では何もかもが足りていない……」

 

「そこまで悲観する程ではないと思いますが…… これまでの作戦を立案されたデミウルゴス殿の実績。それらを評価しているからこそ、モモンガ様もすぐに作戦を決められたのでは?」

 

 

 思わず吐いた弱音ではあったが、パンドラズ・アクターは真面目な意見をくれた。

 同僚からのささやかな気遣いの言葉は、デミウルゴスも素直に嬉しく思う。

 ――決めポーズさえなければ。

 

 

「だと嬉しいがね。さて、新たな資源の件は任せてもいいかい?」

 

「我が創造主が是とおっしゃった。ならば、私が断る理由はありませんね」

 

 

 パンドラズアクターは返答と共に、創造主への敬意を込めた敬礼をビシッと決める。

 

 

「――お任せを。その仕事、このパンドラズ・アクターが見事にやり遂げて見せましょう!!」

 

 

 真似したいとは思わない。

 だが、自らの誇りを全面に押し出すパンドラズ・アクターが、ほんの少しだけ輝いて見えた。

 

 

「ああ、そうです。お節介かもしれませんが、貴方に一つだけアドバイスを……」

 

「何かな?」

 

「貴方があえてリスクを負ってまで、モモンガ様に伝えていない事についてです」

 

 

 用件を伝え終え、宝物殿を去ろうとしていた自分の足が自然と止まる。

 言動にどれだけ「……うわぁ」な所があっても、その知性と能力は紛れもなく本物。

 そんなパンドラズ・アクターからの助言とあらば、無視する訳にはいかない。

 

 

「我々の立場から言い出しづらいのは分かります。ですが、モモンガ様に上申するべきでしょう……」

 

 

 勿体ぶるパンドラズ・アクターの言葉に、自分は黙って耳を傾け続けた。

 

 

「――世界級(ワールド)アイテムの貸し出しを」

 

「それはっ!?」

 

 

 しかし、その口から飛び出した単語は、デミウルゴスを驚愕させる。

 もしかしたら自分の聞き間違いかと、己の耳を疑ったほどだ。

 だが、七歩ほど離れた位置にいるシズも驚いている事から、聞き間違いなどではないだろう。

 

 

「……アレらはナザリックの最秘宝と言える代物。至高の御方が集めた世界に二つとないアイテムですよ?」

 

「もちろん分かっております」

 

 

 世界級アイテムの重要性は、マジックアイテムにそれほど詳しくないデミウルゴスでも分かる。

 宝物殿の領域守護者なら、それがどれほど価値がある物か、絶対に理解しているはずだ。

 にも関わらず、秘宝の持ち出しを勧めるパンドラズ・アクター。

 その真意を問わずにはいられなかった。

 

 

「世界を変えるぅ!! 強大な力…… 至高の御っ方々の、偉大さの証ぃぃ。すなわ――」

 

「パンドラズ・アクター。万が一があれば、我々の命程度で償える様な代物ではないのですよ?」

 

 

 再び始まる一人オペラ。

 言葉を遮らずにはいられなかった。

 

 

「……デミウルゴス殿。モモンガ様は、貴方からの提案を待っているのではありませんか?」

 

 

 パンドラズ・アクターはやれやれと頭を振ると、質問に質問で返してきた。

 しかし、そこにふざけた様子はない。

 ぽっかりとあいた穴の様な黒い目で、こちらを見透かす様にじっと見つめてくる。

 先程までの彼の騒がしさは、演技だったと思わざるを得ない程の真剣さだ。

 

 

「モモンガ様は非常に慎重な性格をしておられます。現地にもあるかもしれない強大な力。世界級アイテムの危険性を、忘れている筈はございません」

 

「それは、その通りだが……」

 

「貴方は魔樹の一件があった時点で、この地にも世界級アイテムがあると予想出来ていた。御方に世界級アイテムをお借りする事、それが最善と判断していたはずです」

 

 

 言い淀む自分に対して、パンドラズ・アクターは畳み掛けるように言葉を告げる。

 

 

「至高なる御方は我らの成長をお望み。ならば、どうするべきか…… もう言わずとも、貴方なら分かっているのでは?」

 

「私が、すべき事……」

 

 

 パンドラズ・アクターにビシッと指差され、デミウルゴスの心は揺れた。

 

 

「パンドラズ・アクター。我々は至高の御方に付き従うべく、このナザリックを守るべく創造されました」

 

 

 掻き乱された自身の心を整理する様に、言葉を選びながらゆっくりと吐き出した。

 

 

「えぇ。創造主は違えど、大体の者はそのような創造理由をお持ちでしょう」

 

「私は畏れ多くも今、ナザリックの維持に関する全権を任せて頂いている」

 

「えぇ。貴方ぶっちゃけ統括殿より権限多くなってますし」

 

「だが、いくら多くの権限を預けられようとも、シモベ風情が御方の宝を危険に晒すことなど許されない」

 

 

 これは知らず知らずの内に、主人が与えてくれた成長を示す機会ではないのか。

 

 

「……それでも君は、必要とあらば世界級アイテムの扱いにさえ、口を出すべきだと言いたいのだね?」

 

「はい、その通りです」

 

「簡単に言ってくれるね……」

 

 

 自分が本当に御方の隣に立ち、協力し合える存在になれるか否か。それを試しているのではないのか。

 これまでの主人の言葉を思い出しながら、デミウルゴスは悩んだ。

 

 

「もし貴方が一歩を踏み出すのなら、私も共に勇気を奮いましょう。私もモモンガ様に、あるお願いをしようと思います」

 

「お願い?」

 

 

 迷っている自分の背中を押すように、パンドラズ・アクターは提案をしてきた。

 これはおそらく、かつて御方達が話していた「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という金言になぞらえた提案だと思われる。

 それにしても、心なしか震えている様にも見えるが、パンドラズ・アクターは一体どんな事を言うつもりなのか。

 

 

「――『父上』と呼ばせてくださいと、申し出るつもりです」

 

「なっ!?」

 

 

 ――なんという豪胆さだ。

 パンドラズ・アクターは確かにモモンガによって創造された、唯一無二のNPC。

 故に、モモンガの子供と言っても過言ではない。

 だが、それでも自分達は所詮シモベに過ぎず、御方の血を分けた存在でもないのだ。

 

 

「パンドラズ・アクター、君は……」

 

 

 ――もしも否定されたら。

 彼は恐ろしくはないのだろうか。

 デミウルゴスは創造主から「お前など俺の息子ではない」と言われる自分の姿を想像し、震え上がるほどの恐怖を覚えた。

 

 

(私の背中を押すために、そこまでしてくれると言うのですか……)

 

 

 それをあえて口に出して確認しようとする事は、相当な勇気がいることだろう。

 たとえ自分の創造主がこの地に残っていても、簡単に真似できる自信は無い。

 

 

「分かりました。私もモモンガ様に、世界級アイテムの件を上申するとしましょう」

 

「おおっ!! デミウルゴス殿なら、きっとそう仰ると思っていましたよ」

 

「ふふっ。君の告げる内容に比べれば、ちっぽけかも知れないがね」

 

「Der Glaube kann Berge versetzen!! 共に頑張りましょう!!」

 

 

 デミウルゴスの迷いは消えた。

 ただ付き従う忠臣ではなく、御方の隣に立つ真なる忠臣を目指す。

 そのための具体的な一歩を、今こそ踏み出そうと覚悟を決めた。

 

 

(彼には感謝しなくては。さて、早急に世界級アイテムを持ち出すメリットとデメリットを整理するとしましょう)

 

 

 デミウルゴスは宝物殿を出た後、ついて来てくれたシズにお礼を述べた。

 その際、シズは何か言いたげな様子だったが、多分大した事ではないのだろう。

 デミウルゴスは清々しい気持ちで第七階層に辿り着き、早速やるべき事に取り掛かった。

 

 

「ふむ、こんなところですか。次はリスクに対処する方法ですね。費用と人選、必要な物を書類にし、て……」

 

 

 書類仕事によって冷静になった頭で、ふとパンドラズ・アクターとの会話を思い出す。

 あの場では雰囲気に流され、彼の提案を深く考える事が出来ていなかった。

 だが、よくよく考えてみれば。

 ――自分がモモンガに上申する事。

 ――彼が創造主への呼び方を変える事。

 この二つに、一体何の関連性があるのか。

 

 ――あいつが父上って呼びたかっただけでは?

 

 デミウルゴスの額がピクリと動く。

 パンドラズ・アクターは父上と呼ぶきっかけ作りを、計画的に狙っていたのか。

 それとも、本当に善意で自分の背中を押しただけなのか。

 もしかしたら、ついでくらいの気持ちで己の欲望を叶えただけなのかもしれない。

 

 

「やられましたね……」

 

 

 どちらにせよ、今のデミウルゴスに真相は計りかねる。

 答えは彼のみぞ知るだ。

 だが、少なくとも自分がダシに使われた事は確実だろう。

 

 

「パンドラズ・アクター。君は私が思っていたより、ずっと優秀だったようだ……」

 

 

 デミウルゴスは完成させた計画書を机に置き、深く息を吐く。

 

 

「――役者としてもね」

 

 

 そして、自分の中でのパンドラズ・アクターの評価を、色んな意味で上げるのであった。

 

 

 

 

おまけ〜一を聞いて万の奇跡を起こす少女〜

 

 

 『ネムの部屋』と名付けられた交流会。

 モモンガ考案のこの企画は、ナザリックのとある特設スタジオで不定期に行われていた。

 

 

「コキュートスさん!! 質問してもいいですか?」

 

「構ワナイ。私ニ答エラレル内容デアレバ答エヨウ」

 

 

 大きなカブトムシを見つけた子供の様に、瞳をキラキラと輝かせる幼い少女――ネム・エモット。

 そんなネムの好奇心が向かった先には、人間の大人でも見上げるほど大きな巨体――冷気を纏う二足歩行の昆虫の様な姿をした、ライトブルーの異形の姿があった。

 

 

「コキュートスさんは何ていう種類の虫なんですか?」

 

「何ノ、虫……」

 

 

 ネムはワクワクと期待に満ちた表情で自分の返答を待っている。

 そんな少女に対し、コキュートスはどう答えたものかと少しだけ悩んだ。

 

 

「質問ノ答エニナッテイルカハ分カラヌガ、私ノ種族ハ『蟲王(ヴァーミンロード)』トイウ」

 

「ゔぁーみんろーど?」

 

「ウム。私ハ蟲系統ノ種族ガベーストナッテイル。蟲王ハ私ノ保有スル種族レベルノ中デモ、最上位ニアタルモノダ」

 

「最上位?」

 

 

 ネムの呟きには、内容を理解し切れなかったという感情が、分かりやすく浮かんでいる。

 対面しているネムに冷気が届かぬように、コキュートスは注意を払いながら冷たく白い息を吐いた。

 ――自分では同じ守護者であるデミウルゴスの様に、理路整然とした説明は出来ない。

 創造主から与えられた力には何の不満もないが、こんな時ばかりは友人でもある同僚の頭の良さが羨ましかった。

 

 

「うーん、最上位…… モモンガは骸骨で、確かおーばーろーど、だったから……」

 

 

 ネムは腕を組み、目をつぶって唸っている。

 どうやら自分の拙い説明を、必死に頭の中で噛み砕こうとしているらしい。

 

 

「――とにかくいっぱい成長したら、そのゔぁーみんろーどになるんですね!!」

 

 

 しっかりと考え込んだ末、ネムはカッと目を見開いた。

 自信満々に披露された要約。

 ザックリとし過ぎていて、正しいとも間違っているとも断言しにくい。

 

 

「ウ、ウム。私ハ直接コノ姿デ創造サレタガ、ソノ解釈で概ネ合ッテイル」

 

「へぇ、コキュートスさんは生まれた時から大きかったんですね」

 

 

 そもそも本人が知りたかった内容から少しズレているのでは、と思わなくもない。

 だが、コキュートスはナザリックでは珍しく、カルマ値がプラスに寄っている存在である。

 少女の真っ直ぐな瞳に、ツッコミを入れる事など出来なかった。

 

 

「じゃあ、その辺にいる虫さんも鍛えたり修行すれば、コキュートスさんみたいに大っきくなりますか?」

 

 

 これまたぶっ飛んだ質問だ。

 なるわけないだろうと言い切りたいが、自分にはネムの考えを否定する根拠がなかった。

 自分は武人であり、御方の命令のままに敵を倒す一振りの剣。研ぎ澄まされた刀の様な存在。

 平たく言えば、戦う者である。

 頭を使うことは苦手なのだ。

 

 

「スマナイ。試シタ事ガナイノデ、私ニハ分カラナイ……」

 

「そうなんですね。じゃあ今度自分でやってみようかな……」

 

 

 考える事が苦手な自分に出来るのは、ただひたすら誠実に答えるのみ。

 しかし、こんな当たり障りのない答えしか出せなくても、ネムが気を悪くする事はなかった。

 

 

「色んな武器の扱いが上手だって聞いたんですけど、コキュートスさんのお気に入りの武器ってあるんですか?」

 

「創造主カラ賜ッタ武器ハ優劣ノ付ケヨウモナク、全テガ大切ナ宝ダ。ダガ、強サデ言ウノナラバ、中デモコノ『斬神刀皇』ハ、特二素晴ラシイ武器ト言エルダロウ」

 

 

 自分がアイテムボックスから斬神刀皇を取り出すと、ネムは息を呑み、その長さと美しさに目を奪われたようであった。

 刀身に光を当てて見せると、刀を見つめていたネムの瞳も同じように輝いた。

 

 

「綺麗でカッコいい……」

 

 

 実に素直で良い子だ。試しにちょっとだけ「爺」と呼んでもらいたい。

 

 

「あっ、ところでコキュートスさんの背中の氷って溶けないんですか?」

 

「コノ棘ハ厳密ニハ氷デハナク、私ノ外骨格ノ一部ダ。ダカラ自然二溶ケル事ハナイ」

 

「すっごーい!! 氷じゃなかったんですね。あの、ちょっとだけ触らせて貰えませんか?」

 

「問題ナイ。危険ナ特殊技術ヲ今ハ発動シテイナイノデナ」

 

「ありがとうございます!! わぁ、ツルツルしてて冷んやりしてる。でも氷じゃないんだぁ。じゃあ、コキュートスさん――」

 

 

 質問の内容はコロコロと変わり、自分への興味はなかなか尽きないようだった。

 ネムから聞かれる質問は、どれも自分がまともに考えた事もない内容ばかりである。

 少女の変則的な質問の嵐に、コキュートスは終始押されっぱなしとなるのだった。

 

 

 

 

「――私ノ方デハ、最近ネムト話ヲシテイタ」

 

「あぁ、モモンガ様が御考案された例の企画だね」

 

 

 ナザリックの第九階層にあるショットバー。

 落ち着いた大人の雰囲気が漂う室内には、グラスを傾ける二人の守護者の姿があった。

 

 

「武人である君にとっては、ネム様との会話は良い刺激になったんじゃないかい?」

 

「刺激ニナッタノハ間違イナイガ、私デハ上手ク答エラレナイ質問モ多カッタ。例エバ――」

 

 

 最初はお互いの近況を話していたのだが、コキュートスはデミウルゴスと違って特筆すべき仕事に今はついていない。

 そのため、自分はつい先日のネムとのやり取りを話のネタにしていた。

 

 

 

「なるほど。実に興味深い……」

 

 

 しかし、返ってきた反応は意外なものだった。

 自分は単なる話題提供のつもりだったのだが、デミウルゴスは予想外に真剣な表情をしている。

 

 

「ドノ部分ガ興味深カッタノダ?」

 

「ふむ…… コキュートス、君は自分の種族レベルの内訳は把握しているね?」

 

 

 思わずこちらから確認すると、デミウルゴスは少し考え込んだ。

 さらに質問にはすぐに答えず、逆に自分に問いかけてきた。

 これには彼なりの意図があると思い、コキュートスは率直に言葉を返す。

 

 

「己ノ力ハ全テ把握シテイル」

 

「では、それを念頭に置いて考えてみて欲しい。我々の常識では、上位の種族になるためには下位の種族を一定まで積み上げなくてはならない。職業レベルも同様に、上位の職を取るためには下位となる職業を修める事が必須だ」

 

「ウム、私モソノ様ニレベルヲ構成サレテイル。ソレガ当然デハナイノカ?」

 

「ユグドラシルではね。だが、この世界では基本となる下位の職業を取らずに、上位の職業を習得した者がいるのだよ。例えば、レベルが三十にも満たない忍者とかね」

 

「ソンナ馬鹿ナ!? 忍者トナルニハ、最低デモ六十レベルハ必要ノハズ……」

 

 

 デミウルゴスの説明を聞き、コキュートスは驚愕した。

 現地の者は低レベルばかりだと聞いていたが、実は侮れない存在もいるのではないだろうか。

 まずあり得ないとは思うが、あらゆる上位職ばかりを習得した者だっている可能性があるのだから。

 

 

「驚クベキ事デハアルガ、ネムノ話トドウ繋ガルノダ?」

 

「現地民のこの不可解なレベル構成は、職業だけに適用されると思うかい?」

 

「マサカ……」

 

「ネム様はただの虫が、コキュートスの様な蟲王になれるかと尋ねたのだろう?――つまり、『基本となる種族レベルを持たない者が、上位の種族を習得出来るのか』、という問いだったのだよ」

 

「アノ質問ニハ、ソンナ意図ガアッタノカ……」

 

 

 デミウルゴスに丁寧に説明され、自分もやっと理解出来た。

 思いつきと興味本位によるものだと思っていた、ネムの数々の質問。

 その実、あれらの質問は、非凡な発想と高度な考察に基づいたものだったのだ。

 

 

「おそらく君がその姿で創造されたと知った事で、疑問に思われたのだろうね。段階をとばす成長の仕方が、他の種族にも適用されるのではないかと考えられたのだろう」

 

「『骸骨の魔法使い(スケルトン・メイジ)』ガ『死者の大魔法使い(エルダーリッチ)』ニナル段階ヲトバシテ、『死の支配者(オーバーロード)』ニナルヨウナモノダナ」

 

「全くもって面白い発想だ。この世界の職業レベルの可能性については私も考察していたが、種族レベルの方は考慮していなかったよ」

 

「デミウルゴスデモ考エツカヌ発想カ……」

 

「悔しいが閃きという点では、白旗を上げざるを得ない。ユグドラシルの常識に縛られた我々では、どうしても先入観が邪魔をしてしまう」

 

 

 デミウルゴスの心からの賞賛に、今なら自分も心から賛同出来る。

 流石は御方の友人にして恩人である。

 ちなみにこの評価は、決して創造主から受け継いだ刀を褒められて嬉しかったというだけではない。

 ひ弱な人間種ではあるが、その真価は内に秘めたモノにこそあるようだ。

 

 

「それに普通の虫を鍛えるという、ネム様の目の付け所には感服するほかないね」

 

「他ニモ何カ狙イガアルト?」

 

「成長出来る者、つまりは経験値を得られる存在と得られない存在。根本的にこの違いはなんだろうね? 魔獣と家畜、蟲系モンスターとただの虫。どちらも構造で言えば似た様な生物だ」

 

「ムムム…… 戦闘経験ノ有無デハナイノカ?」

 

「その考えだと矛盾が生じてしまう。多くの虫は他の生物を捕食しているのだから、戦闘経験があると言っても過言ではない」

 

「ソレモソウカ」

 

「これは極めて研究しがいのあるテーマだよ。我々がレベルを持っていないと認識している生物は、本当に成長しないのか? あるいは、経験値やレベルそのものを保有出来ないのか……」

 

 

 デミウルゴスは楽しそうに考察を膨らませていた。

 確かに考えれば不思議である。

 魔獣と家畜――似た様な生物でも、明らかにレベルを持つ生物と持たない生物がいるのだ。

 

 

「ただの虫を鍛える事は、その研究にも繋がる。また、虫は繁殖力が高く、成長速度も早い。実験を行う対象としてはうってつけだ」

 

「興味深イ題材ナノハ理解シタ。ダガソノ研究ハ何カノ、ナザリックノ利益トナルノダロウカ?」

 

 

 自分ではこれ以上深く考えるのは難しい。

 そのため、つい安易に結論を求めてしまった。

 

 

「そうだね、これは一つの理想ではあるが…… 実験の結果、経験値を得られない生物に、経験値を与える方法を見つけたとしよう」

 

「フム」

 

「それを応用すれば、我々にも利があると思わないかい? 我々NPCはレベルが上がらない――経験値を手に入れられない側の存在だからね」

 

「……オォッ。ツマリ、限界ヲ超エタ経験値ノ取得、レベルノ上限突破カ!! ソレナラバ我々ノ成長ニモ繋ガルヤモ知レヌ!!」

 

「そういう事だ。考えようによっては、レベル百であるモモンガ様に新たな力を得てもらう事も出来るかもしれない」

 

 

 デミウルゴスの説明により理解が追いつき、思わず歓喜の声をあげてしまった。

 レベル上限の限界突破。

 よもやあの少女の疑問が、それほど可能性に満ちたものだったとは。

 未知なる領域へ踏み込む事への期待に興奮が止まらず、コキュートスは白い息を激しく吐いた。

 

 

「マサカ、ネム()モソレヲ見越シテ?」

 

「かもしれないね」

 

「モハヤ言葉ニ出来ヌ。至高ノ御方ガ、更ナル高ミヘト登ラレルナド……」

 

「ネム様の発想は、それだけ可能性に満ちているという事だよ」

 

「凄マジイ才覚ダ。改メテ、ネム様ニ敬意ヲ感ジズニハイラレヌナ」

 

 

 ナザリックに所属しない存在を認め、その力を手放しで褒めるデミウルゴス。

 この世界へ来てからのデミウルゴスは、良い意味で変わった様に思う。

 

 

「やれやれ…… 外にある牧場での研究だけでは足りそうもない。追加で虫籠を作ることも検討しなければならないね」

 

 

 デミウルゴスは貪欲に成長を求め、何が御方の役に立つのか、常に自分で考え続けている。

 また仕事が増えたと首を振りながらも、その顔は非常に嬉しそうだ。

 

 

(私モ友ヲ見習イ、変ワルベキカ……)

 

 

 やはりただの剣では、平時にモモンガの役に立つ事は難しい。

 ユグドラシルとこの世界では事情が違う。現在ナザリックの存在は隠蔽され、表に出ないようにする方向で努力している。

 ナザリックを襲ってくる敵がいない以上、守護者として侵入者を倒す仕事がないのだ。

 苦手だからと諦めずに、自分も知恵を絞る必要性が出てきたのかもしれない。

 ――きっかけをくれた御方の友人に、気づかせてくれた目の前の友に、感謝を。

 コキュートスは「ただの戦う者」である自分との決別を決めた。

 

 

(己ノ新タナ可能性ヲ探究シテミセル!!)

 

 

 ――新たな事への挑戦。

 創造主に与えられたあり方を捨てるのではなく、武人としてのあり方はそのままに成長する事を目指す。

 コキュートスはさしあたって、自分の得意分野である戦闘に関連する内容から手を付けてみようと考える。

 自分は個で戦う存在だった。

 ならば、次は集団での戦い――指揮官としての勉強でも始めてみよう。

 それこそが、至高の御方であるモモンガが、自分達に望む成長であると信じて。

 

 

 

 

おまけのおまけ〜一を聞いて何も知れない普通の姉〜

 

 

「ネム、何してるの?」

 

「あ、お姉ちゃん。あのね、虫さんを戦わせてるの」

 

「へぇ、懐かしいなぁ。私も小さい頃、近所の男の子とそういう遊びをしてたよ」

 

「そうなの? じゃあ、その虫さんはコキュートスさんみたいに大っきくなった?」

 

「……えーと、どういう意味? コキュートスさんって?」

 

「ツルツルしてて、冷たくて、大っきくて、武器も使えて、すっごく強いゔぁーみんろーどの虫さん!!」

 

「それ本当に虫なのっ!?」

 

 

 

 




いつも通りの深読み連発でした。
もちろんネムは何も深く考えてません。最後のエンリの反応が、普通の一般人の反応ですね。
家畜や虫にレベルが存在しないというのは、原作だとレベルの有無が不明なのでオリジナル設定です。
次回はちゃんとモモンガも登場する予定。
デミウルゴスが有能すぎて、中々他のNPCが活躍する機会が作れない……


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