「斬空閃・百花繚乱」
振るわれた刀から放たれた無数の斬撃が進路上の飛行型ガジェットを一掃した
「・・・行け」
渡されていた無線機を使って一言ヘリに通信を送ると、ヘリは悠斗を抜いて行った
「さて、思う存分にやらせてもらうか!」
久しぶりの戦場なためか悠斗の心は滾っており、普段見ることのない獰猛な顔で後ろから接近する飛行型のガジェットを振り向きついでに斬撃を飛ばして斬る。斬ったガジェットの爆発音を合図に悠斗は近づき、斬っていく。ガジェットは全機体がAMFという魔法を無力化する機能が搭載されているが、魔力のほかに氣を使う悠斗にとってそんなものは皆無に等しく、ガジェットは次々と鉄くずへと変っていく
「足りねぇな。俺を倒したきゃ後10万は連れて来い」
「うわぁ」
「ノリノリねあいつ」
作戦室で戦闘を見ていたすずかとアリサは悠斗の表情を見て苦笑いし、悠斗の戦闘を始めてみるロングアーチのメンバーはけた外れの戦闘力に手を止めて唖然としている
「手が止まているぞ!情報を収集して逐一前線メンバーに報告するんだ」
部隊長補佐を務めている青年の代わりにアインスが作戦室にいるメンバーに喝を入れ、正気に戻させる
「「「っは!?す、すいません」」」
「ごめん遅れた!」
ロングアーチのメンバーが作業を再開したのと同時に私用で六課を離れていたはやてが指令室に到着し席に座る
「状況はどうなっとるん?」
「現在、桜井さんとフェイト隊長が飛行型のガジェットと戦闘中、間もなくなのは隊長、とツヴァイ曹長、FW部隊を乗せたヘリがリニアに追いつきます」
「なのは隊長はでとらんのか?」
「飛行ガジェットを確認した際、出ようとしましたが桜井さんに言われ、FW部隊の援護に回れと言われヘリに乗っています。そして、その桜井さんでなんですが・・・」
部隊長補佐を務める青年 グリフィス・ロウランドはモニターに視線を移す。そこには飛行型ガジェット相手に無双する悠斗が映し出されていた。ある機体達は一か所に誘導された所を纏めて斬られ、ある機体は氣弾によって撃ち抜かれ、ある機体は踏み込む際の足場にされ、踏み込んだ瞬間に背面の装甲がゆがみ、蹴った瞬間に地面へと勢いよく落下していった
「・・・無双ゲーか!?」
悠斗の戦いを見てはやてはそれしかいうことが出来なかった
「あらかた片付いたか?」
飛行ガジェットの相手をしていた悠斗は周囲を見渡しながら残っている機体がいないことを確認していると
「悠斗」
「フェイトか」
悠斗と同じようにガジェットと戦っていたフェイトが近づいてきた
「大丈夫・・みたいだね」
「まぁな。取り合えず準備運動にはなったかな」
「あ、あはは」
悠斗の暴れっぷりを遠目で見ていたフェイトはあれで準備運動なんだと乾いた笑みをするしかできなかった
「ロングアーチ、こちらフェイト。今いる空域の敵は撃破したよ。リニアのほうはどうなってるの?」
『こちらロングアーチ。現在、スターズ分隊とライトニング分隊に別れ、リニアの停止とレリックの確保任務を行っています。なのは隊長はリニアに近づこうとしている飛行型の撃破とリニアの防衛を行っています』
「なら、私と悠斗も今からなのは隊長と合流してリニアの防衛に行うね」
『お願いします』
「っと、言うわけだからリニアの方に急ごうか悠斗」
「そうだな。エリオとキャロが心配だから、少し急ぐか」
「スバルとティアナの心配はしないの?」
「あの2人はエリオとキャロと違ってこれが初めての任務ってわけじゃないだろうからな。まぁ、それなりに心配はしてるが」
エリオやキャロのような年齢の子が戦場に立っているのをみると学校に行って学び、友達と遊んでいてほしいと思う気持ちもあるが自らの意思で戦場に立つものは子供、女、老人問わずみな戦士であると言われたことがある。どんな思いで戦場に立っているのかは悠斗には分からないし、去れとも言えない、悠斗にできることは1秒でも早く戦いを終わらせることだけ
「乗れフェイト、こいつで一気にリニアまで飛んでいく」
悠斗はアイテムボックスから大型のサーフボードに似た機械を取り出し、それに乗る
「悠斗・・・これは?」
「魔力で動く乗り物だ。早く乗れ」
「う、うん」
悠斗にせかされ、フェイトは恐る恐るボードに乗る
「しっかり掴まってろよ」
フェイトが乗ったのを確認すると悠斗はボードに魔力を注ぎ込み、トップスピードの1歩手前まで加速し、リニアを追う
「っ!?」
まるでジェットコースターに乗っている感じがし、フェイトは振り落とされないように悠斗に抱き着く力を強める。途中、2人をリニア方面に行かせまいとガジェットが襲い掛かってくるが攻撃される前に破壊されていく
「あと少しで追いつく、きばれよフェイト」
「・・う・・ん」
あっという間にリニアに追いつき、戦闘に入ろうとした悠斗が見たのは新型の大型ガジェットに弾き飛ばされ、リニアから落ちていくエリオとそのエリオを助けようと跳び下りたキャロとフリードの姿だった
「エリオ!キャロ!」
2人が落ちていくのに助けに行こうとしないなのは。さらには通信で聞こえてきた話を聞いて悠斗は呆れる
「フェイト」
「な、何、悠・・斗?」
「跳ぶぞ」
「・・・え?」
悠斗の言った意味が解らずにいたフェイトだったが悠斗は片手でフェイトを抱えると乗っていたボードから跳び上がる
「へぇええええ!?」
いきなりのことに状況が理解できず声を荒げるフェイトを無視して悠斗は乗っていたボードを自動操縦モードにしてエリオとキャロのもとへと飛ばす。ボードが2人の落ちる場所まで行くとピンク色の光が2人を包み込み、光が弾けると小さい姿から中ぐらいの大きさへと姿を変えたフリードが姿を現しその背にエリオとキャロが乗っていた
「ふぅ」
2人が無事だったことに悠斗は安心すると
「ゆ、悠斗。そ、そろそろ放してくれると嬉しんだけど」
「ん?あぁ、悪い」
フェイトに声をかけられ、悠斗は抱えていたフェイトを放すと、キャロの魔法で強化されたエリオの一撃が新型のガジェットを破壊した
「やったねエリオ、キャロ」
「あと少しだ一気に叩くぞ」
「うん」
エリオとキャロの無事に安心したフェイトは意識を切り替え、残りのガジェットの破壊を再開した。数分とかからずに残りのガジェットの掃討が終わり、リニアに積み込まれていた“レリック”と呼ばれるロストロギアを回収、ヘリに積み込み地上本部へと移送することが決定し、なのはが隊長を務めるスターズ部隊が輸送の護衛を務め、残ったフェイトが隊長を務めるライトニング部隊と悠斗がリニアを回収する部隊が到着するまで警戒することとなった
「・・・・・」
フェイトと共に空からの敵が来ないかを警戒していた悠斗はふと虚空を見上げると刀を振るった
「悠斗?」
「どうかしたんですか?」
「何、うっとおしい羽虫を追っ払っただけさ」
「「「?」」」
「まさか、超小型のサーチャーに気づくなんてね」
とある薄暗い某所で1人の男が映像が途切れた投影ディスプレイを見て呟く
「まぁいい。物語を進みだした、もたらされるのは破滅か、それとも救済か。すべては神のみそしるだね」
男は心底楽しそうな笑みを浮かべながら高らかに笑う