邪神様が見ているin米花町   作:亜希羅

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 また閑話かよ?!いい加減本編進めろよ!と思われるかもしれません。
 ええ。先日、邪神様もそのようにおっしゃって、冒涜的なクサリヘビのような生き物に締め上げさせながら、私には理解不能な超理論を延々と演説なさられておりまして。
 けど、小学校の事件で作者のSANも摩耗されたので、ちょっと回復させてください。
 違うんです。後先考えずに少年探偵団をオミットして、この後どうしよ、と迷っているわけもないんです。本当なんです信じてください。
 あと、27話に盛りこめきれなかった部分の補完も入っていますので。
 プロットはありますから信じてください。


【#27.5】探索者たちの日常①

 [カラオケボックス、レックス解散パーティーにて]

 

 

 

 どうしてこうなったのかしら・・・。

 

 鈴木園子は思う。そりゃあ、彼女は財閥の令嬢ではあるが、女子高生らしくミーハーな一面もある。

 

 だからというわけではないが、ちょっぴりお金と権力を使って、人気アイドルグループ、レックスの解散ライブに顔を出させてもらった。

 

 親友の蘭も、新一が行方不明になって元気がないので、気晴らしになればいいと思って連れてきた。(もちろん、先方には了解を取っている)

 

 レックスのボーカル、木村達也はにおい立つような、いい男だ。あわよくば彼氏に・・・とまではいかずと、握手してもらったら一生の思い出になるに違いない。ソロデビューしても、一生ファンでいるつもりだ。

 

 そんな、楽しみにしていた解散ライブ、その会場となるこじんまりしたカラオケボックスのパーティー席は、修羅場特有のぎすぎすした空気が横たわっている。

 

 もう一度言おう。どうしてこうなったのかしら。

 

 空気を生み出しているのは、このライブの主役であるはずの、木村達也と、その子たち以外のもう一人のゲストである女性だ。

 

 なんでも、元マネージャーだそうで、3年ほど前までは彼女がレックスのサポートを一手に担っていたそうだ。今サポートについている気の弱そうな男性とは、対照的に、ショートにした栗色の髪の、活発そうな女性だ。・・・あと、無茶苦茶美人だ。

 

 「活動お疲れさま!みんな元気そうでよかったわ!」

 

 「ありがとう、麻里」

 

 「お前も、元気そうだな。探偵事務所で事務をしていると聞いたが?」

 

 「ええ。所長にもよくしてもらってるわ。今日も、早めに上がらせてもらって」

 

 レックスのほかのメンバー、芝崎美江子、山田克己と、寺原麻里という女性はにこやかに談笑をして見せているが、ビールをあおる木村達也が不機嫌そうに睨みつけると、なんか文句ある?というかのような鋭い視線を向ける。

 

 「ケッ。な~にがよくしてもらってる、だ。あんなちんけで小汚ねえ事務所のどこがいいんだ。」

 

 吐き捨てる木村に、寺原は一層視線を険しくするや、フンと鼻で笑う。

 

 「あ~ら。ブスには小汚い事務所がお似合いじゃなくて?

 

 それに、何か勘違いしているようだけど、私は美江子と克己君のねぎらいに来たの。あんたの面倒を見るのは、金輪際御免だから」

 

 「何だと?!」

 

 「あたりまえでしょう?あんたと一緒にいるのは不快なの。二人のためと、隅井さんのお願いがなかったら、来るわけないわよ。

 

 私の仕事場にまで何度も押しかけてきて。何様のつもり?」

 

 険しい顔と口調で言い放つ寺原に、木村はぎりぎりと歯ぎしりしながら彼女を睨みつける。

 

 「ど、どういうことなんです?」

 

 気おされて小声で事情を尋ねる蘭に、芝崎が同じく小声で答える。

 

 「彼女、昔から達也にいじめられてたみたいなの。よく、口論してたの見かけたわ。達也のそんな暴言で驚いてた周囲に、謝罪して回るの、彼女の役回りだったわけ。

 

 で、なんか事件に巻き込まれたかで数日仕事を休んだ後、ひときわ派手なケンカをしてから、仕事をやめちゃって。

 

 でも、達也は彼女を復帰させようとやきもきしてて。

 

 ・・・たぶん、小学生が好きな女の子をいじめるような感じかしら?理解できないけど」

 

 なにそれ。かっこ悪い。

 

 わきで聞いてた園子は、済んでのところでそんな感想が口をつきそうになるのを、こらえた。

 

 おそらく、蘭も同じように思ったのだろう。困ったような顔をしている。

 

 「今回、達也がどうしてもっていうから、隅井さん・・・このカラオケボックスの店長で、あの二人の昔馴染みね、あの人が呼んだらしいんだけど・・・まったく学習できてないみたい・・・」

 

 芝崎は深々とため息をついた。

 

 芝崎が木村に告白した時、カッコつけて好きなやつがいるんだととてもやさし気な眼差しで答えた、あの姿はどこにもない。

 

 困った子供を見るような目で見られているとはつゆ知らず、酔って顔を赤くしている木村は、そのまま寺原にブスが、勝手にやめやがって!誰が辞めていいっつった云々と暴言を吐き出している。

 

 対する寺原は、ブリザードのような極寒の眼差しを木村に向けながら、「やめようが私の勝手でしょう?ブスがいなくなってせいせいしたくせに」と冷たい返答を返している。

 

 ああ、もうあれはだめだと、ミーハーで恋愛好きな園子から見てもわかる。

 

 そして、寺原がさらなる追い打ちをかける。

 

 「それに、前にも言ったけど、私、付き合ってる人がいるの。

 

 彼も今の仕事に理解を示してくれてる。何であんたの言いなりにならなくちゃいけないの」

 

 「え?!そうなの?!」

 

 「は?!」

 

 驚く芝崎と山田をよそに聞こえたガシャンという音は、室内にグラスを運び入れていた隅井が、手に持っていたそれを取り落としたためだ。

 

 幸いグラスは割れなかったが、飲み物が派手に床を汚してしまった。

 

 「あ、す、すまない!」

 

 「はあ?!お前、あんなデマカセ信じると思ってんのか?2年前からずっと言いやがって!」

 

 慌てて床の始末をし始める隅井をよそに、食って掛かる木村と、「どこまで自分に都合がいいのよ、この馬鹿」と吐き捨てる寺原。

 

 「とにかく!私は金輪際、あんたには近寄るつもりはないから!

 

 いつまでも昔と同じわけないでしょ!もうたくさん!」

 

 言い捨てて、寺原はくるりと芝崎達に向き直り、「連絡が遅れてごめんなさいね。二人は解散の後、どうするの?」と微笑みながら尋ねる。

 

 ・・・そこに木村なんかいませんという、そんな態度が怖い。園子はそう思いはしたが、口に出すほど愚かしくはないつもりだ。

 

 「あ、えっと、それね」

 

 「・・・連絡が遅れたんだが、俺たちも事務所をやめるつもりだ」

 

 「そうなの?」

 

 「ええ。経営の勉強してたし、二人でカラオケボックスでもやろうかなって」

 

 「二人?・・・もしかして!」

 

 「籍、入れることになった」

 

 頬を染めた芝崎の肩を抱き寄せ、同じく頬を赤らめる山田がぶっきらぼうに言う。

 

 「おめでとう!式とかは?」

 

 「とりあえず籍だけ入れて、余裕ができたら改めてしようって」

 

 「うわー!おめでとうございます!」

 

 「お店とか決まったら、教えてください!友達とか、誘って行きます!」

 

 妙に静かになった木村(主役であるはずなのに!)を眼中に収めまいというかのように、そのこと蘭も口々に祝いの言葉を述べた。

 

 「勝手にしやがれ!おい!岸田!俺はもう帰るからな!」

 

 「あ、木村さん・・・!」

 

 立ち上がって荒々しく出ていく木村達也をよそに、岸田と呼ばれたマネージャーは頭を抱える。

 

 「こ、この後バラエティに出演予定があったのに・・・キャンセルの電話入れなきゃ・・・」

 

 痛そうに腹部をさすり、哀愁漂う背中を見せながら、彼もまた部屋から出ていく。

 

 そうして、なんだか空気が微妙になってしまったのもあり、お開きとなった。

 

 

 

 

 

 やっぱりアイドルって、画面の装飾力もあるんだな。

 

 白い息を吐きながら、夜道の横断歩道の信号待ちを蘭としている園子は、そんなことをぼんやり思う。

 

 やっぱり、イケメンでももうちょっと身の丈にあった、男を探そう。

 

 ふと、視線を動かすと、道を挟んだ向こうで、誰かがいる。

 

 あれは寺原だ。誰か背の高い、ニット帽をかぶってコートを着込んだ男性と、仲良さげに腕を組んでいる。

 

 あれが、言っていた付き合っている人、なのだろうか。

 

 いいなあ、うらやましい。

 

 園子は蘭を突いて、そちらを指さして、教える。

 

 そうして、この後デートかな?と二人でくだらない話で盛り上がろうとした時だった。

 

 信号無視した車が、蛇行運転をしながら、二人のところに猛スピードで突っ込んでいく。

 

 そして。

 

 轟音。悲鳴。

 

 蘭と園子は、たまらず、絶叫していた。

 

 

 

 

 

 

 誰が連絡したか、すぐさま救急車と警察が駆け付けてきた。

 

 そして、事の真相は翌日、テレビのニュースの一角を飾ることになる。

 

 泥酔した木村達也がそのまま車を運転し、事故を引き起こした。

 

 被害者は、一名。楠田陸道という男性だそうだ。信号の横断中に、運悪くはねられたらしい。当たり所が悪く、即死だったそうだ。

 

 寺原と、彼女と一緒にいた男性は無事らしい。なんでも、かろうじて車に気が付いて、回避行動をとったのと、近くの街灯に激突されたので、事なきを得たそうだ。

 

 あーあ。せっかく、アイドルとしては応援しようと決めてたのに。

 

 園子は、チャンネルを朝の占いコーナーをしている番組に変えて、ため息をついた。

 

 イメージが大事なアイドルが、人身事故。それも厳罰である飲酒運転で、死人を出した。

 

 多分、木村達也のデビューは、立ち消えだ。

 

 園子は、残念に思ったが、同時にどこかで思った。

 

 きっと、すぐにお気に入りのアイドルが見つかるだろうなと。

 

 言っては何だが、園子は移り気なところがあるのだ。・・・自覚もしている。

 

 寺原さん、無事でよかったな。それだけは喜ばしい。

 

 園子は、そのことを蘭と話すべく、朝の星座占いの順位を確認してから通学かばんを手に取り、家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

[解毒後、喧々囂々]

 

 

 「絶対ダメ。断固として反対します」

 

 「なんでだよ!成実さんだって見ただろ?!」

 

 阿笠邸は騒々しかった。

 

 

 

 

 

 確かに、この家は普段から騒々しい。老人(家主は断固としてその呼称を拒否する)の一人暮らしながら、おかしなメカだ何だをいじくりまわすこの邸宅では、爆音をはじめとした騒音が頻発する。

 

 近所からたびたび苦情が入るほどで、地下に防音設備の工事をしてそこで発明をいじるようになったほどだ(そして、それでも時々うるさい)。

 

 だが、その日の騒々しさはベクトルが違っていた。

 

 コナンが連れてきた、白髪の男性と黒衣の女性に、最初こそ阿笠は目を白黒させた。

 

 コナンが言うにはある事件で仲良くなり、さらに二人が非常勤勤めをしている探偵事務所にも出入りさせてもらっている。そして、先日偶発的に元の体に戻った(正確には再幼児化した)ところも見られてしまい、やむなく事情を説明したと。

 

 工藤新一が生きてることを知られるのは危うい、とナイアと二人して言ったにもかかわらず、この始末である。否、事故のようなものだからコナンを咎めるのは間違っているのだろうが。

 

 自己紹介をする二人に、阿笠は恋人同士だろうかと少し目元を緩める。(片方女装している男だと気が付いていない)

 

 コナンからサポートメカ開発の要請を受け、さらに工藤夫妻からもそのことで開発資金を得られているので、阿笠の生活はさほど苦しくない。

 

 コナンの仲間なら、自分もできる範囲で手を貸そうか。どうせならペアルックの装備品でも送ってみようかと、年甲斐なくウキウキしてしまう。

 

 

 

 

 

 さて、険しい表情をした成実に、コナンが食って掛かっているのは、他でもない、コナンが一時解毒できたことについて、である。

 

 コナンが言うには、大阪から来たという少年が持ってきた酒――白乾児〈パイカル〉を飲んだことが原因ではないかということだった。

 

 玉子酒じゃないんだから、と呆れる成実に、コナンはどうにか白乾児〈パイカル〉を入手できまいかと相談してきたのだ。

 

 一口で短時間といえど元に戻れたのだ。ならば全部飲み干せば完全解毒間違いなし!と浮かれるコナンに、成実は容赦なく言い放った。

 

 ダメ、絶対。と。そんな、いけないお薬撲滅キャンペーンのキャッチコピーのようなセリフを言い放った成実に、あれこれとコナンが食い下がる。

 

 かくして、阿笠邸は普段にはない騒々しさに包まれることになった。

 

 「大体、その組織、壊滅してないんじゃない。うかつ戻って生きてることを連中に知らしめるなんて、危険が過ぎるわ!

 

 加えて、あの時、君は体調を崩してたわ。免疫機能が低下してたのも、元に戻れた原因の一つかもしれないわ。

 

 それに、本当は17才だろうと、今のあなたは小学生なのよ?幼児なの!そんな子が、アルコールを大量摂取?!アレルギーを発症したり、急性アルコール中毒にでもなったら、どうするの!

 

 医者として、断固として反対します!」

 

 「でも!ひょっとしたら元に戻れるかもしれないってのに!

 

 成実さんにわかるのかよ?!子供のくせに!子供のくせに!!口を開けばいつもそれだ!

 

 気が付いたことを言っても!正しいことを言っても!子供だからってだけで、全部聞き入れてもらえないんだぞ!

 

 大人だからってだけで、嘘を言っても、誤魔化しても、許されるなんて、おかしいだろ!

 

 だったら、俺だって元の姿に戻らねえと、何も出来ねえままだろ!!そうしないと話すら聞いてもらえねえんだから!

 

 誰も!何も!ちっぽけな子供の言うことなんて、耳も貸さねえんだから!!

 

 ちょっとでも元に戻る可能性があるなら、すがって何が悪いんだよ!」

 

 憤懣やるかたないと叫ぶコナンに、成実は口をつぐむ。

 

 確かに、成実にはわからないだろう。彼に幼児化した経験はない。自分の訴えが大人に信じてもらえない、という経験こそあるが、それでもここまで心折れるほどすげなくされたことはないのだから。

 

 ・・・目の前の少年は、そんな大人に失望しきっている。だからこそ、元に戻らねばならない、と。

 

 「・・・それじゃ、こういうのはどうだ?」

 

 静かに口を開いたのは、それまで二人の言い争いを静観していた松井だった。

 

 「白乾児〈パイカル〉の調達はしてやる。

 

 ただし、飲んでいいのはコップ一杯だけだ。それでさらに元に戻れるなら、そうすりゃいい。何の変化もなければ、それで中止。

 

 この辺りが落としどころだ。

 

 ま、今は飲酒云々は厳しいがな、少し前だったら、酒盛りしてる大人がガキに“大人の味だ”ってこっそり飲ませるってこともあったんだ。少しくらいなら大丈夫だろ。

 

 お医者様だってついてるしな。

 

 一度やって結果が出なけりゃ、納得できるもんもできねえだろう」

 

 「・・・少しでもおかしいと思ったら、無理やりにでも吐き出させるからね」

 

 おどけて笑う彼に、成実は深々とため息をついてから頷いた。

 

 これ以上ごねれば、コナンが見てないところで無茶をする可能性に思い至ったのだろう。

 

 具体的には、こっそり入手した白乾児〈パイカル〉を一ビン丸々一気飲みしかねない。何か異常が出てからでは遅いのだ。

 

 「後な、コナン」

 

 「何だよ?」

 

 「“ちっぽけな子供の言うこと”に耳を貸すもの好きなら、少なくとも、ここに二人いるし、この場にいないが、あと五人ほどいるのを、忘れんなよ」

 

 「この場にいるのは三人じゃ」

 

 気を取り直すように口をはさんだ阿笠に、松井が小さく笑う。

 

 「・・・うん」

 

 小さく、コナンが笑う。ふにゃッとした笑いは、年相応のようにも見えた。

 

 

 

 

 

 ふと、阿笠は思う。

 

 いつから、新一はあんな笑いをしなくなったのだろうか。

 

 確かに、男の子は大きくなれば男となっていくものだ。

 

 だが、近所で見かける少年少女に対し、新一が生意気な口を叩いて不敵な笑みを浮かべるのは早くとも、泣いたり落ち込んだりして年相応にしているのをまともに見たことがあっただろうか。

 

 本人が意地っ張りで格好つけで、そういうのを隠したがる傾向があったにしても、いささか早熟すぎたような気もしないでもない。

 

 ・・・自分は、彼に対する接し方で、何か間違えてしまっただろうか。

 

 

 

 

 

 そんなわずかな阿笠の葛藤を置いていくように話は進む。

 

 とりあえず翌日学校が控えている今日はだめ、飲酒の事実がばれたら大事になるし、二日酔いの可能性もあるから、最低でも翌日が休日の日に試そう、場所はここにしようと3人があれこれと条件付けしている。

 

 「すみません、阿笠さん。急に来て、騒がしくしてしまって」

 

 「いや、かまわんよ」

 

 申し訳なさそうにする成実に、阿笠は笑って首を振る。

 

 所詮、自分は爺呼ばわりされるしがない発明家だ。このちっぽけな家でガラクタをいじりまわすくらいでちょうどいい。

 

 孫のような新一は、遠慮なく自分をこき使うが、それはそれで悪くない。だが、それでもできることには限度があるのだ。

 

 一緒に犯人を捕まえるために走り回るなんて、自分には無理だ。

 

 それはきっと、目の前の男女くらいがふさわしいのだろう。

 

 「・・・新一を、これからもお願いします」

 

 「は、博士?!」

 

 新一の、あの叫びにすら気が付かなかった、自分にできるのはこのくらいだろう。

 

 仰天するコナンをよそに、阿笠が頭を下げると、松井が苦笑を返した。

 

 「どうだか。案外、よろしくされているのは、俺たちの方かもな」

 

 「アハハ。ポテンシャル高いもんね、コナン君。

 

 私たちにできる範囲にはなってしまいますが。

 

 後、こちらこそ、よろしくお願いします」

 

 「コナンが、自分から誰かを連れて行こうって場所は、ここが初めてだったんでな。

 

 ・・・あんた、自分で思ってるより、頼られてるぜ。きっとな」

 

 成実と松井の言葉に、阿笠は目をしばたかせた。

 

 それじゃあ、また後日、と辞去の挨拶を述べて去っていく3人。

 

 パタリッと音を立てたのは、玄関の扉か、はたまた、阿笠の頬から零れ落ちたものか。

 

 これだから年は取りたくないのだ。

 

 ずびっと鼻をすすって、阿笠は踵を返す。

 

 早く、発明の続きをしよう。

 

 今は、コナンの眼鏡に組み込むプログラムを組み立てているところだ。あの追跡眼鏡も自信作だが、もっといろいろ盛り込んで、バージョンアップをしていこう。

 

 ・・・孫のような、年の離れた友人と、その頼れる大人たちの、ために。

 

 

 

 

 

 

 後日試したところ、やはりコナンは戻れなかった。

 

 この二人のどこかミステリアスな男女とも、長い付き合いになりそうだと阿笠は思う。

 

 

 

 

 

Amen,Amen,Continued,Amen!

 





【カラオケボックス、レックス解散パーティーにて】
 話の元ネタは原作コミックス5巻『カラオケボックス殺人事件』から。
 園子ちゃん視点なのはなんとなく。
 実は寺原麻里さんや木村達也の経歴(昔のバンド解散→レックス結成→達也のソロデビューにつき解散)のあたりが作者の脳みそにおいてかなりあいまいだったのですが、このシリーズでは3年前時点ですでにレックスは結成済みということでお願いします。(コイツいつも脳みその中身があいまいだな、とあざけられそうですが)
 原作と違い、麻里さんはすでに達也に対して未練はなく、探偵事務所のお仕事、恋人や友人に恵まれたプライベートと非常に充実なさっています。(時々首を突っ込む冒涜的事件から目をそらしながら)
 木村達也、亡くなった後に皆さんからいい奴だったよ!とフォローされてますが、読者やコナン君からしてみたら飲んだくれの態度悪い派手なにーちゃん、くらいにしか思えないんですよねー。
 本シリーズでは、亡くなりはしませんが別の形で世間に激震を与えてからフェードアウトすることになります。
 なお、麻里さんと彼女の恋人(誰なのかはお察し)が無事に済んだのは、TRPG風に言うなら【幸運】ロールがクリティカルしたせいです。
 余波が某人物にまで及んでますが・・・それは、まあ、運がなかったというのが一つ。
 後、赤井さんがあちこちで非難されている元凶の一つなので、じゃあ、彼を別の要因で排除させとけばいいんじゃね?となりました。本シリーズの赤井さん、原作以上に苦労なさってますし。
 死体のすり替え?どうにかします。していきたいです。(作文かな?)

【解毒後、喧々囂々】
 一応、♯27の後日談に当たります。
 本来なら、この話は10巻『図書館殺人事件』が並行して起こりますが、きっかけとなる少年探偵団の勧誘もなく、コナン君はぱっぱと課題図書を借りて、さっさと出て行ってるので、図書館で起こっているトラブルには気が付いていません。
 ぶっちゃけ、彼は解毒手掛かりに夢中で、それどころじゃなかったりします。
 そのうちバタフライエフェクトで誰かが気が付くか、さらに犠牲が増えて、隠しきれなくなって発覚、って形になるんじゃないですかね?
 阿笠博士視点なのは、なんとなく。
 原作では少年探偵団の保護者役をしてますが、彼の対応について割と批判は多いかと思います。
 少年探偵団も少年探偵団なら、阿笠博士も阿笠博士、と。
 逆に考えてみてください。ああいう方だから、今まで独身だったんですよ。きっと。
 まあ、本シリーズでは、少年探偵団と知り合う前に彼らが退場になってしまいましたので。
 彼には徹頭徹尾、コナン君のサポートに徹していただく予定です。
 ・・・コナン君の頼れる大人の、数少ない一人ではあったのでしょう。ただ、コナン君が必要とする方面のベクトルは持ち合わせてないというだけで。
 結果として、本人に悪気はなくと、コナン君が何でも一人でやろうとする後押しをしてしまうことにもなりました。そして、今回の話で、うっすらとそれに気が付いてしまったというわけです。
 あと、阿笠博士が工藤夫妻から資金援助を受けている、というのは本シリーズ独自設定です。そうとでも考えないと色々変ですし。いくら、孫同然のコナン君の頼みでも、材料費だってただじゃないわけですから。(劇場版のたびにポンポン壊してますし)
 ちなみに、彼は冒涜的なことは一切知らないので、単純に探偵事務所の非常勤と知り合った、程度に思っています。
 亡き少年探偵団の分も、癒し要素になってくださいね、博士。
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