以前も書きましたが、コナンの事件ってうまく転用したらクトゥルフ的事件へ発展させられる事件が多いんです。今回の事件もたまたま思いついたということで。
劇中で登場している、冒涜的伝説は、私が適当に考え付いたものです。どっかのあれとネタ被りしてたら申し訳ないですが、どうかご容赦を。
・・・島の人たち、知ってたっていうなら、お墓参りぐらいしてあげてもよかったんじゃないかな?だから、自分一人が頑張らないと、って原作の君恵さんも思いつめるんですよ。
禄郎さんも、言い寄るだけじゃなくて、君恵さんの苦悩を分かち合う姿勢ぐらい見せてあげなよ?そんなだから、最後一人取り残されるのですよ?
冒涜的にはしますけど、できるだけ明るくしていこうと思います。
今回は、シティーシナリオ系にありがち、事件前に観光にかこつけてあちこち調べておこうぜ的パートです。
いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。
いやー、やっと来ましたよ、美國島。
この島のある福井県は、八百比丘尼伝説発祥の地ですし、いろいろ曰くもあるので、時々視察していたんですが・・・フフッ。
だいぶ前に事件の仕込みをしたところが、そろそろいい感じになりそうだったのでコナン君もつれて、ついでに冒涜的事件に引力を感じられる探索者の皆さんも一緒に島を訪れてみました!
そろそろ、毎年恒例の“儒艮祭り”が開催される時期ですしね。
いやー楽しみ楽しみ♪
・・・別に気にしてませんよ。
ちょっと仕込みの具合も確認しようと思って、離脱した途端に和気あいあいと始められる探索者たちなんて。
これっぽっちも!気になんて!してませんから!
え?毎度のことながら、今度はお前何やらかした?ですか?
全部ばらすと興ざめしそうなので、今はまだ秘密にさせてくださいね♪
いやー、私としては、ボヤ程度のつもりだったんですよ?まさかこんなになるとは思ってもなくて。
え?嘘つけ、絶対炎上させるつもりだったろ?ですか?
おや、皆さん。私が人ごみ紛れて悪意をささやいて、邪悪を混ぜ込もうとしているのは周知のことでしょう?
そこに包丁があったら、持ち方を手取足取り教えて、ついでに軽く殺意を持っている方がいらしたら、それを使えば悩みの種も刻めますね!とニッコリ言ってあげるのが邪神式お節介というものです!
私ってば、何たる大阪おばちゃん味あふれる邪神なのでしょう!褒めてくださいどーぞ!
え?軽蔑しかできねえよクソ邪神?
・・・最近思ったのですが、私と皆さんの感性って、意外とずれてるんですね?がっかりです。
え?当ったり前だ、邪神のアホンダラ?
もう呼吸するように罵倒されるんですねえ。いつか、その罵倒が命乞い交じりの礼賛になることを期待していますよ(ニタァッ)。
さあて、冒頭邪神トークはこの辺りにしておいて、そろそろ本編に行ってみましょうか!
セッション参加プレイヤーは、ご存じ江戸川コナン君、松井陣矢君、浅井成実君、竜條寺アイル君、復帰プレイヤーとして設楽蓮希君、新規参戦組として徳本敦子君、越水七槻君の合計7名に、NPC枠に湯川理央君です。
あ、ちなみに理央君をNPC参戦換算しているのは、彼女、どうもこちら側の耐性がないみたいなんですね。
つまり、SANチェックする羽目になろうものなら、即発狂か現実逃避し続けるタイプです。
あのSANチェッカーのようなお姉さんがいたというのに!何とも面白味に欠ける子ですねえ。ま、彼女自身をいじるより、彼女をネタに赤井君をからかった方が数倍面白そうだから、別に気にしてないのですが。
がんばってくださいね♪
* * *
さて、港から少し離れた場所です。
自販機とベンチが並べられた、よくある休憩所ですね。
そこでコナン君、松井君、成実君、蓮希君は七槻君の依頼に関する情報共有をしているそうです。
あ、ちなみに七槻君の依頼というのは槍田探偵事務所に届けられた手紙です。
何でも、震える字で「このままじゃ人魚に殺される。助けて」と書かれてあったのだとか。詳細を聞こうと電話をかけたら、無言が何度も続いた挙句、最後に聞こえたのが、うめき声と潮騒で、以降はつながらないという、好奇心を掻き立てられそうな結果に終わったそうです。
・・・ちなみに、槍田探偵事務所はオカルト方面の依頼も引き受けることで、そちらの分野では割と有名です。
槍田君も多分、ごく普通の事件か、神話事象関連か、相当迷われたでしょうね。だからこそ、経験者でもある七槻君をよこされたのでしょう。
で、当然情報共有の後は、行動指針の見定めになりました。
まずは宿泊先に荷物を置いてから、依頼人の門脇沙織君に会いに行こうとなり、彼女のご自宅を訪ねるべく、役場へ向かわれたようです。
何しろ、相当焦って書かれたのか、手紙には電話番号しか載ってなかったようで。
・・・ま、もう彼女、彼らに会うどころじゃないんですけどね。
で、島の役所でも行方不明ということを聞いた彼らは顔を見合わせています。
そして、沙織君の幼馴染の女性が巫女さんをやっているという神社の話や、この島でもうすぐ行われる儒艮祭りについて聞いた彼らは、神社へ向かうことになりました。
さて、プレイヤーチェンジで、竜條寺君と敦子君、理央君の3人組を見ていきましょうか。
一度宿泊先の旅館に荷物を置かれた彼らは、その足で役場の隣にある小さな図書館へ向かわれました。
おや?神社に向かわれるのでは?
ああ、なるほど。敦子君は小説家の仕事で、あらかじめこの島について下調べされているようですが、裏取りをしておきたかったようです。
神社より、図書館の方が地理的に近いので、先にこちらを済ませようと思われたようです。
敦子君が調べるのは、3年前にあったという、こちらの神社の火事についてですね。地方紙ならネットよりも詳しいことが載っているかもと期待なさったようです。
神社の火事、と記しましたが、正確には神社の蔵で起こった火災で、火元は観光客の不審火、中から身元不明の遺体が見つかったそうです。下半身のない、骨だけの姿で。
地元の伝説も相まって、人魚の死体、なんて呼ばれているようで。
おや、敦子君、【アイデア】ロールですね。
「・・・人魚の死体、というわけでもないかもね。たとえば、膝立ちみたいに足を折り曲げた状態で何かに押しつぶされたら、下半身も砕けるよね。蔵だから、柱とか重い荷物とかあっただろうし。遺体が火に当たってたら、骨ももろくなるだろうし」
口元に手を当ててブツブツという敦子君に、理央君がまた始まった、と言わんばかりのジト目を向けています。
敦子君、満天堂の事件のアシストをしただけあって、かなりの推理力も持ち合わせているのですが、人目をはばからずこうしてブツブツ考え込まれることも多いんですよ。集中力もずば抜けていらっしゃいますし。
典型的底辺オタク、いわゆるナード的人種ですね。
「人魚はいるわよ」
そんな敦子君に声をかけられた方がいました。黒髪をショートにした、仏頂面の若い女性ですね。
「あなた、外の人でしょ?いるのよね。何かにつけてあり得ないって理屈付けしたがる人。
でも、この島の伝説は本当。命様は、人魚の肉を食べた、本物よ」
短く淡々としたものながら、力強く彼女は断言されます。
「・・・あんたは?」
「黒江奈緒子。そこの土産物屋で店員をしてるわ。興味があったら、また覗いてちょうだい。じゃあ」
竜條寺君の問いかけに、短く名乗った彼女は踵を返します。
「・・・とにかく、ここの調べ物は終わったから、次は神社ね。
ここの人魚伝説、よそとは一味違うみたいだから、楽しみ!」
新聞をたたんで片付けながら、気を取り直したようににこにこと笑う敦子君に、うんざりした様子で竜條寺君が呻かれます。
「・・・人魚ね。どっちかってーと半魚人のほうが嫌だな、俺は」
おや、竜條寺君。インスマスのこともご存じで?ご職業を考えれば無理もありませんが。
まあ、とくに有名なのがあの町で、割とあの連中、世界各地にこっそり集落を作られてるんですよ。
例えば、この島のように。
「・・・そういや、この島の連中・・・」
ああ、竜條寺君、【アイデア】ロールが成功してしまいましたね?気が付いてしまいましたね?
割と大柄で、コートを着込んで帽子やフード、マスクなどで顔を隠している住民や、滅多やたらと多いことに。わずかな隙間から見えるところに、魚の鱗のようなできものや、そもそもやたら魚臭かったり、ぎょろりと目が大きかったり。
今は、祭りの期間なので、よそからの住民のおかげであまり目立ってはいないのでしょうが、異様ですよね?
アメリカのとある地域では、そういう人たちはこう呼ばれます。“インスマス面”とね。
「・・・まじか」
「あなた何してるの?さっさと行くわよ」
額を抑えて天を仰ぐ竜條寺君に、理央君が冷たく言い放たれます。
いやー、知らないって気楽ですね♪
さて、再度プレイヤーチェンジで再び、探偵組に視点を戻しましょう。
一足早く神社にたどり着いた彼らは、神社の巫女さんである島袋君恵君に、いろいろ話を聞いています。
行方不明の門脇沙織君と幼馴染だとか云々と。
おや、ここでもう一人の幼馴染という海老原寿美君が登場。こちらも強く人魚の存在を主張して見せました。
そこで、3年前に火事に遭ったこちらの蔵で見つかった変死体に話が及びました。
「・・・ひどい。その人、人魚かどうかはともかく、焼け死ぬって相当苦しかったと思うのに、お墓も何度も荒らされるなんて」
ポツリっと、蓮希君が気の毒そうにこぼされたのが、印象的でした。
いえ、もっと印象的だったのは、それに君恵君が「ありがとうございます」と返していたことでしょうか。
「身寄りもよくわからない、不気味な死体の持ち主を、そんな風に思っていただけるなんて・・・めったにありませんでしたので」
とっさに彼女はそう言い訳なさっていましたがね。
そんな感じに、一通り話を聞いたところで、そこに竜條寺君たちが合流なさっています。
そして嬉々として敦子君が、この島の伝説についてお聞きになられています。
おや、原作でそんな話聞かなかった、ですか?
ふむ。では、私の方からこの島に関する伝説について少しお話いたしましょうか。
皆様ご存じの八百比丘尼伝説は、いろいろバリエーションはあるでしょうが、大本はこうでしょう。
人魚の肉を食らった女性は不老不死となり、やがて出家。八百を優に生きたので、八百比丘尼と呼ばれたと。
この島のそれはいささか違います。というより、いささか冒涜的です。
昔々。この島の漁師が、人魚を網にかけてしまいました。
漁師は、精が付くようにと人魚を病気の娘に食べさせました。すると、見る見るうちに、娘は元気になったのです。
ところが、その人魚は海の底に眠る“だいこうふ”様の許嫁だったのです。
許嫁を食べられてしまった“だいこうふ”様は、怒って嵐を起こし、この島を海に沈めようとしました。
そこで、神社の神主様が言いました。
「“だいこうふ”様に許してもらえるよう、人魚の肉を食べた娘の他に、娘の髪を結わえた3本の矢で、若い女を3人選ぼう。
4人を生贄にして、嵐をやませてもらおう」
かくして、人魚の肉を食べた娘と、選ばれた3人、合わせて4人の娘が生贄として島の滝に捧げられました。
そこに現れた“だいこうふ”様に、人魚の肉を食らった娘は必死に謝り、“だいこうふ”様のために歌を歌い始めました。
そして、他の3人の娘たちは歌に合わせて、舞を踊りました。
これに心慰められた“だいこうふ”様は、毎年この歌と舞を見せてくれと、島の人間たちと約束を交わし、海の底へ去っていきました。
こうして、4人の娘も、島も、無事に助かったのです。
以来、この島は人魚の肉を食らった八百比丘尼にちなんで、美國島と名を改め、人魚の肉を食らった娘は神社の巫女に、3人の娘も末永く幸せに暮らしたそうです。
巫女となった娘の髪を結わえた3本の矢は“だいこうふ”様から加護を得た“呪禁の矢(のちに“儒艮の矢”と字を改める)”と呼ばれ、厄を払い幸福を寄せるものとして、今なお語り継がれている、ということです。
フフッ。なかなか興味のそそられる伝説ではありませんか?
ま、伝説が真実ではないように、いくつか捻じ曲げられてる部分はありますがね。
ですが、すべてをすべて、嘘っぱちと切り捨てることもできません。
その辺は、私はもちろん、探索者としての経験が豊富な、松井君や成実君も重々承知でしょうね。
「うーん・・・」
「小説の参考にはなりそうですか?」
メモ帳片手に伝説についてメモをしてる敦子君に、にこやかに君恵君が話しかけています。
「あ、はい」
「ねえ、敦子お姉ちゃん、何を悩んでたの?」
コナン君の問いかけに、敦子君が答えました。
「うん。“だいこうふ”様って、どんな神様だろうなって。
多分、はちまん様とかこんぴらさんみたいな通称だと思うから、正式名称があると思うんだけど・・・あいたっ?!」
「ほどほどにしとけ。あんま根を詰めるとドツボにはまるぞ」
デコピンで竜條寺君が中断させました。
・・・竜條寺君、微妙に顔が青ざめてますよ?確信はできてなくても、旧支配者〈グレート・オールド・ワン〉かその化身くらいかもしれないと思われているようです。
加えて、この島の住民が住民ですからね。おのずと予想がついてしまっているようです。
「・・・ええっと、先輩?」
「ま、人探しにゃ関係ねえだろ。おとなしくしてるだろうしな・・・たぶん」
同じくMSO所属の2名も顔が青ざめています。同じく予想してしまったようです。
ともあれ、気を取り直した君恵君から、今夜の儒艮祭りについての説明と、余った二つの番号札をお近づきに、と渡してくれました。
この札は、せっかくだからということで、敦子君と蓮希君のお二人が持つことにしたようです。
おや?
「あの、最後にもう一つ、その、蔵の方をお見せしていただけませんか?」
メモ帳をしまった敦子君が、改まった様子で切り出しました。
「・・・何のためにですか?断っておきますが、例の火事の後、蔵も再建しましたよ。でないと、そちらも荒らされる方が多くて。鍵をかけられるようになって、ようやくなくなったくらいだったんですから」
「本当は、お墓に供えようと思ってたんですが、今のお話を聞いたら、蔵の方がいいと思いましたので。
竜條寺君、ありがとう」
「おう」
少し冷たい調子になっていった君恵君に、敦子君は頓着せずに竜條寺君が持っていた花束(神社に来る前に花屋で包んでもらったものです)を受け取ってから、微笑んで言いました。
「縁も所縁もないですが、お墓参りさせていただければ、と」
その言葉に、君恵君が言葉をなくしました。思っても見ないものを見たといわんばかりに目を大きく見開き、ややあって、「祭りの準備があるので手短にお願いします」と先に立って歩きだしました。
やがて案内された、昔ながらの頑丈そうな蔵の前に、その花束を供え、敦子君は丁寧に手を合わせます。
それに合わせるように、蓮希君や七槻君、成実君が手を合わせ、慌ててコナン君や他のメンバーも手を合わせられています。
・・・おそらく、誰も見ていないでしょうね。それを眺める君恵君が、うっすらと目元に涙をためていたことなんて。
さて、縁日の屋台などで食事を兼ねた時間つぶしを行った探索者たち。
そろそろ矢の当選番号が発表されるというので、神社の境内に集まっています。
出てきたのは、烏帽子、千早、水干に緋袴という伝統的巫女装束をまとった、白塗り厚化粧の小柄な老女です。
お名前を島袋弥琴と言いまして、御年130という、本当ならギネス物の超高齢者です。よく歩き回れるほどですねえ。
「あれが噂の命様かあ」
「単なる厚化粧婆じゃ、いてっ」
「松井さん、言っていいことと悪いことがあるよ。特にここでは」
松井君の足を踏みつけ、ジト目で見やる七槻君に、くすくすと笑う蓮希君、その右手には例の番号札が握られています。
おっと、弥琴君が障子に、次々火をつけていきますね。ほほお。燃え残りが当選番号の数字として燃え上がると。面白い仕掛けですねえ。
「やった!当たった!」
と嬉しそうにされる海老原寿美君をしり目に、少し悲し気に眉を下げる蓮希君。
「ハズレか?」
「アハハ・・・くじ運ない方だったしね」
松井君の問いかけに、蓮希君が苦笑されます。
「え?あ、あれ?」
「敦子?どうし・・・まさか」
「り、竜條寺君、どうしよう・・・」
おろおろと、敦子君は手元の札を彼に見せます。
「あ、当たっちゃった、みたい・・・」
おや、当選番号と、同じ番号が書かれてますねえ。
「では、皆様、会場の移動をお願いします。
矢の受け渡しは、一時間後に行います。
人魚の滝へ、いざ参られい!」
弥琴君と入れ替わりで現れた君恵君が凛と言い放たれました。
さて、会場を移動して、人魚の滝。
この島、山あり崖ありと、結構起伏の激しい地形なんですよ。
そして、人魚の滝と称される、そこそこの滝と、滝つぼが一つ。少し離れた河原に、祭壇が設けられ、そこに祭司としての君恵君が進行を取り仕切っています。
当選番号の札主が次々と呼ばれていきます。
当選番号主として、まずは敦子君たちが図書館で遭遇した黒江奈央子君、続いて徳本敦子君、そして最後に浮かれて足取りの軽い海老原寿美君が進み出ました。
矢が渡され、祝詞が読み上げられる中、それは起こりました。
いきなり野次馬の間から、灰色のコートの大柄な男が二人飛び出すや、コートを脱ぎ棄てながら寿美君めがけてとびかかります。
それは、腐った魚のような体臭と、ぬめるうろこに覆われた肌をむき出しにし、耳まで裂けた巨大な口と、ぎょろぎょろした丸い目に、背中や腕にヒレを生やした、まるで魚と人のあいのこのような異形――つまるところ、深きもの、と呼ばれる存在でした。
「「「「なっ?!」」」」
「きゃあああああああっ?!」
「うわああ?!ば、化け物?!」
瞬時にパニックに陥る人々をよそに、2体の深きものは、硬直する寿美君を瞬時に抱え上げ、抵抗をものともせずにそのまま滝つぼめがけて飛び込まれてしまいました。
「と、寿美?!」
「寿美!!」
慌てて滝つぼに駆け寄る島の幼馴染組と、探索者たち。
残念ながら、たいまつで照らされるだけの黒い水面は波立っているのもあって、逃亡した彼らの姿は影も形も見えませんでした。
追いかけて水中に飛び込もうとするコナン君をとっさに松井君が猫をそうするように襟首をつかんで捕まえ、入れ替わりにずんぐりむっくりし、フードを深々とかぶった人影――島の幼馴染組の一人である福山禄郎君が飛び込みました。
「松井さん!」
「バカか!水中は連中のホームグラウンドだ!一方的に殺されるぞ!伏兵がいない保証があるのか?!」
非難を込めて叫ぶコナン君に、負けじと松井君が言い返します。
「ほ、本当にこっち側の事件が・・・」
「陣矢君・・・」
「・・・とにかく、本部に連絡かな」
こわばった顔でうめく七槻君と、青ざめた顔で見上げる蓮希君に、成実君は苦虫をかみつぶしたような顔で言い放たれました。
「竜條寺君、今の・・・」
「これで休暇はパァだな、くそっ」
毒づかれる竜條寺君は、ちらっと足元の理央君を見ています。
理央君はいぶかしげな顔で、探索者たちののぞき込まれる水面を見やっています。
そうして一言。
「ねえ。何であの人たち、あんなに騒いでいるの?
確かに、急に飛び込んでびっくりしたとは思うけど。まずは警察を呼ぶべきじゃない?」
「え?」
「あー・・・お前、そっち系かぁ・・・考えてみりゃあこっち側のがレアケースだもんなあ」
ぎょっとされる敦子君(耐性なしの人の反応を見たのが初めてだったようで)をよそに、竜條寺君は瞬時に事態を把握されたか、頭を抱えられています。
君、ちょっと目を離したらすぐに頭を抱えられますねえ。いい加減あきらめて受け入れられたらいかがです?
基本的に、探索者としての適性を持たない一般人は、よほどのケースがない限り、神話性事象なんて信じようともしません。あるいはきれいに見なかったことにするんですよ。先ほど彼女が述べたように。
ま、健全健康な精神状態でいたいという、動物的本能が強いんでしょうね。極めていじりがいのない脆弱ぶりです。
なお、この手のタイプはさらに二分化してて、かなり強い刺激でようやく受け入れるか、受け入れるのを通り越して発狂するか、という場合になります。
理央君はどっちでしょうねえ(ゲス顔)
さぁて、セッション本格スタートです。がんばって深淵に肉薄してくださいね♪
美しき娘よ、続いているのか?
【セッションをニコニコ視聴、ついでに冒涜的伝説やらに解説を加えるナイアさん】
大体コイツのせい。(どうやら今回も)
どっかの戦極マッドサイエンティスト並みにひどい。
そこに騒動の火種があったら、遠慮なく着火して、隙あらば燃料を投下したがるタイプ。
どうも今回の騒動も、火種は彼女が作り上げたものらしい。そして、炎上案件に至った模様。
門脇沙織の行方を探る探偵組と、あくまで小説の取材旅行の敦子さん+αの二組に分かれる探索者たちを、ニヤニヤ実況。
なお、本来なら解決後に語られることではありますが、今回の依頼が槍田探偵事務所に持ち込まれたのは、10巻『外交官殺人事件』(本シリーズでは♯27で発生)の影響です。原作では、咬ませになってしまった平次君とギャラリー決め込んでた毛利探偵をよそに、新一君ご本人が解決してましたが、本シリーズでは槍田探偵が自力解決しているので、事件の依頼が彼女にシフトしたという事情があります。
もっとも、この辺りの事情も攻略本持ちのナイアさん、あるいは転生者の竜條寺さん程度しか知らないことではある。
・・・原作とは違い、冒涜浸食されているので島民の様子も異なる。そして、もちろん彼女もそれを把握している。把握している上で事件の火種を作った。
探索者たちと、島袋君恵さんが少し仲良くなって、“儒艮の矢”の儀式に立ち会い、さらにそこから事件開始の模様もきっちり出歯亀する。
・・・なお、この時点の彼女は前回ラストから引き続き、『九頭竜亭』のリビングで、お菓子とお茶を手に、(ついでに夕食も終えて)セッションを視聴なさっている。
多分、夜寝るくらいに、一度は合流するかと。
【門脇沙織嬢探索のために島を見て回る探索者A組】
メンバーとしては、江戸川コナン君、松井陣矢さん、浅井成実さん、設楽蓮希さん、越水七槻さんの、合計5名。
なお、見て回る順番と会話内容は、原作を参照。
越水七槻さんがこなそうという依頼主、門脇沙織さんを探る彼らの動きは、基本的に原作に沿っています。
なので、役場→神社という感じです。
なお、泊りがけなので、一度荷物を宿泊先において、というステップを踏んでいます。
ちなみに、邪神様は省きましたが、途中でコナン君が「松井さんたちは人魚ってどう思う?(怪奇事件専門捜査官的な観点として)」ということを言ってたりします。
これについては、成実さんが答えてまして、「ひょっとしたら、自分たちが把握できてないだけでいるかもしれないね」とやんわり返答しています。
インスマスや、あそこらあたりの冒涜的事情については話していません。SANチェック入りますし、蓮希さんにとってはかなりつらい話になるでしょうから。
なお、この町の住民たちの容姿がちょっと変、というのもコナン君は真っ先に気が付きましたが、そういえば、成実さんがあっち側の住民の集落って言ったたんだよな、と思い当たったため、ツッコミは入れませんでした。
変にツッコミ入れたらSANが削れるというのを邪神様で先行学習してたためです。
合流した取材組によって語られる、美國島の人魚伝説についても一通り聞く。
・・・なお、この伝説は私が適当にでっち上げたものです。原作は一切関係ないので、あしからず。
ようやく始まった“儒艮の矢”の儀式を見物してたら、冒涜的な連中が堂々と人さらいする現場に出くわした。
とにかく助けようとするコナン君に、被害拡大を防ごうとする松井さん。どちらも正しく、そして愚か。
やっぱり、なんか事件が起こった。そして、解決に走ることになる。
【小説のための取材であちこち見て回る探索者B組】
メンバーとしては、竜條寺アイルさん、徳本敦子さん、NPC枠で湯川理央ちゃんの合計3名。
竜條寺さんは、この島で起こる原作事件については知ってますが、それは探偵であるあっち側の仕事、と切って捨ててるので首を突っ込むつもりがありません。
大体の行動順序としては、宿泊先に荷物を置く→図書館→神社という感じです。
クトゥルフセッションのシティーシナリオなら、ロケーションを訪れて情報を調査は鉄板です。
本シリーズの敦子さんは、肉体的には貧弱ですが【知識】と【アイデア】がかなり高めです。それもあって、あの世界の探偵たちとタメが張り合えるぐらい推理力があります。
ゆえに、神社の蔵で見つかった身元不明死体についても、あれこれ推測を入れてしまったわけです。
敦子さんの小説家という設定が、伝説とか語らせる際にかなり便利と今更気が付きました。
なお、敦子さんはこの島の島民事情については知りません。ただ、竜條寺さんが微妙にピリピリされているので、うっすらとあっち側関連かな、とは思われています。
ちなみに、空気化している理央ちゃんですが、リアリストなのでオカルトなんてくだらね、と初期新一君みたいなことを腹の底では思っています。
神社でA組と合流してから、君恵さんのお話を聞いてから、人魚の墓参りをします。お墓の場所は聞かない方がいいと判断し、とりあえず亡くなった場所という蔵にお花を供えることに。
夜に“儒艮の矢”の儀式(敦子さんが当選)を見物してたら、冒涜的連中の人さらい現場に遭遇。
・・・なお、理央ちゃんは耐性がないので、被害者が自分で滝つぼに身投げしたように認識しています。
今更ながら、他の一般人も探索者の素養のある人間以外はこんな感じで、なんかヤベエもん見た!と思って悲鳴上げて逃げても、我に帰ったら、あれ?何見たっけ?あるいはそもそも見てねえわ!と思うようです。そして、どうしようもない状況になったらいの一番に発狂します。ただし、SANは減ります。(そうでもないと、いろいろ辻褄が合わなくなるので)
そして、竜條寺さんは当然そういった事情も把握しているので、理央ちゃんがそういうタイプだということも即座に察知なさいました。
彼には、探索者としての仕事に加え、理央ちゃんのお守りが加わりました。マジで頑張ってください。