不思議の墳墓のネム   作:まがお

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前回のあらすじ


「俺たちは八本指だ!!」
「私は五本指です」
「転職してトレジャーハンターになる」
 

今回は色んな話の詰め合わせです。





幕間 小話カルテット

〜そんな変装で大丈夫か?〜

 

 

 難攻不落のナザリック地下大墳墓――第九階層の某所。

 そのとある部屋では現在、少女と悪魔による意味不明なやり取りが繰り広げられていた。

 

 

「ネム()()。これならどうでしょうか()()?」

 

「うーん、やっぱりデミウルゴスさんのままかな」

 

「やはりネム()()()の目を欺くには、この程度では不足という事()()()

 

 

 変な語尾をつけて話す、赤いスーツを着た仮面の悪魔――デミウルゴス。

 真剣な眼差しで悪魔の言葉に耳を傾け、率直な評価を下す普通の少女――ネム・エモット。

 

 

「……二人とも何をやっているんだ?」

 

 

 少しだけ見ないフリを検討した後、モモンガは控えめな声量で二人に声をかけた。

 

 

「あのね、デミウルゴスさんが変装したいんだって。だからどのくらい頑張ればバレないか練習してたの」

 

「なるほど。そうだったのか」

 

 

 ネムの説明に、モモンガは少しだけ緊張を解いた。

 デミウルゴスが過労でおかしくなってしまったのかと心配もしたが、杞憂だったようで一安心である。

 

 

「その通りでございますもじゃ、モモンガ殿」

 

「もじゃ!? 殿!?」

 

「魔法による幻術を看破するタレントの存在を確認しましたので、魔法に頼らない偽装方法を検討しておりましたぞなもし」

 

「ぞなもし!?」

 

 

 それでもこの語尾はどうかと思うが。

 決して悪ふざけをしている訳ではなく、実用的な検証だと言われても違和感が半端ない。

 

 

「お耳汚しかもしれませんが、この語尾はあえて、あえてでございますなのだ。よろしければ、是非ご意見を聞かせて頂きたく存じますだべ」

 

「モモンガはどう思う? 顔を隠しても喋り方でバレるかもしれないから、色々試してるんだって」

 

「魔法を使わない変装、偽装か……」

 

 

 デミウルゴスの声は真剣そのものだが、本気でやっているのか疑う要素が満載なのだ。

 

 

(本当にバレたくないなら、口調より先に改善すべき点があるだろ……)

 

 

 フルフェイスのマスクを使えとか、トレードマークの赤いスーツを脱げとか、モモンガは言いたい事が山のように思い浮かんでしまう。

 これではただ語尾が変なだけのデミウルゴスである。

 ネムと遊んでましたと言われた方が、まだ納得出来るというものだ。

 

 

「モモンガ皇。この世界の情報を収集する内に、私は実感したのでし。ユグドラシルでの常識や定石、能力が必ずしも通用するとは限らないとにゃは…… 我々階層守護者クラスでも、油断するわけにはいかないのぜよ!!」

 

「た、確かに油断は禁物だな」

 

 

 しかし、モモンガは謎の圧力を感じて言えなかった。

 あのデミウルゴスがあえて変な語尾をつける。それだけ真剣なのだろう。

 ならば自分も部下の熱意に応えて、真摯に対応しなければならない。

 これは決して自分を笑かしにきている訳ではないのだと、モモンガは自分に強く言い聞かせた。

 

 

「デミウルゴスさん、やっぱり服装を変えた方がいいんじゃないですか?」

 

(えっ、それ言っちゃうの? 言って良かったの?)

 

 

 だが、モモンガのそんな内心を無視して、ネムは容赦なくデミウルゴスにツッコんだ。

 

 

「くっ、確かに正論であーる。しかし、これは我が創造主から賜った私の正式な一張羅だぜ。そう簡単に脱ぐ訳にはいかないのだすよ」

 

「でもいつもの服を着てたら、言葉遣いを変えても目立っちゃいますよ?」

 

「それは……」

 

 

 苦悩するデミウルゴス。

 当たり前の事を畳み掛けるネム。

 私は何を見せられているんだ。

 

 

「お前達の装備はどれも一点もので、デザインもこちらの世界では珍しいからな」

 

「我が君……」

 

「デミウルゴスよ、木を隠すなら森の中だ。私も冒険者をしている時は、全身鎧で人間の戦士になりきっている。状況や相手によって装備を変えるのは、戦術の基本だ」

 

 

 彼らの創造主に対する思いは知っている。

 生み出された容姿。

 そうあれと定められた設定。

 創造主が用意してくれた装備。

 その全てが彼らの誇りであり、彼らのアイデンティティだ。

 

 

「一時的に装備を変えるくらい、ウルベルトさんは許してくれると思うぞ。設定を捨てる訳ではないのだからな。当然私も許す」

 

「……畏まりましたでござる。であれば――」

 

 

 その意思を尊重してあげたいが、彼らが危険な目に遭う事は許容出来ない。

 誇りも安全には代えられないので、モモンガはデミウルゴスを優しく諭そうとした。

 

 

「――そうだ!! 同じ服着てる人を増やしたらいいんじゃない? そうしたらデミウルゴスさんも目立たないよ」

 

 

 デミウルゴスが苦渋に満ちた顔で納得しかけた時、ネムはポンと手を叩いた。

 ――木を隠すために森を作ろうとしている。

 流石はネム。自分のスライム風呂に匹敵する、実に画期的かつ独創的な意見だ。

 残念ながら目立たないように変装するという最初の目的が、行方不明になりかけているのが玉に瑕だが。

 

 

「ネムよ。木は森に隠せと言ったが、そもそもデミウルゴスの服装は周辺国家だと一般的ではない。スーツそのものが広まってないから無理じゃないか?」

 

「そっかぁ。じゃあ、みんなに知ってもらうところから始めないといけないんだね」

 

「そういう問題でもないと思うが……」

 

 

 自分が周りに溶け込むのではなく、周りを自分に合わせようとするとか、どこの暴君だ。

 ナザリックの力ならそういう事も出来なくはないかもしれないが、あまりにもコストが高く、メリットとデメリットが釣り合わない。

 本末転倒というか、どう考えても偽装する側のやり方じゃない。

 

 

「――なるほど。そういうことですかぞなもし」

 

 

 しかし、デミウルゴスは何かを閃いたようだ。

 

 

「ほぅ。デミウルゴスは何か気づいたようだな」

 

「はい。モモンガ神とネム女史のお言葉で、気付かせて頂きましたでごわす」

 

「よかろう。その内容を話してみなさい。あとその語尾はそろそろやめていいぞ」

 

「畏まりました。モモンガ様、私は――」

 

 

 このパターンはこれまで幾度となく経験している。

 モモンガはもう慣れたものだと、驚かないように先に自身の感情のスイッチを切った。

 

 

「ナザリックのオリジナルファッションブランドを作り上げる事を提案いたします!!」

 

(なんでだよっ!?)

 

 

 ――精神の安定化、無事発動。

 こんなもん驚くに決まってるだろ。

 変装する話だったのに、何故ファッションブランドを作る話になるんだ。

 絶対に自分の服装を変えた方が早いだろう。

 

 

「う、うむ。確かにメリットも大きいだろうな…… 主に二つ、いや三つほどか」

 

「流石はモモンガ様、即座にそこまで見抜かれるとは」

 

「あれが第一のメリットだな?」

 

「そうでございます」

 

「あれも重要な点だな?」

 

「そうでございます」

 

(一つも分からん!!)

 

 

 モモンガは思わず知ったかぶりをしてしまった事を後悔した。

 ネムのいる前で、自分はなぜ部下と漫才をしているのだろう。

 この行動が自分の首を絞めると分かり切っているのに、つくづく自分は成長していないと実感する。

 

 

「――それにこの作戦が成功すれば、もうあの男に質の低い情報収集を頼む必要もなくなるでしょう。当分は恐怖公の眷属だけで十分です」

 

「よく分かんないけど、凄そうなことするんですね!!」

 

 

 デミウルゴスの最後の言葉も何故かトゲがあるし、ネムのキラキラした目も気になるし、もうてんやわんやだ。

 

 

「素晴らしいぞ、デミウルゴス!! ナザリック一の智者に相応しい、見事な提案だ。その頭脳は既に、この私を遥かに超越しているだろう……」

 

「何をおっしゃいますか。この発案が出来たのは、モモンガ様、それにネム様のおかげでございます。私が新たな視点を持てるよう、会話を誘導してくださったのですね?」

 

「そうなのモモンガ? 私、全然分からなかったよ。さっすが理想の支配者だね!!」

 

(やめて!? ネムまでそっち側に行かないで!?)

 

 

 さり気なく自分を下げようとしたが、あっさりと否定される。

 素直に分からないと言えるネムが羨ましい。

 そして、デミウルゴスの深読みはいつもの事だが、今回はまさかのネムまで自分の事を褒めちぎってきた。

 

 

「同感です。モモンガ様より偉大で優れた支配者は、この世にはいないでしょうね」

 

「うん、モモンガは凄い!! もう絶対誰もが認める理想の支配者だよ!!」

 

「よし!! 今回の件についてはデミウルゴスに一任する。後日、企画書にまとめて提出しろ」

 

 

 このままでは色々と不味い。

 自身の心の平穏と、無いはずの胃は自分で護らねばならない。

 

 

「おおっと、もうこんな時間か。ネム、そろそろ冒険の時間だ。さぁ行くぞー」

 

「わっ!?」

 

 

 三十六回逃げるが勝ちさ。ぷにっと萌えさんは実に良い言葉を残してくれた。

 ネムの誤解を早急に解くべく、モモンガはネムを脇に抱えて部屋から飛び出していくのだった。

 

 

「またねー、デミウルゴスさーん!!」

 

「ええ、またご意見を聞かせて下さい。どうか気を付けていってらっしゃいませ」

 

 

 誘拐の如く連れ去られながら、別れの挨拶に手を振るネム。

 ちなみにネムはネムでモモンガに伝えようと頑張っていた事があったのだが、当のモモンガは最後までそれに気づくことはなかった。

 ――理想の支配者への道のりは、限りなく近く、とてつもなく遠い。

 

 

 

 

〜イグヴァルジは見た〜

 

 

 エ・ランテルを拠点に活動しているミスリル級の冒険者、イグヴァルジ。

 彼は死の淵から這い上がった――というか、普通に一度死んで生き返った男である。

 竜王に殺されるという貴重な体験をしたイグヴァルジは現在、エ・ランテルの通りを歩きながら仲間に慰められていた。

 

 

「気にすんなよ、リーダー」

 

「そうだよ。まだ本調子じゃないだけだって」

 

「当たり前だ!!」

 

 

 いつにも増して機嫌の悪いイグヴァルジは、仲間に怒鳴るように返事を返す。

 一緒に依頼を受けていたという縁で『蒼の薔薇』のラキュースに蘇生してもらえたが、全てが元通りになる訳ではない。

 〈死者復活(レイズデッド)〉の魔法で蘇る場合、魂や肉体にかかる負荷に耐え切れず、そのまま灰になる者もいるくらいだ。

 弱い者はそもそも生き返れず、生き返れても大量の生命力を消費する。

 それが世間一般で知られている蘇生魔法の鉄則だ。

 

 

「……前なら、あんな程度の魔物に苦戦する事はなかったんだっ」

 

「ああ、分かってるよ。力が戻るまではじっくりやろう」

 

 

 そのため使える魔法の位階が下がったり、剣術の技量が落ちたり、筋力や体力に魔法力の低下など――つまりは能力が著しく下がるのである。

 今日の仕事は問題なく完遂することが出来たが、仲間からのフォローが入る度に、イグヴァルジのプライドはズタズタに傷ついていた。

 

 

(クソっ、なんで俺がこいつらのお荷物に……)

 

 

 蘇生されてからそれなりの期間は経過したのに、自身の実力はまるで戻っていない。

 イグヴァルジは今も『クラルグラ』のリーダーを務めているが、チームメイトと実力が開いた事に強い焦りがあった。

 英雄を目指す自分が、仲間の中で最も弱い。

 認めたくはないが、今の自分はミスリル級冒険者の領域にいないのだろう。

 

 

「――ねぇ、モモン。ハムスケの待ってるとこ、やっぱりちょっと遠くない?」

 

「ああ、そろそろ場所を変えてもいい頃合いかもな。みんなもう慣れただろうし、組合の裏に待たせてもいいか今度聞いてみるか」

 

 

 仲間の言葉も話半分に聞き流していた時、とある二人組が歩いているのを見つけてしまった。

 普通過ぎる少女と、豪華な漆黒の全身鎧を装備した男。ネムとモモンだ。

 

 

「おっ、あの子は相変わらず元気だな」

 

「だな。頻度は高くないが、受けた依頼はキッチリこなしてるそうじゃないか」

 

「将来有望ってやつだな」

 

「けっ、あんな奴ら冒険者じゃねぇよ。装備も魔獣もある癖に銅級(カッパー)のままなんて、やる気がないのさ」

 

「まぁまぁ、新人ならそんなもんだって」

 

 

 自分のイライラが高まっている時に、一番会いたくない人物を見かけてしまった。

 向こうから何か言ってきた事は一度もないが、内心で魔獣のアドバイスを無視した自分を嘲笑っているはずだ。

 ――大見得を切った癖に、あっさり殺された冒険者だと。

 妄執に囚われたイグヴァルジには、ネムの笑顔が自身に対する嘲笑にしか見えなかった。

 

 

(こっちは命懸けで冒険者やってんのに、楽しそうに笑いやがって!! ――っあ!?)

 

 

 イグヴァルジは怒りのままに、ちょうど道端に転がっていた石を蹴り上げる。

 すると思いがけず勢いがつき、ネムの後頭部目掛けてすっとんでしまった。

 

 

(ま、不味い!!)

 

 

 咄嗟に手を伸ばすが、それで蹴飛ばした石が止まるわけもない。

 曲がりなりにも英雄を目指すイグヴァルジは、世間体を気にするタイプだ。

 裏では色々やってきたが、表立って子供に怪我をさせる真似は自分の経歴に傷がつく。

 だが、イグヴァルジはなす術もなく石の行方を目で追いかけるしかなく、その石が何も気づいていないネムの頭に当たる――

 

 

「そいやっ!! あ、にゃー」

 

「っえ!?」

 

 

 ――寸前、猫が蹴り返してきた。

 ありえない。なんか鳴き声も変だった。

 そして速すぎて返ってきた石が躱せない。

 狙い済ませたように自らの顔面に石が直撃し、イグヴァルジは悶絶した。

 

 

「っいぐゔぁ!? ――っっぐぅぉぉ、っ痛ってぇ」

 

「ん、どうしたイグヴァルジ? 鼻血出てるぞ」

 

「ね、猫が急に飛び出してきて、石を蹴り返してきやがった!! お前らも見ただろ!?」

 

「いや、悪い。見てないが……」

 

「俺も見てないな。猫って石蹴れるのか?」

 

「無理じゃないか? 前足でひっかくくらいだろ」

 

 

 イグヴァルジは仲間を殴りつけたくなった。

 このポンコツどもが。何故見ていない。

 今だってこっちに向かって妙にムカつくポージングをしてる変な猫がいるだろうが。

 

 

「だからあの変な猫だよ!!」

 

「猫だな」

 

「野良だな」

 

「普通の野良猫じゃないか」

 

 

 イグヴァルジは片手で鼻を押さえながら必死に指を差したが、仲間の目には普通の野良猫としか映らなかった。

 タイミングが悪過ぎる。いや、良過ぎるとも言えるだろう。

 

 

(そうかあのガキ、猫をけしかけやがったな!!)

 

 

 イグヴァルジは気づいた。

 あの猫は仲間が見てる時だけ普通を装い、自分が見ている時は踊っているのだと。

 あんなのが普通の猫なはずがない。

 あの魔獣を従えるテイマーに、ネムに操られた猫に違いない。

 

 

「猫が石なんて蹴る訳ないだろ。自分で蹴った石が当たったんじゃないか?」

 

「確かに俺が蹴ったけど、そうじゃないんだ!! 蹴ったやつを跳ね返されたんだって!? きっとあのガキが操ってるんだ!!」

 

「イグヴァルジ……」

 

「流石にないだろ」

 

 

 イグヴァルジが必死に説明しても、仲間達はまともに取り合ってくれなかった。

 言葉を重ねるごとに、仲間からの生温い視線が自分に突き刺さるだけだ。

 

 

「魔獣を従えられるんだ。あのガキなら猫を操るくらい簡単だろうが!!」

 

「落ち着けよ。仮に猫をテイムしたって、猫にそんな事出来ないだろ?」

 

「……疲れてるんだよ、イグヴァルジ。今日はもう休んだらいい」

 

「愚痴なら酒場で聞いてやるからさ」

 

「ち、違う。待ってくれ、本当に違う。違うんだ……」

 

 

 魂のこもった叫びも虚しく、自身の言葉は誰からも信じてはもらえない。

 イグヴァルジは鼻血を噴き出しながら、込み上げる怒りと共に天を仰いだ。

 

 

「俺はっ、俺は見たんだぁあ!?」

 

 

 虚しい咆哮が大通りを駆け抜け、通行人の訝しげな視線が集まる。

 自身のレベルだけでなく、信頼もちょっぴり下がってしまったイグヴァルジであった。

 

 

 

 

致命的失敗な遭遇(ファンブルエンカウント)

 

 

 空気を入れ換えるため、一時的に扉が開きっぱなしとなっている家の倉庫。

 その薄暗い空間の中でエンリは一人、備蓄などの確認を黙々と行なっていた。

 

 

「うん。この鍬は軽く手入れすれば、まだまだ使えそうね。こっちの服も虫食いは無し、と」

 

 

 農具や防寒具、保存食に、灯りや暖を取るための燃料。この先訪れる冬を越すためには、どれも必要不可欠な物だ。

 もし足りない物があるなら、余裕がある今の内に準備しておかなければいけない。

 今すぐ買わないにしても、どれくらいの出費になるのか確認は必須だ。

 まだ秋にもなっていないからと、油断は禁物なのである。

 

 

「うーん、今年は念のために保存食を買わないといけないかなぁ。でも早く買いすぎて古くなっても困るし……」

 

 

 なにせ急に必要になった場合でも、カルネ村ではそれらを手に入れる手段はない。

 開拓村の冬季は非常に厳しく、冬が始まってから準備したのでは遅いのだ。

 昔より納める税が軽くなった今でも、開拓村故の生活の厳しさは何も変わっていない。

 

 

「――よし。足りない物はネムが街に行った時、ついでにお遣いを頼めば大丈夫よね」

 

 

 作業も一旦区切りがついたので、エンリはほんの少しだけ体と頭を休める事にした。

 肩を回したり腕を伸ばしたりと、同じ姿勢を続けたせいで固まった体をほぐす。

 ほどよい疲労感で少し眠気もあるので、体を動かし眠気も一緒に振り払おうとした。

 

 

「んーっ。ネムも今頃、モモンガさんと頑張ってお仕事してるのかな……」

 

 

 エンリは軽くストレッチを続けながら、ぼんやりと自分の妹の事を考える。

 今朝も元気いっぱいに家を出た、我が家の可愛い冒険者だ。

 

 

(あの日、村が騎士達に襲われて…… モモンガさん達に助けて貰って…… 本当に、色々大変だったなぁ)

 

 

 村人が何人も亡くなったあの事件が起こってから、ネムは変わってしまった。

 我が儘を言わなくなり、遊ぶ事もなく家の手伝いを率先してやる、手のかからない良い子になってしまった。

 生来の天真爛漫さが鳴りを潜め、家族に迷惑を掛けまいと、寂しそうに無理やり笑う事が多くなったのである。

 

 

(冒険はちょっと心配だけど、元気になってきたのは良い事だよね)

 

 

 あれからまだ一年も経っていない。その事を思えば、ネムも随分と元気になったものだ。

 きっかけはやはりモモンガなのだろう。

 ネムが冒険者となってお金を稼ぐと言い出した時など、家族で随分と驚かされた記憶もある。

 ――どちらかと言うと、一緒に説明に来たモモンガに驚かされたのかもしれないが。

 

 

(……やっぱり友達、モモンガさんの存在は大きいんだろうな)

 

 

 仕事ばかりを優先するようになったネムが、最近は楽しそうに遊んでいる事もある。

 モモンガの家に行ったり、虫を捕まえて戦わせたり、モモンガと宝探しに出かけたり、ハムスケとゴロゴロしていたり。

 がむしゃらに家の手伝いをしようとするだけでなく、休憩時間を楽しむようになった。

 一部普通の子供がやる遊びから逸脱しているけれど、ネムが心からの笑顔を見せるようになったのだ。

 

 

「――おや、サボりかい?」 

 

「ひゃっ!?」

 

 

 エンリが穏やかな気持ちで物思いに耽っていると、突然倉庫の扉が閉められた。

 その音に慌てて振り向くと、自分の背後にフードを深く被った老婆が立っており、悪戯が成功した子供のようにニヤリとしていた。

 

 

「い、いきなり勝手に入ってくるなんて、あなた誰ですかっ!?」

 

「なんだい、寂しいこと言わんでおくれ」

 

 

 カルネ村は規模が小さいので、村人ならほとんど顔見知りと言っていい。

 しかし、自分はこの人を村で見かけた事がない。

 ――怪しい。

 剣を携えた老婆なんて、村にいたら話題にならないはずがないのに。

 

 

「――()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 老婆が自分の目を見つめながら、戯けたように笑った。

 自分は何を慌てていたんだろう。

 名前を知っている訳ではないけど、この老婆は自分の()()だ。

 

 

「あれ? そうですよね。お婆さんと私は友達なのに」

 

「……すまないね、こんな真似して」

 

「そんなっ、勝手に入った事ならもう気にしてませんから」

 

 

 突然現れたので驚きはしたが、警戒するような相手ではない。

 少し悲しそうな顔で謝っているし、ほんのちょっと悪戯心があっただけなのだろう。

 そんなに申し訳なさそうな顔をされると、自分も逆に困ってしまう。

 

 

「ちょっと顔を見に来たんだが、妹は元気にしとるかい?」

 

「はい。ネムは今日もモモン――さんと一緒に冒険に出かけてます」

 

「あの魔獣、森の賢王も一緒かい?」

 

「もちろんハムスケさんも一緒ですよ」

 

「ああ、今はハムスケという名だったね。ところでネムは――」

 

 

 老婆が再び快活な顔を見せると、何気ない雑談が始まった。

 質問の頻度がちょっぴり多い気はするが、変な事を聞かれている訳でもないのでエンリも気にせず会話を続ける。

 まだ倉庫の整理も途中だし、何となく違和感はあるけれど、友人と少し喋るくらいの休憩は構わないだろう。

 

 

「大魔獣を友達に…… にわかには信じがたいね。妹は魔獣を手懐けるタレントでも持っとるんじゃないのかい? それかマジックアイテムとか」

 

「あはは、まさか。ネムはそんなの持ってませんよ」

 

「そうかい。なら冒険者仲間の片割れ、モモンとかいうのは何者なんじゃ?」

 

「一言で言うなら、ネムの友達ですね。私も詳しくは知らないんです」

 

「この村の者ではないのか?」

 

「違いますよ。本当にどこで知り合ったんでしょうね? 遠い所から来られたみたいですけど」

 

 

 流石に友人と言えど、冒険者モモン――モモンガについては詳しく話せない。

 その正体やモモンガ自身の仲間についても、わざわざ言うべきではないだろう。

 カルネ村を救ってくれた恩人でもあるが、その辺りを説明すると話がややこしくなってしまう。

 そもそも自分がモモンガについてあまり知らないので、上手く説明が出来ないというのもあるが。

 

 

「でもあの子ったら、前に聞いた時は『夢で会った別の世界の友達が、約束したら来てくれた』なんて言ってたんですよ」

 

「……別の世界、じゃと?」

 

 

 ネムから聞いたうろ覚えの話を冗談めかして伝えたら、急に老婆の目つきが変わった気がした。

 剣呑とまでは言わないが、少し身構えたような姿勢になっている。

 エンリは老婆の反応を不思議に思った。

 モモンガが立派なお城に住んでいる事も、その正体がアンデッドである事も話していないのに、と。

 

 

「それは本当か?」

 

「え、その、ネムが見た夢の話ですよ?」

 

「あ、ああ、分かっとるよ。わしも御伽噺なんかは好きだからね」

 

 

 真剣味の増した表情で、老婆がわざわざ確認してきた。

 まさか夢の世界から来たなんて与太話を、そのまま信じた訳でもないだろうに。

 ネムの話も所詮は空想、子供の想像力の産物だ。

 

 

(まぁ、ネムが誤魔化そうとしたのも無理ないよね。相手が相手だし)

 

 

 人に優しいアンデッドが存在するというだけならまだしも、夢の別世界から来たという話は流石に自分も信じられない。

 実際に自分も一度だけ城に招いてもらった事があるので分かる。モモンガが住んでいるのは確かに夢のような空間だが、夢ではなくちゃんとした現実にある城だ。

 

 

(アンデッドと仲良くなったなんて言ったら、普通はお説教じゃすまないもんね)

 

 

 エンリからすれば夢の話云々は、日頃から近づいてはいけないと注意していたアンデッド――実際は危険どころか命の恩人で紳士的な方だった――と友達になった事を誤魔化すために、ネムが作った作り話だと思っている。

 

 

「その妹の話では、妹がその者を連れてきたのかい?」

 

「うーん、約束というか、誘ったみたいな感じでしたけど…… ごめんなさい。だいぶ前に聞いたので、正直あんまり覚えてなくて」

 

 

 老婆の質問がやけに細かい。

 夢の世界から友達が来たという部分だけを切り取れば、それなりに感動的だろう。

 微笑ましく笑うところはあれど、老婆が不審に思う要素など何も無いはずなのだが。

 

 

「ああ、いいんじゃよ。子供の想像力は凄いもんじゃな。ところで、その夢の世界の名前は――『ユグドラシル』という名じゃないかい?」

 

「何か知ってるんですか?」

 

「ちょっとした御伽噺に出てくる名前でね。妹さんもどこかで聞いたのかもしれないと思ってねぇ」

 

「へぇ、そうだったんだ」

 

 

 夢の話にここまで食いつくのは意外だったのだが、老婆はその事が気になっていたのだろう。

 ネムの作り話にはちょっとしたモデルがあったのかと、エンリも今更ながら納得する。

 

 

「ええ、多分ネムが言ってたのは、そんな名前だったと思いますけど……」

 

「そうかい。揺り返し以外にもやって来るとは…… 出来れば違っていて欲しかったんだがねぇ」

 

 

 エンリが曖昧に頷くと、老婆は憂いを帯びた表情を見せ――

 

 

「あれ? お婆さんはどこに? ――っあの人別に私の友達じゃなかった!?」

 

 

 突然思考がスッキリしたエンリは、先程までの異常な感覚に気づいた。

 なぜ自分は初対面の人を、友人などと思い込んでいたのだろうか。

 当人に問い詰めたいが、話していたはずの老婆の姿はもうどこにもない。

 

 

「あら、どうしたのエンリ?」

 

「あっ、お母さん!! 剣を持ったお婆さん見なかった? こう、フードを被ってて、白髪で私より長めの三つ編みにしてる人なんだけど……」

 

「そんな人家にいる訳ないでしょ。私はずっとそっちで裁縫してたけど、お客さんも来てないわよ?」

 

 

 ちょうど様子を見にきた母親に尋ねても、そんな人物は見ていないと言う。

 あの老婆が本当に存在したのなら、母に気づかれずに倉庫に来るのは難しいはずだ。

 さっきの妙な内容の会話は、自分の見た夢だったのだろうか。

 

 

「変だなぁ、白昼夢でも見てたのかなぁ」

 

「今は村に冒険者の人も来てないし、きっと寝ぼけてたのね。エンリだっていつもしっかりしてるけど、偶にはお昼寝してサボりたくなる日もあるわよね」

 

「……うん、そうだよね。って、私サボってないよ!?」

 

「うふふ、じゃあ倉庫の整理は終わったの?」

 

「うっ。……それは、あとちょっとです」

 

 

 エンリは違和感を拭いきれなかったが、母親の言う通り少し寝ぼけていたのだろうと無理矢理に納得する。

 それから日が経つに連れて、そのまま老婆の事は段々と記憶の片隅に追いやられたのだった。

 

 

 

 

〜話し合いは大切です〜

 

 

「――はじまりました『ネムの部屋』。今回のゲストは、執事のセバス・チャンさんです!!」

 

「よろしく、お願いいたします」

 

 

 ネムの元気な掛け声と共に、何処からか流れ出す「るーるるー」という肉声のBGM。

 『ネムの部屋』――ナザリック内では噂に色々な尾ひれがつき、今では誰もが興味を持つイベントだ。

 そして同時に、参加者の約半数が謹慎をくらった恐ろしい企画でもある。

 

 

「よろしくお願いします、チャンさん」

 

 

 明らかに老齢である自分に対して、ネムなりに丁寧な呼び方をしたつもりなのだろう。

 その結果、今まで経験にない名前の呼ばれ方をされ、セバスは思わず苦笑した。

 

 

「ネム様、私の事はどうかセバスとお呼びください。申し訳ありませんが、それ以外で呼ばれる事には慣れていないものでして」

 

「分かりました、セバスさん」

 

「はい、ありがとうございます」

 

「それじゃあ質問なんですけど、私がナザリックの方達からたまに様付けで呼ばれるのって何でですか?」

 

 

 ネムからの早速の質問に、セバスは折り合いの悪い同僚の顔を思い出してしまう。

 確かあの男もネムを様付けで呼んでいた気がする。

 栄えあるナザリックの執事としての矜持で、顔には一切感情を出さなかったが。

 

 

「不思議だなぁって思ってたんです。セバスさんもネム様って、言ってましたけど」

 

「私はモモンガ様に仕える執事でございます。ですので、主人のご友人であるネム様には、敬意を持ってそう呼ばせて頂いております」

 

 

 かつて玉座の間で見た芯のある表情とは違い、今のネムの顔には子供らしさが溢れている。

 セバスは微笑を浮かべながら、ネムの質問に答えた。

 

 

「他の者も少なからず、ネム様を敬う気持ちがあるのでしょう」

 

「私、全然偉い人じゃないですよ? 普通の村に住んでる平民なのに」

 

「ふふっ、外の世界ではそうかもしれませんね。ですが、ナザリックは少々特殊ですから」

 

「異形種の方が集まっていると、やっぱり考え方も違うんですね」

 

 

 ナザリックは外の世界とは違うという理由に、ネムは納得したように頷いた。

 どこまで理解しているかは不明だが、それについてセバスはあえて何も言わない。

 

 

(あのデミウルゴスですらそうなのですから、本当に大したものです……)

 

 

 ナザリックに属する者が外の人間に敬意を持ったり感謝するなど、普通はあり得ないのだ。

 それがどれ程の偉業か、ネムは知らなくても良い事だろう。

 

 

「セバスさんは確か竜人っていう種族なんですよね。変身出来るってモモンガに聞いたんですけど、どんな感じですか?」

 

「この場でお見せするには不都合があるのですが…… 強いて言うなら竜の鱗が生え、肉体全てが強化されるとでも申しましょうか」

 

「へぇ、凄く強そうです。なんだかデミウルゴスさんの腕が変化するやつと似てる気がします」

 

「私の方が圧倒的に強いですけどね」

 

 

 それからしばらくの間、子供の好奇心をそのまま形にした質問の数々に、セバスは優しく紳士的に対応し続けた。

 

 

「――そういえば、セバスさん。お仕事中に趣味を優先する人ってどう思いますか?」

 

「言語道断ですね。己の欲に負けて使命を全うできない者など、愚かとしか言えません」

 

 

 一体どんな意図があるのか。

 何かを思い出した表情のネムから、これまでの流れを無視した質問がでてきた。

 

 

「じゃあ、どうすればその人は真面目に仕事をするようになると思いますか?」

 

「そうですね…… まずは話し合いでしょうか。相手が仕事をサボっている理由、原因を聞きます。その上で対策を考え、仕事の重要性を言い聞かせる必要があるでしょう」

 

 

 ネムの質問は突飛なものが多いと他の者から聞いてはいたが、これは流れ的にも変な内容だ。

 セバスはハッキリと自分の意見を答えたものの、薄らとした違和感を感じずにはいられなかった。

 

 

「それでも仕事をしてくれなかったらどうしますか?」

 

「それで聞かないとなると、相手も何か譲れない信念があっての事でしょう」

 

 

 何故か座問答のようになってきたが、セバスは一つ一つを真剣に考えて言葉にする。

 正しい行いとは一つではない。

 己の創造主は間違いなく立派な正義を掲げる方だったが、他のギルドメンバーとの衝突がなかった訳ではないと聞いている。

 時には意見が食い違い、他の仲間と喧嘩もしてきたそうだ。

 至高の四十一人ですらそうなのだから、正義とは一つではないはずである。

 

 

「その場合は互いの信念、正義をかけて…… 殴り合い、ですかね?」

 

「おぉー。セバスさんは意外と熱い方なんですね」

 

「老体でございます故、それ程ではございませんよ」

 

 

 セバスは少しだけ冗談めかして、質問の回答を締めくくった。

 先ほどは訝しんでしまったが、なんとも心地よい語り合いだ。

 ナザリックの仲間は大切で、もちろん嫌いな訳ではないが、カルマ値が極善のセバスはナザリック内では異端と言える。特に外の人間に対する価値観などが違い過ぎるのだ。

 そのため、こうした純粋な存在との会話は心躍るものがある。

 

 

「それでネム様、これらの質問の意図を聞いてもよろしいでしょうか?」

 

「デミウルゴスさんが、是非セバスさんに聞いてみてくれって言ってたんです」

 

 

 ニッコリと笑ったネム。

 セバスは一瞬だけ表情が石化し、再び同僚の悪魔の顔が脳裏をよぎった。

 

 

「デミウルゴスが?」

 

「はい。えっと確か…… お仕事中なのに『道案内』とか『ゴミ拾い』をしたり、『見知らぬ少年の修行の手助け』とか、全然関係ない事をしてる同僚がいるそうなんです」

 

「そ、それは……」

 

 

 真っ直ぐに伸びた自身の背中に、冷や汗が流れ落ちる。

 さっきまでの心地よさなど、簡単に吹っ飛んでしまった。

 なにせネムの口から出た情報に、セバスは心当たりがあり過ぎた。

 

 

「その同僚のせいで困ってるらしいんですけど、デミウルゴスさんとその人は意見が合わないらしくて。でもセバスさんならきっと良い方法を教えてくれるはずだからって」

 

「なるほど、なるほど……」

 

「良いお話が聞けたので、これならきっとデミウルゴスさんもその人と上手くやれますね!!」

 

 

 この様子から察するに、ネムは皮肉を言っている訳ではない。

 むしろ何も知らずにいるのだろう。

 

 

「でもなんでデミウルゴスさんは、セバスさんに直接聞かなかったんでしょう?」

 

「さて、あの男の考えは、私には分かりかねます。もしかしたら、彼も自身の趣味に時間を取られているのかもしれませんね」

 

「あっ、デミウルゴスさんの趣味なら知ってます。骨細工が好きだって聞いたことあります!!」

 

 

 三度脳裏をよぎるあの野郎。

 天地がひっくり返ってもネムとデミウルゴスの性格は合わないと思うのだが、一体どんな印象操作をしたのか。

 デミウルゴスに対するネムの好感度は中々高いようだ。

 

 

(あの男、やってくれましたね……)

 

 

 それにしても、直接自分に言うのではなく、ネムに言わせるというのが憎らしい。

 底意地の悪さが滲み出ている。まさに悪魔。

 自分を手のひらで転がし、高笑いしている姿が目に浮かぶようだ。

 

 

「――残念ながらそろそろ終わりのお時間です。セバスさん、今日はありがとうございました」

 

「こちらこそ、ネム様とお話が出来て楽しかったです」

 

「私も楽しかったです!! さっきのお話は今度デミウルゴスさんに伝えておきますね」

 

「いえいえ、折角ですから私が直接伝えますよ。ちょうどこの後、彼に用がありますから」

 

「分かりました。では、またの機会にお会いしましょう!!」

 

 

 非常に和やかなエンディング。

 今日は上手くいったと、ネムが分かりやすい笑顔で部屋から出ていった直後。

 セバスは顔から笑みを消し、ゆっくりと拳を握りしめた。

 

 

「……さて、まずは話し合いに行きますか」

 

 

 当然、その足が向かう先は――第七階層。あの悪魔の守護する領域である。

 ネムに伝えた事を、きっちりと実践しに行ったセバスだった。

 

 

「デミウルゴス、貴方のやり方は捻くれていて卑怯すぎます!!」

 

「セバス、そういう君は馬鹿正直すぎる!!」

 

「モモンガ様のご友人であるネム様を利用するのは、いかがなものかと思いますがね!!」

 

「利用とは心外だね。君に対して最も効果を発揮出来る存在に協力してもらったまでだよ。もちろん無理強いもしていない!!」

 

 

 その後、悪魔と竜人の話し合い兼殴り合いが勃発したり、二人に熱い友情が一切芽生えなかったり――

 

 

「流石あの二人が作ったNPCだな。うーん、内輪で争い合うのは見たくないけど、あの二人だしなぁ…… 仲良く謹慎? いやいや、ここは喧嘩両成敗で終わらせるべきか? ことの発端も微妙だしなぁ」

 

 

 ――二人して謹慎を言い渡されたりされなかったり。

 

 

「信賞必罰は世の常。でも罰を与えるとか、俺向いてないよ。みんなに褒賞すら渡してないのに…… 支配者って大変だなぁ」

 

 

 モモンガも支配者として、部下の指導に悩む事になったとさ。

 

 

 




今回もギャグ要素強めでした。
色んな話を詰め合わせたので、時系列とかは深読みしないでくださると嬉しいです。
デミウルゴスはあえて変な語尾を付けたりとか、普段の優秀さとのギャップが最高です。


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