どうした、クソ邪神。そんなにプリンが気に入ったか。
で、書けば書くほど青島君がどうしようもない件について。
ここまで短絡的な人物じゃないだろ、彼。と思いつつも、ありえていたかもしれないコナン君と思ったら、筆が滑りました。
私の偏見かもしれませんが、コナン君って、5~6巻『江戸川コナン誘拐事件』で事態の真剣みや自分がどう動くべくか学習したんじゃないですかね?今まで彼が相手にしていた連中よりも一味も二味も違うかもしれない、自分の動きを二手も三手も読んでくるかもしれない、その上を行く必要があるかもしれないって。
で、青島君はそんなコナン君の経験はしていません。幼児化したばかりで、とにかく元に戻りたいとがむしゃらに動くだけです。その結果、自分の首を絞めることにつながるとは思ってないわけです。
好きなんだけどなあ、服部君。どうしてこうなった。
いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。
うーん。プリンといえばどこのメーカーが有名なのでしょう?明●とか?森●とか?
私もプリンは大好きですが、一昔前は市販品は買おうと思いませんでした。
例えば、プッチ●プリンとか。何ですかねー?あれはプリンじゃないですよ。プリン味のゼリーです。舌が肥えてしまっているので、あれを買おうとはどうも思えないんですよねー。
ま、最近は市販品も馬鹿にできたものではありませんがね。ショゴスさんには申し訳ないですが、コンビニのプリンをはじめとしたスイーツ類は、たまに買い出しに行きたくなってしまいます。
つまり何が言いたいかと言いますと、竜條寺君、なかなかやりますね。
ディゴバはチョコレートメーカーとして有名ですが、プリンもそこそこいけるんですよね。
まったりした蕩けるクリームのような甘味は、さすがはチョコレートメーカーの先駆者だけありますね。
え?お前のスイーツトークより、その後どうなんだ?怪盗キッドの予告や、青島裕二君のその後を聞きたい?
んもう、せっかちなんですから。プリンくらい楽しませてくださいよ。
いいですね~。つるんとした喉越しもさることながら、カラメルソースの甘みの中にあるほろ苦さ。これぞ、プリン!ですよ。
さすがは、和訳版ナルニア国物語で取り上げられるだけあります。
私も、和訳版を初めて読んだときびっくりしましたよ。ルイス君?!君、いつからターキッシュデライトからプリンに乗り換えたんですか?!と。
ま、それは当時プリンの元が発売されたばかりなのと、ターキッシュデライトが日本ではあまり馴染みがないという裏事情に起因するのですがね。
おや・・・もうおしまいですか。ショゴスさん、お代わり・・・え?明日のおやつがなくなる?
・・・。
はあ・・・仕方ないですねえ、我慢しましょうか。代わりに紅茶お願いします。
そうですねえ。少しお口をすっきりさせたいので、ディンブラをレモンティーでお願いしますよ。
さてさて。それでは、そろそろ本題へ行きましょうか。
個神的には、青島君にはこのまま事態の重要性もわからずに周囲も巻き込んで自爆なさってくれた方が笑えるのですが、まあそうは問屋を卸したくないというのが、コナン君と竜條寺君ですのでね。
ちらちら様子見した限りでは、どうやら理央君も一枚噛まれているようです。
何でも、コナン君の正体が露見したら、自分も危うくなると思われているようです。ゆえにこそ、小学校でコナン君をかばって誤魔化しに加担なさったのでしょう。
ま、竜條寺君に身元の保証という担保を取られているようなものですしねえ。竜條寺君がその気になったら、彼女は文字通り身一つで放逐されるでしょうねえ。
そうしたら、突如出現した身元不明の無戸籍児(しかも宮野志保の幼少と瓜二つ♪)を、組織が怪しまないとも限りませんしねえ。
ま、竜條寺君が仮に彼女を放逐しようとしても、私が許しませんがね。
ダメですよぉ、彼女には赤井君を楽しませていただいて、ついでに発狂して宇宙的真理を鑑みてもらう重要な役回りがあるんですから。
単にシナリオに参加していただくなんて陳腐すぎます。じっくり真綿で首を締めるように、じわじわと小出しにしていきましょう。
楽しみですねえ♪
それでは、改めまして、本題に行ってみましょうか!
始まり始まり~♪
※ ※ ※
今日こそは。
青島裕二・・・本名を服部平次という幼児化した少年は、ランドセルを背中に尾行していた。
クラスメートである少年江戸川コナン、自分と同じく幼児化した工藤新一を。
自分が幼児化してから、ずっと考えていたことだ。
工藤新一に似すぎていると言っていい少年、江戸川コナン。
あの日、訪ねた古書店にいたこの少年と、ほとんど入れちがいのように工藤新一は現れた。
そして、あの時の彼の乱れた服装とと、すぐそばに落ちていた端切れ。
縮んだ自分とそれらをつなげて考えるのは、たやすいことだ。
キーは、おそらく白乾児〈パイカル〉。父の酒棚からくすねた手土産が、思わぬ作用をもたらしていた。
もちろん、裕二とて、最初はそれを言って、それを飲めば元に戻れると主張したのだが、今元に戻ると危険だからと、聞き入れてもらえなかった。
加えて、未知の毒薬が既存の酒類で簡単に解毒できるとは思えない、一時しのぎのようなものかもしれないと父に言い渡されては、ぐうの音も出なかった。
・・・なお、母はそれを聞くなり、酒棚のある方へ向かっていったので、これにかこつけて白乾児〈パイカル〉を処分しに行ったと思われる。
ともあれ、裕二はあの日、誓ったのだ。
必ず、元の姿に戻って、もう一度大阪の地を踏むと。
自分を保護した公安の男――風見裕也は、肝心なことは何も言ってくれないが、手掛かりならすぐそこにある。
身元偽装の一環で押し込められた小学校。今更小学校のお勉強か!と内心憤ったのもつかの間。案内された教室で、裕二はひそかに息をのんだ。
あいつだ。工藤だ。
父の推測はやはり、正しかったらしい。あの日見た高校生の体躯は、幼いそれにとってかわっていたが、間違いない。
まずはご挨拶だ。あの日、自分から逃げたことを後悔させてやる。
そして、探偵としての実力は自分が上だと認めさせる。犯罪組織をつぶすことでそれを証明しようと思っていたが、最初に戻っただけだ。何の問題もない。
そのうえで、今彼が持っている情報を出させる。自分が協力するのだ。さっさとその犯罪組織をつぶして、自分と彼は元に戻って、めでたしめでたし、だ。
だが、想像以上に話は進展しなかった。
まず、保護者役を担う風見裕也の頭が固い。自分は高校生だ!と主張しようと、きっちり門限が定められ、破ろうものなら電話で怒られる。
おかげで怪盗キッドの出現現場に行くことができず、自分の実力を工藤新一に示せなかったではないか。
加えて、第二の予告があると聞き、どうにかできないかと風見に相談しても、潜伏している身の上で不特定多数のいるパーティー会場に行くなんて言語道断!と聞き入れてもらえなかった。
このままでは、いつまでたっても進展しない!
頭に来た裕二は、強硬手段に出た。
いい加減とぼけんと白状せんかい!工藤!
怒鳴りつけた自分に、工藤は何のことかわからないととぼけて見せる。賢しらにクラスメートたちまで味方につけて、誤魔化しに加担させた。
おのれ工藤。
さっさと認めればいいものを。
ふいに裕二は思い立った。相手がとぼけるなら、言い逃れできない証拠をつかもう。いつもの事件捜査と一緒だ。
だから、裕二は今、江戸川コナンを名乗る工藤新一を尾行している。
なお、江戸川コナンにこだわるあまり、裕二は手取ナイアという最も口を割りそうな人間をうっかり見逃した。
・・・というより、裕二は最初の段階で手取ナイアは江戸川コナンが推理を披露するために必要な傀儡のような存在だろうと見ていた。大体あっている。
ゆえにこそ、最も大事な部分は知らないのでは?と踏んだのだ。
・・・そのおかげで命拾いしたことを、彼は知らない。
コナンは周囲を警戒している様子で、取り壊しの決まっている、街の片隅の廃屋へ入っていく。
そうして、スマホを手に取ると、恐る恐るという様子を隠しもせずにどこかと連絡し始めた。
「ああ・・・言われたとおりにやっている。
そうだ、例の奴だ・・・うまい事釣れたらしい」
ぼそぼそと何事か言葉を交わしているが、コナンがどこか怯えた様子を見せているのが、気にかかった。
「わかっている!」
突如、コナンは大声を上げた。怯え切った、切羽詰まった響きの叫びだ。
「そうするって言ってるだろ!だから・・・だから・・・!」
どうしたのだろう?裕二は持ち前の好奇心がくすぐられるのを感じた。
あれは、誰かに脅迫でもされているのだろうか?
「・・・わかった。明日でいいな?・・・ああ、わかっている」
そうして、コナンは通話を終え、何事か落ち込んでいる様子で項垂れた。だが、すぐ険しい表情で顔を上げると、踵を返す。
慌てて、裕二は解散した。
どうやら、明日何事かあるらしい。
明日・・・明日は、怪盗キッドの2度目の予告日だ。それと関連しているのだろうか?
考えながら、裕二は家路を急ぐ。
遅くなると、風見のげんこつが脳天を直撃することになる。
さて、翌日である。
珍しく、普段は自分に近寄りもしない、江戸川コナンが裕二の席の前に来るなり、言い渡してきた。
「あのさ。大事な話があるんだ。よかったら、オレの家に来ないか?」
「ええんか?」
やっと観念したか。にんまりとほくそ笑みながら言った裕二に、コナンはおどおどした様子ながらも言う。
「前、クラスメートが店を荒らしたってナイア姉ちゃん、激怒して家にクラスメートを連れてくるなって言い渡されたんだけど、明日、姉ちゃん留守なんだ。
怪盗キッドの予告対策を、警察と話し合いたいからって。
だから、ちょっとだけなら大丈夫だからさ」
「ほんなら、お言葉に甘えてお邪魔させてもらおか。
・・・逃げるんやないで?」
「逃げねえし!そっちこそ逃げんなよ!」
裕二の言葉に、コナンは大きく首を振って強く言い切った。
ようやく、待ちに待った放課後である。
ランドセルを背負って先導するコナンに、裕二はそのあとを足取りも軽くついていく。
まずは、彼が工藤新一であると認めさせ、そのあとは例の組織のデータを頂戴する。
一足飛びに解決というのは難しいが、それができれば風見も自分を認めてくれるかもしれない。
「ただいまー」
「お邪魔すんでー」
相変わらずレトロなガラス戸の古書店ののれんをくぐれば、受付の場所にはメイド服を着た銀髪の女性がたたずんでいる。
何だコイツ、と思わず裕二はまじまじと彼女を見てしまった。
「その人は、姉ちゃんが雇っているバイトさんだよ。姉ちゃんが留守中は店番をやってるんだ。
こっち」
そう説明して、コナンは店の奥、かつて平次も足を踏み入れたプライベートスペースへ向かった。
だが。
ぬうっと伸びた黒い手が、即座に裕二を羽交い絞めにし、口元に布を当ててきた。
まずい!とっさに息を止めたが、パシュッというかすかな音との直後にチクッと首筋が痛んだと思ったら、彼は意識を失った。
次に裕二が気が付いたら、彼は身動きできなくされていた。
腕は後ろ手に、足も両足そろって、荷物梱包用のビニールテープで縛り上げられている。
口にはガムテープを張りつけられる徹底ぶりだ。
どうにか動かせる首と目で、必死に周囲を見回した。
どこだ?
内装はほとんどない。殺風景な、アパートかマンションの一室だろうか。裕二はフローリングに小荷物のように無造作に転がされている。
バタンッと背後で扉の閉まる音がした。
とっさに裕二は意識をなくしているふりをする。
「チッ・・・まだ気を失ってんのか、このガキ」
舌打ちしたのは、ガラの悪い男の声だ。
「シェリーも面倒くせえこと言いやがって。
なぁにが、貴重な被検体だから護送しろ、だ。
どうせメスでバラバラにして培養液漬けにするんだから、穴が空いてたって同じだろうが」
ガサリッというのは、何かビニール袋の音だろうか。
考えろ。何が起こっている?どういう状況だ?
「殺したはずの工藤新一の名前を連呼する妙なガキね・・・どう見たってガキにしか見えねえがな?めんどくせえ。やっぱ殺すか」
「ちょっとやめてよ。そんなんだから、脳筋呼ばわりされるのよ?アイリッシュ」
「ケッ。こんなガキさらって来いって言われて頭に来ない方がどうかしてるぜ、カルーア」
女性らしき声が咎めてくるが、男の声はめんどくさそうな口調を押し隠そうともしない。
裕二はぞっとした。
ゴミ箱にごみを捨てるのを面倒がるのと同じ調子で、裕二を殺そうと言われたのでは、たまったものではない。
「だけど、あの薬にこんな効果があったなんてね~。
シェリーがオッケー出してくれたら、私もちょっと分けてもらおうかしら。
殺せたらよし、殺せなくても幼児化させちゃえば、いくらでも利用価値がありそうだもの。
あ、でもそうなると臓器が利用できないわよね?結構高値が付くのよ?」
「はん。人のこと言えた義理かよ。人体を、パーツの詰め合わせに見てる価値観破綻女が」
「あら。人間、死んじゃえばそれまででしょう?私はもういらなくなったけど、まだ使えそうなものを有効活用できるよう手配しているだけよ?
あのお方も、それを評価してくれてるから、私にコードネームを授けてくれたんだし」
「ったく。あのお方も、手が広いというかなんというか・・・」
そこで、彼は少し黙る。ぶるぶるというスマートフォンの振動音が聞こえ、「はい」と通話に出たのはカルーアと呼ばれた女の方らしい。
「そう。やっぱりそうなの。ええ。じゃあ、そっちは処分をお願いね。こっちは任せて。
・・・失敗したり表ざたになったら、ばらして市場に流すから、そのつもりでね」
どうやら通話を終えたらしい。
「朗報よ。この子、やっぱり殺したはずの服部平次だったわ。さっき指紋が一致したって報告があったの。坊やも褒めてあげなくちゃね」
坊や?誰のことだ?
思わず息をつめそうになりながらも、裕二は必死に気絶したふりをしながら耳をそばだてる。
「趣味が悪いねえ。ま、自業自得だから同情はしてやらねえが」
「まったくね。可哀そうだけど、自業自得よね。
まあ、あのお方の役に立てるんだから、感謝するべきよね、工藤新一も」
工藤?!どうしてそこで奴の名前が出てくる?
いや、考えろ。今までの前後の様子、こいつらの会話の内容を。まさか。
「ふん。よく言うぜ。幼児化した工藤新一の潜伏先を探り当てて、組織への協力を脅したのは、どこの女だ?
断ったら、あの幼馴染やお隣の爺をばらして市場行きにするって言いやがったくせに」
「あら。それならあなただって同罪でしょう?工藤新一の周辺情報を調べ上げてくれたのは、あなただもの。
工藤新一が生きているって情報を仕入れてきたのも、ね」
内心で、裕二は大きく息をのんだ。
工藤新一は、幼馴染たちを人質に取られて、件の犯罪組織に脅されていたのだ。
幼児化はリスクもあるが、相手の油断を誘うという点ではメリットになりうる。多分、それで協力するように脅された。
「はん。街のど真ん中でこのガキが死んだ工藤新一の名前連呼してりゃ、そりゃ目立つだろ。
ジンのアキレス腱にもなりうるんだぜ?調査しない理由がねえよ」
しかも、自分のせいだった。自分が、工藤の名前を連呼したから。
どうしよう。こんなことになるとは思わなかった。
「さあて、状況は理解できたか?」
男の声がすぐ耳元でした。同時に頭を床に押さえつけられ、ごりッと硬いものが後頭部に押し当てられる。
ぎょっとして目を開けた裕二は、かろうじて見える後ろを振り返る。
天井の明かりに逆光になっているが、かなりの大男が、自分を見下ろしている。
ダークブロンドに、黒ずくめ――あの銀髪の大男と、同じ。
後頭部に当てられている感触と、先ほどまでの言動からかんがみて、それは多分。拳銃だ。
恐怖に駆られて裕二は、唸って暴れた。そんなことで拘束が解けるはずもないが、抵抗しないわけにはいかなかった。
「あら。狸寝入りの次は芋虫の物まね?どっちも下手クソね」
嘲笑する女の声に、裕二は悟る。最初から、自分が起きていることには気が付かれていたのだ。
「駄目よ、アイリッシュ。シェリーとの約束を忘れたの?」
「面倒くせえ。今殺すか後で解剖するかの違いだろ?
大体、ジンの尻拭いをオレがしなきゃいけねえってのが気に食わねえ。
工藤新一ならともかく、こいつは警察に近すぎる。
公安がいなくなったコイツを探して動き回っている」
公安・・・風見!あの人がいてくれた!
だが、裕二のわずかな希望を、カルーアは一言のもとに叩き潰した。
「あら、それなら大丈夫よ。
そっちは、テネシーが動いてくれてるわ。明日にでも提無津川に浮かぶんじゃない?
正直、彼も乱暴なのよね。ま、どこかの誰かさんよりは、だいぶましだけど」
「ハハッ。ジンなら、一人殺すのにビル丸ごと爆破とかやってのけそうだからな」
後頭部から銃口をどかすことも、視線を外すこともせずに、アイリッシュは笑う。冗談を聞いた、部活仲間か何かのように。
「安心しろよ。お前の両親も、すぐに後を追わせてやるよ。
確か、大阪府警本部長の服部平蔵と、その妻の服部静香だったか。
誰に何をしゃべってるかわからんから、ついでにいろいろ殺しておいてやる。
ああ、お前のいた学校もな。なぁに、給食に毒でも仕込んどきゃ、勝手に食中毒で済ませてくれるさ。
みんな仲良く天国に行けるんだぜ?公平だろ?」
ふざけんな!オレの両親や、大切な人たちに手ぇ出してみぃ!許さんで!
そう叫びたくとも、裕二にはムームーと情けない唸りを上げるしかできない。
「はい。え?いいの?ふーん・・・そう・・・」
再びバイブレーション音と、通話に出たらしいカルーアの声が聞こえた。
「わかったわ。死体はどうする?・・・そう、そっちは予定通りなのね。わかったわ」
そうして、通話を終えたカルーアが、気の毒そうな、それでいて嘲笑うような声で言った。
「残念ね。シェリーの気が変わったみたい。こっちが運搬に困るなら、死体でいいって言い渡されちゃったわ」
「はあ?まぁた、わがままか?いい加減にしろよ、あいつも」
「移り気になったわよねえ、彼女。ま、そうでもしないとやってられないんでしょ?
いいじゃない。かわいくて」
「ふざけんなクソが。あのしみったれた本屋からここまでコイツ運んでくるのにどんだけ苦労したって思ってんだ。
あの女、ジンに処女でも奪われちまえ!」
「・・・そこで自分が犯すって言わないのね」
「はっ!コードネーム付きとベッドまで一緒なんて冗談じゃねえ!勘弁してほしいもんだぜ!」
どうでもいいが、銃口突き付けたまま頭上で世間話のように物騒な話をするのはやめてほしい。(なお、この間裕二は必死に暴れて逃げようとしているが、無駄な抵抗に終わっている)
裕二のそんな内心に気が付いたか、アイリッシュが見降ろしてくる。
瞳孔の開いたダークブラウンの目は、左目は髪に隠れて右目しか見えない。
「そういうわけだ。あばよ、服部平次。恨むなら自分のうかつさにしておけ」
「~~~~っ!!!」
裕二は叫んだ。目の前の大男に対する罵りだったかもしれないし、あるいは両親へ助けを求めてのことだったかもしれない。
引き金が引かれたと同時に、裕二の意識は闇に閉ざされた。
※ ※ ※
アーッハッハッハッハッハッハ!グブッ!ウヒャ!ヒ、ヒーッヒーッ!
「ナイア姉ちゃん、部屋の外まで笑い声が聞こえてるから。
・・・あと、そろそろ準備しないと、パーティーに間に合わないよ」
ああ、大丈夫ですよ。着替えや髪のセットなどはすでに済ませていますのでね。
本日は、カジュアルなナイトドレスです。髪はいつものポニーテールのままですが、少し飾りを追加しています。あまり堅苦しいタイプのパーティーではありませんし、私はあくまで“怪盗キッドから漆黒の星〈ブラック・スター〉を守る探偵”という立場で参加しますので、あまり動きを妨げる格好はできません。本当にやる気があるのかコイツ、と疑われては元も子もありませんのでね。
「・・・ねえ、いつもボクたちを覗き見してるときも、ナイア姉ちゃんってあんな感じなの?」
「てけり・り」
「この、邪神め」
「てけり・り」
何ですか。呆れかえった目で見てくるコナン君と、同意するように重々しく頷くショゴスさん。
・・・ショゴスさんは、コナン君から、美國島のお土産を渡されてひどく驚いたような顔をしてからこの方、どうやらコナン君にも懐いたようです。
ひどい時なんか、二人して私をディスってくるんですよ?ショゴスさん!あなたは一体どっちの味方なんですか!
え?私は雇い主ではあるけど、味方はしたくない、ですか?
そんな!あんまりじゃないですか!君と私の仲でしょうに!え?雇用関係でもないと関わりたいとも思えない?
そんなー(´・ω・`)
ここで、コナン君のポケットに入れていたスマートフォンが鳴りました。
「はい。うん・・・そっか・・・まあ、あいつの様子からうまくいったんだろうなってのは察した。
じゃあ、あとは・・・うん、お願いします。
・・・もちろん。鼻を明かしてやるぜ」
通話を終えたコナン君は、キリッとした顔をしています。
大方、相手から激励の言葉をいただいた、というところでしょうか。
「行こうぜ、ナイア姉ちゃん!」
「はいはい。それでは、ショゴスさん、お留守番をお願いしますよ」
「てけり・り」
ショゴスさんがうなずいたのを見てから、私とコナン君は呼び出しておいたタクシーに乗り込みました。
行先は横浜港、クイーン・セリザベス号です♪
さてさて。結論は皆様ご存じでしょうから、手短に。
クイーン・セリザベス号には、案の定キッド君も乗り込んできました。
ま、当初予告状に出していた鈴木博物館に展示されていた“漆黒の星〈ブラック・スター〉”が偽物だったから、今度こそ本物をいただく、と予告され直されたそうなんですがね。
嘘の電話で鈴木会長をだまし、彼に変装して乗り込まれた怪盗キッドですが、その後トイレに変装セットを脱ぎ捨て、別人に変装され直されました。
・・・パートナーとして松井君を伴って出席なさってた、設楽蓮希君に。
ま、それも松井君とコナン君、おまけで理央君を伴って出席なさってた敦子君と、羽賀響介君とペアを組まれていた槍田君――要するに、いつもの面子にはバレバレだったというわけです。
まんまと宝石を盗み取ったはいいものの、正体を看破された怪盗キッド君、どうにかコナン君は撒きましたが、恋人に危害を加えられたということで怒り狂った松井君(しかも裸に剥いたらしいような発言を聞いたそうで)が、飛び立とうとする彼のハングライダー――変形したばかりのそれに、とっさに傍の警官から借りた警棒を投げつけて骨組みをへし折られました。
怪盗紳士にあるまじき濁音交じりの悲鳴を上げながら海中に落下なさってましたねえ、キッド君。
・・・大型船のスクリューに巻き込まれないといいですね?(ニチャァッ)
あ、ちなみに宝石はきっちりコナン君が取り返してましたが、この間の事件でマスコミに売れるのは御免被る、となった様子のコナン君は「ナイア姉ちゃんの指示通りに動いただけだから!うまくいってよかった~!」と猫を被られていました。
救命ボートの中で寝かされていた蓮希君はご無事でした。どうやら、クリーニング業者に変装したキッドによって、ドレスのデザイン・サイズを完全把握されていたようです。
・・・本当に裸に剥かれていたら、松井君どころか羽賀君もそろって怒り狂っていたことでしょうねえ。
よかったですねえ、キッド君!天敵が増えそうですよ!(ニッコリ)
え?青島君のその後?
うーん、切りのいいところで出歯亀を切り上げたんですよね。
正直、怪盗キッド君絡みの事件は、混沌が控えめでいまいちなんですよねー。
はー、ま、一応探偵業もするといった手前、参加は致しますがね。
それでは、青島君のその後については次回お話いたしましょうか!
続くということです!
止まるんじゃねえぞ・・・続けよ・・・!
【怪盗キッド絡みより、青島君を指さして笑ってあげたいナイアさん】
冒頭からスイーツトークをかます。美味しいものは美味しいもので大好き。プリンのメーカーにこだわりはないが、焼プリンが特に好き。
プッチ●プリンをディスってすみません。作者は幼少、あれが嫌いでした。舌が肥えて焼プリンしか受け付けなかったんです。(よく母が手作りしてくれたんですよ)
神様である分、約束は守る。焼プリンというわいろをもらった以上、おとなしくはしている。・・・なお、今回は彼女の機嫌がよかったから竜條寺さんの要請通り大人しくしたというのもある。下手をすれば、曲解していたという可能性もあるにはある。(つまり曲解しないとは言っていない)
今回、ほぼ青島君視点だったわけだが、もちろん彼女も出歯亀していた。
リアリティあふれるお芝居に、ちょっと物足りないけど許容範囲かな~、とニヤつく。
事情を知っている彼女からしてみれば、噴飯ものなわけで。一方的にそれらを真剣味あふれるものと受け止めて、怯えたりパニクッたりしている青島君、マジ受ける。
切りのいいところで出歯亀は切り上げて、クイーン・セリザベス号へ。
最近、メイドのショゴスさんと居候のコナン君が仲良くなって、二人してディスってくる。
邪神は孤高である。(もっとも、他の旧支配者からしてみても、嫌がられそうではある)
なお、クイーン・セリザベス号船内では、原作の毛利探偵よろしく怪盗に翻弄されている常人のごとき動きしかしてない。
・・・次回も、青島君をニヤニヤしながら見守る気満々。
【工藤新一め!と猪突猛進してたら落とし穴に引っかかった青島裕二君】
今回はほとんどのシーンを彼視点で進行。
こんなに平次君、短絡的で猪突猛進じゃない?
何度も言うようですが、原作の平次君って一度新一君に推理勝負で負けて、そこから頼り甲斐といい奴感を身につけていったように見えるんですよね。
加えて、彼はコナン君とは違い、公安にその存在を把握され、生活を束縛・監視されています。
ただでさえも慣れない土地に長期滞在の上、小学生に偽装生活なんて、フラストレーションがたまりやすい条件が整っているのに、この上さらに生活を束縛されるとか、反発しか覚えないと思うんですよね。
高校生ですよ?大人になりかけの男子ですよ?反抗期真っただ中ですよ?
そりゃ、さっさとこの生活辞めたいですし、その手掛かりが目の前にあるなら喜んで飛びつくでしょうね。
なまじ、今まで探偵として蓄えてきた実力と実績に裏打ちされた自信もあるわけですし。
原作のコナン君は、幼児化直後の誘拐事件や沖野ヨーコちゃんの事件で、幼児化した身体のデメリットを把握し、それまでの経験や自信を叩きのめされたんじゃないですかね?
だからこそ、早く元に戻りたいという気持ちも突っ走っていたかと。
ちなみに、本シリーズのコナン君にとっては、邪神様とのインパクトや冒涜的事件がその役割を果たしています。
この裕二君は、そんなあり得ていたコナン君なんですよ。
ゆえにこそ、コナン君を白昼堂々工藤新一呼ばわりしてしつこく追い回した。
結果、コナンが怪しい連絡しているのを目撃したり、挙句招かれた『九頭竜亭』で謎の人物に誘拐・拘束される羽目になる。
・・・要は、原作6巻『江戸川コナン誘拐事件』のイージー成分(拘束を自力で抜け出して、組織を追えるような手掛かりも残されて・・・という要素)をオミットして、ひたすら心折るような構成にして、強制シミュレートさせられた。
なお、彼はこれがお芝居などとは微塵も思ってない。あの当時のコナン君同様、情報がなさすぎるのもあって、本当に組織の連中に捕まったと思い込んでいる。
【さっくり流されたVS怪盗キッド要素】
大体の話の流れは、原作と大差ないので、さらっと流した。
ただ、♯40でも語られている通り、杯戸シティホテルの屋上における邂逅シーンには、コナン君の他に松井さんが同席している。
このため、怪盗キッドは大人の松井さんを要注意人物と判断し、彼のパートナーとなる蓮希さんを約18日かけて調べ上げ、変装した。
クイーン・セリザベス号における乗員も原作とは異なり、最初の暗号解読に失敗した毛利探偵は排除され、代わりにナイアさんが参入。
朋子夫人に依頼された槍田さんと、有名音楽家として招かれた蓮希さんと羽賀さん、蓮希さんのパートナーとしての松井さん、有名作家としての敦子さんとその付き添いの理央ちゃんも併せて参加することに。
・・・このため、頭のいいメンバーが原作よりも多いので、怪盗キッドの正体はさっくり特定された。
蓮希さんと入れ替わっていると判断しながらも松井さんはしらっと、恋人らしい演技をする。心配しているふりして、右手を握って絶対逃がさないようにしていた。でも逃げられた。『紺青の拳』のラスト同様、義腕に騙されたご様子。
・・・さり気に、怪盗キッドも原作よりもハードモードになってるじゃないですかー。ヤダー。