「でやぁあああ!!」
唐突に始まった悠斗とヴィータの模擬試合。小柄な身体から繰り出される強力な一撃を悠斗は左手に持った鞘(氣で強化済み)で受け止めると逆手に持った長剣を振り上げヴィータに攻撃するも、ヴィータは後ろに下がって躱し、バク転すると、ハンマーを薙ぎ払うように振るう。悠斗は上昇して躱すと、長剣を順手に持ち替え、落下の勢いも乗せて振り下ろす
「ちぃ!?」
ヴィータは片手で前に出して盾型の防御壁を展開して受け止める
「甘い!」
悠斗は鞘の持ち手を変えると氣を流して強化し、長剣の峰に叩きつけて威力を上げ、防御魔法を破壊し、硬直しているヴィータに足刀蹴りを行い、地面まで蹴り飛ばした
「ほぅ、なかなか勉強になる剣の使い方だ。あのやり方ならカートリッジを使わずにガジェットの装甲も斬れそうだ」
模擬戦を見ていたシグナムは自分とは違った剣の使い方をする悠斗の戦い方を見て、自分の戦い方に取り入れてみようかと検討する
「・・・シャーリー、桜井さんから預かっているのって刀だったよね?」
「は、はいそうです。それがどうかしたんですか?」
「刀と長剣じゃ長さも重さも違うから振る速度や間合いが違ってくるの。だけど桜井さんは普通に振るってるの」
「神鳴流は得物を選ばず」
「え?」
アインスの呟いた言葉になのはが聞き返す
「地球にいたときに桜井から聞いたことがある。桜井の使っている流派、神鳴流は銃以外のすべての武器で戦うことが出来るようだ。だからこそ初めて使う将のレヴァンティンであろうと問題なく戦えるということだ」
「(蹴りがヒットする際、自分から後ろに下がって威力を半減させたか。さすがは歴戦の戦士ってところか)」
地面にゆっくりと降りながら悠斗は先程の足刀蹴りを繰り出した際に感じた手ごたえを思い出す。悠斗が地面に着地すると、瓦礫が吹き飛び、そこから8個の鉄球が悠斗へと飛来する
「神鳴流 百花繚乱」
悠斗は氣を込めた長剣を振るって花びらを舞わせながら氣の衝撃波を放ち飛来する鉄球をすべて吹き飛ばした
「でやぁあああああ!」
技を放って硬直状態の悠斗の背後からヴィータがハンマーを振るって攻撃するが、鞘によって防がれてしまう
「アイゼン!」
『Explosion Raketenform」
ハンマーの柄部分が上下にスライドし搭載されているカートリッジが1つ使用され、ハンマーヘッドの片側が推進剤噴射口、反対側がスパイクヘッドへと変わる
「何!?」
「ラケーテンハンマー!!」
普通のハンマーが一転、男心をくすぐる浪漫武器になったことに悠斗が驚いているのをよそに、ヴィータはカートリッジをもう1個使い、噴射口から魔力を噴射して、悠斗ごと、突き進む
「くぅううう!?」
「ぶち抜け!!」
ヴィータは魔力の噴射を一度止め、さらに自身も急停止する。ヴィータによって後ろに後退させられていた悠斗は勢いはそのままで後ろへと吹き飛んでいく。そして、ヴィータは再び噴射口から魔力を噴射、さらに回転を加えながら悠斗へと近づき、無防備な悠斗の腹部に強烈な一撃を与え、廃棄ビルへと打ち飛ばした
「桜井さん!?」
「悠斗さん!?」
ヴィータの一撃でビルに激突した悠斗を見てなのはとすずかが血相を変えて慌てる
「ヴィータのやつ、いくら何でもやりすぎだ」
それを見ていたシグナムもやりすぎだと思い手で顔を覆う
「シャーリー、シャマル先生を大至急呼んできて」
「は、はい!」
悠斗が大けがをしているかもしれないと考えたなのははシャーリーに軍医のシャマルを呼んでくるよう指示を出し、それを聞いたシャーリーは駆け足で医務室へと向かった
「ヴィータちゃん、模擬戦は中止!桜井さんを救助・・・」
なのはがヴィータに悠斗を救助するよう言おうとしたとき、倒壊した廃棄ビルの瓦礫が吹き飛び、訓練着こそボロボロだが無傷の悠斗が出てきた
「ちょっとやりすぎちまったか?」
悠斗を打ち飛ばした後、ヴィータはやりすぎてしまったと思い、冷や汗を流す
「はやてやなのは達からの説教は覚悟しておいたほうがいかもしれねぇな。取り合えず、気を失ってるあいつを回収す・・」
悠斗の回収に行こうとしたとき、すさまじい衝撃波と共に瓦礫が吹き飛び、中から無傷の悠斗が出てきた
「っな!?嘘だろ」
「男心くすぐる武器を見て気を緩めるなんて俺もまだまだだな」
服についた汚れを払いながら悠斗はぼやく
「な、なんで無傷なんだ!?あの異常に硬いなのはでさえ初めて今のを受けたときはかなりのダメージを与えたんだぞ!?」
「何でって言われてもなぁ~~。まぁしいて言うなら・・・気合い・・かな?」
「き、気合いだあ!?」
「勿論ほかにも理由があるが、あえて言うなら気合いって話だ」
驚くヴィータに悠斗は首を鳴らしながら答えた
「さて、いい1発を貰ったことだし、こっちもお返しをしなくちゃな」
悠斗は長剣を八相の構えで構えると、氣を電気エネルギーに変換させ、長剣に帯電させる
「奥義 極大雷鳴剣」
そして、長剣を一気に振り下ろすと辺り一帯を覆いつくすほどの雷撃がヴィータを襲った
「ぐぅううう!?」
バリアタイプの防御魔法で身を覆い、降り注ぐ雷撃に耐えるヴィータ。雷撃の威力にバリアの所々に罅が入り始めるが、ヴィータは魔力を注ぎ込んで破損個所を修復して、何とか耐える
「(この威力の雷撃をいつまでも出すことは不可能だ。雷撃が止んだ時が勝機だ)」
30秒に渡って降り注いでいた雷撃が止まり、反撃に転じるためヴィータはバリアを解くと
「解放」
いつの間にか雷撃で生まれた爆煙の中を突っきってきた悠斗が目の前におり、その周囲には15個の火球が停滞していた
「紅蓮拳・烈火」
悠斗は左拳をヴィータへと打ち込む。左拳に連動するように停滞していた火球が悠斗の左拳に集い、拳と共にヴィータに打ち込まれ、ヴィータは声を上げることなく後方の廃ビルまで吹き飛び、激突した
「ふぅ~~~~」
魔法の射手の1発の威力は魔力を込めた拳1発分の威力を持つ。左拳の1発+15発分の拳、計16発分の拳を一気に喰らったことになる
「16発は多かったか?」
今の一撃のことを少しばかり後悔していると
「よくもやりやがったな」
ボロボロながぴんぴんしたヴィータが怒りの形相をしながら悠斗に突っ込んできた
「はぁ~~まいったな」
模擬戦がまだまだ続きそうだと悠斗が思っていると
『止めなさ~~~~い!!』
訓練場になのはの怒号が鳴り響いた
『今はフォワードの皆の訓練の時間なの!そんなに戦いたいなら後でして!!』
「「・・・・・」」
なのはの正論を聞いた2人はしばし無言でいると武器を納めた
「お前に言っておきたいことがある」
「どうぞ」
「はやてやなのは達はお前の事を信用しているようだが、あたしはまだお前のことを完全に信用したわけじゃない。変なことをしたら問答無用でぶっ潰す」
「そんなことはしないつもりだが、一応覚えておくよ。これはどうすればいい」
「シグナムに返しておいてくれ。あたしが借りたものだからあたしが返すのが礼儀何だろうが、野暮用がはいるだろうからな」
鞘に納めた長剣を見せて尋ねると自分の代わりにシグナムに返しておいてくれというとヴィータは訓練場を去っていった