邪神様が見ているin米花町   作:亜希羅

19 / 58
 浦安の一大テーマパークは今日も大盛況である。あのアニメーションを見ずに育った子供はいらっしゃるのだろうか。私もよく見たものだ。お気に入りはデコボコのシマリスのコンビ。
 着ぐるみには中の人などいない。いいね?もちろんです。・・・でも、あんな冒涜的な見た目じゃなかったと思うんだ。ハハッて甲高い声で笑いそうにない、ケケッて鳴いて、どっかの魔女のサバトの生贄に捧げに行きそう・・・。
 やめろこっちに来るんじゃない!こんな夢の国で冒涜的な事象をふりまくな!何で周囲の人間はなにも見えてません!ここは楽しい夢の国!みたいに振る舞えるんだ!
 誰かたす(ここで文章が途切れている)


【#17】名探偵ミーツ探索者、誘拐事件を乗り越えて☆

 いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。

 

 先日新規セッションを乗り越えて、無事探索者たちが生還しました。その胸に新しく、友誼と悔悟と冒涜を芽生えさせて。

 

 え?最後の冒涜って何だって?おや、常人にとっては悍ましい経験をしたものが会得しうるものなんて、狂気とクトゥルフ神話技能に決まってるでしょう?常人はそんなもの見たくも聞きたくも知りたくもありませんから、いっしょくたにしてこう呼ぶんですよ。“冒涜”とね。

 

 公俗と常識でデコレーションされた世界など、一皮むけば腐臭と汚濁に満ち溢れ、狂気と神話生物の闊歩する真の姿が露呈されるものです。

 

 大概の人間が見なかったことにして、そのまま平穏へ耽溺したがるものですが、勇気と知恵を振り絞って健気に立ち向かう方々もいます。

 

 そういう方々には、こちらとしても敬意と遊び心をもって対峙するようにしています。

 

 ええ。めでたく我らが同居人たる江戸川コナン君も、対峙してくれる側に初めて立ってくれたようです。

 

 探索者には結構な確率で探偵がいらっしゃるんですよね。おそらくは依頼を持ち込まれたらその裏で~ということが頻繁にあるからなのでしょうが。

 

 ま、ここ最近は依頼先で血塗れ死体とこんにちは、ということも珍しくないようですが。

 

 何故でしょうねえ?

 

 え?誰のせいで米花町住民のSANが低くなったと思ってんだ、ですか?

 

 そりゃあ、もちろん、副王ヨグ=ソトース様に加え!このニャルラトホテプ様のおかげですよ!皆さん!崇め奉ってくださってよろしいんですよ?!(ドヤァッ)

 

 え?謹んで遠慮する?慇懃な言葉とは裏腹に魚の死体に沸いた糸ミミズを見るかのような蔑んだ目でこちらを見ないでくださいな。

 

 勢い任せでペットたち〈シャンタク鳥&忌まわしき狩人〉と、チャレンジ!J●Y!を企画したくなるでしょう?使うのは洗剤とスポンジの代わりにあなた方の血液とお肉になるでしょうが。

 

 

 

 

 

 え?お前の邪神トークはどうでもいい?原作主人公はどうした、ですか?

 

 ああ、彼ですか。ご両親がお迎えに来たので、引き渡してあげました♪見た目は全然違ってましたが、あれ、変装でしょう?攻略本に有希子さんは変装がお上手だって書かれてましたし。

 

 え?仮にあれが変装じゃない、本当に別人の組織の人間だったとしても、お前は奴らにコナン君を引き渡しただろうって?

 

 もちろんです!よくご存じで!

 

 売られた仔牛のごとく引きずられていくコナン君はとてもいい顔をなさってて、腹抱えて笑いそうになるのを堪えるのが大変でした!

 

 

 

 

 

 にしても、彼のご両親――工藤ご夫妻でしたか?

 

 各メディアで騒がれるご高名なお二人ですが、何といいますか。

 

 私も曲がりなりにも神の一柱ですし、色々な方々を見かけてきました。人間を愛しているが故の感情というものもありますが・・・まあ、こう評させていただきましょう。

 

 子育てに向いてませんねえ。

 

 私が見かけてきた探索者やNPCたちは、親ならば子供を案じ、子供ならば親を案じて頼ろうとするものが大勢でした。

 

 ケースバイケースではありますが、神話生物たちも親子関係を築いているものがいて、彼らも多少そういう感情を育んでいるように思えました。

 

 攻略本によると、工藤新一君、中学校のころから一人暮らしを始めて、自立なさっているそうですが・・・義務教育中によくやりますねえ。私でしたら、PTAや児相が怖くてできませんよ、そんなこと。

 

 邪神といえど一応この身は化身ですので、擬態はキッチリ行うものです。ええ。

 

 加えて、探偵ということにアイデンティティーを見出しているような、あの言動の数々。

 

 可哀そうに。彼のパーソナルの子供成分は必要以上に抑圧されて、切り捨てられ、“大人に頼る”という選択肢をハナから削除するように仕向けられているんでしょうねえ。

 

 ・・・まあ、もう少し歪んだ感じであったら、いい感じにアーティファクトや魔導書で魅入られさせることも考えたんですが・・・根っこの方はかなりまともなんですよねえ、彼。

 

 この私に噛みついてくる始末ですし。・・・それでこそ、愛しい人間の、愛しい一人、というところなのでしょうが。

 

 

 

 

 

 まあ、彼がどうこうされるなんて一筋縄ではいかないということは皆さんもよくご存じのはずです。

 

 お茶でも嗜みながら、帰りを待とうではありませんか。

 

 帰ってこれるなら、ね。

 

 

 

 

 

 ・・・そういえば、最近は少し大人しくし過ぎている気もしますね。ここらでひと働きしてみましょうか。

 

 おや、皆さん。お茶を嗜むならゆっくりしておくべきだ?お前が無駄に勤労欲を出してロクなことになった試がないからなおのことだ?ですか?

 

 ・・・いろいろ引っかかるものはありますが、まあ、いいでしょう。今回は置いておきます。今日は気分がいいので。

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

「「コナン?!」君?!」

 

 「松井さん?!成実さんも?!」

 

 そう。そこにいたのは、いつかの美術館で出会った、あの男女だったのだ。

 

 「何でここにいるんだ?いきなり見知らぬ相手のいる部屋に入ってくるなんて、何考えてんだ」

 

 気を取り直して口を開いたのは松井だった。少し苛立っているらしい、険しい口調だ。

 

 「そ、それは・・・」

 

 どう言い訳しよう、とコナンは逡巡する。

 

 工藤新一が生きているのがばれるのはリスクが高い。自分だけじゃなく、周囲まで危害が及ぶ。

 

 あの美貌の邪神が、邪悪な愉悦に口元を歪めながら語った最悪の未来予想図が脳裏をよぎり、コナンは言葉を飲み込む。

 

 それに加えて。

 

 信じてくれないかもしれない。

 

 コナンは、一時は命さえも預け合った相手を前に、ちらっとそう思ってしまった。

 

 

 

 

 

 『勝手に蘭が付いてきたんだよ!』

 

 例えば、近所の探検に行ったとき。例えば、閉鎖されてるビルに入り込んだとき。例えば、真夜中の学校に忍び込んだとき。

 

 危ないことがあるかもしれないから、新一は自分一人で行こうと思ってたのに、幼馴染は勝手についてきて、大人に見つかったら泣きわめくばかりで、新一が言い訳をしなければならない。

 

 それでも、最終的には大人たちは新一の言葉を結局言い訳じゃないかと決めつけ、新一だけを怒るのだ。お前が巻き込んだのだろう、と。

 

 同い年や少し小さな子供は、新一の言っていることに首をかしげるばかりだ。

 

 『ホームズホームズって、作り話の中のやつがそんなにすごいって馬鹿じゃねーの?』

 

 『工藤君の言ってること、よくわかんない』

 

 『そんな細かいこと気にするかよ』

 

 ホームズを尊敬して何がいけないんだ。自分たちだって、テレビの中の空想のヒーローに憧れるじゃないか。そうなろうと努力もしてないくせに、自分だけ馬鹿にされるなんて、間違ってる。

 

 何でこんな簡単なことわからないんだ。ちょっと見ればわかるじゃないか。

 

 工藤新一はだれにも頼れないし、頼ってはいけないのだ。

 

 彼がそう悟るのに、さほど時間はかからなかった。

 

 そして、その思いは幼児化した今なお、変わらない。

 

 大体、どこの誰が信じるのだ。こんなちっぽけな子供が、この間まで高校生だった、なんて。

 

 自分だって、最初鏡を見たとき、信じられなかったのだ。自分でさえ信じられないそれを、赤の他人がどう信じるというのだ。

 

 

 

 

 

 「先輩、顔顔!そんな強面じゃあ、話せる事情も話せなくなりますよ!」

 

 そこで隣にいた成実が微笑んで松井の肩をポンッとたたいてから、コナンの視線に合わせて腰を折って話す。

 

 「久しぶりね、コナン君。・・・ひょっとして、またトラブル?」

 

 「な、んで・・・」

 

 「簡単よ。この間のあれで、君はかなりしっかりしてるって知ってるもの。

 

 そんな君がいきなり他人が泊まっている部屋に無断侵入なんて、何かトラブルに巻き込まれたかしたのかな、って思ったの。違った?」

 

 「それは・・・」

 

 よどみなく述べた成実に、コナンはぐっと言葉を飲み込む。

 

 沈黙は肯定、という言葉がある。少しでも二人のことを思うなら、嘘をついて誤魔化して、遠ざけるべきだ。

 

 けれど、とっさにコナンは言葉が出なかった。

 

 「あー!クソッ!」

 

 ガシガシと白髪をかき回した松井が、同じく視線を低くして、わずかにサングラスをどかして、金縁のカラーコンタクトを入れた瞳を見せながら、問いかける。

 

 「詳しく言えないならそれはそれでいい。俺が聞きたいのは一つだ。

 

 助けは要るか?」

 

 「!」

 

 ビクッと肩を震わせ、コナンは二人を見返した。

 

 「人に言えない事情っていうのは、誰でも大なり小なりあるしね。

 

 けど、見知らぬ仲じゃないわ。何より、私たちの実力は、君も知ってるでしょう?」

 

 「お前には借りがあるからな。多少は手を貸す。何かしてほしいことはあるか?」

 

 「な、んで・・・」

 

 コナンは黒縁眼鏡の奥で、青い瞳を揺らした。

 

 助ける?自分を?何一つ大事なことを言ってないのに、頼れと?

 

 ダメだ、と思った。この人たちを巻き込むわけにはいかない。ただでさえも、あの常軌を逸したような事件を解決して見せたのだ。きっと、そういうことを専門にしている人たちなのに、自分の個人的事情に巻き込むなんて、いけない。

 

 ここは、内線電話といくつか小道具を借りるだけで、お茶を濁すべきだ。

 

 そうして、その一方でわずかながら、思ってしまった。この人たちを、頼りたい。

 

 「誰かを助けるのに、理由がいるのか」

 

 松井の真剣な言葉と、その隣で大きくうなずく成実に、コナンは思った。

 

 ああ、この人たちは、自分と同じなのだ。

 

 それが正しいなら。誰かを助けられるなら、がむしゃらに前に進める人たちなのだ。

 

 この人たちなら。

 

 「手を、貸してくれ!」

 

 覚悟を決めて、コナンは口にした。

 

 初めて、誰かに頼る言葉を。

 

 二人の大人たちは、大きくうなずいてくれた。

 

 

 

 

 

 そうして、いくつかの頼みごとを終えたコナンは、そのまま部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 そして。

 

 一世一代の大芝居は今、コナンの敗北という形で幕を閉じようとしている。

 

 松井たちの部屋で内線電話を借り、ルームサービスを仮面の男たちの部屋へ差し向け、気をそらす。

 

 そして成実からもらったガムをデッドボルトに押し込み、使い物にならなくしたうえで部屋に侵入。隙を見て、時計型麻酔銃とキック力増強シューズで鎮圧するつもりだったのだ。

 

 だが、コナンが予想していた以上に、仮面の男は頭が切れた。ガムの仕掛けを見抜いた男はドアロックをかけ、さらにクローゼットに隠れていたコナンを看破してしまったのだ。

 

 嘲りとともに向けられたワルサーP38の銃口に、時計型麻酔銃を封じられていたことに気が付いたコナンがこわばった直後だった。

 

 轟音と共に蝶番とドアロックがまとめて吹き飛ばされたドアが内向きに倒れ、その奥から現れた白髪に革ジャンの男が、黒い銃口を仮面の男に向けて、佇んでいた。

 

 「おっと、動くなよ!そいつの脳天撃ち抜いたら、お前の脳天にも風穴があくぜ?その、おかしな仮面ごとな」

 

 いわずもがな、松井だった。ガラの悪さを強調するサングラスはしまわれ、金縁の瞳で、彼は仮面の怪人を睥睨する。

 

 「な、何よあなた!!」

 

 江戸川文代が、コナンの侵入に気付いた時以上の狼狽した声で叫ぶ。

 

 「・・・何者だ?」

 

 「お節介なお人よしさ」

 

 銃口をコナンから逸らすことなく、視線をわずかに松井に向けた仮面の男に、松井はしれっと言ってのける。

 

 拳銃を持った相手に、ずいぶんな肝の据わりようを見せる松井を、少々訝しんでいるようにも見えた。

 

 

 

 

 

 実際、松井にとって仮面の男は脅威でもなんでもなかった。

 

 刑事や機動隊であった頃ならば、多少緊張したかもしれない。しかし、それも人智を超えた怪物やら神話で語られる異常存在と渡り合うようになってからは、多少の危険はものともしなくなったのだ。

 

 下手をすれば、その辺のマフィアの幹部以上の度胸は獲得しているかもしれない。

 

 拳銃がどうした。犯罪者がどうした。化け物がどうした。魔術がどうした。

 

 なすべきこと、貫くべきことのためなら、松井はどこまでも進める。

 

 

 

 

 

 「・・・ふん。いいのか?私は一人ではないのだぞ?」

 

 「そ、そうさ!何て言いくるめられたか知らないけど、どうせこの小僧にたぶらかされたんだろう?!さっさと銃を捨てな!あんたの方こそ穴が開くよ!」

 

 コナンから銃口を外そうとしない仮面の男に、気を取り直したかのように文代が懐から銃を取り出そうとした。

 

 だが。

 

 「遅えよ」

 

 微かな笑みを浮かべた松井の嘲りと一緒に、彼の脇を、その人物はすり抜ける。

 

 ネコ科の肉食獣さながらに、しなやかにも見える肢体を黒衣に覆い隠し、黒髪をなびかせ、片膝をつく仮面の男の頭上を三角跳びで通り越し、文代にとびかかった。

 

 浅井成実だ。

 

 一見すると女性然とした細身だが、彼はれっきとした男であり、その力は下手な同性よりも強い。松井に気を取られている女を組み伏せるなど、朝飯前だった。

 

 ・・・余談だが、成実も神話生物を何度か組みついて締め落としたりした経験があったりする。

 

 「きゃああ?!」

 

 「抵抗しない方がいいわ。うっかり締め落とすかもしれないもの」

 

 言葉遣いこそ女性然としたままだが、成実は文代を組み伏せたまま、視線を一度仮面の男に向け、続けてそのわきで呆然とたたずんでいる様子の大男にちらっと向ける。

 

 「ああ、あなたもおかしな真似はやめてくださいね。私、意外と力があるから、もののはずみで“ゴキンッ”としちゃうかもしれないですよ」

 

 さり気に物騒なことを言う成実に、大男が完全にたじろいだ様子で一歩後ずさる。

 

 

 

 

 

 膠着状態。

 

 一言でいうならそれだ。

 

 どうにか詰み状態は免れた。

 

 クローゼットの片隅で尻もちをついた格好のまま、コナンは必死に考える。

 

 どうする?どうすれば・・・。

 

 だが、それを破ったのはコナンではなく、仮面の男だった。

 

 「いや参った参った!まさか真に受けていたのかね?」

 

 「・・・何の話だ」

 

 肩を震わせ笑いながら彼は立ち上がる。

 

 ぽいっとワルサーを精巧に模したおもちゃの銃を放り捨て、続いて仮面とシルクハット、ボブカットのカツラを取り払い、その素顔を露わにする。

 

 口ひげを生やした、ハンサムな男。スーツの懐から取り出した黒縁眼鏡をかけながら、彼は人好きする笑顔を向けて改めて名乗る。

 

 「初めまして!工藤優作と申します!いやあ、親戚のコナンにちょっとした悪戯を仕掛けたんですが、まさか真に受けられるなんて!」

 

 「・・・は?」

 

 「・・・え?」

 

 「えええええええええ?!」

 

 呆気にとられた顔をする松井と成実の声をかき消すように、コナンの絶叫がとどろいた。

 

 

 

 

 

※ ※ ※

 

 

 

 

 

 諸々の雑務を済ませ、時刻は夕刻に差し掛かりました。

 

 ショゴスさんの作るお夕飯のいい匂いがします。今晩は酢豚だそうです。いやあ、彼女は料理上手で本当に助かります。

 

 さて、そろそろ店じまいと行きましょうか。

 

 ちなみに、この店自体の儲けはほとんどありません。

 

 ふふん。趣味半分の経営で、実質は株で儲けているんですよ。というのが対外向けの言い訳です。

 

 外に出しておいた、日焼けしてしまい二束三文にしかならない本として売りに出しているセールワゴンをお店の中に引き込み、営業中の札を取り外し、硝子戸をガラガラ音を立てて閉めようとしてたところで、「ナイアちゃん!」とお呼びの声がかかりました。

 

 はて?ここまでフレンドリーに呼び掛けられることがありましたかね?

 

 振り向いてあらビックリ。素顔の工藤有希子夫人と、どこか落ち込んだ様子のコナン君がいるではありませんか。

 

 まあ、立ち話もなんですしと、とりあえず中に入っていただいて、テーブルセットを勧めます。お夕飯前なので、お茶うけは出さずに、緑茶だけで済ませました。

 

 さて。どういうことです?

 

 口を開いたのは、有希子君でした。

 

 「ナイアちゃん。もうちょっと新ちゃんに協力してもらえないかしら?」

 

 おや?

 

 

 

 

 

 有希子君の話を聞く限りでは、コナン君は無事、優作君の試験を乗り切って見せたそうです。

 

 いささか生温いと思うんですがねえ。黒ずくめの振りしてお芝居程度なんて。私だったら、人質と発狂済みの真の黒幕に神話生物盛々でもう少し趣向を凝らして面白く、え?お前の邪神理論より、話の続きをしろ?もう、皆さんってば、せっかちなんですから。

 

 途中まではコナン君は優作君の想定通りに動いたそうですが、どこで調達したか、助っ人呼び込んで試験を台無しにしかけたんだそうです。

 

 拳銃型ライター(後で問い詰めたら、そう言って、実際に見せてもらったそうです)でハッタリかました白髪の男性と、清楚系女装した男性(組みつかれたときの感触で気が付いたそうで)に乱入され、シチャメチャになってしまいましたが、最終的に「親戚のコナンに仕掛けた悪戯をコナンが真に受けてしまい、君たちを引きずり込んだ。いや申し訳ない!」と言い訳してお引き取り頂いたそうです。

 

 

 

 

 

 ふうむ・・・“拳銃もった白髪の男性”、“清楚系女装した男性”ですか。

 

 まさかねえ?

 

 

 

 

 

 で、その後、仕掛け人たる工藤夫妻+阿笠博士とコナン君を交えた厳正なる話し合いの結果、コナン君はこの事件を片付けるまではと日本への残留を決めたそうです。

 

 そして、私には引き続きコナン君の保護者役を依頼したいとのことで。

 

 まあ、いいでしょう。元々どう転ぼうがさしたる問題にはならないつもりでしたし。

 

 

 

 

 

 「ほら!新ちゃんからもナイアちゃんに一言言いなさい!」

 

 「・・・」

 

 肩に手を置いた有希子君の言葉に、しかしコナン君は沈黙してうなだれたままです。

 

 それどころか、その手を振り払って椅子から降りると踵を返しました。

 

 「・・・オレ、晩飯パス」

 

 そう一言言い残して。

 

 「ちょっと新ちゃん!」

 

 あわてる有希子君を置いて、コナン君はそのまま店の奥――自室へ向かって行ってしまいました。

 

 「やっぱり向いてるようには見えませんねえ」

 

 「でも、新ちゃんが決めたからって優作も止める気がないみたいだし、蘭ちゃんのことだってあるし・・・ナイアちゃんも、そう言わないで、もうちょっとお願い。ね?

 

 新ちゃんの失礼は謝るから!」

 

 いったい彼女は何の話をしてるんでしょう?

 

 私が“向いてるように見えない”と言ったのは、“工藤新一君が日本に残ること”に対してではなく、“工藤夫妻が子育てすること”に対してですよ?

 

 あの明らかに落ち込んだ様子のコナン君を丸無視で、用件だけ切り出すとはねえ。

 

 まあ、コナン君の性分から、御自分の内心を他者にさらけ出すのをよしとはしないのは重々承知なのでしょうが、それを心配もせずにこの態度とは。

 

 コナン君が、必要以上に大人びて、一人で物事を抱え込みがちなのは、こういったことに起因するんでしょうねえ。

 

 

 

 

 

 ま、彼の家庭事情なんて、どうでもいいことではあります。

 

 その後、私はにこやかに有希子君とその後の話を詰めました。

 

 表向きの養育費云々の話ですね。

 

 新しくコナン君用に作った口座の通帳カードをお預かりし、必要ならそこから使ってほしいと言われました。

 

 ・・・工藤新一名義のカードや口座の類は、危険ですから当分自首凍結した方がいいと判断なさったようです。実に賢明な判断です。

 

 

 

 

 

 さて、そのまま工藤有希子さんはお帰りになられ、コナン君はそのまま一晩部屋から出てきませんでした。どころか、翌日になっても落ち込んだままらしい様子でしたし。

 

 まあ、彼がどう転ぼうが、私は一向に構いません。

 

 ・・・攻略本によれば、90巻を超える大長編漫画の主人公をやるくらいです。この程度で躓かれたままでいるわけがないでしょうからねえ。

 

 朝食後の紅茶を楽しむ傍らで、コナン君がお店の電話で蝶ネクタイ型変声機を片手に、どこぞの出版社に電話をかけてましたが、些細なことでしょう。

 

 いやあ、今日も世界は混沌に満ちてますねえ!素晴らしい!

 

 

 

 

 

私もね、モン娘は素晴らしいと思いま

ン゛ン゛ッ(竜咳)続きます!

 





【今回さして出番のなかった辛口人間批評家のナイアさん】
 出番の半分近くを原作主人公と探索者組に取られてしまった。私主人公のはずですよね?!
 人間を愛していると嘯き、長く彼らに悪意と混沌をふりまいてきたがゆえに、観察眼も備わっている。愛だの親子関係だのを理解はできても、共感はしない・・・というより、出来ない。邪神だから。
 そんな彼女の目からしてみると、工藤一家ってやっぱり歪。夫妻の教育が歪な割に、新一君は割とまとも。ただし、歪であるということに変わりはない。
 帰ってきたコナン君が何か落ち込んでて、それも気にすることなく用件を勧める有希子さんに、やっぱこの人たち子育て向いてないんじゃね?と思う。
 保護者役は継続することを決める。ただし、組織との戦いまでは積極的に力は貸さないよ?あくまで保護者役だからね、と釘は刺しておいた。
 ここ最近邪神ムーブが少ない。そろそろ本気出すか!

【身内のイタズラによってSANが削れかけたコナン君】
 前回から引き続き、黒の組織と思われる連中の追跡&取引阻止して薬の奪取に挑む。
 攻略本持ちのナイアさん程度しか知らないことだが、本来であれば彼の逃げ込んだ部屋には、母親が用事で出かけてお留守番する子供がおり、不審がられて通報されかける。が、バタフライエフェクトによって、いたのが仕事関係で居合わせた松井&成実ペアだった。
 ・・・文中でも言ってるが、序盤のコナン君が割と一人で何でも抱え込むのって、周囲の関係もあったんじゃないかな?作者は主人公贔屓なので、好意的にそういう感じに見てしまいます。
 そんな“一人で何でもやらないといけない。幼児化しようが他人に手を借りるのはNG”と思い込んでるコナン君に、初めて事情も詳しく聞くことなく、そんな彼を否定することなく、手を貸すよ!と言ってくれたのが松井&成実ペアだった。
 大人を頼っていいんだ、とやっと思えた彼が手を借りたのもつかの間、最悪の相手が最悪のネタ晴らししてきた。
 ・・・タチの悪い悪戯って絶対思われた。もう信じてくれなくなったに違いない。やっぱり巻き込んで手を借りたのは間違いで、一人で何とかしなくちゃいけなかったんだ。
 組織のこととかあるから日本への残留を決めたけど、いつにない落ち込みぶりを見せる。
 なお、クソ親父への仕返しはキッチリ行った。

【コナン君への借りの返済に手を貸した松井&成実ペア】
 彼らの反応は次回に!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。