その日、たまたま友人に誘われて花火大会の会場に行った。何か食べようと屋台を見て回ったら、懐かしのガリガリカキ氷こと、フラッペの屋台が。たまにはいいなあ、とさっそく注文した。もちろん、定番のイチゴ味だ。
・・・イチゴって、玉虫色してて「てけり・り」って鳴くもんでしたっけ?
まあ、いいか。見た目はこんなでも屋台で出してるくらいなんだから美味しいだろう。いただきまーす!
くぁwせdfrtgyふじこlp;@:!!!!!!!!!!!!!!!
いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。
幼児化した新一君がおうちに帰りたい、というので狩り立てる恐怖バイクで、颯爽と送ってあげましたぁん!
え?他に言うことはないのかって?
いやあ、昨夜でしたか、彼に前々から聞いてみたかったことをちょっと質問してみたんですよねえ。
推理で人を追い詰める気分はどうですか?自殺でもしてくれたら最高じゃないですかって。
いやあ、あんな顔真っ青にして震えながらも、それでもオレはそんなことしない!って言いきってくれたのは、流石でしたね。あの年齢でああいう返答ができるのは、なかなかの高得点です。そこから恐怖と絶望に突き落とせたら、もっとよいのですが。
ええ。私は人間を愛しています。愛しているから、彼らの必死の頑張りも、高評価できるんです。そしてそれが台無しになって絶望するさまを眺めるのも、それをうまくチャンスに変えて躍動するのを見物するのも、楽しくて仕方がないんです!
なぜならそれが、私の愛ですから!
* * *
彼は私に向き直って、指を突き付けながらおもむろに言いました。
「あんた、今から探偵な」
・・・おや?
ふうむ。ちょっと待ちましょう?どうしてそういう理論展開になったんです?
小さくなった新一君は正体を隠さなければならない。
→でも黒ずくめの連中の情報は欲しい。毒薬も手に入れたい。
→情報を得るには他に探偵役を仕立てあげるのが一番。
→一番手近な毛利探偵事務所は、肝心の探偵が入院中。事務所も借金で閉める可能性がある。
→ならば、他から調達しよう。
ここまではわかりますねえ?ええ。神話技能が低かろうと、アイデアが低かろうと辿りつける思考ステップです。
→私、手取ナイアがその探偵役。
・・・いい度胸をしていますねえ、新一君。
この邪神ニャルラトホテプを捕まえて、操り人形に仕立て上げようとは。神をも恐れぬ所業とは、まさしくこのことでしょうか。
ヒッと阿笠博士が悲鳴を上げられます。
おや?どうなさいました?別にあなたに何かしようというわけではないんですが。
新一君も顔を青ざめさせていますが、それでも毅然と私を見上げています。
「・・・どういうつもりでしょうか」
努めて、普段通りに声を出したつもりですよ?ええ。ただほんのちょっぴり、邪悪が飛沫を散らしてしまったかもしれませんがねえ。
「君、先ほどの話を聞いていましたか?ええ、奴らの情報の収入源となる探偵は、連中との接点にもなるんです。危険になるんですよ?私に、そんな危険な役をやれと?ただでさえ、知りたくもない情報を握らされて、危険な可能性がある、この私に?」
「よく言うぜ」
吐き捨てるように新一君が言いました。副音声で、あんたにそんな気遣い、不要だろ、とも聞こえました。
「あ・・・」
途端に阿笠博士が顔を青ざめさせます。
「・・・博士、そこまで考えてなかったのかよ」
ちょっと呆れたように新一君が言いました。
そうですねえ、彼、最初毛利探偵にその役をやらせようとしていましたねえ。逆を言うなら、それは毛利探偵なら危険な目に遭ってもいいというようにも聞こえますからねえ。
ふむ。確か、毛利探偵は元刑事ということで、万が一があっても自衛くらいはできると考えた上の抜擢だったのかもしれませんが・・・この反応を見る限り、何も考えずに手近にいたちょうどよさそうな人材をとりあえず挙げてみた、という感じですね。
意外と、彼もいい加減ですねえ。
「博士、ちょっと頼みがあるんだ」
新一君は、目で私に少し待つように伝えてから、阿笠博士に言いました。曰く、小さくなった自分は確実に体力や身体能力が低下している。それをカバーできるサポートアイテムを作ってほしい、とのことで。
「何か、急ごしらえでもいいから利用できそうなの、ないか?」
「お、おお。ちょっと待っておれ!」
そういうや、彼は身をひるがえして地下室へ行ってしまいました。どうも、そこにしまわれているだろうガラクタをひっくり返し始めたようで、ガラガラと音が聞こえます。
「で?」
改めて口を開いて、動機を尋ねる私に、新一君は緊張に強張った顔を向けながらも口を開きます。
「見たいんだろ?人間の醜さってやつを」
ほう?
「昨日のあんたの言動を聞いて、思った。あんたの言う、人間が大好きっていうのは、人間の汚い部分――憎しみや行き違いからの殺しや悲劇、醜聞を見るのがこの上なく楽しそうだって感じた。
探偵をやるなら、そういうのに事欠かないぜ?あんたの大好きなそれを、もっと間近で見られる。オレが、見せてやる。ただ、オレにちょっと探偵させてその功績を背負ってくれたら、それでいい」
なるほどなるほど。
「それに、その目で確かめてみたらどうだ?」
「・・・というと?」
「オレが、推理で人を追い詰めて自殺に追い込むって、確信してるんだろ?それを目の当たりにしたくないか?」
・・・ふむ。なかなかの高得点ですねえ。
「・・・よろしいので?私の知る限り、君はそういうのは、根本的には嫌っているし、理解できない方だと思ってましたが?」
「ああ。あんたのような奴は反吐が出るほど嫌いだが、黒ずくめの連中を野放しにするわけにもいかねえからな。それに・・・」
「それに?」
「オレが、やすやすとあんたの思い通りになると思ったら、大間違いだ。
人間舐めるな。“神様”」
挑むような眼差しに、吹き出したくなりました。
これだから人間は面白い。素晴らしい。これだから彼らへの干渉はやめられない!
ニィッと口元を割って笑みを浮かべ、私は言いました。
「いいでしょう、新一君。取引成立です。
精々、私を退屈させないよう、尽力してください」
「・・・ああ」
言葉こそ固いですが、明らかに安堵したように息を吐いたのは、見逃せませんねえ。
この邪神と取引を持ちかけようなんて、古今東西、そうそういませんよ?まして操り人形扱いとは。そして、例外なくロクでもない死に方をしているのですが・・・彼はわかってないでしょうねえ。
まあ、面白そうですし、しばらく付き合ってもいいでしょう。
とはいえ。
「ところで、何とお呼びすれば?流石に“工藤新一”のままでは、いろいろ不都合でしょう」
「あ・・・ええっと・・・」
視線をさまよわせて考え込む新一少年に、ややあって阿笠博士が戻ってきました。
手に持っているのは、一見すると地味な黒縁眼鏡と赤い蝶ネクタイ・・・ふむ、攻略本にもあった“江戸川コナン”の装備アイテムのようにも見えますねえ。
「ほれ!お前さんが小さい頃に、スパイグッズが欲しいとか言うとって、その頃に一度作ったんじゃ!ちょいとバッテリーの再充電が必要じゃが、それさえやればすぐに使えるじゃろう!」
「サンキュー、博士。眼鏡なら、変装にも使えそうだな。
あとは・・・名前か・・・んー・・・」
なかなか思いつけない様子の新一少年ですが、時というのは無情でした。
『新一ぃぃぃぃ!いるんでしょう!いい加減に出てきなさいいいいいい!』
・・・いやあ、狂人ってどこにでも出現し・・・ああ、お隣が、彼女の執着する人間のお宅でしたっけ。
「ら、蘭?!」
ギョッとする新一君ですが、狂人は容赦してくれません。彼女の中でどういう理論理屈が成立しているかはまったくもって不明ですが、狂人は狂人の中の理論理屈によってしか動かないんですから。
・・・というより、どうも彼女一人ではないようですね。誰か連れと一緒にいて、彼ら相手にも喚いているようです。
さすがにこれは近所迷惑ですねえ。
おや。一応人間に擬態している身の上ですよ?ご近所付き合いの基本、ご近所への気遣いだって、やろうと思えばできるんですよ、私だって。
「あの、どうかなさったんですか?流石に、近所迷惑ですよ?」
困惑した風を装って、阿笠邸の門前からひょいと外を見やって見せました。
「あ、か、ナイアさん!」
私の姿を見るなり、蘭君が嬉しそうにぱあっと表情をほころばせます。
「ああ、こんにちは、蘭君。それで、後ろのお二人は?」
ニコッと笑みを浮かべてから、彼女の後ろにいるどこか神経質そうな男性と、人目を忍ぶように大きなキャペリンを目深にかぶった女性を見やって尋ねる。
「すみません、お騒がせしました。すぐにお暇しますので」
男性がおろおろと口を開くより早く、キャペリンをかぶった女性がそう言って深々と頭を下げてくる。
「ねえ、新一お兄ちゃんの依頼人みたいだから、入ってもらって話を聞いてみたらどうかな?ナイア姉ちゃん」
ひょこんっと私の足元から顔を出して言ったのは、新一少年です。その顔は、あの地味な黒縁眼鏡に覆われていました。
「あの、どうしてそれを・・・?」
言い当てられたことに戸惑っている様子のキャペリンの女性に、「簡単だよ」と新一少年は、声変わり前のボーイズソプラノですらすらと答える。
「今日は平日の午後。新一兄ちゃんは普段なら高校の授業で不在だけど、この時間ならちょうど帰宅しているはず。加えて明らかに帽子をかぶって身元を誤魔化している感じの、お忍びの様子の女性に、その付き人らしい男性。
このあたりじゃ見かけない顔ですよね?だったら、新一兄ちゃんに会いに来たのが自然。新一兄ちゃんが探偵をやっているのはテレビでも有名だから、何か事件があって、相談に来たってところですよね?」
・・・しゃべっているうちに調子が出てきたんでしょうけど、明らかに後半、小学生のしゃべりじゃなかったですよ?
彼自身も言い終えてからそれに気が付いたらしく、アワアワとした様子ながら私を見上げつつ、こう付け加えてきました。
「だよね?ナイア姉ちゃん」
「・・・ええ。そうですね、流石です」
まあ、一応取引に応じた手前です。素直に探偵役に甘んじておきましょう。
すると、ちょっと驚いていたらしい男女が、少し表情を和らげて私の方を見てきました。
「ナイア姉ちゃんは、普段は古書店の経営をしてるんだけど、仕事で推理小説とかも結構読んでるし、新一兄ちゃんのお友達だから、推理も得意なんだよね!だからこのくらいわかって当然だよね!」
なるほど?そうやって私が推理ができて当然という土台を作り上げる気ですか。
「ええっと・・・ところで、ボクは、だあれ?」
ひょいっとかがみこんで新一少年に視線を合わせながら、問いかけたのは蘭君です。
・・・微妙に、声が低いように聞こえるのは私の気のせいでしょうかねえ?君、狂人とて、子供にまで嫉妬するなんて、心狭すぎませんか?狂人に言っても詮無いのでしょうが。
ヒッとコナン君が微妙に引きつった顔をしましたが、次の瞬間、蘭君が動きを止めました。ややあって。
「か、かわいいぃぃぃ!」
おおっとぉ。工藤新一少年が、豊満な神々の谷間にその小さな頭をうずもれさせられましたぁ!全国の非リア充のみなさぁぁん!この淫獣にダイスの裁きを下してやって下さぁぁぁい!
冗談はさておいて、工藤新一少年(ウブですねえ。耳まで真っ赤ですよ)を抱きしめた蘭君は、そのままキラキラした顔で私を見上げてきて、尋ねてきます。
「ナイアさん、この子、どうしたんです?!」
「ああ・・・友人御夫婦が、急遽海外に行くことになってしまって、彼らの都合がつくまで私のところで預かることになったんですよ。一応、他に親類がいるようなので、彼らのところにご挨拶に伺おうと、こちらに来ていたんです。
ほら、御挨拶を」
蘭君から彼を引きはがし、向き直らせる。
さて、そろそろ君のお名前を聞かせていただけますか?小さな名探偵君。
「ぼ、ボクは、ええっと・・・こ、コナン!江戸川、コナンだ・・・」
とっさに出たのは、彼の敬愛する探偵たちをデザインした、作家たちの名前だった。
ようこそ、この愛おしく、狂った世界へ。優しく血塗れた日々へ。
歓迎しますよ。盛大にね。江戸川コナン君。
はて?その後のことですか?
ええ、まあ、ざっくりいってしまうと、阿笠博士のお宅に上げて話を聞いた男女お二人が、新一少年改めコナン君の見抜いた通り、新一君の依頼人だったそうで。
・・・アイドルの沖野ヨーコ君と、そのマネージャーの根岸君だったそうです。
何でも、ストーカーにあっているので何とかしてほしいとか。
・・・たぶん、これ、攻略本通りに進んでたら、毛利探偵事務所の方に依頼が繰り上がっていたんじゃないでしょうか?
まあ、今は肝心の毛利探偵が入院中で・・・蘭君、こんなところで油売ってて大丈夫なんです?
ちなみに、本人が言うには、お父さんの着替えを家に取りに来たついでに、昨日からさっぱり音沙汰のない新一君が帰宅しているか確認しに来たところを、沖野君と根岸君がいたので、どうしたものかというところで私と鉢合わせたそうで。
で、そのまま新一君の代わりに沖野君の依頼を引き受ける私と、その付き添いをするコナン君に、ついてくる気満々ですし。
・・・まあ、別にいいのですが。
で、沖野君のマンションに到着してみれば・・・部屋の真ん中に、背中に包丁突き立てた男の死体が転がってました♪
もちろん、警察を呼んで即行捜査開始となりましたよ。
コナン君は、工藤新一君だった頃の癖が抜けきらないようで、あれこれ探し回っては、警部殿!とか言ってしまう始末ですし。いい機会です。子供の体に慣れてその振る舞いを身に着ける訓練とでも思えばいいでしょう。
にしても・・・これは・・・想像以上に、いい光景ですねえ(ニヤニヤ)。
たまに私もセッションにモブ枠で参加して、こういう光景を目の当たりにするのですが、やはり何度見てもこういう光景は心地よい。
死体を前に、お前がやったんだろ?!お前はこうこうこうしてたから、コイツに対してこういうこと思ってたんじゃないか?!それならお前だって!と罪の擦り付け合いを展開する。
フフフ。人間の醜さがここぞとばかりによく見えますねえ。
おっと、こういうところで笑顔なんて不謹慎です。一応一般人に擬態している手前、女性らしく蒼褪めながらも、探偵らしく観察するように周囲に目を向けなければ。
と、ここでクイクイとカッターシャツの裾を引っ張られました。視線を下げると、真剣な顔をしたコナン君と目が合いました。
心なしか、げんなりした嫌悪感に満ちた目つきをしていますね。
赤井君もよくこういう顔を私に向けていました。
「・・・満足したか?」
「・・・ええ。それなりに」
「そうかよ。それじゃ、そろそろ事件を解決させる。声はこっちで出すから、口パクと身振りを頼む」
小声で話しかけてきた彼にうなずいたところで、彼は私の背中に隠れるや、阿笠博士に託されたらしい蝶ネクタイ――正確には、それを模した変声機を口元に当てました。
「皆さん。少し、よろしいでしょうか?この事件の犯人について、わかったことがあるのです」
そうして、不本意ではありますが、私はこの小さな名探偵の隠れ蓑として、初めて、探偵を演ずることになったのです。
* * *
事件を解決し、帰途についたところで、思い至りました。
そういえば、コナン君はどこに住む気なんです?あ、もちろん、うちですかそうですか。
となれば、あれとあれとあれが必要で、連鎖的にあれもやっておく必要が・・・。
あー・・・面倒ですねえ。まあ、仕方ないですねえ。
「ニャルラトマァジック!」
某ハンバーガーショップの教祖めいたピエロが一昔前のCMの度に唱えていた呪文風味に言って、パチンと指を鳴らしました。
ちなみに、家について狩り立てる恐怖バイクから降りた直後です。
何言ってるのこの人みたいな怪訝な顔で見上げてくるコナン君に、私は茶目っ気たっぷりにパチンとウィンクしてあげました。
そのうちわかりますよ、そのうち。・・・少なくとも、明日には、ね。
さて、翌日。
「てけり・り、てけり・り、てけり・り、てけり・り」
「何だよ、これ?」
ショゴスさんに起こされ、きちんと青いジャケットに赤の蝶ネクタイに短パンというお坊ちゃんスタイルに身を包んだコナン君は、朝食の席にて、ソファの上にあるそれを見やりました。
「見て分かりませんか?ランドセルですよ。聡明な君らしくもない」
ショゴスさんが用意してくれた朝ご飯は今日も美味しいですねえ。お味噌汁をすすりながらしれっと言いました。
昨今のランドセルはいろいろカラフルですよねえ。一昔前は赤と黒の二択だったというのに。もっとも、コナン君のそれは茶色ですがね。
「ランドセル?」
「百歩譲ってうちに居候するというのはいいでしょう。ですが、小学校には行ってください。いやですよ?PTAやら児相やらに殴り込みをかけられて、児童虐待の嫌疑をかけられるなんて。そんなチャチな犯罪歴は、邪神には不要です」
「殺人偽装した自殺で、元恋人亡くしたアイドルの泣き崩れを見てニヤニヤしてる奴は言うことが違うよなあ!!」
半ば自棄が入ったように叫び返してくれますねえ、コナン君。朝から疲れませんか?
「・・・ちょっと待て」
はたと我に返ったような顔をして、愕然と私を見ながら、コナン君が言ってきました。
「何でしょう?」
「昨日の今日だぞ?入学手続きどうしたんだ?戸籍謄本がいるんじゃないのか?
そもそもこのランドセル、どこから持ってきたんだ?教科書は?」
矢継ぎ早の質問を投げかけてくるコナン君に、私は茶目っ気たっぷりにパチンとウィンクして見せました。
「おや、誰に物を言ってるんです?私は曲がりなりにも神ですよ?
君だって見てたでしょう?」
スッと指を持ち上げ、パチンと鳴らしてみせる。
「ニャルラトマァジック!とやってしまえば、これこの通り」
「てけり・り・・・」
何です、ショゴスさん。このご主人に理論理屈を期待するなんて、無駄だと言わんばかりに力なく首を振って。君には神を敬おうという気はないんですか!
「…………………………もう、いいや、それで」
おやまあ、コナン君。まるでさじを投げたかのように!お得意の追及はよろしいので?
「下手にほじくったら、またオレの正気が削れそうな気がする・・・」
「何だ、つまりませんねえ。せっかく、常識を破壊して差し上げようと思ってたのに」
「あんたの娯楽でオレの常識を破壊すんじゃねえ!健全健康な正気でいたいんだよオレは!!」
反射でツッコミを返しながら、コナン君はランドセルを担いで玄関へ向かいます。
「行ってらっしゃい、コナン君」
「てけり・り」
『ふん。さっさと行ってしまえ』
「・・・いってきま~す」
おや、せっかく一同で行ってらっしゃいと言ってあげたというのに、コナン君とくれば妙に疲れた声で言って、出て行ってしまいましたねえ。
というわけで、我が古書店『九頭竜亭』に、住民が一人増えました。
元高校生探偵“工藤新一”君こと、現小学生探偵“江戸川コナン”君です。
なぜか我が家の住民や、私の言葉を聞くたびに、反射でツッコミを入れたり、青い顔をしたり、匙を投げたりする元気っ子です。
皆さん、温かな拍手で迎えてあげてください♪
夢の月の続き・・・どうか読者様をお守りください
【とりあえず大人しく探偵役に甘んじることにしたナイアさん】
前回からの続きで、探偵役に指名されたことに、うっかり邪悪が漏れ出して、周囲をビビらせる。
神様を操り人形に仕立て上げようとは、いい度胸だな?
自分が指名されたことに関しては、危険な目に遭っても大丈夫だろうということからの抜擢だと察しはしたが、高々人間風情の言うことを聞く義理も義務もない。
自分が人間を操り人形にするのはオッケーでも、自分がそうされるのは言語道断。超絶身勝手。神様だもの。
適当に理由つけて博士をその場からどかしたコナン君と、一対一でお話。【説得】ロールが成功されたので、とりあえず探偵役を引き受けることにした。
確かに、探偵役として事件現場に居合わせれば、人間の醜いやり取りをリアルタイムで出歯亀できる!勝手に憎んで疑り合って、はずみで殺して必死に誤魔化そうと偽装するのを見物できるなんて、最高じゃないか!
その後、沖野ヨーコちゃんの依頼を引き受け、ストーカー退治に向かうが、依頼人の部屋で包丁背中に突き立てた死体を発見。さっそく事件だ!
そうして、疑って疑られる容疑者たちと警察の面々をニチャアッと眺める。いい加減にしろこのクソ邪神。コナン君ににらまれつつ、さっそく探偵役を演じることに。
帰宅途中、コナン君が我が家に住むことになったのを悟り、その後の面倒を想像して、それは嫌だなあ、とニャルラトマジックを発動。
翌日、小学校に通うことになったコナン君からの数々の疑問をぶつけられるが、間もなくさじを投げられた。
ちなみに、追求が続くようだったら回答ついでに常識を破壊する気だった様子。
隙を見せたら容赦なくSANを抉っていくスタイル。
【邪神探偵という新しいジャンルを開拓させたけど、早くも後悔しつつある新一改めコナン君】
前回からの続きで、ナイアさんを探偵に指名。
指名するなり、邪悪な空気漏れさせだしてビビった。おい!博士もビビってる!
連れてきてもらう間に考えていた、サポートアイテムの開発要請を博士に言いつけて彼を遠ざけている間に、ナイアさんを説得。
あんた、人間の醜いやり取りが大好きだろ!探偵やったらそれをリアルタイム視聴できるぞ!
・・・本当は、そんなことを餌に他人を説得なんてしたくなかった。でも探偵役は高確率で危険な目に遭うことが確定しており、自分はともかく他人を巻き込むのはいかがなものか。その点、この邪神なら、何かあっても無問題だし!
どうにか邪神の説得に成功。そのまま波に乗るように沖野ヨーコの依頼を、ナイアさんの手柄として解決させる。
なお、幼児化したばかりなので、いまいち工藤新一としての振る舞いが抜けきらない。
そのまま、ナイアさんの家こと古書店『九頭竜亭』に転がり込む。自宅が危険って言ったのお前じゃん。博士の家より、探偵役のところにいた方が、情報だって入ってくるだろ?
帰宅するなり、ナイアさんが口にした妙なセリフに、何言ってんのこの人、と変な顔をする。聞いても、ナイアさんはそのうちわかるとはぐらかすばかり。
翌日、用意されてた学習用品とランドセルに、絶句。ややあって、そこから浮き上がる数々の異常事態に顔が引きつる。考えなければよかったのに考えてしまったので、多分軽め(0/1くらい)だけどSANチェックも入った。
『九頭竜亭』唯一のまともな人間の居候となったことで、隙あらば正気を削るスタイルの邪神様に弄ばれることが確定した。
彼のSANと胃壁に、試練の時が訪れる。
なお、この後行った小学校で、転校生でもなく元々在籍していたように普通に授業を受けることになり、アイエエエエ?!とまたSANチェックが入ることになる。