デパートのレストランで遅めの昼食をとった悠斗とフェイトはウィンドウショッピングを少しした後、フェイトが借りているマンションへと赴いた。そして
「・・・随分と高そうなマンションだな」
フェイトが住んでいるマンションの外見を見て悠斗はしばしの間、固まってしまった
「家族がセキュリティのしっかりとしたところで暮らしなさいって言われたんです」
「まぁ、女の子の一人暮らしは何かと危ないし、家族としたら不安になるからな」
そういう経験があった悠斗はフェイトの家族の気持ちが痛いほどわかった
「そうなんですか?」
「そうなの」
フェイトの問いに悠斗は即答で返答した。車を駐車場に駐車させるとフェイトの先導の元、悠斗はフェイトが住んでいる階まで行き、部屋の中に案内された
「中もずいぶんと広いな。2人ぐらい一緒に住める広さだ」
「最初に話したかもしれないですけど、母が偶に遊びに来るんです。だから、少し広めのこの部屋を借りたんです」
悠斗は脱衣所、キッチン、ベランダ、トイレなど一通りの場所を教えられた後
「六課に行くまでの間はこの客間を使ってください」
「リビングと一緒で綺麗だな。そういえば偶にお家族が止まりに来るって言ってたから綺麗なのも当たり前か」
「私は調べ物をしなくちゃいけないので何かあったら呼んでください」
「おう」
悠斗に一礼するとフェイトは自室へと入っていった
「さて、荷解きを始めますか」
悠斗はアイテムボックスからデパートで買った服等を取り出し、作業を始める。作業は30分もしないで終わり、それを終えると悠斗は紙とペンを取り出し、書き始める
「(いざというときのことを考えてあの2人には何かしらの防衛手段が必要だ。“常に身に着けていれる”。このことに一番適している物はアクセサリーを置いて他にない)」
悠斗はフェイトとウィンドウショッピングをしていたのは何も腹ごなしも兼ねてではなく、何かあった時のためすずかとアリサが自身の身を守れる手段があったほうがいいと思ったからだ
「(八神は大丈夫と言っているが、この世の絶対は存在しない)」
悠斗のその時が起こったことを想定して手段のないすずかとアリサの為に見た目はアクセサリーだが、その実は魔導具。それを作ることを決めたのだ
「・・・こんなところかね?」
悠斗はノートに描いたアクセサリーの試し書きを見て及第点とした
「あと付与する能力、魔法、技能も考えないといけないな。まぁ、それはおいおい考えればいいか」
アクセサリーの設計図が描かれたノートを机に置き、客間から出た悠斗はキッチンに行き、お湯を沸かしてさきほどフェイトから教えられた棚から緑茶の粉末を取り出し、カップに入れて沸いた湯を注ぐ
「あち」
息を吹き、冷めしながらお茶を飲んでいると、閉じられた部屋を見る
「まだ調べものしているのかね?」
さっきまでの自分同様、部屋に籠って調べ物をしているであるフェイトを想像し、1週間世話になる身として茶でも淹れようと思いお茶を淹れて部屋に行く
「ハラオウン?今大丈夫か?」
悠斗はドアを数回ノックして入ってもいいかの了承を得ようとするも、返事が返ってこなかった
「(寝てるのか?)」
返事が返ってこないことに不審に思いながらも数回置きにノックと声をかけることを繰り返すも返事は返ってこず、心配になった悠斗は
「入るぞ」
勝手に女性の部屋に入るのは失礼だと解りつつも悠斗はドアを開けて部屋にはいる。部屋の中では、パソコンに似た端末を使い、さらに複数のディスプレイを使用して調べ物をしているフェイトの姿があった
「(凄い集中力だ。こりゃあ、俺の声もノック音も届かないわけだ)」
悠斗は苦笑いしながらフェイトに近づき
「少しこんの詰めすぎないんじゃないか?」
空いている手でフェイトの眼前を一瞬さえぎるように下から上へと上げながら声をかけた
「きゃ!?さ、桜井さん!?ど、どうして、私の部屋に」
「どうしたも何もずっと部屋に籠って調べ物をしていただろう。一息つかせようと何度も声をかけたんだが反応がなくて心配になってな、失礼だとは思ったが勝手に入らせてもらった。ほい」
悠斗は慌てるフェイトに自分が寝室にいる理由を話すと少し冷めたお茶を机に置く
「こんの詰めすぎは体に良くないからな。少し休め」
「あ、ありがとうございます」
フェイトは悠斗が持ってきたお茶を飲む
「これって、ハチミツレモンですか」
「そうだ。疲労回復に加え、リラックス効果もある。さらに美容にも良いって言われてる」。まぁ、美容に関してはハラオウンには必要ないかもな」
「どうしてですか?」
「どうしてって?今でも十分美人だからな」
どうしてかわからないフェイトに悠斗が答えると
「び、美人ですか?わ、私が?」
「いや、誰がどう見て美人だろう。今日のデパートで歩いていてすれ違うたびに人がこっちを見ていたのだって、あのナンパ3人組にナンパされたのだってハラオウンが美人だからだぞ?」
「わ、私なんて、なのは達に比べたら」
「確かに高町達も美人だが、ハラオウンもあの4人に劣らずの美人だと俺は思うがな~」
悠斗は自身の正直な感想をフェイトに伝えた
「お茶も渡したことだし俺は戻らせてもらう。いつまでも年頃の女の子の部屋に入ってるわけにもいかないからな。それと1つ、謙虚であることはハラオウンのいいところなんだろうが、もう少し自分に自信を持ってもいいと俺は思うぞ?」
言うと悠斗はフェイトの部屋から出て行った。対するフェイトは家族や親しい男友達である人以外から美人だの綺麗等と言われたことが頭に残り、集中することができず調べ物は全くといっていいほどはかどらなかった