邪神様が見ているin米花町   作:亜希羅

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 引き返したまえ。この話は駄文の塊、公開されて後、ただそこにあるだけ。
 興味のないものたちに、何の被害があろうものか。引き返したまえ。
 …さもなくば、この文が君を絡め取るだろう
 …貴公、よい読み手だな。
 よい文の選りすぐれに優れ、忍耐強く、世界観に酔っている。よい読み手だ。
 だからこそ、私は続きを書かねばならん!



【#11】原作スタートらしいです。トロピカルランドで私とデート!

 いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。

 

 水族館で両親仲直りのための下見という名のデートからの殺人事件遭遇というコンボを決めてしまった蘭君が、今日も今日とて『九頭竜亭』のテーブルセットで、新一君についての妄想と願望と惚気と愚痴と狂気をないまぜにしたノンブレストークを炸裂させています。

 

 

 

 いやあ、やはり彼女は頭がおかしいですね。

 

 1年前のニューヨークからの帰国後、事実に8割ほど盛りまくった狂人トークを炸裂させてましたからねえ。

 

 え?具体的内容ですか?殺人鬼を助けた新一君マジかっこいいというのはまだ頷けます。推理してる新一君イケてるというのもわからないでもないです。でもそこからやっぱり新一君を理解できるのは自分だけ、とか死体に囲まれる新一君について行けるの自分だけとか・・・さらにそこから、されてもない告白とキスまでやってのけられたということを報告してくれてました。

 

 ちなみに、5回ほど同じ内容のトークを炸裂させてました。認知の入ったご老人でしょうか?

 

 これ、常人が聞いたらSANチェック入るんじゃないですか?実際、ご近所の回覧板持ってきたおじいさんが、うっかり耳にしてしまったらしくて蒼褪めた顔されてましたからねえ。

 

 後日、おじいさんから青い顔で滔々と言われましたよ。何かあってからじゃ遅いからちゃんと相談しなさい、必要なら警察にも言うべきだ、と。

 

 

 

 いやあ、素敵なご近所さんに恵まれましたね。

 

 え?そのおじいさんはお前みたいな邪神をご近所に持って不幸この上ない、ですか?

 

 嫌ですねえ、曲がりなりにも凡人に擬態してるんですから、ご近所付き合いも可もなく不可もなくこなしているんですよ、私は。

 

 

 

 もうだいぶ慣れてきましたし、いつものことと流せるようにはなりましたよ。

 

 とはいえ、あれから1年近く経っているというのにまったくSANが回復する兆しがないんですよねえ。私と接触しているからでしょうか?

 

 ああ、ちなみに蘭君はこの店に来るときはたいてい一人です。以前、お友達は連れてこないのかと尋ねたら、神様を崇め奉ってるわけでもない凡人をお連れするなんて失礼だ、とか、新一の話をまじめに聞いてくれるのは神様だけ、他の人に聞かせるの恥ずかしいとかなんとか。・・・圧倒的に後者の理由が強いでしょう?加えて私は半分近くを聞き流して、適度にありがちアドバイスを入れるだけですから、まじめに聞いてるとはとても言えませんよ?

 

 ま、本人が納得しているなら、それでいいですがね?

 

 

 

 さて、そんな蘭君は今、ショゴスさんが淹れてくれた紅茶を飲みながらうっとりと狂人トークを炸裂させています。

 

 「新一かっこいい新一素敵新一素直じゃないけどしょうがねえなって言いながら結局助けてくれるしそこもカッコいい大好き新一水族館のことだって新一がいたから殺人事件起こって台無しになったしケータイ失くしたのもなんとかしてくれるし埋め合わせにトロピカルランドに連れて行ってくれるから大丈夫絶叫系だったら手をつないだりしても大丈夫お化け屋敷はダメよくっつけるけど怖いもん後は定番の観覧車とお昼はもちろん新一のおごりでお父さんもケチよね何で急にお小遣い減らすとか言い出したのわからないし大丈夫新一がいるもんおごりだからお土産も買おう二人でおそろいのキーホルダーとかどうかな園子あたりにまたからかわれちゃうかも」

 

 いやあ、相変わらず素晴らしい肺活量と滑舌っぷりですね。

 

 ふむ、しかし気になる単語が出ましたねえ?

 

 「トロピカルランド、ですか?」

 

 「ええ」

 

 頬を染めてうなずく蘭君。・・・くどいようですが、その目にハイライトはなく、瞳孔の奥で狂気が渦巻きを描いています。

 

 

 

 どうにか蘭君の狂人トークから情報を引き出してみる(1年近く付き合ってると否応にも慣れますよ)と、今度の都大会で優勝したら、新一君のおごりでトロピカルランドに遊びに行くということだそうで。

 

 ちなみに蘭君は、もう行く気満々のご様子。・・・優勝、できるんです?

 

 確かに彼女、エクストラ認定されそうな値のダメボ持ちの上、【武道】【拳〈空手〉】持ってますからねえ。

 

 ・・・彼女、その気になれば単騎で神話生物屠れるんじゃないです?

 

 

 

 話を戻します。

 

 その後、蘭君に軽いエールを送って、お帰りいただきました。

 

 神様が応援してくれるなら、今度のデートも大成功ですよね!とウキウキと気分を弾ませてますが、君、以前のデートが大成功と言えたか、胸に手を当ててよくよく考えてごらんなさい。

 

 ・・・言うだけ野暮ですか。狂人は狂人の論理に従ってのみ動くんです。そこに良識や一貫性を求めてはいけません。ええ、よく存じてますとも。

 

 

 

* * *

 

 

 

 その日、私は少しおしゃれして店を出ました。

 

 ショゴスさんとシャンタク鳥、留守番を頼みましたよ。

 

 目の前に停められているのは、ピカピカの白いRX-7――零君の愛車です。おっと、よそでは透君と呼ばなければいけませんでしたね。

 

 すぐわきでたたずむ零君もカジュアルなファッションがよくお似合いです。若者向けのパーカーとジーンズを着ているせいで、とても三十路手前には見えず20代前半にも見えるでしょう。ふむ?微かに香る香水と整髪剤の香りから、彼もさりげなくおしゃれをしているようです。

 

 対する私は、飾り気のない黒のスラックスとベスト、白のカッターシャツという格好から一転、ブーツカットのジーンズに、淡いブルーのブラウスと丈が長めのベストを羽織っています。

 

 眼鏡もいつもの銀縁から、ハーフリムのフレームに紫のアクセントが付いたものをチョイス。髪はいつも通りのポニーテールですが、ワンポイントにブルーのシュシュをつけています。メイクはあくまでナチュラルに。元の素材がいいんですから。

 

 おや、皆さん。急にどうしたんだって?

 

 フフッ、見ればわかるでしょう?デートですよ、デート♡

 

 「すみませんね、透君。待たせてしまいましたね」

 

 「いえ。僕も今来たところですから、大丈夫です」

 

 にっこりほほ笑む透君は、紳士的に助手席のドアを開けてくれました。

 

 「さあ、乗ってください」

 

 「では、お言葉に甘えて。ありがとう、透君」

 

 笑みを返して、乗り込む私に、透君はドアを閉めて、続いて自分は運転席に乗り込み、エンジンをかけます。

 

 「今日は、よろしくお願いしますね」

 

 「こちらこそ」

 

 こうして、白いFDはすべるように道を走り出しました。行先はもちろん、トロピカルランドです。

 

 

 

 数日前のことですが、突然店にやってきた零君がちょっと一緒に行ってほしい場所があると、顔を赤らめて言ってきました。

 

 ・・・君、いくつです?そんな童貞じみた反応では、女性とのお付き合いがありませんと自白しているようなものですが。

 

 おかしいですねえ。この容姿ですよ?女性の10人20人ペロッと平らげててもおかしくないと思いますが。はて?それとも攻略本に書いてあったようにそっちの気もあるのでしょうか?同性愛なんて他の動物などでもマウンティングやあいさつ代わりにそういう行為もやってるみたいですし、偏見はありませんが。

 

 まあ、いいでしょう。

 

 しかしまあ、今まで作った料理のおすそ分けに来てくれたり、ちょっとしたご近所の買い物に付き合ってくれたりこそしましたが、(潜入捜査に入る前ですがね)こういう言い方をしてくるのは初めてですね。

 

 よくよく話を聞いてみれば、ちょっと脱力しました。

 

 何でも、潜入捜査の一環で、遊園地に行かなければならないが、一人で行くと目立つし、ナンパされることもあって思うように動けなくなることが多い。女性の捜査官を使いたいところだが、人手が足りない。

 

 そこで、事情(潜入捜査中であること)を知ってて、万が一があっても大丈夫な私に白羽の矢を立てたというところだそうです。

 

 ・・・君、一応私が神様だと知ってて言ってます?万が一があったら遊園地なんてそこのいるお客さんごと更地にしてから、この星を脱出しちゃいますよ?

 

 まあ、いいでしょう。それはそれで面白いですし。

 

 

 

 というわけで、ちゃんとカップルに見えるようにちょっとおしゃれして、偽装デートと相成ったわけです。

 

 ふーむ、潜入捜査の一環でトロピカルランドですか。加えて、蘭君から聞いたことと攻略本の情報を擦り合わせた結果、今日のようなんですよねえ。

 

 何がって、工藤新一が幼児化して、『名探偵コナン』がスタートするのが。

 

 いやあ、楽しみですねえ。

 

 え?お前今度は何をする気だって?特に何も。人間が面白おかしく憎み合って殺し殺され合って、疑って疑られ合うなんて、最高の娯楽じゃないですか!

 

 間近で見物しないでどうします!

 

 え?これだからこのクソ邪神は?おや、今更過ぎる発言をありがとうございます。

 

 

 

 さて、日曜の朝です。遊園地はかなりの人数がごった返し、チケット売り場は行列になってます。昨今はネット予約であらかじめチケットを取り寄せておくということもできますが、それでも大混雑ですねえ。

 

 駐車場に車を止めた透君はシートベルトを外すなり、ポケットから取り出したものをこちらに差し出してきました。

 

 「はい、姉さん。今日はこれを使ってください」

 

 おや、1日パスですか。いいんですか?わざわざ。

 

 「誘ったのは僕の方ですから。それに捜査の一環ということで、経費で落ちます」

 

 にっこり笑う透君に、苦笑してありがとうとチケットを受け取ります。

 

 では、お礼にもならないでしょうが、透君の悩みを一つ、解決してあげましょう。

 

 「透君、ちょっとじっとしてください」

 

 と、私は用意していたものを彼の首に巻きつけ、首の後ろでクラスプを止めます。それはレザーとシルバーを組み合わせたネックレス――ありがちなメンズアクセサリーです。零君の褐色の肌にはよく似合います。

 

 

 

 「今、透君に特別なおまじないをかけました。

 

 いいですか?このおまじないが効いている間、透君は私以外の周囲の人間には取るに足りない通行人程度にしか認識されません。つまり、君が今まで苦手にしていたナンパなどがほとんどなくなるでしょう。

 

 ですが、それはあくまで君が“取るに足らない通行人”だからです。それに相応しくない、“安室透や降谷零のような行動”をとってしまえば、おまじないは解けて周囲の人間は君を“安室透あるいは降谷零”だと認識してしまうでしょう。

 

 具体的には、ボクシングで悪人を伸したり、RX-7でトンネルの壁面を爆走するような驚異のドラテクを披露したり、話術や推理で相手を翻弄する場合です。君の職場の他の同僚ができないことは、ばれるきっかけになるぐらいに思っておいた方がいいですよ。

 

 それから」

 

 最初こそ怪訝そうにしていましたが、すぐに私が神様だということを思い出して真剣な表情になった透君に、一呼吸おいてから付け加えました。

 

 「覚えておいてください。おまじないが解けてしまったら、君だけじゃなくて、周囲にも災いが降りかかりますよ」

 

 わかりましたと、透君がうなずきました。

 

 冗談でもなんでもない、ということを悟ってくれたのでしょう。

 

 「おまじないを無効にしたいときは、そのネックレスを外してください。

 

 ネックレスをしている状態でおまじないが解け、掛け直したい場合は私に言ってください。おまじないを掛け直します。・・・もちろん、先ほど言ったように、そうならないのが一番ですがね」

 

 茶目っ気たっぷりにウィンクして言いました。

 

 

 

 もちろん、わかる人には分かるでしょうが、これは呪文≪平凡な見せかけ≫のアレンジです。本来この呪文は維持に膨大なコストがかかるのですが、邪神たる私にとって、アレンジして使い勝手を向上させるなど朝飯前ですよ。

 

 とはいえ、呪文を破った場合のSANチェックはもちろん健在ですがね。

 

 ま、透君のことです。うまいことやってのけるでしょう。

 

 

 

 首元のネックレスを触ってから、照れくさそうに頬を染めた零君が、改まったように言いました。

 

 「今日は、わざわざすみません、ナイア姉さん」

 

 ノンノン。ダメですよ、それは。

 

 私は零君の唇にピンと立てた人差し指を当てて、にっこりとほほ笑む。

 

 「おや、今日、君と私はデートに来たんですよ?遊園地に、“姉さん”とデートですか?」

 

 「! いえ・・・今日は、よろしくお願いしますね、ナイアさん」

 

 よろしい。では、行きましょうか、透君。

 

 車から降りた私たちは、手をつないで歩き出しました。デートらしく、ね。

 

 

 

* * *

 

 

 

 さて、大勢の観光客でごった返す遊園地を移動するというのは、新鮮ではありますが、なかなか大変ですね。

 

 しかしながら、日ごろ薄暗い古書店で悠々自適に暮らしている私を思ってか、零君は巧みな話術でいろいろ話題を振ってくれ、退屈させません。

 

 ただし、これはあくまで偽装デート。会話の合間に、零君は左耳に差しているイヤホンで、何事か聞いて、必要とあれば、パーカーの内側に仕込んでいるマイクで何事か囁いているようです。

 

 もちろん、それをやったらすぐに、申し訳なさそうに一言、すみません、というのですが。

 

 構いませんよ、お仕事でしょう?最初からそう言ってくれてましたし、ね。

 

 それに――。遠くをチラチラとよぎる、緑のパーカーを着た特徴的な髪型の少年と、水色のコートの長い黒髪の少女。これはこれで、面白そうですしね。

 

 フフッ、これでしばらくデートはお預けになるんですから、楽しんでくださいね、二人とも。

 

 

 

 「おやまあ」

 

 「ナイアさん?」

 

 ふと視線を上げた先で、ちょっとしたものを発見した私は、足を止めてつぶやいてしまう。つられて透君もそちらに目をやって、絶句したようですね。

 

 何しろ、ミステリーコースターのレールの上で、真っ赤な噴水が上がってるんですから。

 

 いやあ、コースターからちょっと離れたアトラクションに並んでいた私たちでも見えるんですから、多くの人間が見てしまったことでしょうねえ。

 

 いやあ、いい眺めですねえ♪

 

 「あ、れは・・・・」

 

 かすれた声で絶句する零君をよそに、噴水は徐々に短くなりながらコースターのレールに沿って移動していって、やがて見えなくなりました。

 

 ・・・ここまで鉄さびにも似た生臭さが漂う錯覚がしそうですねえ。

 

 「何今の・・・?」

 

 「ミステリーコースターの方だよな?あんなのあったか・・・?」

 

 「まさか本物の血?」

 

 「嘘!まっさかぁ!」

 

 ひそひそと周囲のざわめきが大きくなる中、透君は何事か真剣な顔つきになっています。

 

 どうやら、イヤホンからの通信で、コースターで殺人事件が起こったことを知ったようですね。盛大に舌打ちしています。

 

 とはいえ、今の透君は動けません。攻略本に彼の存在が書かれてなかったということは、おそらく、彼がここにいることは、知られてはならないはずでしょうから。

 

 「なるようにしかなりませんよ。透君、あんまり神経質になっても仕方ありませんよ。それに」

 

 「それに?」

 

 「先ほどチラッと見かけたのですが、ここには日本警察の救世主君が来ているようですよ?事件なら、彼が何とかしてくれるかもしれませんよ?君の出番もなく、ね」

 

 「日本警察の救世主?・・・ああ、工藤新一、でしたか?」

 

 おやまあ、透君は新一君が気にくわないようで、不快気に眉を寄せて鼻を鳴らしています。

 

 まあ、彼のことを知らない世間からしてみれば、頭がいいだけの、目立ちたがり屋、天狗になってそうな子供ですからね。当然でしょう。

 

 とはいえ、自分の存在の露呈のリスクと、任務の順調さを天秤にかけた結果、上がったのは圧倒的に後者のようです。

 

 マイクあてに、彼が指でトントンとたたいて何事か合図したところで、列が動き出しました。

 

 少しうんざりしたように眉をひそめた透君がぼそりとつぶやくのが聞こえました。

 

 「・・・次の乗り物は、ファストパスでもとっておきましょうか」

 

 「意外ですね。こういうデートだと、君なら気合を入れて、どの乗物から乗れば効率よく回れるか、あらかじめ決めて臨む方だと思ってました」

 

 「そりゃあ、僕だってできればそうしたかったですよ。でも、その、ちょっと、今回は・・・ナイアさんならわかるでしょう?」

 

 私の言葉に、透君はちょっと困った顔をして言いました。

 

 

 

 ええ。普通のデートならそうするのでしょうが、あいにくこれは普通でない、仕事のための偽装デートです。

 

 おそらく、ルートなど全く決まってない、標的次第であったに違いないでしょう。となれば、あらかじめルートを決めてチケットを取って、などということができるはずもないでしょう。

 

 

 

 さて、適度に遊んで夕刻になったころ、ミステリーコースターの事件が収束したと同時にどうやら透君のお仕事が本格的に始まったようです。

 

 一層真剣な顔になってイヤホンに耳を傾けた零君は、ややあって凛とした表情になると「そろそろ行きます。すみません、ナイアさん。適当に帰ってください!」といって踵を返した。

 

 途中でネックレスの存在を思い出したか、彼は走りながらもどかしげに首の後ろに手をやってそれを外しています。

 

 ・・・回収し損ねましたか。まあ、いいでしょう。機会があれば、その時にということで。零君のことだから悪用はしないはずです・・・たぶん。

 

 

 

 さて。余計な拘束具は取れました。そろそろ、見世物のクライマックスに向かいましょうか。

 

 私も歩き出しました。向うは一か所、観覧車のふもと、人目を避けた敷地の端です。

 

 

 

 ああ、どうにか間に合いました。

 

 こっそり隠れているつもりの新一君が、夢中でシャッターを切る最中、背後に迫った長い銀髪に黒ずくめの――噂のジン君が、【棍棒】技能を使用。あららクリティカル。気絶判定入りましたね。

 

 

 

 はて?どこかでジン君は見かけたような気もします。どこでしたかねえ?

 

 何分、化身が多すぎるので、“手取ナイア”ではない、別の化身の記憶にあると思うんですが、とっさに思い出せませんねえ。

 

 神様といえど万能ではないんですよ。君たち探索者が、私のお遊びを乗り切って見せるように、ね。

 

 

 

 そのままギャーギャー喚いて逃げ出す薄ら禿げの小男(それでも大金入りのアタッシュケースはしかと抱きしめています)は歯牙にもかけず、生意気な小僧をどうするか、黒ずくめ二人はご相談中です。

 

 そうして取り出された赤と白のカプセルは、工藤新一君の喉奥に押し込まれ、さらに水で強制嚥下させられるという周到ぶりです。

 

 さてさて、さようなら工藤新一君。

 

 故人の曰く、「秘密は甘いものだ。だからこそ、恐ろしい死が必要になる。愚かな好奇を忘れるような」

 

 それを考えなかった君が、何より愚かなんですから。

 

 おや?

 

 立ち去ろうとした二人ですが、立ち止まって舌打ちしています。「あの野郎、しくじりやがった」とか言ってますねえ。

 

 しかし、ここでグズグズされて、うっかり幼児化を目の当たりにされようもんなら、今後の予定が台無しになります。それは実に、よろしくない!

 

 というわけで、気をそらすためにちょっとした悪戯をお見舞いしましょうか。

 

 呪文≪狩り立てる恐怖の召喚/従属≫発動!

 

 

 

 見えざる空気の管を通るように、それは顕現する。

 

 上空に、巨大なクサリヘビのような生き物がいた。奇妙に歪んだ頭と、グロテスクな巨大な鉤爪のついた付属器官が付いていた。黒いゴム状の恐ろしく大きな翼で、やすやすと空中に浮いているのだ。

 

 

 

 私の、忠実なペットのうち一体です。かわいいでしょう?

 

 もちろん、召喚に合わせて、ちょっと今回はわがままを言いました。今回は生贄なしで、と。

 

 まあ、前回喚んだとき、『九頭竜亭』を潰して土地を没収しようと難癖つけてきた暴力団を片っ端から屠らせて、彼らの根拠地である敷地を丸ごと更地にするのを手伝っていただきましたからね。

 

 前払いは済んでるでしょう?と言い聞かせましたよ。

 

 

 

 ちなみに、それをうっかり目の当たりにした黒ずくめお二人はSANチェックに失敗。

 

 ガッチリした体躯の比較的小柄なウォッカ君は悲鳴を上げてわき目もふらずに脱兎のごとく逃走。・・・そっちは零君の仲間〈公安の連中〉が網を張ってますよ~。

 

 ジン君はといえば、喉の奥で悲鳴を上げるや、反射的に取り出した拳銃をぶっ放しています。

 

 ・・・君、先ほどそれは使うなと言って・・・まあ、一時発狂中の人間に言ってもしょうがないのですが。

 

 「何だ?!」

 

 「銃声だぞ!こっちだ!」

 

 「何・・・うわああああああああああああ?!」

 

 「ば、化物おおおお!」

 

 あらら。銃声を聞きつけて駆けつけてきた一般警察の警官さんたちも、うっかり狩り立てる恐怖を目の当たりにして、SANチェックに失敗してしまいましたよ。

 

 かろうじて成功して冷静さを保っていたものもいましたが、それも一時発狂して、パニックやら変な奇行をし始めたものをなだめるには足りませんよね。

 

 さて、今のうちに。

 

 どさくさまぎれに幼児化した新一君をダブダブの服ごと抱き上げ、避難。一目につかないところで呪文≪消滅≫を使って、『九頭竜亭』へ。

 

 狩り立てる恐怖には、5分だけ野次馬の気を引いて、あとは勝手に帰るように命令しておきました。一応殺さないように命令しておきましたが、まあ打ちどころやダイスの出目が悪かったら、発狂したり死んだりするので、そこは仕方ないです。

 

 

 

 さて。初めまして、江戸川コナン君。

 

 これからよろしくお願いしますね♪

 

 

 

 

神話の研究者にとって、気の狂いはありふれた症状であり

精神分析の類は、そうした気の乱れを沈めてくれる




【珍しくデートの真似事をして、邪神成分がやや控えめなナイアさん】
 帰国した蘭ちゃんからの狂人トークにも馴染んで、暴れられないレベルではいはいと受け流す。ちっともSANが回復しないことに草ぁ。
 蘭ちゃんが今度新一君とトロピカルランドでデートするんです♪と報告してくるから、あっ(察し)となる。
 今回、零君から誘われて、原作開始日に二人でトロピカルランドで偽装デート。おしゃれもしたよ!二人ともはたで見るとお似合いの美男美女。ただし、片方は邪神で、もう片方はその被害者(無自覚)だ!
 零君が「一人で行動してるとナンパが~」と言ってたので、魔術の応用で作った簡易偽装グッズをプレゼントする。なお、偽装を見抜かれたらもれなく周辺人物にSANチェックを与える恐怖の代物だったりする。
 二人で恋人らしく手をつなぎ合ってデートするが、片割れはイヤホン片耳にお仕事モードで、もう片方は血の噴水見かけてにっこりしたり、実はロクでもなかった。
 零君が本格的なお仕事に入ったので、晴れてデートは終了。クライマックス観に行こうか!
 でも、バタフライエフェクトで新一君の幼児化が元凶2名に目撃されそうになり、このままだと『名探偵コナン』が強制終了、それは面白くない!ということで、ペットを召喚して、その場を引っ掻き回し、周辺人物のSANにナイフを叩きこんで、どさくさまぎれに幼児化新一君を回収した。
 ・・・次回、彼のSANがヤスリにかけられる。

【大好きなお姉さんとデートでうれしいけど仕事は仕事な降谷さん】
 ジン&ウォッカが、組織の取引でトロピカルランドに行くというのを聞きつけ、うまいこと確保できないか、と公安総出で遊園地を監視。
 自身も行くことにしたが、一人だとナンパに遭って思うように動けない、かといって女性捜査官は人手不足ということで、どうしたものか、となった挙句、姉さんなら神様だし、万が一があっても大丈夫!と協力を要請した。まあ、万が一なんて、起こさせる気がそもそもなかった。
 おしゃれしてる姉さん、いつもよりもきれいだなあ。
 おまじない・・・お姉さんが直接くれた・・・ありがとう、大事にします。
 一応、彼は偽装魔術グッズの説明もまじめに聞いたが、それ以上にお姉さんが自分のために手間暇かけてそういったものを準備してくれたということに感動している。・・・なお、偽装が見破られた場合、災いなんて言葉では片付かないほどの狂乱が待ち構えてる場合があるのだが、そこまで悟れているかは定かではない。
 そうだよね、せっかくのデートだし、姉さんじゃなくて、ちゃんと名前で呼ばないと!
 ナイアさんと別れてから、公安の部下たちと合流。取引相手の社長さんをとっ捕まえて、ジン&ウォッカもついでにしょっ引かせる!と手ぐすね引いたが、銃声が聞こえた挙句、部下がジンたちともどもパニクッてた。事情聞いても空飛ぶ蛇が化け物がとかわけのわからないことしか言わない。もちろん、そんなものもいない。
 どうにか落ち着かせるが、どさくさまぎれにジン&ウォッカには逃げられた。(ちなみに、彼はこの時ジンたちには姿は見られてないので大丈夫)
 仕事は失敗した。ナイアさんにちゃんと帰れたか、確認の連絡を入れないと。
 ・・・もちろん、失敗の原因を悟れているわけがない。

 なお、後日、しばらくウォッカが長いひも状のものに異様に怯えるさまを見て、頭上に盛大に?マークを飛ばしまくることに。

【予定通り幼児化してお持ち帰りされた新一君】
 世界は変わろうと、彼の幼児化は基本的に予定調和である。
 愚かな好奇の代償は高くついたが、痛みは人に教訓を与える。
 だが、教訓を己がものとしてさらなる高みに至れるかは己次第といえる。
 ・・・もっとも、そこに至る前に彼の正気が試される。邪神に目をつけられたのが運の尽きともいえる。
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