不思議の墳墓のネム   作:まがお

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前回のあらすじ


「お宝発見!!」
「テーマパークを作りましょう!!」
「休め」


タイトル通り、あの男に関連するお話です。





ぶれぶれあんぐらうす

 エ・ランテルの端に位置する小さな一区画。

 ここには薄汚れたボロ布を纏った者達が多くおり、大人も子供もそこかしこに力なく座り込んでいる。

 俗に言うスラム街だ。

 第二王子であったザナックが新たな王位を継承してから、リ・エスティーゼ王国も全体で見れば発展を続けている。治安も少しずつ良くなってはいる方だろう。

 だが現状では、これはどこの都市にも存在する光景である。

 そんな持たざる人間たちが集まる所で、何故か使い込まれた武具を身に付けた者達がいた。

 

 

「どうして、こんな事になっちまったんだろうな」

 

「知らん。ある意味自業自得だろ」

 

 

 周りの貧民と同じく、地面に力なく座り込んだ三人の男達。

 揃ってチンピラ顔の彼らは皆、不安げな表情で内心を吐露していた。

 一見どこにでもいる冒険者チームのようだが、その首には冒険者の証であるプレートが存在しない。

 

 

「くそっ。残った金はこんだけか……」

 

「これからどうするよ」

 

 

 ここにいる男達は『死を撒く剣団』という名の傭兵団――の残党である。

 元は六十人を超える構成人数を誇り、そこそこ有名な傭兵団だったが、その実態は野盗の集団に近かった。

 王国と帝国が戦争を行う時以外は、街道を進む商人や貴族の馬車を襲い、略奪や人攫いなどの犯罪行為に明け暮れていたのだから。

 

 

「さぁな。団長も捕まっちまったしよ」

 

「帝国辺りでワーカーでも始めるか?」

 

「それよりどっかの傭兵団に入るとかどうよ」

 

 

 しかし、あまりにも精力的に行動し過ぎたのだろう。彼らは都市の権力者から目を付けられてしまった。

 以前はエ・ランテル近郊の森にある洞窟をアジトにしていたのだが、少し前に多くの冒険者が派遣されてきたのだ。

 そして、傭兵団は抵抗も虚しくあっさりと壊滅した。

 この場にいるのは、幸運にも捕まらずに逃げる事が出来た少数派だ。

 

 

「アイツが、アイツさえ残ってりゃ、こんな事には……」

 

 

 一人の男が憎々しげに呟く。

 それを聞いて同調するように頷く者、忌々しげに舌打ちする者に反応は分かれた。

 実はこの傭兵団には、少し前まで凄腕の用心棒がいたのだ。

 冒険者がアジトに殴り込んで来た時、その男さえ残っていれば結果も違っただろう。

 その男は、そう信じさせてくれる程の強者だった。

 

 

「いざって時にいないなんてよ」

 

「ちょっとくらい、残ってくれりゃ良かったんだ」

 

 

 用心棒が残っていれば――彼らのそんな恨み節は止まらない。

 そうは言っても、非があったのは彼らの方だ。

 用心棒がいなくなった理由はシンプルである。金だ。

 

 

「所詮は金だけの繋がりだ」

 

「金の切れ目が縁の切れ目か。あの野郎、ちょっと強いからってイキがりやがって」

 

 

 王様が代替わりした頃からか、傭兵団の収入は目に見えて落ちた。

 理由は定かではないが、エ・ランテル周辺の街道で襲えるカモが捕まらなくなったのだ。

 さらに毎年恒例となっていた、王国と帝国の戦争が行われていない事も大きい。

 その後の展開は言うまでもなく、用心棒に報酬を払えなくなってしまい――

 

 

『ここで得られる物はもう何もない』

 

 

 ――そんな台詞を残して、用心棒の男は彼らの前から消えたのだ。

 

 

「おーい、お前ら!! 見てくれよ、これ」

 

「ん、なんだぁ?」

 

「どうしたんだよ、それ」

 

 

 誰もが過去に浸っていた時、仲間の一人が興奮した様子で戻って来た。

 その手には小さいが、財布がわりの皮袋も握られている。

 思えばちょっと出掛けてくると言ってから、かれこれ数時間は時間が経っている。

 一体何をして来たのだろうか。

 

 

「へへっ、そこらでちょいと冒険者から頂いてきた」

 

「マジかよ。お前一人でやったのか?」

 

「おうよ。脅せば簡単に置いてってくれたぜ」

 

 

 恐喝して巻き上げたのだろうが、仲間達は不思議に思う。

 その男は取り立てて体格が良い訳でもなく、顔に凄みがある訳でもない。

 武力だって一般人よりちょっと強いだけ、冒険者のランクだと鉄級(アイアン)程度だったはずだ。

 荒事を仕事とする冒険者相手に、こいつ一人で恐喝が上手くいくのだろうかと。

 そんな周りの疑問を感じ取ったのか、男は得意げに語り出した。

 

 

「俺はあの『八本指』の一員だぞって、言ってやったんだよ」

 

「……おいおい、『八本指』の名前を使うのは不味いんじゃないか?」

 

 

 その名を聞き、仲間の一人が顔をしかめた。

 『八本指』――王国の中枢、大貴族にまで太いパイプがあると噂される裏組織。

 邪魔者には一切の容赦をせず、窃盗、暗殺、誘拐、奴隷売買に麻薬の密売など、非合法の限りを尽くしているという話もある。

 裏の知識が少しでもある人間なら、誰もが恐れる裏社会の一大組織だ。

 

 

「分かってるよ。ちょっとの間使うだけだって。次の活動のための資金が溜まれば、こんな綱渡りはやめるさ」

 

「だがな……」

 

「流石にいつまでもエ・ランテルに長居する訳にもいかないだろ? さっさと稼いで、帝国辺りにでも行こうぜ」

 

 

 男達は顔を見合わせた。

 本物の組織にバレたら命はないが、確かに手っ取り早く稼ぐ手段ではある。

 何せ今の自分達にはロクな力がない。

 自分達の実力もそうだが、武装だって古くなっているので新調したい。

 そもそも新天地を目指そうにも、移動だけでそれなりの費用がかかる。

 今後の活動のためには、何よりも金がいるのだ。

 

 

「でもよ、そんな風に露骨に脅したら、逆に襲ってこないか? 相手は冒険者だろ?」

 

「いや、この名前を知ってる冒険者なら、まず失敗しない。身ぐるみ全部じゃなくて、ちょっと貰うだけにしとくのがポイントなんだ」

 

「なるほどな。この程度で済むならって、相手も諦めるのか」

 

 

 男達は悪魔の囁きに心が揺れ動き始めていた。

 これまでも散々悪事には手を染めていたので、今更恐喝程度どうってことはない。

 それにこの方法で恐喝している事が冒険者組合にバレたとしても、すぐには捕まらないだろうという打算もあった。

 

 

「意外と良い方法じゃないか? 商人や一般人を狙うより、冒険者に狙いを絞れば権力者が出てくる確率も減るかもしれないぞ」

 

「冒険者にもメンツがあるからな。後は本物の『八本指』の耳にさえ入らなけりゃ……」

 

 

 組合ですら八本指と真正面から事を構える気はないはずだ。

 ならばそんな組織の名を使う者に、即座に手を出す事は躊躇うだろう。

 それに八本指の主な活動拠点は、王都とその周辺だと聞いた事もある。

 

 

「――よし、やるか」

 

 

 彼らは決意を固めた。

 だが残党の寄せ集めである彼らには、リーダー的存在はいない。

 そのため、誰もが対等に意見を出し合った。

 

 

「ああ、ただし期間と目標金額は最初に決めとくぞ。調子に乗ったら俺らもやばい」

 

「分かった。期間は最長でも二週間。帝国までの旅費と、初期の活動資金が溜まったら即終了でどうだ」

 

「了解。帝国行ったらワーカーチーム結成だな」

 

「いいぜ、当面の目標はそれでいこう。ワーカーをやるかまでは分からんが、残りは金が溜まってからだ」

 

 

 これから行う事のリスク。

 そして、得られる物に対する期待感によって、彼らの精神は段々と高揚し始める。

 

 

「いくぞ。俺達は今から――『八本指』だ」

 

 

 男達はゴクリと喉を鳴らし、全員で頷きあった。

 

 

 

 

 今日はモモンガと冒険をする日だ。

 いつもの様に冒険者組合に行き、私が依頼書を読み上げてモモンガに説明してあげる。

 受ける仕事を二人で決めて、依頼書を受付の人に渡したら受注完了だ。

 その後は組合を出て、少し離れた裏通りの広場に待機中のハムスケを迎えに行った。

 

 

「――ほぉ、いいねぇ。お前さん、銅級(カッパー)にしちゃ、いいもん持ってるじゃねぇか」

 

「くくっ、これ見よがしに二本も大剣背負いやがって」

 

「はっはっは!! 馬鹿かよ。そんな武器二本も持ったって、まともに振れる訳ねぇのによ」

 

「ガキの方はボロいマントなんか着けて、冒険者ごっこってかぁ?」

 

 

 だけどその途中、変な四人組に遭遇した。

 男達は武器や防具を装備しているけど、首にはプレートがない。

 ――怪しい。

 最近は冒険者を狙った恐喝が増えているから注意してと、受付の人にも言われたばかりだったのを思い出した。

 

 

「にしても、マジで高そうな装備だ。冒険者に憧れたどっかの金持ちか? でも残念だったな」

 

「おい、痛い目にあいたくなけりゃ、有り金と装備を置いていきな」

 

「俺らも鬼じゃねぇ。大人しくすりゃ、命までは取らねぇからよ。装備も全部寄越せとは言わないさ。大剣の一本で許してやる」

 

「そっちのガキは…… まぁ安モンだろうが、その手にある指輪を寄越せば勘弁してやるよ」

 

 

 この台詞からしてやっぱり悪者だ。

 品のない顔をニヤニヤとさせながら、こっちを品定めする様な視線を向けてくる。

 自分一人の時なら恐ろしくて仕方なかったと思うけど、今は隣にモモンガがいる。

 正直なところ、恐ろしいという感覚よりも、残念な人達だなぁという気持ちが勝っている気がした。

 

 

「うわぁ。まだこんな絡み方をしてくる奴がいたんだな」

 

「本当だね、モモン」

 

 

 モモンガも似たような感じらしい。

 珍しい生き物を見つけた様な、恐怖ではなく感心した声をあげている。

 まぁ元々モモンガみたいに凄いアンデッドなら、相手が誰であれ恐怖なんかする訳もないのだろうけど。

 

 

「もうエ・ランテルではそこそこ有名になったと思ってたんだが、自意識過剰だったか?」

 

「ハムスケが一緒じゃないからかな?」

 

「あぁ、そもそも私達自身は強いと思われていないのか。確かにあまり討伐依頼もしていないし、まだ銅級だからな」

 

 

 モモンガは納得した様に頷いているが、私はちょっと腑に落ちない部分もある。

 本当になんで自分達を狙ったんだろうか。

 私自身は確かに弱い。と言うより、ほとんど戦えない。

 冒険者を始めてから、パチンコを打つのが少し上手になったくらいの自覚しかない。

 ある意味、悪い人からしたら狙い目なのかもしれない。

 

 

(お金持ちだと思われた? そんな訳ないよね…… 脅したらいけると思ったから?)

 

 

 でも、モモンガはとっても強い。

 それを知らなくても、漆黒の全身鎧を纏ったモモンガは凄く強そうに見えるはずだ。

 もしかしたら銅級のプレートだから、見掛け倒しに思われているのだろうか。

 

 

「無視してんじゃねぇぞ、コラァ!!」

 

 

 四人組を無視してモモンガと話していたら、痺れを切らした相手の一人が脅すように叫んだ。

 人数の差から生まれているだけとは思えない、圧倒的な余裕が男達の顔には見える。

 お世辞にも凄く強そうには見えないが、実はかなりの実力を持った人達なのだろうか。

 

 

「どうやら悪名高い裏組織の一員である、俺らの事を知らんらしいな……」

 

「俺らに楯突くってことは、上を敵に回すって事だぜ?」

 

「聞いて驚くんじゃねぇぞ」

 

 

 男達のテンションはちょっと高い。

 まるでこれから切り札を切りますよと、言わんばかりの態度だ。

 

 

「俺達は――『八本指』だ!!」

 

 

 指の数が多いと強いのだろうか。

 自信満々の顔には、デカデカと「勝った」と書いてある。

 

 

「えっと、私は五本指です」

 

 

 なんて反応したら良いか分からないから、自分の手のひらをパーにして相手に見せた。

 

 

「……」

 

「……」

 

 

 こちらの反応は予想外だったのか、相手は薄らと顔を赤くして黙り込んでしまう。

 何とも言えない空気が漂い、静寂が場を支配してしまった。

 自分が何か間違えたというのは嫌でも分かる。

 だって、モモンガが隣で笑いを堪えてるから。

 

 

「えいっ」

 

「えっ!? ……いや、その、すまん」

 

 

 誰も口を開いてくれないのは辛い。

 行き場を無くした手のひらで、何となくモモンガを叩いておいた。

 

 

「――クソがっ!! こっちは遊びでやってんじゃねぇんだよ!!」

 

「お、おうよっ!! 冒険者の癖に、八本指の名前も知らねぇのかよ!!」

 

「こちとら貴族だって手を出せねぇ、王国最大の裏組織だぞ!!」

 

 

 ぺちりと鎧を叩いた音で気を取り戻したのか、男達が一斉に武器を抜いた。

 なんだか八つ当たりじみた勢いで、顔を真っ赤にさせて激昂している。

 今にも斬りかかってきそうな雰囲気に、私は少しだけ固まってしまった。

 

 

「こっちが何もしないとでも思ってんのか? 甘く見んじゃねぇぞ!!」

 

「世間知らずの銅級風情が!! さっさと有り金全部置いてけやコラァ!!」

 

「早くしねぇと――」

 

 

 しかし、一人の男が私に剣を突きつけようとした瞬間、黒い残像が乱暴に風を巻き起こした。

 その風にふわりと乗り、男の前髪から数本の髪の毛が散っていく。

 

 

「あー、ちょっと上に当たってしまったか。首元で寸止めするつもりだったんだがな」

 

 

 それをやったのは当然モモンガだ。

 相手より後から動いていた気がするけど、モモンガの方が男に大剣を突きつけている。

 相変わらず凄い身体能力だ。

 体は骨しかないのに、なんであんなに動けるんだろうか。

 

 

「……はぇ?」

 

「本当に、あのデカイ大剣を片手で?」

 

「う、嘘だろ。なんでこんなのが銅級なんだよ!?」

 

 

 目の前に大剣が迫ったままの男は、何が起こったのか理解が追いついていないらしく、呆然と抜ける様な声を出していた。

 我に返った様子の周りの男達も、現実を否定するように叫んでいる。

 残念ながらこれは現実です。モモンガはとっても凄いのです。

 

 

「コキュートスと剣技はかなり訓練したんだが、私もまだまだ甘いな。――それで? 早くしないと、なんだ?」

 

「あぁ、い、いいのかっ!? 俺達は八本指の一員なんだぞ!?」

 

「知らんな。生憎と私も、指の数には興味がないのだよ」

 

 

 もはや後ずさりを始めている男は、再度同じ台詞をヤケクソ気味に叫ぶ。

 だが、モモンガが「知らない」と言い切るや否や、男達は全員脱兎の如く走り去っていった。

 

 

「変な奴らだったな。人を脅したいなら、非武装の一般人を狙う方が安全で効率的だろうに」

 

「普通はそうだよね。……あれ?」

 

 

 相手の姿が見えなくなると、私は急に尻餅をついてしまった。

 全然大丈夫だと思っていたのに、やっぱり襲われて緊張していたのだろうか。

 敵がいなくなったと安心したら、つい力が抜けてしまったようだ。

 

 

「大丈夫か、ネム? どこかで少し休むか?」

 

「ううん、大丈夫。ちょっと気が抜けただけだよ」

 

「それなら良いが…… まぁ、人数差がある状況は逃げる方が無難だからな。無理もない。きっと無意識に緊張していたんだろう」

 

 

 モモンガに差し出された手を握る――それだけで力が戻ってくるのを感じる。

 その手を支えに立たせてもらい、パンパンとお尻を軽くはたく。

 

 

「さぁて!! 余計な茶々は入ったが、気を取り直して行こうか!!」

 

「うん!!」

 

 

 元気付ける様なモモンガの明るい声に、私は負けじと元気よく応える。

 ――ありがとう、モモンガ。

 そして、私達は何事も無かったように、再びハムスケの所へと歩き出したのだった。

 

 

 

 

 あの場からかなり離れた路地裏の一角で、全力で逃げてきた男達は息を切らして喘いでいた。

 

 

「ちくしょう!! 何だったんだよ、アイツは!?」

 

「お前のせいだ!! 今までみたいにもっと弱そうな奴を狙えば良かったんだ!!」

 

「はぁ? みんな納得してたじゃねぇか。散々冒険者襲って、調子に乗ってたのはお前もだろ!!」

 

 

 獲物だったはずの漆黒の戦士は、とんでもない強者だった。

 この一週間、冒険者から楽に金を巻き上げる事に成功し続け、自分達は知らずに増長していたのだろう。

 高価そうな装備を纏っている時点で、銅級であれ警戒すべきだった。

 というか、子供を連れた冒険者という時点で何かおかしいと怪しむべきだった。

 

 

「落ち着けよ!! 全員無事なんだから今回はそれで良いだろ!!」

 

「……悪りぃ、頭に血が上ってた」

 

「こっちも、悪かった……」

 

「ふぅ。目標金額までもうちょっとなんだ。次は少し落ち着いてから行動するぞ」

 

「そうだな。ある程度の下調べもした方がいい。さっきの二の舞になるのは勘弁したい」

 

 

 落ち着いてくれば、多少は頭も回るようになる。

 今回の失敗の理由は、単純に情報不足だ。

 自分達は今まで森の洞窟に拠点を置いていたので、エ・ランテルの都市内で活動するのも久々だった。

 そもそも冒険者をターゲットにするのだから、下級でも有力な冒険者くらい調べておけば良かった。

 それに八本指の名前を過信し過ぎていたのも失敗だった。

 

 

「――まったく。あの御方の冒険を邪魔しておいて、呑気なものですねぇ」

 

 

 各々が反省点を挙げ、前向きに次の計画を考えていた時。

 突然、よく通る声が路地裏に響き渡り、全員が弾かれるように声の発生源へ顔を向けた。

 

 

「亜人? いや、違う!!」

 

「ば、化け物だ!?」

 

「なんで街中にモンスターがいるんだ!?」

 

 

 それは見た事も聞いた覚えもないモンスターだった。

 見た目は人型で、きちんと服を着て、人の言葉を操っている。

 だが、卵の様なツルリとしたその顔は、目と口の位置に穴が三つ空いているだけだ。

 その穴はどこまでも黒く、奈落の底に繋がっているような、覗き込んではいけない雰囲気があった。

 

 

「何者なんだ、お前……」

 

「うーん。では、『四本指』とでも言いましょうか」

 

 

 仲間の一人が勇気を振り絞り、少しでも目の前のモンスターから情報を得ようとした。

 しかし、返ってきた答えを聞いても、全員の冷や汗が増えるだけだった。

 

 

(コイツ、見てやがったのか!? 一体どこまで知ってる。何が目的だ?)

 

 

 古来より理性のない化け物に、力で劣る人間は知恵で対抗してきた。

 それを考えれば、知性あるモンスターというのはそれだけで恐ろしい。

 そして目の前の存在は、未知の存在であるが故に強さすらも不明だ。

 

 

「貴方達は大罪を犯した。そして、消えてもまったく問題ない存在です」

 

「何を――」

 

 

 妙に芝居がかった動きで指を差される。

 何を言ってるんだと思ったが、その疑問を口に出す前に急に意識が遠のいていった。

 これは何かの魔法なのか。

 それともこのモンスターの特殊能力なのか。

 知識に疎く、それすらも判断がつかない。

 

 

(……あれ、周りのみんなも担がれてる? モンスターは、いつ増えたんだ?)

 

 

 異変はそれだけではない。

 いつの間にか、自分達は悪魔の様なモンスターに周囲を囲まれていた。

 どんどん思考に靄がかかり、上手く考えがまとまらない。

 自分の体が持ち上げられ、暗い闇へと連れ去られようとしている。

 

 

「これなら直接牧場へ送っても問題ないでしょう。運搬はお任せします」

 

「畏まりました」

 

 

 どうやら周囲のモンスターに、指示を出して運ばせているらしい。

 

 

「我が父に手を出した報い、その身でじっくりと味わってください」

 

 

 ぼやけた頭で最後に見えた相手の手は――『四本指』だった。

 

 

「やれやれ…… 私も早く戻るとしましょう。こんな奴らより、何億倍も重要ですからね」

 

 

 その後、エ・ランテルでその男達を見た者は誰もいない。

 被害に遭う者が増えなくなったため、徐々に冒険者達の記憶からも忘れられていった。

 

 ちなみに、彼らはとある牧場で精神が壊れるまで働き続け――最後には()になったそうだ。

 

 

 

 

 暗雲立ち込める王都の空。

 ほんの僅かな時間も待たず、きっと激しい雨が降り始めるだろう。

 そんな天気にも関わらず、鋭い目をした軽装の男――ブレイン・アングラウスは雨具も持たずに大通りを歩いていた。

 

 

(待っていろ、ガゼフ・ストロノーフ)

 

 

 ブレインが王都に来た目的はただ一つ。

 再びガゼフと戦い――勝利する事。

 周辺国家最強の名が欲しいのではない。ガゼフという一人の男を超える事が目的なのだ。

 

 

(もうあの頃とは違う……)

 

 

 自らを剣の天才だと自惚れ、鍛錬もロクにしていなかった自分はもういない。

 かつての御前試合で味わった屈辱を晴らすべく、ただの天才は努力する天才へと変わった。

 そう、自分は強くなったのだ。

 

 

(本当の意味で剣士となった今こそ、決着をつけさせてもらうぞ)

 

 

 その道のりは、決して褒められる様な事ばかりではなかった。

 自らに最も適した武器を手に入れ、技を磨いてきた。

 命懸けの実戦を繰り返し、数え切れない数の人間を斬ってきた。

 己の手を汚しても、ブレインは貪欲に力を求め続けた。

 愛情、友情、娯楽、倫理に道徳。強さ以外の全てを切り捨て、血の滲むような鍛錬を行ってきたのだ。

 

 

「お前は……」

 

「よう、久しぶりだな」

 

 

 会う約束をしていた訳ではない。

 それでも鍛え抜かれた戦士の勘が、今日なら奴に会えると告げていた。

 どうやらそれは正しかったようだ。

 おそらく仕事帰りだろう。王城の方向から足早に歩いてきた男は、ブレインの望む相手だった。

 

 

「ブレイン、ブレイン・アングラウスか」

 

「覚えててくれて光栄だ。ガゼフ・ストロノーフ」

 

 

 自らの好敵手(ライバル)と定めた男。超えるべき存在。

 ――王国戦士長ガゼフ・ストロノーフだ。

 

 

「あの試合を忘れるものか。あれから俺は、お前以上の才能に出会った事がない」

 

「そうかい」

 

 

 相手も自分の事を認めてくれていたと知り、ブレインは薄く笑う。

 それにしても、自分の期待以上だ。

 あの時より遥かに鍛え上げられた肉体。

 剣を握っていなくとも、その目から感じる力強い覇気。

 ガゼフが御前試合の時より更に高みに登っていると分かり、ブレインは静かに歓喜した。

 そうでなくては、倒し甲斐がないと。

 

 

「俺と勝負しろ、ストロノーフ」

 

「アングラウス……」

 

 

 好敵手同士、多くは語らない。

 ガゼフを真っ直ぐと見据えるだけで、全てが伝わるはずだ。

 僅かに顔をほころばせ、そして歪めたガゼフの返答を待つ内に、とうとう雨が降り出した。

 

 

「……俺は、いや、私は王の剣だ。かつて忠誠を捧げたランポッサ三世の御意思のもと、私は今の国王、ザナック陛下にも剣を捧げている」

 

 

 濡れた髪をかき上げる事もせず、相手の言葉に耳を傾けた。

 きっとガゼフの言葉には、まだ続きがある。

 

 

「王国戦士長の地位を預かる者として、私情で剣を振るう事は許されない。特に部外者と剣を交える事は難しい」

 

 

 ブレインには確信があった。

 この男は、自分との勝負を断らない。

 

 

「だから陛下に話を通す。それが叶えば……」

 

「十分だ。話がまとまったら、――の宿に伝言でも寄越してくれ」

 

 

 ブレインはすぐに背を向けた。

 打ちつける雨は体を冷やしてくれるが、内からくるこの火照りは中々治まる事はないだろう。

 

 

「――アングラウス!! 良い勝負をしよう」

 

 

 去り際の背中に投げつけられた言葉。

 この男はどこまでも期待させてくれるようだ。

 思わず歓喜する表情を見せないように、決して振り返りはしない。

 

 

「……ああ、楽しみにしている」

 

 

 そして、今すぐにでも斬り合いたい自分を抑えるため、ブレインは弾む足取りで宿へと戻るのだった。

 

 

 

 

 ――今日こそ決戦の時だ。

 あれから思いのほか早く、ブレインの泊まる宿に遣いが来た。

 条件付きではあるが、ガゼフとブレインの決闘を認めるとの事だった。

 その条件はたった一つ。ブレインが敗北したら、ガゼフの部下となって王家に仕えるというものだった。

 それしか条件を付けないなんて、今の王は余程ガゼフを信頼しているのか。

 もしかしたら、戦士としての矜持が分かる王なのかもしれない。

 

 

「ようやく、ようやくだ……」

 

 

 決戦の場へと赴くブレイン。

 装備は普段通り、鎧着(チェインシャツ)を内側に着込んだだけの軽装だ。

 そして武器は、腰にさげた一振りの刀だけである。

 傭兵の用心棒をする時に使っていた、魔法のポーションなどは必要ないと置いてきた。

 磨き上げた己の力のみで、ガゼフを倒すためだ。

 

 

(お前のために編み出した秘剣。俺の人生を、試させてもらう!!)

 

 

 戦士長であるガゼフとの決闘を公には出来ない。

 そのため、戦う場所は王家が保有する屋内の訓練場と決められている。

 ブレインとしては室内だろうと街中だろうと、ガゼフと一対一で戦えるならどこでも構わなかった。

 

 

「来たぜ、ストロノーフ!!」

 

 

 指定された訓練場の扉を開け放ち、宿敵と対面する――

 

 

「……おい。その装備はなんだ?」

 

「ああ、来たかアングラウス」

 

 

 ――が、これから戦うガゼフの後ろ姿を確認して、一瞬だけ固まってしまった。

 この男は、鎧にマントなんて付けるような奴だったろうか。

 

 

「ああ、じゃねぇ!! 答えろ、ストロノーフ!!」

 

「この装備か……」

 

 

 ガゼフは自らの体を覆う鎧と、腰に下げた剣に視線を向けた。

 その何とも言えない表情に、ブレインは裏切られたような気持ちだった。

 ――ガゼフの装備が豪華過ぎる。

 もしやあれは、噂に聞く王国の秘宝『五宝物』とやらじゃないだろうか。

 

 

「この身に纏っているのは、王家の秘宝だ」

 

 

 ガゼフの返答は想像通りであり、自らの希望とは正反対の内容だ。

 嫌な予感は当たってしまった。

 

 

「なぁ、それはストロノーフとしての、お前の意思なのか?」

 

 

 ブレインは震える声で言葉を紡ぐ。

 もしこれが自分の勘違いなら、詫びなければいけない。

 どうか詫びさせてくれと、そう願いながらガゼフの返答を待った。

 

 

「……すまない」

 

 

 一瞬にしてカッと顔が熱くなる。

 何がだ。それは何に対しての謝罪なんだ。

 

 

「ふざけるな!! あれから俺は、俺は本気で修行して、お前を剣で超えたくて!! この戦いだって、純粋な剣技のみで勝つ気でいたんだぞ!?」

 

「その気持ちは、私も変わらない」

 

 

 確かにルールには抵触していない。

 もしあれがガゼフの持ち物なら、それを手に入れた過程を讃えただろう。

 俺の刀も負けてはいないと、啖呵を切る事もしただろう。

 ガゼフの意思で王から武具を借りたというのなら、何がなんでも勝とうとする執念に拍手を送っただろう。

 

 

(俺との決闘は、他人の横槍を受け入れても構わないってのか。その程度のもんだって言うのか……)

 

 

 だが、ガゼフの表情とは裏腹に輝く装備は、ブレインの目に酷く醜く映った。

 借り物の力を使う事にガゼフ本人が納得し切れていない様子なのが、尚のこと自分を苛立たせた。

 

 

「じゃあその装備はなんだ!! 俺の剣士としての誇りに対する答えがそれか!!」

 

「私としても不本意ではある。出来れば己の実力のみでお前と戦いたかった。だが、この身に纏う四つの秘宝は、今回の決闘で使うように賜ったものだ。王の命令なくして外す事は出来ない」

 

 

 ブレインは己のためだけに力を磨いてきた人間だ。

 他人のために剣を振るう者の気持ちなど分からない。

 自分には忠誠心などカケラも理解出来ない。

 しかし――剣士としての誇りより、王への忠義を選んだガゼフの覚悟の重さだけは感じ取れてしまった。

 

 

「っそうかよ。それがお前の答えか」

 

「そうだ。陛下と王女は仰った。『五宝物を装備し、ブレイン・アングラウスに勝て』とな!!」

 

「そんなに、俺を部下にしたかったのか……」

 

「帝国との戦争がまたいつ起こるか分からない。王を、この国を守るためには力が必要なんだ。お前の様な、強い男が」

 

 

 そして、もう一つだけ分かった事がある。

 ガゼフに装備を渡した奴はクソ野郎だ。

 誇りある戦いを人材確保の手段に貶め、その癖に臣下であるガゼフの力を信じ切れなかったのだ。

 

 

「ガゼフっ、ストロノォォォオォフゥッ!!」

 

「来いっ、ブレイン・アングラウス!!」

 

 

 あれほど望んだ戦いだというのに、なんてやるせないのだろうか。

 試合開始の合図は必要なかった。

 一粒の雫が床に落ちた瞬間、刀を握る腕と脚の力を爆発させる。

 憎しみにも悲しみにも似た闘志を漲らせながら、ブレインはガゼフに斬りかかった――

 

 

 

 

おまけ〜ぶれぶれあんぐらうす 逃亡と運命の転職編〜

 

 

 リ・エスティーゼ王国の各都市を繋ぐ街道。

 整備が行き届いているとは言えないその道を、とある人物が歩いていた。

 ボサボサの髪と無精髭を顎に生やした男が、刃こぼれした刀を振り回しながらブツブツと呪詛を呟いている。

 

 

「クソがクソがクソがクソがクソがっ」

 

 

 俺の名はブレイン・アングラウス。

 王国にある開拓村の元農夫で、かつて行われた王国御前試合の準優勝者。

 そして、傭兵団『死を撒く剣団』の元用心棒。

 はっきり言って、かなり強い方だとは思っている。

 自分で言うのは恥ずかしいが、周辺国家最強との呼び声高いあのガゼフ・ストロノーフと比肩される程の剣士だ。

 つい先日、念願かなってそのガゼフとの再戦を果たした訳だが――

 

 

「あんな装備、まともな戦いになる訳がねぇ」

 

 

 ――あの野郎、王家の秘宝である五宝物をフル装備してきやがった。

 

 

「俺は純粋に剣の腕を競い合いたかったんだ!! ってか、決闘に国宝持ち出してんじゃねぇよ!!」

 

 

 剣だけならまだ許せた。自分が使う刀だって、並の剣とは比較にならない希少品だ。

 あの剣がガゼフの実力を一番発揮出来るというなら、国宝を用意してくれた事に感謝すらしただろう。

 しかし、どちらかと言うと、ガゼフはあの剣を使い慣れてはいない様だった。

 それに問題は残りの装備だ。

 

 

「なんだよ致命的な一撃を避ける鎧って。俺の刀対策か!? 疲労無効の籠手とか常時体力回復の護符とか、そんな超級のマジックアイテム聞いた事ねぇわ!!」

 

 

 鎧の性能が高過ぎて、ブレインの刀はロクに通らなかった。

 ガゼフだけ疲労しないせいで、短期決戦をせざるを得なくなった。

 ガゼフだけは少しずつ体力を回復していくので、ちまちまとしたダメージは無駄に等しかった。

 

 

「結局、勝負は引き分けになっちまうしよ……」

 

 

 それでもブレインにとって一番不満だった事は、ガゼフが実力を出し切れていなかった事だろう。

 ガゼフの振るう剣や動きには、装備の差があるという負い目からなのか、ほんの微かに迷いがあった。

 その僅かな隙を突いて、ブレインが〈四光連斬〉を不意打ち気味に叩き込んだからこそ、なんとか引き分けに持ち込めただけだ。

 本来なら使うつもりのなかった技であり、元々はガゼフの技だ。さぞや驚いてくれた事だろう。

 

 

「はぁ。なんかもう、疲れちまったな……」

 

 

 ブレインは大きく肩を落として息を吐いた。

 自慢の刀も『剃刀の刃(レイザーエッジ)』とかいうアホみたいな切れ味の剣と打ち合ったせいで、随分と傷んでしまった。

 長年使い込んで愛着もあったのだが、それをどうでも良いと思ってしまう自分もいる。

 

 

(国宝に匹敵する装備が俺にもあれば、ストロノーフも全力が出せたんだろうか……)

 

 

 ブレインはとにかく王都から離れたくて、ここ数日はアテもなく都市から都市へ街道を突き進んでいた。

 まるで自分の心にぽっかりと穴が空いたようで、どうにも次の目的を決められていない。

 いや、やりたい事など分かっているのだ。

 でも、それをするための方法が分からない。

 

 

「――ねぇ、モモンガ。さっきの人が持ってた武器、コキュートスさんの持ってたやつに似てるね」

 

「多分刀じゃないか? そういえば私の友人の一人も、少し大きい似た物をよく使っていたな」

 

「モモンガ殿の友人でござるか。さぞや強い戦士だったのでござろうな」

 

 

 そんな時、珍しいものに出会った。

 というか、すれ違った。

 

 

(随分と良い装備だ。冒険者、なのか?)

 

 

 一人は漆黒の全身鎧と真紅のマントを身に纏い、身の丈程の大剣を二本も背負っている。

 その隣には深い知性を感じる瞳を持つ、四足歩行の巨大な鼠型の魔獣がいた。

 そして、その上には少女が一人乗っていた。一応マントは着けているが、普通の子供にしか見えない。

 あまりにもチグハグなグループだ。

 

 

「おい、ちょっと待ってくれ!!」

 

 

 魔獣や少女の方がある意味目立つが、ブレインの目は漆黒の戦士に釘付けになっていた。

 その身に纏った見事な装備を見て、自分の中で火がついたのだ。

 そして、ブレインは気付けば声をかけていた。

 

 

「なんでしょうか?」

 

「突然すまない。こういうのはマナー違反かもしれないが、その武装はどこで手に入れたんだ?」

 

「いきなり聞かれても……」

 

 

 道で刀を振り回していたブレインに声をかけられたからか、戦士の声には警戒の色が見えた。

 

 

「俺は、俺も強い装備が必要なんだ。頼む、教えてくれ!!」

 

 

 しかし、ブレインはなりふり構わず頭を下げた。

 これしかない。きっと次に勝負を挑んでも、同じ条件を突きつけられるだろう。

 奴が王家の秘宝を使わざるを得ないというなら、自分がそれに匹敵するものを用意するしかない。

 今度こそガゼフと悔いのない勝負をするために、何としても強い武具を手に入れなければならない。

 

 

「……これは既製品ではありません。本当に強いアイテムが欲しいなら、未知の場所や伝承にある古い遺跡などを探すしかないでしょうね。後は、人間以外の種族に伝わる伝説のアイテムとかですかね」

 

「やはりそうか。自分で探すしかないってことだな」

 

「それとこれは忠告のようなものですが、万が一古い遺跡を見つけたとしても、アンデッドのいる墳墓はやめた方が良いでしょう。経験上、宝はありません」

 

「アンデッドのいる場所に宝は眠っていないのか……」

 

「本当に危険なだけなので、入らないでください。調べるだけとかもダメですよ。それから宝と言えばドラゴンですが、こちらも危険には変わりありませんね」

 

「わざわざ忠告までくれるとは、恩に着るよ」

 

 

 漆黒の戦士は、躊躇いがちにだが教えてくれた。

 なんの義理もないと言うのに、この戦士はなんと器が大きいのだろうか。

 妙に実感のこもったアドバイスまでくれるとは、本当に親切な男だ。

 ともかく、これで自分の腹は決まった。

 

 

(待っていろ、ストロノーフ。お前に負けない装備を集めて、今度こそ本当の意味でお前を打ち負かしてやる!!)

 

 

 ブレインは農夫から剣士へ、そして――秘宝を求める真の冒険者(トレジャーハンター)になった。

 

 

 

 

「はぁ、ビックリした。一瞬魔法で作った装備だってバレたのかと思ったよ」

 

「あの人凄く真剣そうだったけど、テキトーな事言って良かったの?」

 

「あながち嘘でもないから大丈夫だ。宝探しの時、凄い剣とか見つけたしな」

 

「墳墓が危険というのは、真実でござるよ。某も思い知っているでござる……」

 

 

 

 




サブタイトルで何となく察していたと思いますが、真面目に見せかけてシリアルなお話でした。
忘れられつつある護衛は、いつも絶妙な塩梅でモモンガの冒険を見守っています。
ちなみにガゼフに五宝物を使うように仕向けたのは、ザナックではなくラナーです。
手の届かない圧倒的高み(装備の差)を知り、宝を求めて旅立ったブレイン。
結局はガゼフに対抗するためなので、あまり以前と変わってない気がする。



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