あまねく読者に文字を…悪夢の終わりを…それが、あたしの仕事さね…
話はもはやとめどなく、作者はもう、用無しさ!
あんたの文字を!読者の文字を!
あんたの文字を!読者の文字を!
そうして悪夢を終わらせるのさ!
ああああははははははははははははははははははは!!!!!!
いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。
基本的に閑古鳥の鳴いてる我が古書店『九頭竜亭』ですが、最近常連客・・・客?いいえ、顔見せに来ている人というべきでしょうか、とにかく入り浸る人間が現れました。
「それでですね新一が言ったんですやっぱり蘭の飯は美味いなってキャーヤダ本当のこと言っても何も出ないわよやっぱり新一は私が付いてないとダメなんだからナイアさんもそう思いますよね有希子さんも言ってたけど私と新一はおしどり夫婦になる運命なんですよね」
怒涛の勢いでしゃべり倒すのは、見た目には清楚系女子高生の天下無敵空手ガール、実質SAN0=狂人な毛利蘭君です。
・・・一応『九頭竜亭』には、お探しの本の話をするために、お店の片隅に簡易ですがテーブルセットを置いてるんですよ。茶葉と菓子はいいものを用意しています(メイドのショゴスさんもお茶を淹れるのが上手ですし)。
いやですよ、一応人間として味覚も再現している身の上なのに、何が悲しくて貧乏臭いものを味わわないといけないんです?どうせ口にするなら、より美味しくいいものの方がいいに決まっています。
いやあ、すごいですねえ。
私は短く相槌を打つだけなのに、どこにそんな肺活量があるのか、怒涛の勢いでしゃべるしゃべる。
え?蘭君の発言内容?先ほどまでお昼のお弁当のことを話していたはずなのになぜか将来的に結婚してその子供の名前についてもしゃべくりまくってますよ?
・・・なぜ私に言うんでしょうねえ?
「それもこれもナイアさんのおかげなんです新一新一新一私の大好きな新一事件なんてどうでもいいから傍にいてキスして抱きしめて新一新一」
・・・君、以前園子が何とかって言ってませんでした?彼女に言えばどうです?
「園子もいいですけどやっぱりナイアさんに一番に話を聞いて欲しかったんです大好きな人の思いを共有できれば私もナイアさんも幸せだって思いませんもう新一大好きあもちろんナイアさんも大好きですし尊敬して崇め奉っていますよ」
「・・・一応私が神様であることは隠しているので、崇め奉っているっていう最後の文章はいらないでしょうか」
「邪神様ってばお堅いんですねそこが素敵です」
・・・狂人相手に長話を聞くってすごく大変なんですねー。
半ば聞き流してますがね。
ただときどきでいいからまじめに聞いてる返事を返さないと、狂人なので機嫌を損ねてお店を荒らします。狂人ですので(大事なことなので2回記します)
以前、うっかり蘭君の話を聞くのが面倒なので聞き流してたら、「神様のいじわる!こんなに神様のことを信奉しているのにどうしてわかってくれないんですか!!」って意味不明な逆ギレのされ方をして、古書店内が滅茶苦茶にされましたね。最終的にショゴスさんに抑えつけてもらいましたが、あれはひどかったです。
・・・もちろん、被害請求は毛利探偵事務所に一括で請求しておきました。古書とはいえピンキリです。特に、その時は貴重な初版本のページが破れるという過失をやらかしてくれましたからねえ。(幸い魔導書の類は無事だったのですが)
可哀そうに。毛利探偵は0が7つほど並ぶ額の借金こさえて、警備の夜勤などもオーバーワーク気味にこなされてますよ(笑)近日強制マグロ漁船じゃないですか?
まあ、肝心要の狂人女子高生は、自分の行為が原因とは微塵も思ってないようで、お酒やアイドルも控えてお父さんもまじめに働いてくれてる!とちょっと見直しているだけのようですがね。
おや?言ったでしょう?狂人は狂人の論理に従ってのみ動くんです。そこに良識や一貫性を求めてはいけません、と。
今の蘭君に自らを鑑みることができたら、それは狂人ではありませんよ(笑)
え?元を辿ればお前のせいだろって?フフッ今更過ぎますねえ。
さて、片づけも面倒ですので、今日も私は蘭君を刺激しないように、そのお話にうんうんそうだね~と相槌を打ってあげて、ときどきありふれたアドバイスを入れています。
「そういえば、そろそろ夏休みですが、せっかくの休みなんですから、新一君と一緒にどこかに出かけてみたらどうでしょう?ひょっとしたらもっと仲が進展するかもしれませんよ」
「ナイアさんもそう思います?!フフフ、ひょっとしたら告白されるかもしれないんです!」
・・・おやおやおやあ?
ちょっと踏み込んで訊いてみると・・・本人の願望と妄想と惚気が多大にミックスされたノンブレス発言から情報を選別するのは非常に苦心しましたが、どうにか判明させました。
今度の夏休み、蘭君は件の新一君と一緒にニューヨークに向かうようなんですよ。
ニューヨークですか。さすがにあの辺りは他の化身〈アバター〉の管轄ですからねえ。ちょいとナイ神父辺りで観に行きますか?いやいや覗き見なら魔術でも十分でしょう。
まあ、いずれにせよ、楽しそうで何よりです!
ふむ、アメリカといえば・・・赤井君も無事1年の冷却期間を消化してFBIに復帰なさったようです。
まあ、その1年の間に神話事件であっちこっち駆けまわらされたようですがね。たまに組織の連中に狙われたりもしたようですが、例にもれず全員発狂したり神話生物にモグモグされたり頭パーンされたりとロクでもない最期を遂げたようですがね。
赤井君はクールですからね。人の命狙ってきたんだから、どんな目に遭おうと自己責任だろうと言ってのけてましたよ。おお、辛辣辛辣。それでこそ赤井君です!
おや、元宮野明美女史の方も気になりますか?
赤井君の復帰を寂しげにしながらも、彼の意志を尊重してくれるみたいですね。(ちなみに彼女はミスカトニック大学の方に残られています)
しかしまあ、恐ろしかったのが、「秀君が無事戻ってこなかったら、イグ様を呼んでFBIの人たちにひどいことしてもらうからね!」と脅していたことでしょうか。爬虫類じみた目のハイライトが完全に消えて、真面目くさった調子で言ってましたからね。
・・・彼女、招来方法は知らないはずなのですが、こうと言ったらやらかしかねない凄味がありましたからねえ。
赤井君は平静を装っていましたが、若干口の端が引きつっているようにも見えましたよ。
厄介なのにモーション掛けてしまいましたねえ。(ニヤニヤ)
* * *
さて、蘭君が来なくなって、再び静けさが常連となった『九頭竜亭』です。
優雅にショゴスさんが淹れてくれた紅茶に口づけながら、ちょっと見せものを見物してみましょうか。
ふうむ。大体は攻略本に載っている通りのあらすじですねえ。
飛行機ですか。空飛ぶ密室というのもなかなか面白いですよねえ。
いつだったか、その密室を丸ごと荒らした神話生物VS生き残ろうとあがいてみた探索者というシナリオを見学したことがありましたねえ。
結果ですか?約1名が神話生物になってロストなさいましたけど(笑)
いや、あれも愉快でした。
あ、その探索者というのは、皆さんお馴染みの松井君たちじゃなくて、別人ですのであしからず。
さて、名探偵工藤新一君の原点〈オリジン〉であり、起点〈スタート〉です。
なかなかの名推理ぶりですが・・・フフッ。馬鹿な子ほどかわいい、という格言が似合いそうな子ですね。
時期が来たら、ぜひ直接お会いして話してみたいものです。
おや、皆さん。一斉に顔をひきつらせてどうしたのです?何言うつもりだって?
嫌ですねえ。ちょっとした一般論を言ってみるだけですよ。彼ならきっと、面白い答えを返してくれるのではないかと、ね。
さて、ファントムシアターでの殺人事件も一件落着しました。
おやまあ、自分の犯行がばれたことの八つ当たりを蘭君にするなんて・・・いけませんねえ。一応彼女は私の信奉者でもあるんですが・・・しかし、贔屓もいかがな物でしょうか。あからさま過ぎると近くにいる赤井君に感づかれかねませんし・・・。
では、こうしましょうか。
あの犯人君が寝たのを見計らって、必殺☆悪夢のクローズドサークルに強制召喚拉致!
探索者の皆さんにはお馴染みの、何もなさそうに見える部屋に強制的に拉致って、悪夢的な経験をして、SANを削り取ってあわよくばこの世と絶交してもらおうという企画でーす!
結構こういうシナリオ多いと思うんですよねー。確かに私、面白がり屋ではありますが、ああいう情緒に欠ける突発的な罠って、白けそうだからあまり積極的に仕掛けようとは思えないんですよねー。
ああ、あくまでこの次元の“私”は、ですよ?他の次元の“私”のことまで知るわけないでしょう。
というわけで、このローズとかいう女は、蘭君に生かしてもらってまで犯罪を完遂したくせにその八つ当たりをした分際ですので、ぜひとも頑張っていただきたいですねー。松井君と比べるとカスステに加えてクソ技能持ちの上、ダイス目もクソカスですけどねー。
ま、無事クリアして生き残ろうが発狂して死のうがどうでもいいんで、放置で。
見てもつまらなさそうな雌ナメクジなんてどうでもいいんですよ。
肝心なところをちょっと見学してみましょうか。
おやおや、蘭君。調子悪そうなのに、そんな雨の中ハンカチを落とすなんて。
ああ、赤井君。相変わらず元気そうですね。
とと?今の彼はどうやら、探索者モードのようですね。真夏というのに例の黒スーツに肩羽織りコート姿です。FBIと一緒にいるのは、たまたま居合わせたに近いようです。
ふむ。どうやら、お手製の魔導書も持ち歩いてるようですし、すっかり勘を取り戻したようですが、彼と遊ぶのはまた今度に・・・おや?
・・・あの銀髪の殺人鬼君、やらかし君でしたか。
え?ああ、どうも彼、魔術師の家に押しかけて、うっかり儀式のさなかに乱入して、魔術師を食い殺した“猟犬”に追い回されてるようなんですねえ。
よく生き延びてましたねえ。
あ。赤井君が気が付いた・・・というより、大学からの依頼で(FBIに復帰したんですが、人手不足もあってまだ時々やってるみたいです)探し回っていた魔術師を殺した奴が、FBIの標的と同じと、ここに来て気が付いたようですね。
“猟犬”――正式名称ティンダロスの猟犬は、時間の流れを乱す者を、その命尽きるまで追い回すという、凶悪極まる神話生物です。こいつらの懐柔は我々神格でも無理です。
それができたら、まさしく偉業ですよ。
で、この猟犬は、青い泥のような毒性ある膿を分泌しています。
独特の物質ですし、この膿は標的に対する目印にもなるんです。赤井君は以前猟犬と対峙したこともありましたからね。すぐさま顔色を変えて、適当に言い訳つけて単独行動に出ましたね。
・・・さて、赤井君は間に合いますかねえ?
あ、ちなみに、銀髪の殺人鬼君はとっくに猟犬に食い殺されました(笑)頑張って逃げ回ってたんですがね。例の舌攻撃でPOWを吸い尽くされて死んじゃいましたよ。
猟犬の方は、タイミングがいいのか悪いのか、彼を殺そうと彼そっくりに変装した人物を、次の狙いに定めたようで。
匂いが違うから変装なんて意味をなさないのでしょうが、そもそも猟犬は遭遇したら殺しにかかる性質を持ってますからねえ。
加えて、鋭角(120度以下の角度)を通じて出現しますから、実質どこでも出現しますし。
・・・彼女を見かけるのも久しぶりですねえ。前会ったのは、ロマノフ王朝が滅びの瀬戸際だった頃でしたか。
サン=ジェルマン伯爵にまで取りいった女が、あんなチンケな場所で何をやっているのやら。
せっかくのお望みのものが手に入ったのですから、もっと楽しそうに生きてみたらよろしいと思うんですがねえ?
あ、ちなみに彼女ももちろんSANチェックに失敗したみたいで、殺人癖を発症、本来の目的を忘れてそのまま猟犬に銃弾を撃ち込みましたが、あれは装甲持ちですからそうそう効きませんよ。
で、弾切れしたのでやむなく猟犬の攻撃から、必死に逃げる逃げる。
ほらほら、もっと必死に逃げないと殺されちゃいますよ~♪
で、変装人は銀髪の殺人鬼姿のまま、廃ビルに逃げ込み、蘭君に遭遇。
あらら。一見すると目撃からの口封じにも見えますが、あれは確実に一時発狂の殺人癖を引きずってますね。
蘭君も運がない。
直後、すぐ近くの階段がぐにゃりと蠢き、青い粘液を纏った四足の獣めいたそれが姿を現します。
通常の犬と表現されるそれからは隔絶された、明らかに人智を超えた化物めいた姿に、変装人は恐怖に絶叫し、蘭君は・・・あらら、一見すると絶句しているだけに見えますが、何しろ彼女は狂人ですからねえ。きっと予想の斜め上を行く行動をとってくれるのでしょう。
案の定、「助けて、新一ぃ・・・!」と涙目になってつぶやいてます。・・・頬を染めた恍惚とした表情で、その目にハイライトがない、渦巻きが見えなかったらよかったんですがねえ。
グルグルと唸った猟犬は、そのまま変装人目がけて触手を飛ばそうとします。
「危ねえ!」
叫んで割って入ったのは・・・おや、噂の工藤新一君ですね。
体当たりで変装人を突き飛ばし、攻撃を空振りさせます。
・・・すごいですね、彼。SANチェック成功させて、混乱しながらも冷静に対峙しています。
そうして蘭君のところに駆け寄り、彼女を背後にかばいながら「おい、何なんだよこれ!」とすかさず変装人を問いただしてますねえ。
・・・猟犬に気を取られているのかもしれませんがね。君がその背後にかばっている少女が、変装人を助けた瞬間、彼女ものすごい目になってましたよ?人殺しするぞゴラァって目で、変装人をにらんでましたよ?
気が付いてないなら、それはそれでいいんですがね?
そうして、生意気な乱入者に猟犬が飛びかかろうとするより早く。
一発の銃弾が、猟犬の脳天を穿つ。ただの銃弾ではありませんね。神話生物特有の魔力装甲を貫通する、特殊貫通弾の一撃です。
血液代わりに青い膿を飛沫として、猟犬は弾かれるように倒れ込む。
道を挟んでさらに向こう。少々離れたところにあるビルの屋上で狙撃ライフルを構えてスコープを覗き込むのは、いわずもがな、赤井君です。
ちなみに、彼が使っている狙撃ライフルはFBI支給のそれではなく、ウィルマース・ファウンデーション支給の、対神話生物用銃火器ですね。
特殊加工されたライフリングによって、銃弾に魔力を纏わすことも可能な代物です。ちなみに、これ、素で対戦車ライフル並みの威力を誇るそうです。そんなものを気軽に持ち歩くなんて、つくづく怖い男ですよね~。
ライフルの銃口を下げると同時に、彼は口に加えていた犬笛にも似た銀色の笛を吹きました。
実際、それは犬笛なのでしょう。ただし、呼び寄せる対象は、“ティンダロスの猟犬”とその眷属に限られますがね。
その音は、人間の可聴域には存在しません。しかし、猟犬の耳にはきっかりと届いたに違いありません。
初めて受けたダメージらしいダメージに身体をふらつかせていた猟犬が、弾かれたように頭を上げるや、グルグルという唸り声をあげ、吸い込まれるように階段の角にその姿を消しました。
そうして、次の瞬間、赤井君が佇むビルの屋上、その瓦礫の一つを出入り口の鋭角として、再びその醜悪な姿を現します。
プッと犬笛を吐き捨てた赤井君が動きました。
・・・彼は本当に、準備がよすぎます。追いかけていた魔術師がティンダロスの猟犬と接触したのを見越して、その対策をあらかじめ講じていたのでしょう。
彼のすぐ背後には、大型のブルーシートが広げられ、その上には特殊なインクで描かれた魔法陣があります。
猟犬の触手を高めの【回避】でどうにか躱し、彼はライフルに代わってすぐそばに置いていた楡の木の杖を手に取りました。
そのまま魔法陣の真ん中に杖を突き立て、術式を起動。陣が激しく発光するや、その中にいた猟犬が雷に撃たれたかのように身動きを止めます。
「Good boy,time guardian.〈いい子だ、時間の守護者〉」
陣から飛び退くように離脱した赤井君はなめらかなイギリス英語でそういうや、ダブルブレストスーツの懐から取り出した、麺棒ほどの大きさの黒い五画棒を猟犬に投げつけていました。
「関係者が全員寿命でくたばるまで、お休み」
言い終わると同時に、小雨が降る中というのに煙草を咥えてマッチを擦る赤井君。
投げつけられた黒い五画棒は空中でガシュッとその真ん中で割れて、銀色の芯を表出させました。
直後、魔法陣の中にいた猟犬がその銀色の芯に煙のように吸い込まれて、消えてしまいました。すぐさま、黒い五画棒は再びガシュッと、音を立てて元に戻ります。
あれは・・・ミ=ゴの封じ込め棒にも似ていますが・・・。ウィルマース・ファウンデーションでは、さまざまなアーティファクトの研究もされていると聞きましたが、あんなものを実用化させるとは。
カランっと音を立てて、光の消えたブルーシートの上に転がる黒い五画棒を拾い上げ、赤井君は大きく息と一緒に煙を吐いた。
いやはや。やはり君は凄まじいですねえ。アーティファクトを使用したとはいえ単騎で猟犬を完封して見せるとは。
しかしまあ、君が何とかしなかったら、犠牲者が3人ほど増えてましたからねえ。お疲れ様です、赤井君。
そのまま赤井君は振り向いて、先ほどまでライフルのスコープ越しに見ていたビルを睥睨しています。
そうして放り出していた対神話生物用狙撃ライフルを手に取りますが、その銃口を向けることもなく、さっさと雨の届かない屋内に置いていたライフルケースにしまい、続けてブルーシートやら楡の木の杖やらを手際よく片付けていきます。
どうやら、撤収するつもりのようですね。
赤井君のことです。あの変装人の中身など、とっくにお見通しなのでしょう。
本来なら、とっとと行動不能に追い込んで確保したいところなのでしょうが、如何せん今の赤井君はやましい不審物の見本市ですからね。FBIのメンバーに深く問いただされるわけにはいかず、結果として見逃すというところでしょうか。
煙草を携帯灰皿に押し付けて消すや、そのまま赤井君は屋上を降りて姿を消しました。
一方で、狙撃してきた赤井君に真っ先に変装人も気が付いていました。
加えて、赤井君の一連の行動――変装人では手も足も出なかったティンダロスの猟犬を狙撃した挙句おびき寄せ、封印を施したことも目の当たりにしてしまいました。
あ、パニクってまたSANチェック失敗しましたね、彼女。しかも、不定の狂気に突入してしまいましたよ。
ま、自分が殺そうとしていた人物が、想定を上回る方法を使ってトンデモ化物を退治したわけですからね。パニックにもなるでしょうし、SANも減るに決まってます。
足をもつれさせてその場から逃走しようとしたら、うっかり柵を壊して非常階段から転落しました。イエ~イ♪
が、その腕を間一髪でつかんで助けた人物がいました。すぐそばにいた蘭君です。
・・・倫理云々というより、新一君にいいところ見せたいって感じですかね。相変わらずの狂人ぶりです。
ですが、そんな彼女を見た変装人は思わずポロッとつぶやいてしまいました。多分、雨音に消されて本人以外聞き取れなかったとは思いますがね。
「天使・・・!」
・・・あの変装人の中身さんも、大分SANを摩耗なさってましたからねえ。まあ、只人が永遠なんぞ望むなら、代償に正気の一つや二つ削られるもんですよ。
不定の狂気中とはいえ、狂人を天使認定するなんて、大分イカレてますねえ。
ここで、新一君が蘭君に助成して、どうにか変装人を引き上げることに成功。
ただでさえも体調不良の中雨に打たれて熱を出して意識喪失してしまった蘭君を背負って、新一君は茫然とする変装人は置いて、勢いよく階段を下りていきます。
新一君はまだ化物が襲ってくるかもしれないと周囲を警戒してるようですから、できるだけ早くこの場を離れようとしているようですね。
・・・ま、猟犬が健在だったら、そんな些細な抵抗、抵抗とも呼べずにあっさりと殺されてしまいますがね。
さてさて。長い前座はこれにて終了です。
ここまでお付き合いくださりありがとうございました。
え?まだコナン本編が始まってない?お前がアレにちょっかいを出さないとはどうしても思えない?
ザッツライ!ま、基本は面白おかしく傍観ですが、さてさて、どうしましょうかねえ?
だからこそ、この続きは呪詛の溜まりとなった
呪う者、呪う者。次回と共に哭いておくれ
【狂人女子高生の妄想トークに付き合って、ニューヨークを眺めるナイアさん】
前回から引き続き、狂人と化してしまった空手ガール女子高生のノンストップ爆裂トークに付き合う。付き合わないと意味不明な逆ギレをされてお店を荒らされる。すでに1回被害に遭って、希少な古書をダメにされている。
・・・なお、きっちり被害は毛利探偵事務所に請求した。毛利探偵はキャバクラや競馬、アイドル飲酒といった娯楽を控えて夜勤に精を出すようになったらしい。なお、強制マグロ漁船も近いご様子。
狂人女子高生の彼氏(予定)の新一君を、ファーストウォッチング。目立ちたがりな、頭のいい、正義感の強いボウヤと、何を話すつもりやら。
曲がりなりにも信者になってくれた蘭ちゃんを、守るつもりはなくても仕返しくらいはやってあげる。ローズさんは留置場内で、一時的に姿を消したと思ったら、常識では考えられない恐ろしい死に方をして、警察関係者を阿鼻叫喚におとしいれ、SANまでも削った。
なお、ローズさんに用意してあげたシナリオは、一人では絶対クリアできない仕様なので、単なる処刑でもあった。加えてナイアさん御本人は、放り込むだけ放り込んで、もういいやと放置した。
久しぶりに、お気に入りの赤井君もウォッチング。ティンダロスの猟犬を、アーティファクト使用とはいえ単騎で完封して見せた赤井君に拍手。
・・・なお、彼女は、銀髪の殺人鬼に変装していた某人物のこともご存じの様子。
ロマノフ王朝云々といっているあたり、某人物もこの世の裏側に片足を突っ込んでしまっている御様子。つまり、元々低SANだった。
某人物が、狂人女子高生を天使呼ばわりし始めたことに気が付いて、苦笑。そいつ、単なる狂人だから!
・・・前座はこれにて終了。そろそろコナン本編に行ってみようか(にっこり)
【ニューヨークでは狂人ぶりをうまいこと隠してた蘭ちゃん】
相変わらずの狂人ぶり。SAN0のまんま。アイエエエ?!狂人!
ナイアさん大好き崇め奉ります。新一大好き新一新一。
前回から、ときどき『九頭竜亭』にやってきてはナイアさん相手に、願望と妄想と惚気と愚痴をミックスしたノンブレス狂人トークを爆裂させる。話題は主に新一君について。
ただし、これは相手がナイアさん=信奉する神様が相手だからやっているだけで、園子ちゃんを始めとした学校の友人や、父親である毛利探偵は、特に彼女に違和感を覚えることなく生活している。
大好きな神様だから、自分の話を聞いてちゃんと返事を返してほしい。聞いてくれない神様、ひどい!プンプン!・・・なお、ナイアさんが話しを聞き流していた場合、被害が『九頭竜亭』の商品と内装に行く模様。
そのせいで父親が借金こさえたことは知らず(というか、多分自分のせいと認識してない)、お父さんもやっとまじめに働いてくれるようになった!とニッコリ。
事務所はもちろん、毛利探偵の運命も定かでないと気が付いているのか。・・・多分、ない。なぜなら狂人だから。
新一君と一緒にニューヨークへ。このあたりは大体は原作通りに行動をとる。
諸事情からティンダロスの猟犬に追われる変装人とインパクト。ついでに彼女も猟犬とインパクト。やったね蘭ちゃん!寿命が減ったよ!
・・・なお、大好きな彼氏(予定)の新一君は立ち竦む自分より、攻撃されかけてた有象無象をかばった。何あの有象無象?砕いていい?
でも、パニクッて発狂中の有象無象が落っこちかけたら助ける。見て見て新一!私、優しいでしょ?!
・・・発狂中の有象無象に天使認定されたことは、もちろん知らない。
くどいようだが、今一度。狂人は狂人の論理に従ってのみ動く。そこに良識や一貫性を求めてはならない。
帰国後、事実と妄想と自分の願望、愚痴をないまぜにした例の怒涛の狂人トークを、ナイアさんに炸裂させて再び彼女を辟易とさせる。
【FBIと魔術師探索者の二足草鞋な赤井さん】
1年の冷却期間を置いて、無事復帰。
ただし、ウィルマース・ファウンデーションは万年人手不足なのもあり、まだ時々神話事象関連の事件調査に駆り出される。
今回は、同僚たちがニューヨークで殺人鬼を追い回す中、時間操作系の儀式をやらかそうとする魔術師を止めに行こうとするが、間に合わず、よりにもよって魔術師の家に押しかけた殺人鬼が、ティンダロスの猟犬に狙われる羽目になり、被害拡大を防ぐべく動くことに。
時間操作系と聞き及んでいたので、時間といえば奴だよな、ということで対策グッズを一通り用意しての行動だった。
文中にも書いているが、彼は大学時代に一度猟犬と対峙している。例にもれずその時もひどい目に遭った。
ようやくついたニューヨークで、ばったりと同僚に遭遇。情報のすり合わせをしてたら、俺の追ってる猟犬に追われてる奴、FBIの標的と同じだ!と気が付く。
このままでは被害がさらに波及して収拾がつかなくなると判断、適当に言い訳して単独行動に出る。
あとは文中に書かれている通り、大学からの装備とアーティファクトをフル活用して、猟犬を完封する。・・・本来、猟犬は単騎で対峙するような神話生物ではない。神話生物の中でも規格外の追尾性と攻撃性を保持している。彼が勝てたのは、猟犬が彼を狙ってなかったため余裕があったことに加え、対策を徹底準備していたからに他ならない。
猟犬を封印後、向かいのビルの目撃者をどうするか考えるが、目撃者たちが何か言ったところで、どうせ誰も信じないだろうと放置することにして、装備をまとめて撤収する。
ナイアさんも言ってる通り、銀髪の殺人鬼そっくりに変装している誰かさんのことなど、お見通しだったりする。・・・というか、FBIと別れて猟犬封印するまでの間に、彼が本物の殺人鬼の死体を発見したため。
・・・なお、猟犬を封印したアーティファクトは、ミスカトニック大学の地下シェルターを改造した保管庫(という名の危険物封印場)に移されることになる。
【満を持して登場したけど、いまいち影の薄い新一君】
大体は原作通りの行動をとる。無事、飛行機での最初の事件を解決後、ファントムシアターの殺人事件も解き明かす。
・・・ローズが翌日、原因不明の異常死を遂げたことは、帰国してから知る。
蘭ちゃんに代わって、ハンカチを探し回り、その最中に銀髪の殺人鬼の話を聞いて、さっさとハンカチ見つけて離れねえと、となった。
その前に、なぜかタクシー下りてた幼馴染が、噂の人物とインパクトしてるの見かけて、やっべえ!となった。
でも殺人鬼よりも数万倍ヤバい怪物が、あり得ない出現の仕方するのも見かけて、アバーっ?!となりかけるが、幼馴染を案ずる一心でSANチェックに成功する。
・・・飽く迄作者の偏見だが、この新一君なら惨殺死体などではSANチェックは発生しないと思われる。ただし、神話生物や魔術などではSANチェックは入る。
誰かに撃たれたらしい怪物が、急に消えた。よくわかんないけど、今のうちに逃げよう!お前、蘭が助けたし、蘭のこと優先しなきゃいけないから見逃すけど、次はないからな!
・・・もちろん、彼が邪神様のことに気が付いているわけがない。