神の従者となった剣聖の異世界旅行   作:白の牙

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第06話

 

 

 

 

 

 「遅いわね」

 

 月村邸のリビングで日本に帰国し家に帰ってきていたすずかの姉“月村忍”が時計を見ながら呟く

 

 「少し落ち着いたらどうなんだ忍?」

 

 「だけど、もう7時なのよ。ファリンの話ではいつも17時ぐらいには帰って来ているっていうじゃない」

 

 忍の夫である男性“月村恭也”が忍に落ち着くよう言うが、大事な妹であるすずかの安否が気になってそれどころではない

 

 「アリサちゃんには確認したのか?」

 

 「えぇ。電話で聞いたら“いつも通りの時間に迎えの車に乗って帰って行きましたよ”って言われたわ」

 

 「ふむ」

 

 忍の返答に恭也は腕を組んで考え込む

 

 「私もサーチャーで周りをくまなく探したのですが。手がかり一つ見つけられませんでした」

 

 リインフォースも自分の力不足に嘆く

 

 「やっぱり、警察に連絡・・・」

 

 忍が警察に連絡をしようと言おうとしたとき、リビングに魔方陣が描かれる

 

 「これは」

 

 描かれている紋様こそ違うがそれが魔方陣だということに忍と恭也、リインフォースの3人は気づく。魔方陣から発せられる光が一瞬だけ強くなり、光が収まると

 

 「ふぅ」

 

 すずかを抱えた悠斗が現われた

 

 「すずか!?」

 

 「すずかお嬢様!?」

 

 「すずかちゃん!?」

 

 気を失っているすずかを見て姉である忍、ファリンの姉であるノエル、ファリンの3人が血相を変えて近寄る

 

 「眠っているだけです。後数分もすれば目を覚ましますよ。所でファリンさん、あちらの方々は?」

 

 「前に話していたすずかちゃんのお姉さんである忍様、忍様の旦那様である恭也様、お2人のお子様の雫お嬢様、私の姉のノエル姉さまです」

 

 「そうですか。取り合えず今は月村をソファーに」

 

 ファリンから紹介を受けた悠斗はまずは眠っているすずかをソファーに寝かせると、振り返り

 

 「挨拶が遅れてすみません。俺は悠斗、桜井悠斗といいます。事情は後で話しますが、この家に居候しつつ執事の仕事をさせてもらっています」

 

 「じゃあ、君がすずかの言っていた異世界から迷い込んだ男の子って事かしら?」

 

 「まぁ、そういうことです。それと一ついいですか?」

 

 「何かしら?」

 

 「貴方とお嬢さんもやっぱり、吸血鬼なんですか?」

 

 「「「「っ!?」」」」

 

 悠斗の問いに忍、ノエル、ファリンの3人は眼を見開いて驚き、リインフォースは別の意味で驚く中、恭也は両目を細める

 

 「その反応からして正解か」

 

 「ど、どうしてそのことを」

 

 「ちょっと事件に巻き込まれましてね。そこで月村が吸血鬼だということを知ったんです。その話も後にしましょう。お宅のお子様がお腹を空かしているようなので」

 

 「「え?」」

 

 「・・・・・」

 

 忍と恭也がそろって後ろを振り返ると顔を赤くして俯いている我が子の姿があった

 

 「本当だったら今日はすき焼きにする予定だったんですが、遅いですからね、無難にチャーハンにでもしますか」

 

 「ねぇ、お兄ちゃん」

 

 「ん?確か雫ちゃんだったね?どうした?」

 

 「今日のすき焼きじゃないの?」

 

 「あ~~ごめんね。今日は遅いから別の夕飯にしないといけないんだ。でも、明日の夕飯はすき焼きだよ」

 

 「・・・本当?」

 

 「あぁ。約束する」

 

 悠斗は雫の頭を優しくなでた後、夕飯を作るためにリビングから出て行った

 

 「・・・ノエル」

 

 「畏まりました」

 

 忍の意図を理解したノエルは悠斗の後を追ってリビングを出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「彼を監視させるために行かせたのか?」

 

 「えぇ。すずかの正体を知ってもなお助けてくれた子だからそんな心配はないと思うけど、念を入れてね」

 

 出て行ったノエルを見て恭也が忍に尋ねる

 

 「ん、う」

 

 「すずか!?」

 

 「お・・姉・・ちゃん?」

 

 そして、今まで眠っていたすずかが目を覚ました。すずかはゆっくりと起き上がると周りを見回す

 

 「ここ・・は・・・家?悠斗さんは!?」

 

 「悠斗君なら無事ですよ。今、キッチンに行って夕食を作っています」

 

 「そう・・なんだ」

 

 「すずかお姉ちゃん」

 

 「雫ちゃん」

 

 ファリンから悠斗もいることを聞いたすずかはほっとし、抱き着いてきた雫を受け止める

 

 「すずか、彼にばれたらしいわね?」

 

 「・・・うん」

 

 「貴方が自分で言ったの?」

 

 「・・・私を誘拐した人が話したの。どうやって知ったのかは解らないけどその人は家のことを詳しく知っていたみたい」

 

 「誘拐した首謀者は?」

 

 「解らない。悠斗さんにここから先はR指定だって言われて眠らされたの」

 

 「・・・彼とその首謀者は繋がっていた?でも、もし繋がっているならすずかを助ける理由はないはず」

 

 すずかの話を聞き、忍が情報を整理していると、扉が開き

 

 「お待たせしました。夕飯ができたので席についてください」

 

 料理を乗せたトレーを押しながら悠斗が部屋に入ってきた

 

 「「早いわね/な!?」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて、ご飯も食べ、おいしいデザートも頂いたことだし、そろそろ話をしましょうか」

 

 食後のお茶を飲みながら忍が話を切り出す

 

 「悠斗君と呼ばせて貰ってもいいかしら?」

 

 「どうぞ」

 

 「じゃあ悠斗君。貴方は私達、私とすずかのことをどこまで知っているのかしら?」

 

 「2人が夜の一族と呼ばれる吸血鬼だってことしか知りません」

 

 「すずかと貴方を誘拐した首謀者はどうしたのかしら?」

 

 「死んだと思いますよ。もうニュースになってると思いますが」

 

 悠斗はリモコンを手に取り、テレビの電源を入れ、ニュース番組にすると

 

 『本日未明、町はずれにある廃ビルが崩れることがありました。この老朽化が進んでいたため来週に取り壊しが決められていたビルがなぜ崩れたのか。周囲の人の話によりますと、爆弾を連想させる音がビル周辺から何度かなっていたということです。さらに崩れたビルからは身元不明の男性が死体で発見され、警察は男性の身元の確認を行って・・・』

 

 「っと、言うわけです」

 

 「私が眠っている間にそんなことになってただなんて」

 

 「あんな場所で暴れればああなるのは当然のことだ。月村が気に病む必要はない」

 

 「・・・薄情かもしれないけど私達の秘密を知っている者がいなくなったことは不幸中の幸いね」

 

 「・・・忍」

 

 「・・お姉ちゃん」

 

 真剣な表情ながらどこかやるせない雰囲気の忍に恭也とすずかは声をかけることしかできなかった

 

 「そう言えば悠斗さんは真祖の吸血鬼にあったことがあるって言ってましたよね」

 

 「そうなの?」

 

 すずかの話を聞き、忍が悠斗の聞き返す

 

 「えぇ。吸血鬼の真祖どころか悪魔に龍、亜人といろんな奴にあったことがあるんで吸血鬼だって言われたところでそこまでの驚きはしないな」

 

 「貴方がいた世界ってどんな魔境なの?」

 

 「強い者がわんさかいる人外魔境です」

 

 「ほぅ、少し君のいた世界に興味が湧いてきたな」

 

 悠斗の話を聞いて恭也は口角を上げた

 

 「私も興味があるけど、そのことについては後で聞きましょう恭也。悠斗君、私達は誰かに自分たちの存在を知られた際、掟に従い2つの選択肢を与えているの。1つは相手の記憶を書き換えて消すこと。消すと言っても吸血鬼だということだけを消すから記憶喪失になる恐れはないわ」

 

 「成程、無用な混乱を避けるためですね。俺のいた世界でも、魔法というのは秘匿とされていて、ばれた場合は魔法の関しての記憶のみを消していましたから。それでもう1つは?」

 

 「もう1つは記憶を残したまま共に歩むかよ」

 

 「記憶を消されるのは嫌なので残すほうで」

 

 「そう。じゃあ、これからもすずかのことをよろしくお願いするわね悠斗君・・・いえ、義弟君」

 

 「・・・・はい?」

 

 忍の発言に悠斗はしばしの間、思考を停止させ、口に出せた言葉がそれだった

 

 「記憶を残すってことはすずかと生涯を共にするってことじゃない。つまり、すずかと結婚するってことでしょう?」

 

 「いやいやいやいや、ちょっと待ってください。それは話が飛躍しすぎじゃありませんか!?そんな簡単にどこの馬の骨かもわからない男に妹を託しますか!?」

 

 「確かに私は貴方と会うのは今日が初めてで、貴方のことはそこまで知らないわ。だけど、すずかは貴方と一緒に暮らしているから私以上に貴方のことを知っているわ」

 

 「確かにそうかもしれませんが。そんなこといきなり言われて“はい”だなんて言えませんよ。それに月村の気持ちを無視してどうするんですか?」

 

 「それもそうね。すずか、貴方はどう思ってるの?」

 

 忍はすずかに話を振ると

 

 「わ、私は、そ、その・・・・」

 

 「(ふむ、脈はありって所ね)」

 

 「いい加減にしろ忍」

 

 すると、今まで傍観していた恭也が止めに入る

 

 「だって、この子、美人でかわいいのに男のおの字もないのよ?そのかわりあっち系の話ならあり得るけど・・・んん、姉としてほおっておけないのよ」

 

 「その気持ちは解らないでもないが、そういうのは自分たちにペースでやらせるものだ。幸い2人は同じ場所に住んでいるんだ友達から始め、少しづつ互いのことを知っていくのがベストだろう」

 

 「む~~~~」

 

 恭也の正論に忍は頬を膨らませながら渋々了承した。そして、雫を寝かせるために忍と恭也は部屋に行き、ノエルとファリン、リインフォースもリビングから出ていき、2人きりとなった

 

 「その、すいません悠斗さん、お姉ちゃんがその・・・」

 

 「あ~~~謝らなくていいぞ。話を聞いて記憶を残すって決めたのは俺自身だからな。まぁ、さすがに婚約者って言われたときは驚いたけど」

 

 「あははは」

 

 すずかも悠斗と同じ気持ちだったのか苦笑いする

 

 「恭也さんの言った通り、婚約者や恋人はハードルが高いから友達から始めていくってことでいいか?」

 

 「はい、私もそれでいいです」

 

 「それじゃあ決まりだな。色々と大変になるだろうがよろしくなすずか」

 

 「え?」

 

 「ん?友達になったから名字じゃなく、名前で呼んでみたんだが・・・いやなら前みたいに名字で・・・」

 

 「な、名前呼びでいいです」

 

 「そ、そうか?じゃあ、俺は明日も早いからこれで失礼する。お休みすずか」

 

 「お、おやすみなさい悠斗さん」

 

 すずかのことを名字ではなく名前で呼んだ悠斗は挨拶を交わして自室へと戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのころ

 

 「う~~~~ん」

 

 一人の少女が椅子に背持たれながら身体を伸ばしていた

 

 「何とか設立前に終わらせることができたわ~~。そういえばすずかちゃんから次元漂流者を2人保護したって言ってたな~~。部隊が始動したら帰ることも出来へんやろうし、引き取りついでにゆっくりするのもアリやな。そうやなのはちゃんとフェイトちゃんも誘わんとな。私が言うのもなんやけど、2人ともワーカーホリックやから。休めるときは休ませんとな」

 

 騎士と主が再開するのは近い

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