「う~~~~ん、もうこんな時間、ちょっと夢中になって読みすぎちゃったかな?」
キリがいいところで本にしおりを挟み、身体を伸ばして硬くなった身体をほぐすすずか。椅子から立ち上がって中庭が見える窓から外を眺めると悠斗が木刀を持って素振りをしているのが見えた
「今日もやってるんだ悠斗さん」
毎晩(朝もやっているが)、悠斗がおこなっている素振り、最初は何気なく見ていたすずかだったが気づけば毎晩、その光景を眺めるのが日課となっていた。悠斗を見るその表情はまるで恋する乙女のような顔をしている。しばらくの間、悠斗を見ていたすずかだったが、机に置いてある携帯が鳴っていたことに気づき慌てて取ると自分の姉の名が表示されていた
「もしもしお姉ちゃん?うん、私もファリンも元気だよ。そっちは?・・・・・へぇ~~大変そうだね。うん、うん、え?帰ってくる?」
「忍様と恭也様、雫お嬢様とお姉様が今日帰ってくるですか!?」
「うん。昨日の夜に連絡が来てね。纏まった休みが取れたからみんなで帰ってくるって」
翌日の朝食ですずかは姉である月村忍から教えられたことをファリン、悠斗、リインフォースに伝える
「忍様とその婿で恭也様のことは知っていますが、雫お嬢さまとは?」
「雫お嬢様は忍様と恭也様のお子様で、すずかちゃんとここにはいないなのはちゃんの姪なんです」
「成程」
ファリンの話を聞き、リインフォースは雫が誰なのかを理解した
「なら今日はすき焼きにでもしましょうかね」
久しぶりに再会する家族の祝いに悠斗はピッタリな献立をたてる
「はい、それでいいと思います。あ!それとファリン、後で翠屋に行って人数分の特性シュークリームを買ってきて」
「はい、分かりました」
しかし、すずかは今日という1日が残酷な1日になることになるとはこの時は思いもしなかった
「ぐふふふ、今日も綺麗だな~~彼女は」
1人の男が遠く離れたところから双眼鏡を使って誰かを見ていた
「それにしても何なんだあの男は?彼女の隣に立つ資格があるのは世界でただ1人、この僕のみ。だというのにあの男は。まぁいい、出来上がったコレの性能実験にあの男を使うとしよう」
男は双眼鏡を手放すと部屋に隅に直立不動で立っている物達を見て悪童い笑みを浮かべた
「誰かに見られているですか?」
「はい。ここ数日、ずっと誰かに見られているような気がするんです」
すずかの迎えにやってきていた悠斗はすずかからストーカー行為をされていること教えられた
「最初は気のせいかなって思ってたんです。だけど、日に日に視線が強くなってきてるのを感じて」
「はぁ~~~最初に気づいたときに教えてくれていればいくらでも対策のしようがあったんですよ?」
「ごめんなさい」
「まぁ、すずかお嬢様は美人で綺麗ですからね~~」
「え?び、美人?私がですか?」
「いや、誰がどう見ても美人でしょう。家柄もよく人柄もいい。好きになる男はごまんといるでしょうね。まぁ、ストーカー行為は行き過ぎてますが。とにかく警察に連絡して、家の周辺を調べてもらうようお願いしましょう。最悪の場合」
「場合?」
「俺が始末しますので」
物騒なことを笑顔で言う悠斗にすずかは苦笑いすることしかできなかった
「ゆ、悠斗さん、前!?」
「え?うぉ!?」
すずかに言われ、前を見ると進路状に女性が立っており、悠斗は慌ててブレーキを踏み、車を緊急停止させた。車は女性の数センチメートル前で止まり、ぶつかることはなかったが女性は怖かったのか膝をつく
「大丈夫ですか!?」
悠斗は女性の安否を確かめるために車から出て女性に近づくと、女性は悠斗のほうに振り向き
「ターゲットヲカクニン、ニンムヲカイシシマス」
「は?」
ロボットのような口調でしゃべる女性に悠斗が呆けていると、女性は悠斗に身体に手を添え、電流を流し込んだ
「がぁ!?」
「悠斗さん!?」
電撃を流され、気を失った悠斗を見てすずかが悲鳴に上げる
「ターゲットノキゼツヲカクニン。ツヅイテツギノニンム、ツキムラスズカノホバクヲハジメマス」
女性は腕を車に向けると、腕から催涙ガスの入った弾を車に打ち込み、中にいるすずかを眠らせた
「ニンムノカンリョウヲカクニン。コレヨリフタリヲツレテモドリマス」
女性は悠斗と車で眠るすずかを抱え、その場を後にした