不思議の墳墓のネム   作:まがお

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前回のあらすじ

「冒険者になったよ!! でもお仕事がない……」
「おいおい、死んだわ俺」
「アンデッドは放置してネムと訓練するか」
「尻尾が疲れるでござる」

今回こそ普通にお仕事回です。
でも仕事してない部分が割と多い……


骨と少女と魔獣のわーきんぐ

 リ・エスティーゼ王国の都市エ・ランテル。

 都市の外周部――西側の地区には共同墓地があり、現在は門と壁の修復作業が行われていた。

 

 

「こりゃひでぇな…… 一から作り直した方が簡単なんじゃねぇか?」

 

 

 一週間ほど前に起こった大規模なアンデッドの襲撃。その爪跡が一人の大工の目にまざまざと映った。

 頑丈な石材で作られた外壁は傷だらけで、至る所が崩れている。門に至っては大穴が空いており半壊状態だ。

 

 

「街を守ってくれた冒険者と衛兵さん達に感謝だな。しっかし、いったい何だったのかねぇ……」

 

 

 その襲撃には秘密結社『ズーラーノーン』の関与が疑われているが、墓地からアンデッドが大量発生した正確な理由は不明である。

 冒険者達が必死になって戦っていたら、いつの間にか襲撃が止んだのだ。

 黒幕も解決した者も一切分からない――何ともスッキリしない終わり方だったそうだ。

 

 

「お前達にはこっちの資材を運んでもらう。そこから半分に分かれて――」

 

 

 現場で班長を任されていた男は、日毎に変わる顔ぶれに声をかけていた。

 工事に参加する人数も毎回違うが、この程度の分担作業は慣れたものだ。

 

 

「――かなり重いから気をつけろよ。一度木箱から出して、そこの袋に詰め直して持っていけ」

 

 

 この場にいるのは建築の専門家ばかりではない。

 作業着を着た職人の他、日雇いの冒険者らしき者達が半分くらいを占め、彼らは雑用として働いている。

 集合したほとんどの者が動きやすい軽装で、首からタオルをかけている者も多い。

 ――しかし、一人だけ異彩を放つ存在がいた。

 

 

「これ、そのままでもいけそうですね」

 

 

 およそ工事現場には似つかわしくない、質の良さそうな重装備を着けた人物。照りつける太陽光が、その鎧をキラリと光らせる。

 漆黒の全身鎧を纏った男は、木箱を指して軽い口調で意見を述べた。

 

 

「はっはっはっ!! なんなら箱ごと持ってみるか、鎧の兄ちゃん――」

 

 

 班長が冗談だと笑い飛ばす中、男はあっさりと木箱に近づきしゃがみ込んだ。

 その正体はもちろん、ネムと仕事に来たモモンガである。

 

 

「では遠慮なく。よっこいしょっ、と」

 

 

 満身の力を込めている様子も、何か魔法を使っている様子も見られない。

 ただ掴んで持ち上げるだけ――その動作だけで、数百キロはあるであろう重量が、たった一人の手によって宙に浮かんだ。

 

 

「それで、これをどちらまで運べば?」

 

 

 まるで空箱を持ち上げる様な気軽さで、頭上に木箱を掲げるモモンガ。

 ヘルムで顔は見えないが、彼の声には明らかな余裕があった。

 その態度は如何にも「普通の事をやっていますよ」と言わんばかりだが、どう考えても異常だ。

 そのくせ冒険者にありがちな、力を見せつける意図すらも感じられない。謎の鎧の人物にとってはまさしく簡単な事なのだと、彼の纏う雰囲気が物語っていた。

 いっそ清々しいまでの怪力っぷりだ。

 

 

「おいおい、アイツの筋力どうなってんだよ……」

 

「ありゃ鎧の中身はきっと凄いぞ。『胸ではなく大胸筋です』よりもムキムキに違いねえ」

 

 

 どこからか発せられた小さな呟きは、この場にいる全員が思っていた事だろう。

 ――実際のところ、鎧の中身は筋肉どころか肉も皮もない骨だが。

 そして本職は戦士ではなく魔法詠唱者(マジックキャスター)である。

 

 

「あの、もしもし?」

 

「――っは!?」

 

 

 鎧姿を内心で馬鹿にしていた者も含め、周囲の人が全員絶句している。

 班長もどこかへ意識を飛ばしていたが、モモンガに声をかけられ現実に戻ってきた。

 

 

「あ、はい。あっちの骨組みをしている所に、頼み――ます……」

 

「了解しました」

 

 

 そして次に指示を出す時は、思わず口調が丁寧になっていたという。

 

 

(営業先の面倒な人間関係も、無茶ぶりしてくる嫌な上司もない。それにリアルじゃこんな肉体仕事絶対ありえないから、ちょっと楽しいな)

 

 

 普通の人間からすれば超が付く重労働だが、レベル百の肉体を持ち、アンデッド故に肉体の疲労すらないモモンガにとっては楽すぎる仕事。

 周りの驚愕をよそに、鎧の中で骨は意外とルンルン気分で働いていたとか。

 

 

 

 

 一方その頃、同じ現場で働いている少女と魔獣のコンビ。

 彼女達もまた、モモンガとは別の意味で異彩を放っていた。

 

 

「おーい、誰かロープを取って来てくれ」

 

 

 外壁周りには工事のため、五メートル程の高さの足場が組まれている。

 重労働という訳ではないが、一々降りて自分で道具を取りに行くのは少々面倒な高さである。

 そのため足場に乗った作業中の男は、下にいる者に道具を取ってもらおうと声を張り上げた。

 

 

「はい、ロープです!!」

 

 

 程なくして僅かな地響きと共に、工事現場には似合わない少女の可愛らしい声が聞こえてきた。

 

 

「おお、ありがとう。お嬢ちゃ……ん?」

 

 

 男が呼び掛けられた方に振り向くと、小さな少女がロープの束を抱えている。

 何も間違ってはいない。望みの物は予想よりも早く男の下に届いた。

 若干の違和感を感じながらも、それを受け取り少女に軽くお礼を告げた。

 

 

「また何かあったら言ってくださいね」

 

「あ、ああ……」

 

 

 たとえ小さな事でも仕事が早いのは嬉しい。最近の子どもは随分と勤勉なようだ。

 ――しかし、おかしい。

 自分のいる足場に誰かが登ってくる音も気配もなかった。そもそも、この子がいる方向に足場は存在しないはず――

 ――この少女、一体どこに立っているのだ?

 

 

「ハムスケ、ここは届けたから次行くよ」

 

「了解でござる!!」

 

 

 彼の疑問は直ぐに解決した。答えは少女の足元を見れば一目瞭然である。

 ――少女は浮いていた。

 それも魔法で浮いている訳でも、ロープで吊り上げられている訳でもない。

 

 

(魔獣!? しかも喋っただと!?)

 

 

 恐ろしく強そうな魔獣の尻尾を体に巻き付け、必要な高さまで運んでもらっていたのだ。

 高い知能を有する魔獣は器用に尻尾を操り、少女を優しく自らの背に戻している。

 

 

「あの子、一体何者なんだ?」

 

 

 魔獣の背に乗り去っていく少女を眺め、驚きがポツリと溢れる。だがその言葉に返事をくれる者はいない。

 ――あんな立派な魔獣を脚立扱いするなど、実はとんでもない存在ではないだろうか。

 

 

「――うん、真面目に働いてるみたいだし、どうでもいいか。俺も仕事だ仕事……」

 

 

 そんな不安にも似た思いが一瞬だけ頭をよぎった。

 しかし、彼女と一匹が行く先々で同じように小間使いを繰り返しているのを遠目に見て、男は深く考えるのをやめた。

 

 

「魔獣と働いちゃいけない、なんて法律はないしな……」

 

 

 王国では重要視されていないが、この世界には魔法だってちゃんと存在している。

 バハルス帝国では魔法を学ぶ大きな学校もあるし、軍隊では魔獣に騎乗する部隊もあるらしい。

 ならば、少女と魔獣が一緒に働く事も、あり得ない事では――ない。

 

 

「この調子でどんどん行くよー!!」

 

「某も頑張るでござる!!」

 

 

 現場では今も少女が元気な声を響かせながら、魔獣と共に駆け回っている。

 少女と魔獣は礼儀正しく、二人とも働き者だし何も害はない。

 ――気にしたら負けだ。

 働いている者達は皆、そう納得するしかなかった。

 

 

 

 

 今日はいっぱい働くことが出来た。

 疲れたけどそれだけじゃない。疲労感だけでなく、満足感が体に満ちているのを実感する。

 

 

「お疲れ様、ネム。怪我とかはしなかったか?」

 

「モモンもお疲れ様。疲れたけど全然大丈夫だよ。ハムスケもありがとう!!」

 

「なんの、某からすればこの程度は余裕でござるよ」

 

 

 今日やった仕事は工事現場でのお手伝い。

 仕事中はモモンガと離れて作業する事も多くて、最初は少し心細かった。

 だけどハムスケは一緒だったし、周りの大人はみんな親切だったから、不安はすぐになくなっていた。

 

 

「それは良かった。私も全部を見ていた訳ではないが、ハムスケと協力しながら色々工夫もしてたみたいだな」

 

「うん。ハムスケは細かい事出来なくて、私は力がないから、一緒に頑張ったよ」

 

「他の者と協力するというのも、中々新鮮な体験でござるな。それに、某もあともう少しで何か新しい力が目覚めそうな――」

 

 

 モモンガの顔は見えないけど、声の感じからしてニコニコしていると思う。

 私を乗せてくれているハムスケも、その活躍をモモンガに話せて楽しそうだ。

 

 

「――お前さん達、ちょっと待ちな……」

 

 

 今日の出来事をあれやこれやと話しながら歩いていると、私達の前に一人の男性が立ち塞がった。

 

 

「お、お前は――」

 

 

 モモンガはわざとらしく驚きの声を上げ、その男に向かって指を突きつけた。

 私もちょっと真似して驚いたフリをしてみる。

 ――そこそこ鍛えられた肉体。

 ――スキンヘッドに彫り込まれた刺青。

 ――あんまりカッコよくない顔。

 

 

「――オイオ・イテージャ・ネーカ!!」

 

「そんな・名前じゃ・ねぇよ!?」

 

 

 前に宿屋で会った、冒険者のおじさんだった。

 モモンガはいつもカッコいいけど、意外とお茶目なところもあるよね。

 

 

「すまない。ちょっとした冗談だ」

 

「お前冗談とか言うんだな…… いや、そもそもお前らにはそれ言ってねぇよ。何で知ってんだよ?」

 

「なに、飲んだくれ仲間が話していたのを小耳に挟んだだけだ」

 

 

 モモンガの付けたあだ名?が気に入らなかったのか、おじさんはガックリと肩を落とした。

 私はそんなに悪くないと思うけどなぁ。なんというか響きがしっくりきた。

 ハムスケの名前を思いついたのもモモンガだし、モモンガは名付けのセンスがあると思う。

 

 

「それでおじさん、どうしたんですか?」

 

「ああ、その…… ちょっと聞きたいことがあってな」

 

 

 私が尋ねると、おじさんは髪のない頭をポリポリと掻き、視線をどこかへ漂わせた。

 そして、ゴクリと喉を鳴らすと、こちらを見つめて意を決した様に口を開く。

 

 

「……お前ら、一体何者なんだ?」

 

「ネムです」

 

「モモンだ」

 

「ハムスケでござる」

 

「そうじゃねぇよ!?」

 

 

 流れる様に自己紹介をしたら、勢い良くツッコまれた。

 このおじさんは意外とノリが良いみたい。

 

 

「仕事場で見せた、お前の化け物じみた筋力。そこのやべぇ魔獣。それを操るお嬢ちゃん…… どう考えたって普通の新人冒険者じゃないだろ」

 

 

 ため息混じりに吐き出された言葉。

 モモンガは確かに凄いけど、他は色々勘違いしているようだ。

 

 

「私はアレだ。十二年程戦い続けて何やかんやしていたらこうなった」

 

「テキトーだな…… だけど冒険者は初めてってだけで、やっぱり経験は豊富か。実は意外と歳食ってんのか?」

 

「ふむ、今何歳だったかな? 歳なんて気にしてこなかったが…… 確か、三十歳くらいだったような…… いや、まだ二十代だったかな?」

 

「自分の年齢が曖昧って、どんな生活送ってきたんだよ!?」

 

「超過労働だが?」

 

 

 モモンガは首を傾げながら、慣れた様に正体をはぐらかしている。

 でも私も知らなかったな。モモンガはアンデッドだから、もっと何百歳とか長く生きてるのかと思ってた。

 意外とお父さんと近い。もしかしたら若いくらいかも。

 あれ? でも、もしかしたら今のは誤魔化すための嘘?

 どれが本当なのか後で聞かなきゃ。

 

 

「まぁまぁ落ち着くでござるよ。先ほどから何を恐れているのか分からんでござるが、某は元々『森の賢王』と呼ばれていた者」

 

「も、森の賢王……だとっ!?」

 

「断じてやべぇ魔獣ではないでござるから、安心するでござるよ」

 

「滅茶苦茶やべぇ奴じゃねぇか!? むしろ予想してたよりずっとやべぇわ!!」

 

「はぁ、騒がしい雄でござるな。モモン殿を見習ってほしいでござる。……それに某よりモモン殿の方がもっとやべぇでござる」

 

 

 ハムスケが安心するように言ったけど、おじさんには逆効果だったみたい。

 でも慌てすぎて、ハムスケが小声で呟いた後ろの言葉までは届いてなさそう。

 伝説になってるハムスケが言うくらいだし、やっぱりモモンガは本当に凄いよね。

 それはそうと、私も訂正しておかなきゃ。

 

 

「それとおじさん、私はハムスケのこと操ってなんかないですよ?」

 

「……は? この魔獣、実は首輪なし? ガチ野生?」

 

「ハムスケは私の友達で、相棒です!!」

 

「あー、はいはい。なるほどね? うん。お嬢ちゃんの言いたい事は完璧に理解しましたぜ」

 

 

 おじさん絶対分かってない。

 言葉遣いが怪しいし、考えるのを諦めたお姉ちゃんみたいな顔してる。

 ハムスケは魔獣登録の都合上、私のペットみたいに思われているけど全然違う。

 ここは譲れない大事なポイントなのに。

 

 

「聞きたい事はそれだけですか?」

 

「ああ、お前らを真剣に知ろうとした俺が馬鹿だった」

 

 

 何かを悟った様な、爽やかな笑顔で言い切られた。ちょっとむかっとする。

 このおじさん、本当に何しに来たんだろう。

 

 

「地味に失礼だな。私達は基本的に嘘をついていないというのに」

 

「わ、悪かったな。にしても、やっぱりこっちが素なのか? 宿で殺気を放った時とは、えらい違いじゃねぇか。……中身別人だったりしねぇよな?」

 

「もう一度やりましょうか?」

 

「すみません。勘弁してください」

 

 

 腰から九十度にピシッと折り曲げられた、とっても綺麗なお辞儀を見せるおじさん。

 太陽が頭に反射して微妙に眩しい。

 

 

「そろそろ行かせてもらいますよ」

 

「いや、もうちょっとだけ待ってくれっ。俺も賭けで負けて仲間から色々聞いて来いって――」

 

 

 冒険者としては私達の方が明らかに後輩なのに、モモンガの一言で完全に立場が逆転している。

 やっぱりこれもモモンガのカリスマのなせる業なのだろうか。

 

 

(今日の報酬で何を買おうかな~。半分は貯金でしょ。あとはお肉がいいかな。それとも保存食かな?)

 

 

 でも私はこのやり取りに既に飽きていた。

 ハムスケの上でおじさんの頭部を眺めていたけど、頭の中は家族へのお土産を何にするかでいっぱいだ。

 大人のよく分かんないお話、早く終わらないかな。

 折角お仕事してお金が手に入ったんだから、モモンガと早く買い物に行きたいのに。

 

 

(新しい包丁とか? 布とかの方がいいかな。でも甘いお菓子も欲しいなぁ。それから――)

 

 

 このお金は家族のために稼いだけど――ちょっとは自分の欲しい物を買っても良いかな?

 

 

 

 

 多くの人で賑わうエ・ランテルの中央広場。

 日用品から食材、ちょっとした装飾品を売る店など、沢山の露店がところ狭しと並んでいる。

 至る所で食べ物の美味しそうな匂いが漂い、思わず財布の紐が緩んでしまいそうな場所となっていた。

 

 

「それもいいなぁ…… こっちのも良い…… うーん、迷っちゃうなぁ」

 

 

 この広場は一般市民だけでなく、当然のように冒険者も利用している。

 今も一人の冒険者――一見すると普通の少女に見える――が感嘆の声を漏らしながら、嬉しそうに瞳を輝かせていた。

 

 

「買い物でテンションがここまで上がるとは、ネムもやはり女の子だな」

 

「某も雌でござるが、あまり理解出来ないでござるな。獲物を前にした興奮と似たような物でござろうか?」

 

 

 そしてその少女の後ろには、あまりにも存在感の強い者達がいた。

 漆黒の全身鎧を身に纏った戦士。人語を操る巨大な魔獣。もはや一番普通なはずの少女の方が浮いている。

 彼らは買い物客の中でも一際目立ち、一歩間違えれば騒動になりそうな三人組だった。

 

 

「今日はまだ時間があるから、ゆっくり見ても問題ないぞ」

 

「うん!!」

 

 

 モモンガとハムスケはゆったりとした歩調で、前を元気に走るネムについて行く。

 少女を見守る微笑ましげな雰囲気。そして冒険者である事を示す首のプレート。

 そのどちらかが欠けていれば、彼らは衛兵に通報されていただろう。

 

 

「おいしそう…… でも、食べ物以外にも色々あるしなぁ」

 

 

 ネムにとって惹かれる物は沢山あるが、資金は有限。無駄遣いは厳禁だ。

 あっちこっちに動き回り、店先に並ぶ商品を眺めながらも、よだれを飲み込み必死に誘惑と戦っている。

 

 

「一つだけなら…… あれ?」

 

 

 そんな中、ネムは広場の片隅で店を構える、一つの露店が目に入った。

 

 

「なんのお店だろう?」

 

 

 全体はパステルカラーで統一され、小さな灯りで飾り付けられたファンシーな店。

 見た目は派手な屋台のはずなのに、何故かひっそりとした印象を醸し出している。

 不思議な雰囲気の店で、そこの周りだけ何故か客が一人もいない。

 まるで、誰もその店がある事に気付いていないかのようだ。

 

 

「――モモン、ハムスケ!! こっち来て!!」

 

 

 ネムは好奇心に身を任せ、その店に小走りで向かった。

 手が届くほど近くまで寄れば、その店の正体もハッキリと分かる。

 色鮮やかな台の上で輝きを放っているのは、様々な装飾が施されたネックレスに指輪、髪飾り。その他にも用途の分からない物がいくつか並べられている。

 どうやらアクセサリー等の小物を売っている店のようである。

 

 

「キラキラして綺麗……」

 

 

 ネムは感嘆の声を上げつつも、並べられた商品を触る事は躊躇った。

 綺麗に配置された商品は、そのどれもが精巧で美しく、露店で売られている事が不思議なくらいの完成度だったのだ。

 

 

「ようこそお客様。私――のショップへ」

 

 

 ネムが後ろの二人を手招きしながら商品を眺めていると、いつの間にか近くに人が立っていた。

 露店の店主にしては上品過ぎる、村では見慣れない服を着た二十代前半くらいの男性。

 ネムの知る限りだと、以前見たデミウルゴスの服装が近いだろうか。

 男は優しそうな笑顔を浮かべ、少女に向かって優雅に挨拶をした。

 

 

「こんにちは。どれもとっても綺麗ですね」

 

「お褒め頂きありがとうございます。実はどの商品も私の手作りでして、自慢の一品です」

 

 

 ネムは元からあまり人見知りなどはしない。それに加えて店主の話し方も硬すぎず、大人にしては随分と話しやすそうに思える。

 そのため、ネムは普通に挨拶を返して店主と話し始めた。

 

 

「――すっごーい!! これとか凄く可愛いです!!」

 

「流石はお客様、お目が高い。それこそは……それこそは!! 私のおすすめ商品でございます!!」

 

「ところで、こっちのは何に使うんですか?」

 

「このアイテムはですね――」

 

 

 この店にあるのは初めて目にするものばかりで、好奇心旺盛な少女の質問は中々尽きない。そうやって話していると、二人が打ち解けるのにはさほど時間はかからなかった。

 ネムは目につく商品をどんどんベタ褒めし、店主の男が楽しそうに商品の説明をする。

 そんな流れを繰り返し、二人だけのお祭り騒ぎ状態である。

 

 

「わぁ、これとかお土産にしたら喜ぶかな……」

 

「ほっほーう、それをお選びになるので?」

 

 

 店主は時々妙なイントネーションで喋り、爽やかな見た目に反してテンションも高かったが、ネムは気にする事なく一緒に盛り上がっていた。

 

 

「これっていくらですか?」

 

「金貨五百枚でございます」

 

「五百枚? ……え、金貨で!?」

 

 

 ネムは鳥の翼を象ったネックレスを指差し、何気なく質問しただけのつもりだった。

 しかし、自分が見ていた物の値段を知り、冷や水をかけられた気分になった。

 一つが超高額だと分かれば、他の商品も自然と似たような値段ではないかと思ってしまい、腰が引けて僅かに後ずさってしまう。

 

 

「えっと、ごめんなさい…… 買えないです……」

 

 

 先ほどまで満開の笑顔だった表情も、どこかぎこちなく、引きつった様に硬くなる。

 それも仕方のない事だろう。幼いネムにとってはまさに桁違いの金額で、一生働いても買えそうにない。

 今日やってきたお仕事だと、何回分の報酬が必要かも計算出来ないくらいだ。

 

 

「おや、驚かせてしまった様ですね。これは失礼を…… 金貨五百枚というのは冗談です。とてもではないですが、そんな値段など付けられませんよ」

 

「な、なーんだ。すっごく綺麗だから本当かと思っちゃいました」

 

「そんなまさか。フフフ…… お客様が着けている指輪に比べれば、私の商品はどれも安価なものですよ」

 

 

 冗談だと笑う店主にほっとするネム。

 しかし、何となく聞いたら後悔する気がして「じゃあ本当はいくらなの?」とは聞けなかった。

 骸骨には物怖じしない少女であっても、根っからの平民である事には変わらない。

 金貨五百枚という具体的な値段は、村娘には少々刺激が強かった。

 

 

「驚かせてしまったお詫びに、こちらの商品でしたら格安でお売りしましょう。二つセットで、なんと銅貨六枚!! 姉妹でお一つずつ、如何ですか?」

 

 

 店主がどこからか取り出したのは、色鮮やかな二つの髪飾り。

 赤いリボンが付いた物と、花をモチーフにした淡いピンク色の物だった。

 

 

「わぁ、可愛い。えっと、どうしようかな……」

 

「うーん、困りました。私も今日はあまり時間が残されていないのですよ…… なので!! 今日初めての出会いを記念して、特別に銅貨四枚にまけましょう!!」

 

「買います!!」

 

「毎度ありがとうございます!!」

 

 

 自身を見上げる少女の前で、高らかに指を四本立てる店主。

 銅貨四枚というお手頃な値段もそうだが、髪飾りの見た目が好みだったため、ネムは即答してしまった。

 店主の演出にまんまとハマった感がなくもないが、欲しいと思ってしまったのでしょうがない。

 

 

「お兄さん、バイバイ」

 

「さようなら、お嬢さん。またのご来店を、お待ちしております。……本日はもう店仕舞いですね」

 

 

 店主に別れを告げ、良い買い物ができたと満足気なネム。

 しかし、店から少し離れたところで、ネムはどこか違和感があった事を思い出す。

 何かが間違っているとか、会話が噛み合わなかったわけではない。

 ただ、さっきの店主との会話、どこか変なところがあったような――

 

 

「――ここにいたのか、ネム。急に走るからどこに行ったのかと思ったぞ」

 

「人混みに紛れたから心配したでござるよ」

 

 

 自分を探していた二人が現れ、ネムはハッとする。声はかけたけど、そういえば二人とも追いついてはいなかった。

 買い物に夢中になってしまい、途中からモモンガとハムスケの事をすっかり忘れていた。

 

 

「ごめんなさい。でもそんなに離れてたかな? すぐそこのお店を見てたんだけど……」

 

「店? 何もないぞ?」

 

「あれ? もう片付けちゃったのかな?」

 

 

 ネムが店のあった方向に振り返ると、屋台は跡形もなく消えていた。

 もちろん店主の姿もどこにも見当たらない。

 

 

「まぁいいか。それで、何か良いものは見つかったか?」

 

「うん!! これ、お姉ちゃんへのお土産」

 

「おぉ、この色合いといい中々綺麗じゃないか。エンリもきっと喜ぶぞ」

 

「えへへ、他にもお父さんとお母さんに、もうちょっとだけ何か探そうかな――」

 

 

 ネムがモモンガに見せたのは、先程買ったばかりの花をモチーフにした髪飾り。

 これ以外にも両親へのお土産を探しに、もう少しだけ広場を見て回る事にしたネム達だった。

 

 

 

 

 少女は家に帰り、家族団欒の時間を過ごす。

 ネムが買ってきた髪飾りを渡すと、エンリはとっても喜んでくれた。

 

 

「わぁ、とっても綺麗ね。ありがとう、ネム」

 

「実はそれ、金貨五百枚なんだよ」

 

「あっはっは。良かったな、エンリ。超高級品だぞ? 大切にしないとな」

 

「ほんとね、エンリ。家宝になるわよ」

 

 

 他のお土産も家族は嬉しそうに受け取ってくれた。

 だが、両親が一番嬉しかったのは、それを渡す時のネムの笑顔だったのかもしれない。

 

 

「ふふっ。ネムの買ってくれた、このとっても高価な髪飾り、大切にするね」

 

「えー、なんで騙されないの? 私は一回騙されたんだけどなぁ」

 

 

 貰ったばかりの髪飾りをさっそく付けて、エンリは妹に優しく笑いかける。

 ネムはドッキリが成功しなかった事を残念に思いつつも、普段より少しだけ華やかに見える姉の姿を見て喜んでいた。

 家族が笑顔で過ごす何気ない時間。これにはお金で買えない価値がある。

 ――そして、少女が銅貨四枚で買った髪飾りの本当の価値は、誰も知らないままである。

 

 

 

 

おまけ〜至高の勝負〜

 

 

 ナザリック地下大墳墓の最深部。

 荘厳な雰囲気を醸し出す玉座の間にて、一人の少女と魔王が対峙していた。

 

 

「モモンガ、次で決めさせてもらうよ……」

 

「それはどうかな? 一度目の敗北は、私にとって真なる勝利を得るための餌に過ぎない」

 

 

 長いようで短い、しかし二人にとっては負けられない本気の勝負。

 

 

「ふふん、そう言えるのも今のうちだよ」

 

「はははははっ。勝ちを確信するにはまだ早いぞ。……三回の内残り二回、私が連続で勝てば良いだけのこと」

 

 

 骸骨の魔王を追い詰めた少女は不敵な笑みを浮かべる。

 それに対し、追い詰められているはずの魔王は、より尊大に声を上げて笑い返す。

 

 

「ネムよ、君は我が秘儀の前に敗れ去るのだ!!〈魔法無詠唱化(サイレントマジック)上位幸運(グレーターラック)〉」

 

「いくよ、モモンガ!!」

 

 

 魔王は力を溜めるように右腕を引き、それに合わせるように少女も右腕を引いた。

 そして、お互いが同時に言霊を紡ぎ、拳を突き出そうとする。

 その手に込められた、二人の意思が激突する戦い――

 

 

「「――ジャン、ケン、ポン!!」」

 

 

 ――すなわちジャンケンである。

 

 

「やったー!! 私の勝ちー!!」

 

「あぁっ、負けた!?」

 

 

 モモンガの繰り出した『チョキ』は、ネムの『グー』にあっさりと敗れた。

 二人がやっているのは、ノリで始めた勇者と魔王ごっこ。言ってみればただの三回勝負のジャンケンである。

 

 

 

「くっ、なんか絶妙な悔しさがあるな」

 

「えへへ、もう一回やってもいいよ?」

 

 

 さり気なく反則気味のモモンガ、見事にストレート負けである。

 レベル百の肉体能力、動体視力を利用した禁じ手をしていないだけ、まだマシかもしれないが。

 

 

「――素晴らしい。戯れとは言え、モモンガ様に勝利なさるとは…… お見事です」

 

 

 勝負の興奮冷めやらぬ中、心地の良い低音ボイスが玉座の間に響く。

 どこから見ていたのか定かではないが、赤いスーツを纏った悪魔が、ネムを称賛する拍手と共に現れた。

 

 

「デミウルゴスか。ふふっ、情けない所を見せたな。見事に負けてしまったよ…… いや、本当に」

 

「ご謙遜を。モモンガ様は敢えて、駆け引き無しで勝負されておりましたね?」

 

「さぁ? 敗北は敗北だ。潔く受け入れよう……」

 

 

 意味深な会話をする主人と悪魔。

 もちろんデミウルゴスの深読みであり、モモンガは本気で負けている。

 本当に――モモンガの望む通りの――魔法の効果が作用したかは不明だが、せこい手を使った上で負けている。

 

 

「さて、どうでしょう。次は私と勝負して頂けますか?」

 

「デミウルゴスさんと? いいですよ!!」

 

 

 デミウルゴスは何を考えたか、勝利の喜びでピョンピョン跳ねるネムに勝負を申し込んだ。

 ネムはそれを快諾し、笑顔で腕を構える。

 しかし、デミウルゴスは直ぐには構えず――

 

 

「では…… 私は『グー』を出すと、先に宣言しておきましょう」

 

 

 ――容赦なく頭脳戦を仕掛けた。

 

 

「先に言っても大丈夫なんですか?」

 

「ええ。信じるかどうかは貴方次第、ですがね……」

 

 

 問いかけるネムの目の前に、握った拳をチラつかせるデミウルゴス。

 忠義の悪魔は大人気ない。遊びとは言え、主人の仇討ちには本気である。

 まぁ、設定ではなく創造された日から計算すれば、十歳のネムと年齢差などあまり無いのだが。

 

 

「「ジャン、ケン――」」

 

 

 掛け声と共に振りかぶられる二人の腕。

 手が決まるまでの僅かな時間、デミウルゴスの頭脳は人知れず高速回転していた。

 

 

(――運のみの勝負とはいえ、先程の一瞬、貴方はモモンガ様を極々僅かながら上回った。その偉業は素直に称賛いたしましょう。しかし、知略を張り巡らした本物の駆け引きにおいて、運という不確定な要素が介在しない世界…… お優しいモモンガ様ではなく、私が教えてあげましょう。――『グー』を出すと宣言された事により、貴方の中に迷いが生まれる。それに勝つための『パー』、もしくは裏を読み『チョキ』を出すか、さらには裏の裏を読むか…… しかし!!『グー』を出せば取り敢えず引き分けを狙える。負けはしないという甘美な誘惑。その葛藤の中で、貴方は先程モモンガ様に勝利した『グー』の手を無意識に頼り――この知恵比べ、私の勝ちです!!)

 

 

 デミウルゴスの脳裏に浮かぶ、勝利への方程式。

 とてつもなく長い思考に思えるが、この間僅かコンマ五秒――

 

 

「――ポン!! やった、私の勝ち!!」

 

「なにっ!?」

 

 

 ――しかし、勝ったのはネム。

 悪魔が自信満々に出した『パー』は、少女の小さな『チョキ』にあえなく両断された。

 驚きに顔を歪めたデミウルゴスだったが、即座に表情を戻し、静かに口を開いた。

 

 

「少々甘く見ていたようです…… ここからは本気でいかせていただきます。――〈悪魔の諸相:豪魔の巨腕〉」

 

 

 デミウルゴスの右腕が膨れ上がり、原形からは想像もつかない強靭な鈍器となる。

 全てを撲殺し破壊せんとする、その禍々しい拳が示す形は――『グー』だ。

 

 

「驚くのはまだ早いですよ。――〈悪魔の諸相:鋭利な断爪〉」

 

 

 デミウルゴスの左手の爪が伸び、あらゆる物を切り裂く黒い刃と化した。

 その鋭い指先が生み出した形は――『チョキ』だ。

 

 

「すっごーい!! デミウルゴスさん、そんなこと出来たんですか!?」

 

「ふふふ…… 創造主により与えられた力、その一端ですよ。さて、私はこの右手と左手のどちらかで、次の勝負に挑みましょう」

 

 

 ネムはヒーローの変身シーンを見た子どもの様に瞳をキラキラと輝かせた。

 ただし、少女の目の前にいるのは最上位悪魔(アーチデヴィル)。完全な悪役である。

 まぁ、死の支配者(オーバーロード)が友達のネムにとっては、相手の種族くらい些細な事に過ぎないのだが。

 それに今からやるのはジャンケンだ。何の問題もない。

 

 

「「ジャン、ケン――」」

 

 

 掛け声と共に振りかぶられるネムの右腕。

 しかし、対面するデミウルゴスは「ケン」まで言い終わっても、ギリギリまで微動だにしなかった。

 「ポン」の掛け声を言い始める寸前、悪魔の頭脳は再び人知れず高速回転していた。

 

 

(無垢なる笑顔の裏に己の策を隠し切る手管。この私を欺くとは、まったくもって見事と言うほかありません。しかし、もう油断はしませんよ。――スキルにより変化させた両腕。予想外の一手により、貴方の思考に僅かな混乱をもたらし、判断力は低下する。さらに、貴方の脳裏には〈悪魔の諸相〉によって強烈に『グー』と『チョキ』のイメージが植え付けられた。ここで貴方はこう考える。『グー』と『チョキ』のどちらかが出てくるならば、『グー』を出せば負けはない、と。私がギリギリまで動かない事によって、その焦りは増大し、その一つの思考に囚われる…… 残念でしたね。私は右手と左手のどちらかで勝負するとは言いましたが――裏の裏の裏の裏を読み切りました。この読み合い、私の勝利です!!)

 

 

 デミウルゴスの脳裏に浮かぶのは、完全なる勝利へのロード。

 とてつもなく長い思考に思えるが、この間僅かコンマ三秒――

 

 

「――ポン!! ぶいっ、私の勝ちです!!」

 

「バカなっ!?」

 

 

 ――しかし、勝ったのはネム。

 自身の計算が外れた衝撃で、膝から崩れ落ちるデミウルゴス。

 特殊技術(スキル)により強化された、悪魔の凶悪な『パー』は敗れた。

 少女の勝利のピースサイン――何の力もない『チョキ』に呆気なく切り取られたのだった。

 

 

(なんという事だ…… モモンガ様のご友人は、幼き身でここまでの力を秘めていたとは――いや、モモンガ様の仰られていた可能性とは、もしや!? なるほど、そういうことですか。この方は原石、磨けば光る至宝の原石であると。遊びを通してその片鱗を感じさせ、私の中にある自分では気付かなかった人間種に対する致命的な慢心を悟らせ、さらには私達シモベの更なる成長を促し――あぁ、流石はモモンガ様。我らの至高なる支配者。たった一つの行動でこれほどまで多くの事を成し遂げるとは…… 一体どれほど先を見通しておられるのか……)

 

 

 デミウルゴスは頭の中で、自身がモモンガの掌の上で転がされているという、甘美な体験を味わっていた。自身の智謀が足元にも及ばない、そんな主人に仕えている幸せをこれでもかと噛み締める。

 全ての出来事にまったくのノータッチでも周りからの尊敬を集めてしまう。流石はモモンガ様、端倪すべからざる骨である。

 

 

「ありがとうございます。モモンガ様」

 

「……ぇ?」

 

「ネム()もありがとうございます。私の完敗です。非常に良い勉強になりました」

 

 

 モモンガの呟きは奇跡的に誰にも届かない。

 デミウルゴスは一人納得すると、素早く立ち上がりネムに握手を求めた。

 それに対して、えっへん、と言いたげな顔で握手に応えるネム。

 

 

「またやろうね、デミウルゴスさん。次はモモンガも入れて三人でやる?」

 

「三つ巴とは面白い。受けて立とうではないか。なぁ、デミウルゴス」

 

「おお、私も交ぜていただけるとは、光栄でございます。このデミウルゴス、今度こそ勝利を――」

 

 

 この出来事をきっかけに、デミウルゴスはネムに対して、さらなる尊敬を込めた呼び方をするようになった。

 究極的なまでに勘違いが起こっているが、少女が悪魔の予想を超えたという点では間違っていない。これもきっと少女の偉業と言えるだろう。

 

 

「――ポン!! また私の勝ちだね!!」

 

「流石です、ネム様。本当にお強い……」

 

「三人でジャンケンしてるのに、一発勝ちで三連勝…… ネムの幸運値どうなってんの?」

 

 

 ただのジャンケン。

 されど、親しい友と行えば、それは何よりも楽しい遊戯となる。

 ――ナザリックは今日も平和である。

 

 

 




ツッコミ役がいないので、モブのおじさんに頑張ってもらいました。
おまけ部分のテーマは「デミウルゴスの深読みを、ネムに対して全力で発動したらどうなるか」です。
そろそろタグにギャグを追加するべきかもしれない……


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