邪神様が見ているin米花町   作:亜希羅

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 …あんた、まともな読み手かね?もしかして、迷い込んだのかね?
 よかった、俺も同じだ。この話はロクでもない邪神の独り言さ。神話に酔った探索者が、最後に囚われる場所さ。
 あんたも見たろう?まるで獣のように、さまよう探索者たちを。あんなものが行く末だなんて、憐れなものさ…
 だからあんた、悪いことは言わない、囚われないうちに戻りたまえよ。
 …それともなにか、この話に興味があるのかね?



【#7】三角関係勃発!素晴らしい戯曲には拍手を!

 いつもニコニコ!ラブ&カオス!米花町の這い寄る混沌こと、私です。人間としては、手取ナイアと名乗らせていただいております。

 

 ふむ?毎度お前のやらかしにはうんざりしている?たまにいい結果を引き起こしても、お前はそれを台無しにする気満々なんだろうって?

 

 よく御存じで!

 

 この間なんて、私が引き起こした数々の事件がバタフライエフェクトだかピタゴラスイッチだかしちゃって、結果的に轢き殺されるはずの人間が助かっちゃったんですから!

 

 おかしいですよねー?

 

 でも、死なずに生き残ったからには、彼にもこの先で起こる面白いことに参加してもらいましょうか。

 

 ええ。仕込みはすでに済ませているんですよ(#3参照)。

 

 あとは仕上がりをごろうじろってね。

 

 

 

 まあ、それとは別に、先日赤井君がとうとう黒の組織を抜けてしまいました。

 

 ただ、ほとぼり冷めるまではFBIには復帰せずに、借りを作ってしまったウィルマース・ファウンデーションへ復帰して、神話事件の調査に駆け回っているようですね。

 

 実は養子だったうえ、蛇人間のハーフだった、宮野明美君もご一緒に。

 

 ・・・とはいえ、それは1年に限定しているようで、1年経ったらサッサとFBIに復帰して、組織の捜査へ戻るつもりのようですねえ。

 

 赤井君は、何でああもあの組織に固執なさるんでしょうねえ?さっさとこちら側に戻ってこられればいいのに。ご自身でも、普通に生きる方が難しいと悟られているでしょうに。

 

 ・・・またお会いする時を楽しみにしてますよ、赤井君(ニチャァッ)

 

 

 

 そうそう、宮野明美君といえば。

 

 いやあ、意外がっている方がいるようですが、彼女、妹さんのこと、実は邪魔者扱いなさってたみたいだったんですよねえ。

 

 ええ。妹さんの宮野志保君、でしたか?彼女の処遇について赤井君が確認していたのですが、いやあ、冷たいもんでしたね。

 

 「知らないわよ、あんな子。両親の夢を継ぐだか、保身のためだか知らないけど、頭の良さをひけらかした挙句、変な薬作りに夢中になって。

 

 巻き込まれて監視される羽目になったこっちはいい迷惑だわ。

 

 本人が好きでやってるんだから、好きなようにやらせたらいいわよ。もう18歳にもなるんだし、自己責任くらいわかるでしょう?

 

 まさか、これで、“毒なんて作ってるつもりなかった”とか“そうしないとお姉ちゃんが”とか言い訳してきたら、いよいよどうしようもないわね。

 

 だって、どう言い訳しようが、結局決めて実行したの、自分でしょう?自分の撒いた種でしょう?自分で刈り取らせたら?」

 

 軽く赤井君が絶句してましたねえ。ちょっと目が、妹さんに対して同情してましたよ。口には出してませんでしたけどねえ。

 

 

 

 付け加えて言うなら、赤井君は宮野明美君の保護を、FBIには報告していませんね。まあ、今の宮野明美君は人間というより、神話生物寄りですからね。こんな爆弾、一般人のところにはおいておけないでしょう。

 

 ・・・加えて本人がこの調子です。妹さんにも、生存を伝えないようにするでしょうねえ。彼は。

 

 ですが、それでは詰まらな、いえ、悲しいことです。せっかくお姉さんが生きているんですから、ぜひ、妹さんには折を見て伝えてあげないと!(ニチャァッ)

 

 

 

 え?このクソ邪神め?そうやって被害を拡大することしか考えないのかって?

 

 嫌ですねえ、被害を拡大するんじゃなくて、被害を引き起こすことだって、もちろん考えていますとも!

 

 素晴らしきかな、悲劇と狂気の世界!人間はその坩堝の底で、金切り声をあげてのた打ち回るのが一番お似合いだと思うんです。

 

 さあ、みなさんご一緒に!Let’s 混沌!(月に吠えるもの形態のシルエットをバックに)

 

 

 

 では、開幕邪神トークはこのくらいにして、本題に行ってみましょうか。

 

 大丈夫ですよ。相変わらず私はニヤニヤと人間どもがのた打ち回るのを眺めているだけなんですから!

 

 

 

* * *

 

 

 

 さて。皆さんは探索者の一員、寺原麻里女史をご存知でしょうか。

 

 彼女、元はロックバンドのマネージャーなんてやってたそうですが、松井君が警察を辞めるきっかけとなった事件に遭遇後、精神的負傷を癒すために、少し業務を見合わせてたんだそうです。(ちゃんと、その手の病院の診断書も事務所に提出されて)

 

 ところがどっこい、そのロックバンドのリーダー君(木村達也君と言いましたか)が、「何トロトロしてやがんだドブスが!」とか、罵声を放ったそうなんですよねえ。加えて、寺原君がテレビに映った山羊を見て顔色を変えたら、「こんなもん見て怯えてんじゃねーよ、ブスのくせに」とか言ったそうですよ?

 

 いやあ、照れ隠しに罵声とか、小学生の色恋みたいですねえ。好きな子ほどイジメたいといいますが、された方としてはたまったものではないでしょうねえ。気持ちはわかります。好きな子ほど、イジメたい。彼らからの何らかのリアクションがあれば、手ごたえを感じずにはいられない。よく、わかります!

 

 まあ、寺原君本人としても、愛想が尽きたようでして。元々は、恋慕の情を抱いてたようなんですが、整形以降暴言三昧のところに加えて精神的に傷ついてグラついてるところを追い打ち掛けられたら、そりゃあ見切りも付けますよねえ。

 

 もう、こんな奴に付き合いきれない、と。

 

 で、録音していたバンドリーダー君の暴言をパワハラとしてマスコミに公開されたくないなら辞めさせろと事務所に怒鳴りこみ、辞表を受け取らせたというわけです。

 

 で、無事に辞められた寺原君はカウンセリングで精神の落ち着きを得つつ、事件で得た伝手を通じて、槍田君の探偵事務所に転がり込み、そのまま事務員兼補佐として働かせてもらっているというわけですね。

 

 おや。そんなことはすでに知っているという顔ですねえ。

 

 

 

 まあ、問題はその後――つまり現在ですねえ。

 

 寺原君は現在の処遇に納得している、というより、ロックバンドのマネージャーをやっていた頃より、お元気にされてるんじゃないですかね?・・・外回りの時は、大抵死体やら神話生物やら目の当たりにする、ロクでもない職場と自嘲されるそうですが、目がすごく生き生きしてらっしゃるんですよねえ。

 

 ・・・彼女もだいぶ、魅入られてるようですねえ。

 

 でも、納得されてない方がいるんですよねえ。具体的には、『レックス』というロックバンドのボーカル、木村達也君が。

 

 わざわざ鳥矢町の槍田探偵事務所までやってきて、戻ってこいと説得しようとしてるんですよ。

 

 まあ、例のごとく発言内容が、自然と暴言デコレーションされるので、どう聞いてもケンカ売ってるようにしか聞こえないんですよねえ。

 

 で、まあ、そんな彼に愛想を尽かした寺原君がうなずくわけもなく、誰が戻るかボケェ!って感じに拒否すると。平行線ですよねえ。

 

 まあ、わざわざ忙しいお仕事の合間を縫って会いに来るわけですから、木村君もただであきらめるわけもなく、運命の恋をこじらせたストーカー並みのしぶとさで、お前が戻るまであきらめない!(暴言デコレーションを除去した意訳)と言ってましたからねえ。

 

 

 

 ふむ。好きなら好きと言ってしまえばいいと思うんですがねえ?

 

 私のように。私は人類が大好きです!愛しています!だからこそ、痛めつけて苦しめて、狂気の淵に引きずり落としてやるのです!わかるでしょう?!

 

 まあ、誰もが私のように素直で正直というわけにはいかないのでしょう。

 

 え?お前の正直は害悪でしかない?相変わらずあなた方もひどいことをいいますねえ。木村君の暴言に勝るとも劣らないひどさですよ?

 

 え?愛情が根底にある彼のそれと一緒にするな?お前には本当に嫌悪と侮蔑しかない?またまたぁ。いやよいやよも好きのうち、でしょう?彼のように。

 

 

 

 とはいえ、探偵事務所所長の槍田君まで、暴言ついでで怒らせてましたからねえ。少なくとも、彼女が彼に味方することはないでしょう。

 

 いやあ、好きな人のために敵を量産するスタイルなんですね、わかります!

 

 で、いい加減寺原君もうんざりしてたんでしょうねえ。どうしたものかと頭を痛めてたら、それを見ていた槍田君から、意外な一言が。

 

 「彼、あなたのことが好きなんでしょう?やってることが小学生レベルの幼稚なものだけど。スッパリ諦めさせたいなら、いっそ恋人でも作って見せつけたら?」

 

 あらら。寺原君、ギョッとしてますねえ。何というか、思ってもみなかったみたいな顔をしていますね。木村達也が自分を好いていたことに対してか、新しく恋人を作ることに対してかは、定かではありませんが。

 

 どうやら、前者に対してだったようで、木村達也が自分を好き?勘違いじゃなくて?と何度も聞き返してましたよ。

 

 おやおや、両想いだったと判明しましたよ?よりを戻しては?・・・きっと、最終的にはDVからの刃物沙汰になって、さらにこの米花町を混沌に貶めてくれるでしょうねえ(ワクワク)

 

 おや、寺原君、やはり愛想は尽きたままですか。新しく恋人を作る、とまではせずと、誰かに恋人の振りを頼もうと思い立ったようです。

 

 

 

 さて、白羽の矢が立ったのは、同じ探索者の藍川冬矢君のようです。

 

 理由としては、寺原君の面識ある男性であり、フリーであったからというのが大きいようです。

 

 ちなみに、他のメンバーがダメだった理由としては、

 

 松井君・・・容姿がチンピラ。それに蓮希君がいるのでダメ。(付き合ってはいないが、そういう感情を持っている節があるため)

 

 羽賀君・・・髭がNG。それに叔父馬鹿なのがダメ。

 

 青羽君・・・年上すぎ。既婚者で子持ちという話も聞いた。

 

 まあ、そんなわけで、藍川君にも了承をもらい、恋人の振りをしてもらうことになったのでした。

 

 

 

 で?賢明なる読者諸氏はきっとこう思っているのだろうねえ?

 

 こんなクソのような前置きなんぞどうだっていい、早くダイスの女神が高笑いするようなシーンを拝ませろと!

 

 気持ちはわかります!私だって、人間同士の恋バナなんぞ、丸めてゴミ箱に突っ込んだチリ紙並みにどうでもいい!

 

 しかしながら、物事には順序立てというものがあります。

 

 今後のことを話すにおいて、この話をしておく必要があったのですよ。

 

 

 

 さて、お待たせしました!長いプロローグを終えて、そろそろ本番に行ってみましょうか。

 

 誰です?まだ本編入ってなかったのかという無粋なツッコミをした人は。ちょっとお口を開けてください。メイドのショゴスさんが、口腔から腸管を引っこ抜いて蝶結びにしてみたいとおっしゃってますので。

 

 ・・・はい!それでは話もまとまったようですので、続けていきますね!

 

 

 

* * *

 

 

 

 『今世紀最高最大の夢幻が蘇る・・・!』

 

 そんな煽り文句がでかでかと綴られているのは、有名劇団が講演するという、新作の戯曲のポスターです。

 

 ちなみに、音源は本物の楽団を招いての、生演奏だそうで。素晴らしい。

 

 フフッ。我が古書店『九頭竜亭』の店頭でも、貼らせていただいてます。

 

 タイトルは、“黄衣の夢幻貴公子”というそうです。

 

 ええ。察しの良い方はおわかりになったと思いますが、これは完全に“黄衣の王”のアレンジですね。

 

 

 

 さて、予備知識のない方に軽く説明しておくと、この“黄衣の王”という戯曲は、もとはフランスで作成・上演されたものです。

 

 が。ぶっちゃけこの戯曲は、旧支配者“名状しがたきもの”ハスターの夢に参加者をリンクさせるという、一種の魔術儀式なんですね。

 

 初公演と同時に、上演者も観客もみんなまとめて発狂、台本も発禁処分を食らうという前代未聞の事態になりましたからねえ。

 

 今回上演される“黄衣の夢幻貴公子”は、日本語訳されている上、アレンジものということですので幾分か効力は落ちているでしょうが、それでも恐ろしいことになるでしょうねえ。

 

 ふふふ。実に、楽しみです。

 

 

 

 ああ、MSOは嗅ぎつけてないのか、ですか?

 

 無理ですよ。部外者完全極秘ということで、この“黄衣の夢幻貴公子”の内容は、非公開なんです。彼らが嗅ぎ付けるなんて、無理無理。

 

 つまり、彼らは後手に回らざるを得ず、上演を止めることもできないんです♪

 

 残念でした~♪

 

 

 

 え?こんなことになってるということは、またお前がやらかしたんじゃないかって?

 

 失礼な!いつもいつも私がやらかすと決めつけて!

 

 私は、楽団の指揮者をやっている設楽降人さん(ヴァイオリニストだそうですが、指揮者もできるそうで!)と、その奥様の詠美さんがコンサートマスターとして参加なさるということで、一番ポピュラーな“黄衣の王”の楽譜を用立ててあげただけですよ?ほおら、私は悪くない!

 

 

 

 おや、皆さん。それなら、羽賀響輔君と設楽蓮希君は大丈夫なのか、ですって?

 

 それがですねえ・・・大丈夫じゃなくなりました♪

 

 羽賀君が、邸宅に伝わるストラディバリウスを調律してたら、見つけてしまったんですよ。・・・そのストラディバリウスに刻まれた、黄色の印を。

 

 ・・・すっごくざっくりいうと、ハスター君に係わるカルトの目印であり、目にしたものを狂気と破壊に駆り立てる象徴〈シンボル〉なわけです。

 

 多分最初、羽賀君は怒ろうとしたんだと思います。名器中の名器たるストラディバリウス――それも、自分に贈ってもらった家族の形見であるというのに、それにクソふざけた印がしてあったら、当然でしょう。・・・もちろん、あとから書き足されたものだと、彼も悟ったんですよ。ただ、同時にSANチェックも起こっただけで。

 

 

 

 ご存知の方もいると思いますが、ヴァイオリンというのは非常に繊細な楽器です。こんな落書きじみた印があったら、それだけで音が狂いかねません。・・・まあ、それ以上にきっと、弾き手も聞き手も狂気に陥るかもしれませんねえ。

 

 

 

 うっかり印を確認してしまった羽賀君は、SANチェックに失敗して、発狂。

 

 発狂内容は、強迫観念の発露。ストラディバリウスを手にしていた羽賀君は、調律途中というのも忘れ、めったやたらとリズムもメロディーも無視してヴァイオリンを弾きまくり、何だ何だとやってきた周囲に止められようと、離せ離せ俺はヴァイオリンを弾かないといけないんだぁぁと大パニック。

 

 で、どうにか落ち着いたのですが、肝心の羽賀君はショックで記憶が欠落。ただ、何か良くないものは見た、ということは思い出せたそうです。

 

 叔父の狂乱ぶりから、以前のシュブ=ニグラスの同類が絡んだ事件が起こり始めているのでは?と踏んだ蓮希君が、松井君たちMSOと、彼らの外部協力者に当たる槍田探偵事務所に、調査を依頼したわけです。

 

 ・・・ただ、蓮希君と羽賀君(どうも練習が披露されたとき、不在だったらしい)以外の屋敷の人間は、うっかり練習中の“黄衣の王”のメロディーを耳にしていたらしく、SANが削れてしまっていたようで。見事、ハスター君に魅入られてしまいましたよ。

 

 大事なストラディバリウスに余計なちょっかいを出そうとしている蓮希君と羽賀君は捕まって軟禁状態にされてしまったのです。

 

 松井君たちが事態を把握して、二人を救出した時には、屋敷の中のご家族はそろっていなくなってました。

 

 ・・・ええ、上演される“黄衣の夢幻貴公子”を観劇に行くために。

 

 

 

 

 さて、シーン転換して、寺原麻里君と藍川冬矢君のペアに視点を移しましょうか。

 

 はい。今回、お二人は偽装デートということで、仕事を休んで観劇しようとしてたんですよ。新作の戯曲“黄衣の夢幻貴公子”を。

 

 ・・・何でも、藍川君の雇い主である蘇芳社長さんが、チケットをよこしてくれたそうですよ?やったね、二人とも!セッションに参加できるよ!(にっこり)

 

 

 

 さて、上演されて間もなく、二人は非常に気分を悪そうにされながら席を立とうとしました。

 

 おやおや、もったいない。

 

 とはいえ、CON対抗ロールに勝利した結果ですからねえ。

 

 他の観客をごらんなさい。全員目が濁りきって、口から唾液をたらしながら、ステージの上に視線で釘打ちなさっています。

 

 あれに仲間入りせずに済んだのは、非常に探索者らしいと言えるでしょう。あのまま大人しく座っていたら、再度CON対抗ロールをする羽目になってましたよ。

 

 おそらくSANチェックに失敗してしまったのでしょう、藍川君が非常に調子悪そうに足元をふらつかせながら、やはり気分悪そうな寺原君と一緒にホールから出て行こうとします。おや、よく見れば、他にも数名ほど、逃げ出そうと頑張っている方がいるようですねえ。感心感心。

 

 しかし、残念ながら上演中の出入りはできないように、この手のホールは出入り口に鍵が掛けられるようになっているのですよ。

 

 ふらついて力の入らない体で、必死に扉を叩くお二人は、やがて出られないと知るや、劇に夢中の観衆・役者・楽団の全てから切り離されたように、調子悪そうにしながらも、探索を開始しました。どうにかここから脱出、あるいは外部との連絡を取るために。

 

 

 

 ふむ?練習の時は何もなかったのに、本番に限ってなぜこんな威力を発揮されるか、不思議ですか?

 

 ふーむ。少々説明が面倒ですが、まあ、いいでしょう。

 

 練習と本番の一番の違いは、なんといっても“観客”の有無です。

 

 “観る”という行為は、それだけで力を持ち、一種の干渉力を持ってしまうんです。

 

 “黄衣の王”は魔術儀式と言いましたが、その中には観衆による大規模な観測も組み込まれているのでしょう。

 

 ゆえに、練習は儀式としても未完成であり、あくまで練習でしかなかったんです。今、全てのピースがそろい、儀式は順調に進んでいます。よきかな!

 

 

 

 どうにか、地下のスタッフ用出入り口を抜けて、二人は這う這うの体で劇場の外に脱出しました。

 

 いやあ、間一髪でしたねえ。

 

 どうにか、エントランスも抜けて、外にフラフラになりながらも歩いていくお二人に、“黄衣の夢幻貴公子”が“黄衣の王”のアレンジものだ、上演完了したらヤバい!と悟ったほかのメンバーが、上演を止めないと!とやってきて合流なさいました。

 

 ようやくそろい踏みですね!とはいえ、最初からクライマックス感が半端ないですがね。

 

 

 

 

 おや、長くなってしまいましたか。

 

 ここからが面白いところなんですよ?仕方がありませんねえ。

 

 それでは、後篇に続く(指で銃の形を作ってバキューン☆と撃つ真似)!

 

 

 

…我ら次回によって続きとなり、続きを超え、また続きを失う

 

知らぬ者よ、かねて次回を恐れたまえ




【どうでもいいと言いつつ三角関係まで出歯亀して、スタートしたセッションに愉悦するナイアさん】
 大体コイツのせい(テンプレ)今まで散々愉悦したのに、まだ足りない御様子。
 ・・・なお、見切りをつけている明美さんと未練たっぷりの妹さんの関係にも、チョッカイをかける気満々。志保ちゃんのSANが今から不安でならない。
 #3の仕込を、自分のせいじゃないと言い張るが、実際今回は彼女は楽譜を届けただけで、戯曲の上演を決めたのは、劇団のお偉いさん方(全員発狂済み)。
 唐突に始まったラブコメ劇場に舌打ちしながら出歯亀する。わかりやすい感覚に直せば、虫同士の交尾を眺める感覚に近い。クソみたいだけど、興味深い。
 寺原君と藍川君のラブコメなんぞどうでもいい。SANチェックはよ!はよ!
 ・・・これはクトゥルフ成分入りだからこういう展開になっているが、通常のコナンであれば、おそらく被害者が誰であれ、殺人事件にまで発展している可能性が高い。それはそれで面白いけど、やっぱり狂気と神話成分が充実してないと物足りない。
 とんでもないことになってた設楽家(マイナス羽賀君と蓮希君)に、ニヤニヤが止まらない。
 ちなみに、ストラディバリウスの黄色の印は彼女がやったのではなく、楽譜によって発狂した設楽降人&詠美夫妻の手による。もちろん、彼らも音楽家なので、これがまずいこととはわかるはずなのだが、諸事情によって元々SANが摩耗気味であったのに加え、発狂による不定の狂気のさなかにやらかしたため。
 今回のシナリオの主人公が松井君ではなく、寺原&藍川ペアということにも、気が付いている。

【本シナリオでもれなく主人公の看板をもぎ取った寺原麻里さん】
 大体の境遇は本文中で語っている通り。
 槍田郁美さんの事務所に転職してからは、槍田さんや蓮希さんと女子トークで盛り上がったり、他の探索者たちと普通に飲みに行ったりする。・・・特に誰かから暴言吐かれるわけでもないし。
 木村達也のことについては、本文中でも言ってる通り、完全に振り切っており、今は付きまとってきてウザい、迷惑とすら感じている。
 ・・・木村達也としては、おそらく事件でへこんでいるように見えた寺原さんを励まそうと発破をかけたつもりだったのだろうと思われる。発言内容が地雷過ぎた。(原作でも事件直前のあれこれがひどすぎたため、このくらいしそう)
 多分、木村達也が正直に今までのことを謝ってきて、好きだ愛してるの一言くらい言えば、絆される可能性もあるにはあった。でもそれをやらないのが木村達也クオリティ。
 槍田さんのアドバイスもあって、偽装恋人として藍川冬矢さんを抜擢。何のかんの言いながら、好みにうるさい。
 今私、彼と付き合ってるから!あんたにひどいこと言われて、落ち込んだところ励ましてもらったし!と木村さんの前で言ってみせる。
 ・・・なお、本文中では邪神様が飽きたため省いたが、彼女は自分が整形したことを一言も言っておらず、木村さんが嫉妬の余り、「お前コイツが元々ブスだって知ってて言ってんのかよ!さっさと別れた方がいいぜ!」とばらされて、激昂した。
 が、直後に藍川さんに「別に整形くらいいいじゃん。容姿にコンプレックスあるの、コイツだけじゃねーだろ?見た目もそうだけど、中身もいい女だぜ、コイツ」と言われて、すごくホッとしたと同時にキュンときた。
 そんなラブコメを経たシナリオ開始時には、よりにもよってアレンジ版“黄衣の王”の上演会場に居合わせる羽目に。
 なお、CON対抗ロールは成功したが、彼女もSANチェックには失敗している。アイデアが失敗しただけ。
 二人っきりの劇場脱出はどうにか完了したが、続いて上演中止を達成せねばならない。どうする?

【CoC系シナリオ第3弾にして、ようやく日の目を見た藍川冬矢さん】
 前回、月影島のシナリオに置いては全国ツアー中のため不参加だった。
 今シナリオは、めでたく全国ツアーが終了した後のため、晴れて参加することができた。
 ようやく一息つけるなーってなってたら、寺原さんに連絡もらって、いきなり彼氏の振りして!と言われてふぁ?!となった。
 事情聞いてみたら納得はしたものの、消去法で自分が候補に選ばれたと知って微妙な気分に。
 とはいえ、事情が事情だし、知らぬ仲でもないからと承諾。晴れて恋人の振りをしてあげることに。
 ・・・そこそこ若くてイケメンな、売れてるロックシンガー。見た目はチャラいけど、実はいいやつ風味なのは、彼と木村達也の共通点でもある。ただし、原作では犯人と被害者という相違点が最大の違いではあるのだが。
 寺原さんが整形美人というのも勘付いていた。割と職業柄、そういう目が肥えているため。だから木村さんがばらしてきたときも、ふーん、で?とあっさりした態度でいた。そういう偏見はないつもり。
 ・・・表面上はしれっとしているが、内実はこんな暴言に日常的に耐えてまで傍にいようとした女に、詫びもせずにさらに暴言浴びせるってコイツ最低だなくらいには思っている。
 それはそれとして、ちゃんと恋人らしく!と偽装デートをすることに。
 行先が、アレンジ版“黄衣の王”の上演会場という時点で逃げ場がなかった。
 かろうじてCON対抗ロールには成功したが、SANチェックは失敗、体調不振の一時的発狂も起こした。やったね、藍川君!神話技能が増えるよ!
 そんな最悪な状態(一定間隔ごとにCON対抗ロールが入るうえ、技能値もマイナス補正が付く状態)というのに、二人っきりで狂気の閉鎖劇場からどうにかこうにか脱出した。
 脱出先で、ようやく一時的狂気が収まり、同時に仲間たちも集結!今度は戯曲そのものをどうにかしなければ!
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