邪神様が見ているin米花町   作:亜希羅

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 時は戦国。
 雪深い峠を越えた先に、蘆名の国はある。
 疾駆する忍び、狼の闘争の裏で、遠く西から訪れた桜竜と、古き小さき名もなき神々の諍いを、狩人は鼻で笑う。
 御子?内府?蘆名?どうでもいい。ただ自分は狩るのだ。
 ヤーナムのものは狩りつくした。次はここだ。
 獣も化物も神も不死も虫も、ただ狩って狩って狩りつくす。皆殺しだ。駆逐してやる。
 蒼褪めた血を求めるのだ。狩りを全うするために。
 女薬師もくたばりかけの剣聖も身の丈に合わぬ大願を持った大忍びも故郷にしがみつく死にかけネタ侍も、皆仕留めた。
 あとはお前だけだ。炎を纏った狼よ。修羅?獣の間違いだろう?
 獣は狩る。遺志をよこせ。ついでにアイテムもドロップしろ。慈悲はない。


 ♯3における松田さん視点の番外編となります。
 最初、♯3も松田さん視点で書いてたんですが、ドチャクソ長くなったので、没にしたんです。
 でもまるっと没というのはもったいないお化けが出そうなので、番外編にしました。もちろん、これも読まなくても本編には一切支障がありませんので、あしからず。


【番外編β】松田陣平は、黒い仔山羊の夢を見るか

 「いあ!いあ!しゅぶ=にぐらす!

 

 森の黒山羊よ、おいでませり!」

 

 狂気に満ちた絶叫とともに、詠唱を続けるその人物の傍らにいる“それ”――濃厚な雌雄の臭いを撒き散らしながらゆったりと傍らに控えるような、“それ”にその場所に駆け込んできた松田陣平は絶叫した。

 

 散々、思い知ってきたつもりだった。

 

 だが、そんなものはほんの序の口だった。

 

 改めてそれを、思い知らされた。

 

 

 

 この世界は、松田が知らなかっただけで、狂気と邪悪に満ち満ちている。

 

 刑事としてやってきた松田が、心を壊して喃語のような呻きとともにベッドに身を沈める親友の真実を知ろうと、単独でいろいろ動いて調べまわる過程で、知ってしまった。

 

 あるFBI所属のミスカトニック大学卒業生の言葉を借りるなら、“蒙を啓いてしまった”と言うべきか。

 

 

 

 松田の怜悧であるはずの頭脳、それを支える想像力は、目の前に現れた“それ”を認識するや、連鎖して想像してしまう。

 

 黒い、蹄をもった何か――牛や馬、あるいはヒツジやヤギ。あれらが、恐ろしい。もしや、あれらは“それ”の同類なのかもしれない。それを殺して肉を食らっているなど、何と悍ましい。

 

 

 

 「~~~~~っ!!おごぉっ」

 

 たまらず、松田はえずいた。

 

 胃の腑の中身を、黄色身を帯びた胃液ともども吐き出し、舌の付け根に酸味と苦みを残し、咽頭にひりひりしたものを感じながらも、松田は動いた。

 

 口元を吐しゃ物で汚しながらも、道中で得たライフルを“それ”めがけて構える。

 

 「松田君!」

 

 「松田さん!」

 

 道中一緒になった――言い方は照れ臭いが、仲間が叫ぶのに、松田は唾と吐しゃ物交じりに叫び返す。

 

 「構うな!

 

 羽賀!寺原!藍川!槍田!手筈通りいくぞ!」

 

 了承の意を返すほかの3人に、藍川だけは大きくうなずいただけだ。

 

 彼も顔色が悪い。おそらく、松田同様精神的ショックを受けて、一時的であれ、声が出ないようになっているのだろう。

 

 とにかく、5人は動く。

 

 ぼうっとしていれば、聞くも語るも悍ましい邪神シュブ=ニグラスが召喚され、向こうに見える縛られた生贄――設楽蓮希はすでに白目をむいて気絶している――が、新たな犠牲となるだろう。

 

 羽賀響輔は、詠唱を続けようとする、血塗れの祭壇の上にたたずむ女目がけて、バール片手に殴り掛かろうとする。

 

 寺原麻里は、「こっちよ!この化け物!」と“それ”に石を投げつけて挑発する。

 

 藍川冬矢も、無言で祭壇の上の女に蹴りかかった。

 

 槍田郁美はといえば、担いでいた大荷物から、何に使うか夏場に子供が使うような大型の水鉄砲を取り出している。

 

 元検視官の探偵だ。きっと、何か考えがあるに違いない、と松田はライフルを構えて、召喚者の傍らにたたずむ“それ”に狙いをつけた。

 

 

 

 “それ”は、のたうつ巨大な塊だった。その塊はロープのようなミミズに似た黒い触手で形作られ、その表面には皺の寄ったいくつもの大きな口が付いていて、そこから緑色の涎がしたたり落ちている。その下の方は触手の先が黒い蹄になっていて、それで立っている。ゆえにほっそりした短い脚と塊のような枝分かれした胴体のせいで、どこか樹木のようにも見える。

 

 もっとも、こんな悍ましい樹木があっていいわけがない。

 

 “それ”は、黒い仔山羊という、シュブ=ニグラスの代行者であり、彼の神に仕える上級の奉仕種族なのだ。

 

 

 

 「くそっ!」

 

 松田は舌打ちする。

 

 ライフルが効かない。まるでゴムのような体にわずかにめり込んだだけで、その動きを止めることにまるで意味を成してないからだ。

 

 祭壇の上はといえば、懸命に女を攻撃しようとする二人は、黒い仔山羊の触手に薙がれ、弾き飛ばされている。

 

 もう時間がない。

 

 「おいでませえええええ!」

 

 詠唱が、完成してしまう。

 

 女の絶叫に、静かに答えたのは、槍田だった。

 

 「無駄よ。もう呪文は意味をなさない。邪神は、来ない」

 

 「何ぃ?!」

 

 「シュブ=ニグラスを呼ぶためには、大量の血液で清めた石の祭壇が必要。でも、血液はもう無意味よ。漂泊してしまったから」

 

 ぽいっと槍田は漂白剤入りの水を詰めていたタンクが空となった水鉄砲を放り捨てる。

 

 むせ返るような血臭は、いつの間にか鼻をつくような塩素臭さにかき消されてしまい、白っぽくなってしまっている。

 

 漂白剤――いわゆる次亜塩素酸ナトリウムは、医療器材の滅菌にも使われる、強力なたんぱく質分解効果を持つ。血液の分解など、朝飯前だ。

 

 「科学を、人間を、嘗めるな。化け物」

 

 毅然と言い放った槍田に、女は秀麗な顔を憤怒にゆがめ、黒い仔山羊を見上げた。

 

 「申し訳ありません!すぐに儀式のやり直しを」

 

 だが、怪物は無情だった。もはや何の価値もないと女を見ることなく、彼は己に爪を突き立ててきた、邪魔者の一蹴にだけ尽力する。

 

 松田はライフルを捨て、懐にしまっていた折り畳みの警棒を取り出す。

 

 羽賀からバールを受け取った藍川の一撃に、黒い仔山羊はひるんでいるようだった。銃が効かないだけで、普通に物理攻撃は効くらしい。ならば、ひたすら殴るだけだ。

 

 元機動隊配属を嘗めるな。

 

 「松田さん!」

 

 「人質助けたら、下がってろ!この化け物は俺が仕留める!」

 

 時折石を投げながら、踏み付けを懸命に避ける寺川の叫びに、松田は警棒を振り上げつつ叫んだ。

 

 羽賀は、縛られていた姪を解放し、槍田に託す。

 

 「蓮希を頼む!」

 

 「任せて」

 

 槍田が彼女を背負ってその場を離れるのを、化物の触手が追尾する。

 

 「させるかあ!」

 

 羽賀が横から割って入り、二人をかばう。おかげで二人は触手の届かないところに逃げられたが、代わりに羽賀は触手に絡みつかれ、絞めつけられる。

 

 「ぐあああああ!」

 

 「羽賀ぁ!」

 

 「羽賀さん!」

 

 松田と寺川が叫ぶ。

 

 このままでは、羽賀はあの怪物のしわがれた口に押し込まれて姿を消してしまうだろう。この世から、永久に。

 

 「っ!!」

 

 羽賀を離せ、というように、声の出ない藍川が動く。

 

 バールを勢い良く振りかぶり、羽賀を戒める触手目がけて投げつけたのだ。

 

 月の出てない真夜中というのに、それは命中した。羽賀を取り落し、化物は痛みに言語にもならない醜い叫びをあげる。

 

 「仔山羊様!貴様らああああ!」

 

 女の絶叫をよそに、地面に叩きつけられた羽賀は呻きながらも立ち上がる。

 

 「こうなったら、貴様らの血でもう一度祭壇を清める!

 

 私にはあのお方の乳が必要なのだ!何の権利があってその邪魔をするんだああああ!」

 

 「うるせえよ!権利だ何だ、どうでもいいだろうが!」

 

 松田は叫び返す。

 

 「こんな化け物の力借りて救済だ?その生贄に、関係ない人間巻き込んで?ふざけんな!」

 

 ここまでの道のりを思い返し、松田は毒づいた。

 

 

 

* * *

 

 

 

 そもそも、松田陣平が、この大事件のクライマックスに居合わせることになった切っ掛けは、4年前にさかのぼる。

 

 爆弾を仕掛けた、といういたずら電話じみた連絡に、近くの交番の警察官が現場のマンションへ向かったのだが、恐慌状態の無線と一緒に発砲音がしたということで、機動隊が出動する羽目になった。

 

 当時、爆発物処理班としてそこに所属していた松田は、腐った死体が生きた人間さながらに動いて人を襲うという、超常の現場に居合わせることになった。

 

 当然、他の機動隊員も恐慌状態に陥り、現場は指揮系統も滅茶苦茶の大混戦状態に陥った。

 

 どうにか冷静であった松田と、親友の萩原だけは、万が一があってはいけないからと、混乱のるつぼであったマンション内部で爆弾の在処を探索したのだ。

 

 どうにか爆弾を発見し、解体に着手しようという時だった。

 

 「誰かいるぞ!」

 

 萩原の声に、嘘だろと松田は見回したが、誰も見つけられなかった。

 

 マンションの住民かもしれない、避難させてくると言ってその場から駆け出した親友を、解体が先だと止めなかったことを、松田は何度後悔したかわからない。

 

 何故か「萩原さん!防護服を着て!」などとわけのわからないことを怒鳴りながら駆け込んでこようとした女性数名が、ゾンビを目撃して「アバアァァァァ?!」と絶叫したり、松田が気絶してお荷物と化した彼女らをマンション内の安全域にどうにか避難させたりもし、結局解体は間に合わず、タイムアップとなった。

 

 爆発の後、松田がいつまで経っても戻ってこない親友を探しに行ったときには、全てが遅かった。

 

 屋上で倒れ伏す親友は、体中の穴という穴から体液を流し、虚空を見つめ、現実を受け取ることを拒否しきっていた。

 

 さきほどまで普通に動いてしゃべって、今夜も飲みの約束を入れていたはずだったのに。

 

 「萩原?おい、どうしたんだ?」

 

 現実が信じられず、松田は何度も親友の肩をゆすった。何度も、何度も。

 

 だが、親友は何も答えない。やがて到着した救急車に乗せて運ばれた親友が、間もなく入院することになっても。

 

 4年経った、今でさえ。

 

 

 

 萩原の心神喪失に、1冊の本が絡んでいる。

 

 松田がそれに気が付いたのは、何か手がかりがないかと、件の事件について調べ直している最中だった。

 

 萩原と同じく、屋上で心身喪失していた男が、一冊の本を仕入れた。それを皮切りに、マンションの住民が次々失踪してゾンビと入れ替わっていったのだ。

 

 ・・・警察への通報がなかったのかというと、それをする前に住民が全員死亡してしまったからだろう。

 

 ゾンビとなった住民たちは、一人残らず、機動隊に、元の静かな死体へと戻された。

 

 だが、そんなあり得ない作り話のような事態を、上が信じるわけもなく、やむなく報告書は、『機動隊が突入した時には、住民はすでに死亡していた』という、捏造満載な内容で再提出された。

 

 男の部屋を職権乱用して調べ上げた際、発見した領収証から、『屍食教典儀』という本の存在を知り、どうにもそれが引っ掛かった松田は、それを探したのだ。だが、どこにもそんな本は見当たらなかった。

 

 ・・・まるで、あの事件を境に消失したように。

 

 ただでさえ、ゾンビの実在を目の当たりにしてしまった松田は、その本も何か異常なものがあるかもしれないと思い立ち、単独でいろいろ調べまわったのだ。

 

 その独断行動に業を煮やした上層部によって、機動隊から捜査一課に再配属されようと、松田は行動を改めなかった。

 

 

 

 ようやく本の在処を見つけた。

 

 松田が探り当てた件の本『屍食教典儀』は、『九頭竜亭』という古書店に我が物顔で陳列していたという。

 

 何故過去形かといえば、本は売られて再び他者の手に渡ってしまったからだ。

 

 本が渡ったのは、『八木沢メンタルクリニック』の院長、八木沢アンナである。

 

 何故売った?!とその当時の松田はナイアという古書店の女店主を罵ってしまったが、思えば気の毒なことをした。

 

 たかが本1冊で人間1人の気が狂ったなど、正気の沙汰ではない。

 

 

 

 ともあれ、本を追って『八木沢メンタルクリニック』を訪れた松田は、同様に様々な理由でクリニックを訪れた5人と行動を共にすることになった。

 

 クリニックに来ていたという友人を探す設楽蓮希、その付き添いをする叔父にあたる羽賀響輔。

 

 同じく、依頼で人探しに来たという探偵の槍田郁美。

 

 院長の八木沢アンナと個人的な交友があるという、藍川冬矢。

 

 仕事先での人間関係から悩み、カウンセリングを受けに来たという寺原麻里。

 

 情報を交換するうちに、おかしな事実に6人は行き着く。

 

 このクリニックを訪れた患者の失踪と、引き換えにきわめて短期に患者が回復するという異常。

 

 失踪した患者の行方と、短期の患者回復の謎(松田はついでに『屍食教典儀』の行方も)を追っていくうちに、6人は知ってしまう。

 

 八木沢アンナは、邪神シュブ=ニグラスの崇拝者で、患者のうち収入になりそうにないものや、クリニックに対して悪評を撒いているものなどを生贄に捧げ、代わりにその乳を得ていたのだ。

 

 千の仔を孕みし黒山羊、シュブ=ニグラスの乳は、異常をきたしていた精神を癒し、平常を取り戻させる。それを錠剤に加工し、向精神薬として処方することで、『八木沢クリニック』は多額の報酬を得ていたのだ。

 

 そうして、秘密を知った6人に、八木沢率いる、崇拝者たちの魔手が迫る。どうにか、一旦は退くことに成功するが、設楽蓮希が捕まってしまったのだ。

 

 シュブ=ニグラスの召喚条件などを考慮し、おそらく彼女は生贄としてささげられる。

 

 彼女を助けなければ。

 

 逸る羽賀響介を押さえ、準備を整え、5人は召喚場所に踏み込んだ。

 

 米花より程よく離れた森の中、設置された石の祭壇。召喚の儀を執り行う八木沢アンナと、生贄として拘束された設楽蓮希の前に。

 

 

 

* * *

 

 

 

 松田の特殊警棒が、黒い仔山羊のくるぶしを抉るように打ち据えた。

 

 ほっそりした短い脚は、当たり所が悪かったのか、たったそれだけであっさりとバランスを崩して膝をつく。

 

 よし!イケる!確信を得た松田は再び特殊警棒を構える。

 

 続いて、藍川の跳び蹴りが低い位置に降り立つ化物の胴に突き立った。肉を穿つ鈍い音と、化物の悲鳴が暗い森にこだまし、間髪入れずに復活して棍棒を拾った羽賀響輔が罵声と一緒に化物に振り下ろす。

 

 容赦がない。

 

 当然だ。危うく、かわいがっていた姪が犠牲になるところだったのだ。

 

 そして、松田も遠慮してやる理由はない。

 

 銃が効かない?ならば警棒を使えばいい。

 

 確かに自分たち人間はちっぽけな存在だ。だからと言って舐めるな、クソ化物。

 

 

 

 「仔山羊様!畜生!放せえええ!」

 

 「松田さん!今のうちに!」

 

 「早く!」

 

 「大人しくしなさい!この!」

 

 ちらっと松田が横目で見れば、無事意識を取り戻し解放された様子の蓮希と、他の女性2名が、八木沢アンナに組みついて地面に抑えつけている。

 

 「貴様ら!なぜわからないのだ!私は患者を救っているだけだ!傷つき苦しむ彼らに救いの手を差し伸べているんだ!

 

 仔山羊様とシュブ=ニグラス様は、そのために必要なんだ!どうしてわからないんだ!!」

 

 「ふざけないで!人を救う?確かに立派なことだわ!けど、そのためにどうして、綾香ちゃんが犠牲にならなくちゃいけないの?!

 

 あなたのやってることはただの人殺しよ!医者だっていうなら、犠牲なんか出さずに人を救ってよ!」

 

 八木沢の絶叫に、負けじと蓮希が叫び返す。

 

 蓮希の行方不明になった友人は、このクリニックでの治療成果が出ず、そうこうしているうちに行方不明になったのだ。

 

 八木沢の残していた記録から、彼女が生贄に捧げられたと知った蓮希は、潜入中というのに、青ざめて泣き崩れたのだ。

 

 もう、これ以上、犠牲を出してはいけない。蓮希にできることなどたかが知れてる。それでも、泣きわめくこと以上に、八木沢を止めなければならないのだ。

 

 だから。

 

 「おらああああ!」

 

 チンピラのような怒声と一緒に振り下ろされた、松田の警棒が、何度目となるか、深々と黒い仔山羊の肉を打ち据える。

 

 『ゆtghjbんkもjklm~~~~っっ!!!!!』

 

 発音不明瞭な悲鳴を上げて、黒い山羊は力なく地面にドスンと沈み込み、そのままドロドロした黒い粘液となって、溶けるように崩れ落ちる。

 

 腐敗臭と雌雄の臭いの数倍ひどいような悪臭がその辺一帯に立ちこめ、一同はうっと息をつめた。

 

 やっと終わった。

 

 「ああああ・・・そんな、そんな・・・そんそんそんそんなななななななななな・・・だってだってもう二度と、あんな、あんな・・・ああああああごめんなさいごめんなさいごめんなさいだってだって早く良くなってほしくて違うのちがうのだってそんな」

 

 ホッとした一同とは裏腹に、八木沢は体から力を抜けたのか、顔を伏せてそんな意味の通らないことをひたすらブツブツとつぶやく。

 

 「彼女、どうする?」

 

 「縛って警察に突き出すとしよう。幸い、優秀な警察官がいるようだしな」

 

 相変わらず押さえつけたままではあるが、少し困ったように尋ねてきた寺原に、疲れ切った様子ながらも羽賀が小さく笑って松田を目で指す。

 

 「あいにくだったな。優秀だったらこんなところで化け物なんざぶん殴ってないぜ。不良警官のレッテルならキープしているがな」

 

 警察学校でも問題児だったし、警察なんてクソだと今も昔も思っている松田が、優秀な警察官とは世も末だ。

 

 肩をすくめた松田に、いまだに声の出ない藍川が小さく肩をゆすって笑っている。

 

 確かに、と言いたいのだろう。今の松田はスーツ姿でこそあるが着崩している上、煙草とサングラスを手放さないのもあって、警察官というよりチンピラかヤのつく業界人の方がらしく見えるだろう。

 

 そんな感じに、周囲の空気が少し軽くなる。

 

 「とにかく、ロープかガムテープだな。確か、車にあったと思うから持ってこよう」

 

 羽賀がそう言って踵を返した時だった。

 

 「くぁwせdrftgyふじこlpっ?!!」

 

 突如、八木沢が意味不明な叫びをあげた。

 

 同時に、彼女を押さえつけていた女3人の拘束が振りほどかれる。

 

 尻餅をついた蓮希がノロノロと顔を上げたときには、薄笑いしている八木沢がその目の前にいた。右手には逆手に持った、刃こぼれしている出刃包丁が見える。

 

 「死ぃねえええええ!」

 

 「おぉぉりゃあああああ!」

 

 出刃包丁が振り下ろされるより早く、割って入った松田が怒号を炸裂させる。いまだに右手にひっさげていた警棒が振り抜かれ、そして――。

 

 

 

* * *

 

 

 

 ヒュゥッと松田は息を詰めるように、目を覚ました。

 

 嫌な汗が、くたびれたワイシャツをじっとりと濡らしている。

 

 留置場の薄い毛布と、饐えたような臭いに、一瞬で彼は状況を思い出す。

 

 過剰防衛からの撲殺。一言でいうなら、松田はそれを犯してしまったのだ。

 

 とっさに蓮希を助けるためとはいえ、松田の揮った警棒は当たり所が悪かったとしか言いようがなかった。

 

 多分、松田は逃げることはできた。仲間たちも、松田が悪いわけじゃない、誤魔化そう、と言ってくれたのだ。

 

 だが、松田はそれに否と答えた。なぜなら自分は、警察官だから。他の薄汚い犯罪者たちならば、トリックだのアリバイだのと、もっとましな方向にめぐらせればいい知恵と策謀をもって、自分の罪を誤魔化そうとするだろう。だが、松田はそれをしない。警察官だからこそ、潔く自分の罪を認め、それを償うのだ。

 

 たとえ、そのために桜の代紋のついた手帳を手放すことになろうとも。

 

 だが、こんなのは聞いてない。こんなのは想定外だ。

 

 固い寝台に横たわったまま、松田は腕で目元を覆う。

 

 鼓膜に木霊するのは、昼間に彼を取調室で尋問した、かつての上司、あるいは別の部署のお偉いさんの罵声だった。

 

 『余計なことをしてくれた』

 

 『あの薬のおかげでどれだけ業務が楽になってたと思ったんだ』

 

 『まったく、これだから最近の若いのは。暗黙の了解というのがわからんのかね?』

 

 『まあ、君のような馬鹿にも使い道はある。精々、我々警察の役に立ちたまえ』

 

 彼らは知ってたのだ。松田の薄々察していた予想通りに。

 

 

 

 思えば、おかしなことではあった。

 

 件の連続失踪事件は、民間調査が精々であろうと、八木沢メンタルクリニックが起点に起こっていることは自明の理である。

 

 にもかかわらず、警察の捜査がそこに向かってない。つまりは、何らかの圧力でそこに係われないようにされていると考えるのが定石だろう。

 

 その圧力が何処から発せられているのか?言うまでもない、警察の上層部だ。

 

 調査の一環で、八木沢メンタルクリニックに潜入した時に見かけたカルテ。その中に、警察の上層部、役員幹部たちの名前があった時点で予想しておくべきだったのだ。

 

 

 

 かくして、松田は捕らわれの身となった。

 

 罪状は、過剰防衛からの撲殺どころか、連続誘拐事件の真犯人である。

 

 真相を知ったクリニックのカウンセラーを口封じに殺したという、おまけつきで。

 

 松田が一人でおかしな本を追いかけ、それに執心していた、誰の制止も聞きはしなかったという状況もまた、彼の状況を悪化させた。

 

 誰も、松田の無実を信じなかったのだ。

 

 かつて所属していた爆発物処理班の面々も、新しく移籍した捜査一課の刑事たちも、誰も。

 

 『見損なったぞ!』『それでも警察官か!』『桜の代紋が泣いてるぞ!』

 

 口々に彼らはそう松田を罵った。

 

 『最低!少しはいいところもあるって思ってたのに!私が馬鹿だったわ!』

 

 中でも、捜査一課で松田と組んでいた佐藤の怒りは凄まじく、面会室のアクリル板を叩きながら、涙ながらにそう叫んだのだ。

 

 ・・・身内は来なかった。紙切れ一枚の絶縁状が、彼らからの全てだ。

 

 たった一人、かつての警察学校の同窓、伊達だけが、松田を心から案じてくれた。

 

 『俺に任せろ。すぐにそこから出してやるさ!』

 

 爪楊枝を咥えながら、笑って言ってのけた彼だけが、松田を信じてくれた。

 

 だが、そんな彼も、それっきりだった。

 

 きっと、圧力がかかったのだろうと、松田は確信している。

 

 どんなに伊達が尽力してくれようと、所詮彼も一刑事に過ぎず、上からの命令には逆らえないのだから。

 

 これだから、警察はクソなのだ。

 

 それでも、欠片でも、正義はあると、信じていた。信じたかった。

 

 親友を狂わせる原因となった本――魔導書こそ処分できたが、もうどうすればいいのか、松田には分からない。

 

 

 

 そんな時だった。

 

 消灯時間をとうに過ぎた留置場の、松田の独房の扉を、誰かがノックしてきた。

 

 「松田陣平。面会だ」

 

 こんな時間に?怪訝に思いつつも、松田は「ちょっと待て」と一声かけて身支度を整える。

 

 と言っても、シャツの裾を整え、ネクタイやジャケットを身に着け、手櫛で髪を整える程度だ。

 

 ちなみに、煙草とサングラスはとっくの昔に没収されている。口さびしい上、落ち着かない。

 

 独房を出た松田は、真っ暗がりに等しい廊下を静かに歩き、面会室に通された。とっくに、面会時間など終わっているはずの場所に。

 

 アクリル板を挟んで三脚に腰かけているのは、松田と同じか少し上ほど年の、紺のスーツに黒髪をバレッタで止めた女性だった。整った顔立ちにスクエアフレームの眼鏡をかけているので、硬質な印象がある。もちろん、松田はこんな女は知らない。

 

 女の向こう、出入り口に黒いスーツの男が一人立っている。監視、あるいはボディーガードだろうか?

 

 面会室に通されるなり、松田を連れてきた警官は一礼して、扉の外に出る。

 

 おかしい、と松田は思う。監視はどうしたのだ。こんな時間の非公式なそれなら、いてもおかしくないだろうに。

 

 「おかけになってください」

 

 女に促され、松田は怪訝に思いつつも、三脚に腰かけた。

 

 「松田陣平さんですね?元爆発物処理班所属、警視庁捜査一課移籍後、件の事件に巻き込まれたそうで」

 

 「てめえから首突っ込んだんだよ」

 

 「魔導書『屍食教典儀』の処分が本意だったそうですね?ちなみに、どこからその本の在処を?」

 

 「・・・人のこと根掘り葉掘りする前に、名前くらい言ったらどうだ?」

 

 やっとの思いで処分した忌々しい本の名を出され、松田は眉根を寄せながら尋ね返す。

 

 同時に思う。

 

 何故、それを、と。

 

 あの本のことは、自分以外はあそこで共闘した仲間たちぐらいしか知らないはずだ。よしんば知っていても、その危険性までは察していないはずだ。

 

 「これは失礼しました。私はこういうものです」

 

 アクリル板越しに見えるようにかざされたそれは、名刺だ。松田は眉を寄せながら、それを読み上げた。

 

 「“神代貿易株式会社 人事課 係長 キャロル高梁”?」

 

 「まあ、それは表向きの立場です。本業は別にあります」

 

 ここで、キャロルと名乗る女は名刺をしまい、妖艶に口元をしならせ、松田を見ながら言った。

 

 「先日、あなた方が打ち倒した化け物、ああいったものが他にもいると言ったら、どうします?」

 

 「は?」

 

 「我々はああいったものと対抗するための組織で、私はそのメンバーの一員です。

 順を追って、説明しましょう。松田さん」

 

 長い話になると松田は感じた。いつもの癖で、胸ポケットをあさってしまった。愛飲の煙草とライターは当然そこにはない。クソが。

 

 

 

 “彼ら”は、人類が産声を上げたときから常にそばにいた。それどころか、気も遠くなるほどはるか昔から、在り続けた。

 

 人類が科学を発達させ、神や悪魔など架空の存在と切って捨てようと、“彼ら”は在り続けた。むしろ、文明の輝かしさこそが、“彼ら”の巣食う闇を際立たせたともいえた。

 

 ただ、人類はそうと認識していないだけだ。

 

 だが、知る者は当然知っていたし、賢明にも対策は取ろうとした。

 

 知恵を絞り、武をかざし、たとえ針のような一撃にしかならなかろうと、黙って蹂躙され、滅ぼされるよりは万倍マシとして。

 

 

 

 キャロルの話した途方もない話に、松田の精神は臨界点を振り切っていた。

 

 何の話だ。冗談だ。あんな化け物の同類、あるいはそれ以上の災厄が、そこらじゅうにゴロゴロしている?

 

 だが、松田はもう、見てしまった。聞いてしまった。知ってしまった。理解してしまった。

 

 もう、後戻りなどできない。

 

 血が出るほど頭皮を掻き毟り、奇声を張り上げる。どんなに叫ぼうが、喚こうが、現実がひっくり返ることなど、ありはしないと松田は知っている。だが、彼の脳髄は、ただでその事実を受け入れられるほど、頑丈にはできていなかった。そうとも、これは八つ当たりだ。

 

 そんなことが起こりうるなら、松田の親友が病院のベッドに横たわり続けることもなかったし、設楽蓮希が化け物の生贄に捧げられることもなかった。そもそも、あの女院長だって、化物の言いなりにならなかったかもしれないというのに。

 

 ようやく落ち着いた松田は、血塗れの指先で、アクリル板を引っ掻く。

 

 荒れた息と血走った目で、松田は三脚に座る冷然とした女(腹立たしいことに、この女は松田の一連の行動を黙って眺めていただけだった!)を睨み付けながら、薄笑いで口を開いた。

 

 「で・・・?俺に、何の用だ?

 

 そんな、頭がおかしい事実を突き付けて、俺を発狂させたいわけじゃないんだろ?」

 

 「もちろんです。やはり、あなたには適性があるようですね、松田さん」

 

 「適性?」

 

 「ご存じないんですか?大半の人間が、今の話を信じないんですよ。あるいは綺麗に聞かなかったことにするんです。記憶に残すことさえ悍ましいと判断するんですよ。本能で」

 

 聞き返した松田に、キャロルはしれっと言った。

 

 「取引をしましょう。松田さん。

 

 我々、神話性事象安全保障組織、通称MSOは万年人手不足です。あなたにはぜひ、我々の一員として、“彼ら”に対する調査・防衛を手伝っていただきたいのです。

 

 その代わり、ここからあなたを出して、自由の身としましょう」

 

 「いやだと言ったら?」

 

 「構いませんよ、それはそれで。

 

 ただ、その場合は、おとなしくやってもいない犯罪で服役する羽目になるでしょうね。

 

 期間がどのくらいになるかまでは存じませんが。

 

 まあ、我々の活動は先日の一件からも察せられるとおり、命がけです。平穏無事に、ベッドで息を引き取りたいというなら、そちらの方がお勧めできます」

 

 キャロルの言葉に、松田は息を整えながら黙り込む。

 

 ややあって、彼は口を開いた。

 

 

 

* * *

 

 

 

 自分の死を報じる新聞やテレビを眺めながら、松田は奇妙な気分に陥っていた。

 

 これで晴れて自分は死人だ。

 

 

 

 キャロルの取引を、松田は受け入れた。

 

 元々警察なんてクソだと思っていたが、あの事件で完全に見切りをつけた。居場所を置く価値が、まるで見いだせない。

 

 それに、と松田は思ったのだ。

 

 あの化け物の同類が、この世の裏側を闊歩しているならば、また同じ思いをする人間がいるかもしれないのだ。

 

 萩原が心を失ったように。蓮希が生贄に捧げられたように。

 

 それを止める機会が得られるかもしれない。そのための力と知識も、得られるようになる。

 

 かくして、松田陣平は死人となり、名を失った男が一人、この世の裏側と対峙する組織に属することとなった。

 

 なお、全国に顔写真が公開されてしまったので、当分は髪を染めて(面倒なので白に脱色してしまった)、カラーコンタクトを入れて生活することになる。まあ、人のうわさも七十五日という。そのうち忘れられることだろう。

 

 留置場から出る過程で、キャロルからの指示で発狂した演技をする羽目にもなった。彼女が言うには、あの手の事件にかかわった人間は大なり小なり精神に異常をきたすことが大半だそうだ。ゆえに、松田もそうなったように見せかけろ、できなければ取引を無効にするとのことだった。

 

 さすがに、出られる算段が付いたというのにそれを無効にされるのは御免被りたい。芝居の心得はないが、何とかしようと、松田はそれらしく、看守の前で振舞った。そして、偽装は無事成功、とある夜中に松田は“自殺した”。

 

 

 

 こっそり留置場から出された彼が身を置くことになったのは、『神代貿易株式会社』を称するビルだ。その社員寮に身を移し、社員研修という名目で、彼の新たな生活が始まった。

 

 かつての警察学校での訓練とほぼ同等か、それ以上――まるで自衛隊でのようなそれに加え、魔術やオカルトといった知識の勉強をしながら、松田は一人思いをはせた。

 

 いまだに入院している萩原や、無実を証明してくれようとした伊達、警察学校卒業後はさっぱり音沙汰を聞かない降谷と諸伏はどうなっただろうか。

 

 あの事件で共闘したメンバーは?さっぱり音沙汰を聞かないが、表向き凶悪な誘拐犯とされた自分と一緒にいたことで、彼らも何か被害をこうむっているかもしれない。

 

 心配ではあったが、死人となった彼に、出来ることなど何もなかった。

 

 

 

 訓練の合間を縫った、貴重な休日に、松田――新たに戸籍を獲得し、松井陣矢と名を改めた彼に、来客があった。

 

 「あんたは――!」

 

 「よかった。思ったより、元気そうね?」

 

 悪戯っぽく笑うのは、彼の事件で共闘した、槍田郁美だ。

 

 「外出許可は取ってあるわ。ちょっと、来てくれないかしら?」

 

 「どこへ?」

 

 「内緒よ。けど、きっとあなたも喜ぶと思うわ」

 

 悪戯っぽい笑みとウィンクをする槍田に、松井はおとなしくうなずいた。

 

 槍田の運転するフェラーリに連れられてきたのは、とある豪邸の前だった。

 

 「おい、ここって・・・」

 

 何か尋ねようとする松井を遮り、槍田は屋敷の大きな門のそばにあるインターホンを押す。

 

 そうして、使用人に案内され、屋敷の一室に案内された。

 

 豪奢なソファセットが中央に置かれた客間。何より、松井はそこにいたメンバーに目を瞠った。

 

 「あ!」

 

 「松田さん!」

 

 「生きてやがった!ハハッ!無事だったんだな!」

 

 「松田!元気だったか?!」

 

 「よかった!ずっと心配してたんです!」

 

 それは、あの事件で共闘した、仲間たちだ。

 

 松井の姿を認めるなり、涙目で飛びついてきたのは設楽蓮希だ。

 

 その肩をバシバシ叩きながら、涙目で笑う藍川冬矢。

 

 目を潤ませながらホッとした顔をする寺原麻里。

 

 同じくホッとした顔で安堵の息を漏らす羽賀響輔。

 

 「こいつは・・・」

 

 「みんなあなたの無実を知ってたもの。だから、会わせてあげたいって、ずっとあっちと交渉してて。今日、ようやく許可が下りたってわけ」

 

 囲まれて戸惑う松井に、槍田がサプライズ成功、と言わんばかりに笑みを向ける。

 

 「ちなみに、私、“彼ら”の外部協力者なの。あなたのことを“彼ら”に伝えたのも私なの。・・・余計なことだったかもしれないけど」

 

 「いや・・・ありがとうな」

 

 松井は、サングラスをしててよかった、と思った。でなければ、潤んだこの目を、不覚にも誰かに見られたかもしれないからだ。

 

 

 

 失ったと思った。

 

 警察官としての誇りは地に落とされ、薄汚い犯罪者として、牢獄で終わるのだと。

 

 だが、まだ自分には続きがあった。

 

 まだ残っているものはある。

 

 この手が救ったものは、守ったものは、今松井となった松田の心に確かな温かさをもたらしてくれている。

 

 

 

 

 警察官ではなくなったが、この胸にはまだ正義と誇りはある。

 

 そして、そのために松田ができることだって、まだあるのだ。

 

 「あんたらも、元気そうでよかったぜ。まあ、あの事件を乗り越えられたんだから、そう簡単にくたばることはなさそうだと思ってたがな」

 

 だから、松井は憎まれ口を叩く。彼らしく。いつも通りに。

 

 

 

 

フリーターの分際であなた、幼女を拾おうと思います?

Yes,I am.ん゛ん゛っ(竜咳)続きます!

 




【警察からMSOに籍を移し、ついでに戸籍も新しくした松田改め松井さん】
 親友の発狂原因を探って、魔導書を探してたら、とんでもないババ引き当てちゃった人。今回の被害者兼主人公。
 周囲の真っ当な(平穏に生きたい)人々からすれば、何でそんな余計なことするん?と言われそうな根掘り葉掘りをしまくるので、捜査一課に籍を移され、反省を促されるが、そんなことで止まるような殊勝な人柄ではない。
 ついでに言えば、捜査一課のメンバーからしてみれば、親友が頭おかしくしたのを本一冊のせいにして、その本に異常に固執して探し回るなんて、変人じゃんと一線ひかれてた。
 そうこうしているうちに、本編でいうところの#3の事件に遭遇。偶然出会った他メンバーと一緒に探索・共闘し、最終的にシュブ=ニグラスの降臨の阻止に成功。
 しかしながら、最終的に発狂した女院長を過剰防衛からの撲殺をしてしまい、さらには事件の背後にあった警察の怠慢隠しのために、スケープゴートとして一連の事件の犯人に仕立て上げられる。
 誰にも信じてもらえず、留置場で精神的に弱っていたところを、MSOの職員であるキャロルのスカウトを受け、死亡偽装をしてもらったうえで移籍。
 その後、移籍先で訓練三昧の日々を送っていたが、とある休日にかつての共闘メンバーと再会。
 生きててよかったーと喜ばれ、嬉しくなった。多分SAN回復も入った。
 警察はやめたけど、まだできることはある。化け物からみんなを守るために、これから頑張るぞ!
 なお、ひねくれているので素直に態度には出さない。ひねくれているので。

【松田さんと探索・共闘して、警察なんてクソだな!という探索者の皆さん】
 大体のことは本文中、あるいは#3で語っている通りではある。
 ただ、松田さんが捕まったことに猛抗議して、無実を主張したことについては確か。
 後日、槍田郁美さんによって連れてこられた松田改め松井さんと再会を喜ぶ。無事でよかったー!
 余談ながら蓮希ちゃんはこの事件が切っ掛けで松田さんとフラグが立っている。
 ・・・加えて、皆さん一様に警察に対して不信感が立つようになった。
 一つ言っておくなら、クトゥルフ神話TRPGにおいて、警察は情報提供先の一つ、あるいはみんなの足を引っ張るお邪魔虫くらいの立ち位置でしかない。
 なぜなら事件の解決は探索者の仕事だからだ。警察が解決できるなら、プレイヤーのいる意味ないよねという話になってしまうからでもある。

【MSO人事課所属のキャロルさん】
 名前を聞き覚えのある方、毎度おつきあいいただきありがとうございます。
 知らない方は、pixivにある同作者の『成り代わり転生者~』シリーズをご覧になってみてください。
 世界線が異なるので、当然別人です。モブの名前を考えるのが面倒ン゛ン゛ッ(竜咳)、諸事情からリサイクルしました。
 基本的には、あのキャロルさんと似たような感じ、要は「麗しいけどひでー女」です。
 登場作品を盛大に間違えており、コナンよりHELLSINGあたりが適切な感じです。

【今回さっぱり出番のなかった邪神様】
 本文は松田さんの視点で進行するものであるので、彼女の存在は非常に希薄。しょうがないね!
 加えて、松田さんは赤井さんとは違い、彼女の存在を関知はしてないわけで。
 まあ、本編の裏で笑い転げているのでしょう。いつも通りに。
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