アルジュナ(オルタ)夏休みSSまとめ   作:いざかひと

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その1~18(+1)


夏休み特異点シーズン2アルジュナ(オルタ)ルート1

その1 

 

2019/07/10

 

星の灯火は消え諸人は運命を裁かれる……我は神の力を継ぎ、その役割を果たす……マハー・プララヤ!

はいカットできました。どうぞマスター。

 

カットスイカ を手に入れた

 

お買い上げありがとうございます。

喧嘩にならないよう等分に切ってありますから、皆さんで食べて下さいね。

種にも気をつけて。

 

ところで、このスイカを食べた後マスターはどちらへ?

なるほど、皆で山へ虫取りに、昆虫によって点数が違いそれを競い合う……。

いえ、私はマスター達と昆虫採集に行きたいなど、ヘラクレスやコーカサスを探したいなど思って……いないと言えば嘘になりますが……。

……?私を誘って下さると?それは……思わぬ言葉です、ありがとうマスター。

ですが、残念ながら今日の私はシフトが入っています。

商品発注と最終確認もせねばなりません。

また後日声をかけてください、予定さえよければお付き合いします。

 

マスター、山は何があるか分かりません、一人で行動せずに、皆さんと共に行動して下さいね。

おかしなものを見つけても無闇に触ろうとしないこと、危ない目に会ったのなら逃げて助けを求めること……約束して下さいますか?……ええ、よろしい。

では、くれぐれも気をつけて。

 

…………繰り返される夏の日、心を許した者との喜びに満ちた時間……この特異点はまるで楽園、この穏やかな日々の中で、マスターが人としてどのような決断をするか、私はそれを見守ることにしましょう。

……それまでの間、このコンビニを盛り立てていかなければ。

果物よりアイスのほうが売れ行きはよいのですが、いたずらに発注数を変えればロスが……この世は神の目をもってしてもままなりませんね……。

 

アルジュナ(オルタ)を遊びに誘えるようになりました

噂を収集しました(いつもの裏山)

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』で確認できます)

 

カットスイカ 

対界宝具により皮も悪も完全に絶たれたスイカ 

水分と糖分補給に最適 沢山あるのでみんなで食べよう

 

アルジュナ(オルタ)

アルジュナのようでアルジュナではない……と思わせて紛れもなくアルジュナ。ステータスがすごい。ガッツもあるので色んな所に連れて行ってみよう。

……全てを失い、対抗策も尽きて、過去にも未来にも帰ることすら出来ない、そんな時に彼へ助けを求めてみるのも一つの選択だろう。

 

 

その2 

 

2019/07/11

 

マハー・プララヤ!……人よ、生きるべし……!

……ご無事ですかマスター?

しかし驚きました……プラチナコガネを捕まえようとしていたマスターの頭上から、突然メタルヒュドラ(Lv90)が落ちてくるとは……。

 

たまたま山に来ていた私(Lv100)が

対邪悪(特殊)〔EX〕Lv10→千里眼(超越)〔EX〕Lv10→B宝具→B→B→EXアタック

を行い、倒せたからいいものを……。

敵に攻撃の機会を与えてしまっていたら、私は倒されずとも(魂の灯火Lv10)あなたはひとたまりもなかったでしょう。

マスターの故郷の南の方でも、木の上から神経質なヒュドラが襲いかかってくることがある……と、エナジードリンクを多量摂取していた刑部姫より聞きました。

どのような場所でも、気を引き締めていかねばなりませんね……。

 

しかし、まがい物とはいえ、このヒュドラの体液というのは毒々しく、なんだかメタメタしていて……危ない感じがします。

少し体液を吸い込んでしまいました、頭がふわふわします……。

私、変なことを口走っていないでしょうか……。

マスターは……え?どうされました?

『スキルあげておいて良かった』『やっぱり宝具演出かっこいい』『バレンタインが怖い』『今年の夏ヘラクレス4000体乱獲してお金貯めて次のピックアップで宝具5にする』……。

おっしゃっている意味がよく分かりませんが……あなたあっての私です、ご無理だけはなさらないでください。

 

しかし残念です、マスターの狙っていたプラチナコガネは宝具の余波で逃げてしまいましたし……。

えっ?一緒に探してほしい……のですか?

はい!よろこんで!

……ですが、私より、もう一人の……真なるアルジュナ(Lv100) の方が適役に思えます。

彼の幸運はA++、ニジイロクワガタやオオクワガタがあちらから飛んでくるレベル。

私では……あっ、あそこにゴライアスハナムグリが止まってますよ。

しかも2匹、大きくてかわいらしいですね。

 

ゴライアスハナムグリ×2 を手に入れた

 

プラチナコガネ

6000くらいの価値がありそうだ。

部屋に飾ると金運が良くなる気がする。

逃げやすいので慎重に狙おう。

 

ニジイロクワガタ

きらきら輝くクワガタ。1万くらいの価値がありそうだ。

午前零時から二時頃に出現しやすい気もするが、ちびっ子たちの間では意見が食い違う。

 

オオクワガタ

一目で分かる、重厚感ある艶消しの黒。非常に珍しい。

見つけた瞬間、動機が激しくなり、手が震え、捕獲ミスを繰り返すちびっ子も多い。

 

ゴライアスハナムグリ

ゴライアスなハナムグリ。6000くらいの価値がありそうだ。

売買のため、乱獲したハナムグリを部屋にぎっしりと敷き詰めるちびっ子もいる。

極まったちびっ子達からは微妙な眼差しで評価されることも多い。

 

 

その3 

 

2019/07/12

 

マハー・プララヤ!

……どうしました?ただの気合いのかけ声ですよ?

しかしマスター見て下さい!

網の中です、ほら……金色のクワガタを捕まえることが出来ました!

 

オウゴンオニクワガタ を手に入れた

 

『12000』……それは……売値、ですか?

……数字にされると切ないですね。

マスター、このクワガタ、アルジュナのためにいただきたいのですが……。

あっ、違います。私ではなく真のアルジュナの方です。

彼は特異点に来た皆のため、何よりあなたのため、インドマートを切り盛りしていますが、最近は根を詰めすぎているように思います。

 

疲労を表に出さぬよう振る舞っていますが、私にはこうして見抜かれている。

そろそろカルナにも見抜かれましょう。

そうなれば、ムキになった2人の衝突で辺りは灰燼に帰します。

まだ全貌が掴めていないのに、この特異点に大きな衝撃を与えるわけにはいきません。

 

マスター、クワガタは彼を休ませるための口実。

あのアルジュナを、どうか息抜きに連れ出してあげて下さい。

心の許せる者と、腹の底から笑いあいながら遊ぶ……彼に必要なのはそんな休息です。

何より、あらゆることを忘れて野山を駆け回るのは……ただの童子になったようで楽しいものですよ。

おや?マスター、なぜ苦しそうな顔を……。

……これは……私……泣いている……。

…………システムに不具合が発生、修正を実行……不可。

…………なぜ?

 

オウゴンオニクワガタ

今にも落ちてきそうな空の下にある、目の前に飛び出してきそうな森の中で捕まえたクワガタ。

12000くらいの価値がありそうだ。

とても珍しい。捕まえることが出来たのなら、一生忘れない思い出になる。

全身が黄金で出来ているかのように輝いているが、黒く見えるところも。

見ていて胸が苦しくなるほど、きらきらぴかぴか光っている。

 

 

その4 

 

2019/07/12

 

…………ごめんなさいマスター、立ったまま眠っていたようです。

お買い上げ、ありがとうございます。

アイスが3点、ビニール浮き輪が2点、シュノーケルが2点……。

はい、確かに代金をいただきました。

眠っていた理由、ですか。

お恥ずかしいのですが……単純に寝不足なのです。

私の視野は広い。

無数の可能性が何十にも折り重なり、平行して進んでいくこの特異点で、あんな未来やこんな未来を見ていると……興味深く……。

これは……邪悪……では……?

 

……『夏休みの深夜番組が面白くて、夜更かししてしまう子どもみたい』?

……マスターは私を子どものようだとおっしゃる。

しかし、どの世界も実に楽しそうなのです。

その中心には、いつもあなたがいる。

まるで灯台のようです、その光に皆の心が休まり、思わず近づいてしまうのですね。

私も、惹かれているサーヴァントの一人ですよ。

はい、アイスと水泳道具は別の袋に分けました。

新しいサーヴァントや、真のアルジュナ共々、水遊びを楽しんできてくださいね。

またのお越しをお待ちしております。

 

………負荷増大を確認。

次の午前休にメンテナンスプログラムを走らせておきましょう。

その時間で終わらなければ、皆に迷惑をかけてしまいますね……。

しかしこれは……ただ平行世界と未来の観測を行っているだけで増える負荷の量ではない。

──誰だ?私を見ているのは?

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』で確認できます)

 

アイス

カップに棒、コーン、様々な種類のアイス達。

主に100~200QPの価格帯の物。

この素朴な味を好むサーヴァントも多い。夏のプレゼントに最適。

 

ビニール浮き輪(イルカ)

まだぺしゃんこの浮き輪。海を泳いでいくイルカの模様がついている。

空気を入れて初めてその力を発揮する。

……見ていると背筋がぞわぞわする。

 

シュノーケル

浅瀬ならば、息を吸いながら水の中を見れる。

深く潜る際には、注意力とコツが必要。

泳ぎが得意なサーヴァントに相談してみよう。

 

『???』

きをつけろ、だれかがこのとくいてんを、みているぞ。

 

 

その5 

 

2019/07/12

 

…………終わりましたか?

ああ良かった、捕まえられたのですね。

……フナムシ。

 

フナムシ を手に入れた

 

手慣れた手つきで……虫かごに……。

それは……どうするのです?『博物館に寄贈』……素晴らしいことですね。

……怖くないです、見慣れないのでびっくりしているだけです。

今私が浮いているのは、足元にやってきたフナムシを、マスターのため、潰さぬようにしたからです。

洞窟の天井に角が突き刺さっているのは、高さを見誤っていたからです。

ご心配なく、己の力だけで何とかします。

 

……抜けましたが……洞窟の天井にくぼみが出来てしまいました。

私の角も中々ですね。

魔力放出と併用して、尾の次のサブウェポンにするのもいいかもしれません。

音速を超えた、ロケットな頭突きができそうです。

そういえば、マスターが森長可と読んでいた、デーモンをブレイドでスレイする漫画の主人公も、頭突きをよく使っていましたね。

 

気になったので少し読んでみたのですが……長男があれほど凄い存在だとは。

どれほど傷を受けても、困難が待ち受けていようとも、守るべき者のため自らを鼓舞し、進んでいく。

人のまま、人を越えた者に立ち向かう……その姿には羨望すら覚えます。

『アルジュナにちょっと似てる』?

それはどちらの……いえ、マスターのことですから、私と彼、両方のアルジュナを指してくれたのですね。

どうでしょう……私は真ん中、三男でしたから……。

 

洞窟の奥から潮騒と共に風を感じます。

気になりますか、マスター。

しかし、いたずらに闇を覗き込むのはよくないでしょう。

挑むのならば、相応の覚悟を備えてきてからの方がよろしいかと。

……分かっていただけましたか?では、洞窟を出ましょう。

入り口は狭いですから、頭をぶつけないよう気をつけて。

私も角が当たらないようにします。

角は便利ですが、なかなか厄介でもあります。

マスターにもいつか生えるかもしれません、その時には角のあるサーヴァントの苦労が分かるでしょう。

 

ああ……洞窟の中にいたので分かりませんでしたが、もうすっかり夜だったのですね。

太陽も沈んで、ほの暗く……。

あっ、ほら、あちらの空を見てくださいマスター!

花火です!光って……もう消えてしまった……。

誰かが打ち上げたのですね、夏祭り前の練習でしょうか。

前にアーカイブで読んだのですが、花火というのはどこから見ても丸いのだとか。

丸い火薬玉から火が放たれているので、道理だといえばそうですが……。

……おや、その顔は……気になっている顔ですねマスター。

では、確かめるとしましょう。

そうです、落ちないように掴まって。空の中の花火の形を見に行きましょう。

…………角以外の場所を掴んで下さい、マスター。

 

花火は、本当に丸かった。

 

噂を収集しました(海辺の洞窟)new

 

フナムシ

海辺に住む人にとっては身近な虫。そうでない人には遠い虫。

200くらいの価値がありそうだ。

動きは素早く、捕まえる難易度は高い。

見えるだろうか?消波ブロックの隙間、打ち寄せる黒い波。

あれは波ではない、無数のフナムシの塊なのだ。

目が合うとさっと逃げていく。

 

 

その? 

 

2019/07/13

 

民宿に戻ってきた。

真夏の特異点……明日も探索をしないと。

 

自室です、何をしますか?

 

コマンド?

眠る←

勉強する

『夏休み帳』を確認する

 

明日もはやい……もう寝よう……。

…………。

 

カルデアのマスター。

彼岸花の花言葉を、知っていますか。

私の世界には、うまれなかった言葉です。

ええ、あなたは見たはず。

ひらく空想の木の根元、毒満る乳海のほとり、悲願の岸辺。

一面に咲く、白き天の花を。

 

神は去りました。

空をかける船は落ちました。

愛する者は皆死にました。

私は塵となりました。

 

おかしい、なぜ私はあの場所にいたのか。

本当は私、山に行かなくてはいけなかったのに。

ええ、白い山。全てが終わったかのような白の景色。

一人で、全て抱え、白銀の雪に包まれて、死ぬ。

それが英雄の義務です。

私が生まれた理由です。

それこそ私の願いです。

 

しかし、私は思い描いてしまった。

それより先を。

より良い未来を。

私から、手を伸ばしてはいけなかったのに。

 

力を、譲り受けました。

その結果が、私です。

全てを手に入れ、天におちました。

戦いがある。

あった。

死んだ。

誰も彼も。

ああ……!

私……!私の……!

 

…………彼岸花の花言葉をご存じですか。

『またあう日を楽しみに』。

その通り。

あっています、合っています、会っています。

…………会えたのです。

失ったはずのものに、確かに。

 

この花を、あなたに。

大丈夫、邪悪なものではありません、恐れず手にとって。

ごめんなさい、もう、これしか渡せるものがなくて。

 

…………枝が落とされたということは。

それが誰かにとって間違いだったということでしょう。

人、世界、神……そのどれでもない何か……。

しかし私は、切り落とされた枝の中に、何かがあったと……。

信じたかった……永劫のような矛盾の果てに……何かが……。

そうでなければ……私が……世界が……人が……。

 

忘れないで、カルデアのマスター。

あなたが、私を殺したことを。

私も、私が殺した者のこと、決して忘れたりしませんから。

 

罪を数え、罰を受けながら。

時の終わる場所で、あなたを見守っています。

そして、私のことも。

苦労をかけますが……よろしくお願いしますね。

 

 

……蝉の声で目を覚ました。

枕元に何か落ちている……。

 

…………『白の彼岸花』 を手に入れた

 

『白の彼岸花』

彼からあなたへ贈られた、真っ白な無垢の花。

全てが終わり、これだけが残った。

かつて英雄だった滅ぼしの神が、最後まで手放したくなかったもの。

空想の木の根元、一面の彼岸花の上、彼は誰を待ち続けていたのか。

 

プレゼント出来るが、これを渡すべき相手は決まっている

 

 

その6 

 

2019/07/13

 

──フィィィィィシュッ!!!!

釣れましたよマスター!引き締まった夏鰹です!

ベースで拝見した鰹漁業の映像では、遠洋の船の上で男達が竿一本で巧みに釣り上げていましたから……陸釣りでもかかるとは思いませんでした。

どうしました?

魚が釣れたらフィッシュ!と言わないといけないと、クー・フーリンから笑いながら教えて貰ったのですが……。

『アルジュナの声帯だったら、もっと完璧なフィッシュが言えるはず……』?

どういう意味ですか?マスター?

練習した方がいいでしょうか……フィッシュ……フィィィィシュッ……。

フィッシュ!!!!

あっ、マスターの竿が動いてます、餌を突っつく細かい動き……カワハギでしょうか。

 

沢山釣れましたねマスター。

……食べられそうなのは、ごく一部ですが。

この、頭を、何枚もの硬い鱗で覆っている魚は顔が厳ついですし……。

下顎が、生えている歯ごとくるくる巻かれている魚は、食べる気がしませんし……。

こちらはダ・ヴィンチ女史の所へ持っていくといいでしょう。

 

謎の魚A、謎の魚B を手に入れた

 

そして、いっぱい釣れたこちらのフグは食べられません、リリースです。

フグは種類や性別、季節によって毒のある部位や濃度が変わる大変危険な魚。

そんな顔してもだめです、海に帰しなさい。

はい、クサフグ、トラフグ、ヒガンフグ。

……食べると、毒で彼岸、あの世に行ってしまうからヒガンフグと言うのだとか。

怒って膨れています、かわいいですね。

……すべて帰しましたね?こっそり持っていたら怒りますよ。

 

残ったのは鰹や鯵などのよく知られている魚になりましたね。

大きめのクーラーボックスを持ってきて正解でした。

すごく重たいですから、民宿まで運んでいきます。

ご心配なく、私のステータスは幸運以外EXです、覚えやすいのも自慢です。

 

ここが民宿の厨房ですか……広々としていて、大人数の料理も一度に作れそうです。

オーブンやミキサーなどの機器も充実していますね。

本日は何を作るのですか?

 

何を作ろうか……。

鰹のたたき風フライ←

 

では、調理の邪魔になってしまいますので、これで……。

 

『一緒に夕食を食べてくれないかな?』

 

……分かりました。ロビーの電話を借りて、インドマートへ連絡してきます。

あの黒電話、使用方法が独特で……音も不思議な感じ……。

 

本日釣った鰹ではなく、冷蔵庫で寝かせていた鰹を使うのですね。

『死後硬直が解ける』……『旨味成分が』……なるほど。

マスター……この特異点の攻略が終わる頃には、一角の料理人になってしまっていそうです。

『大きくなったら小料理屋を開いて、マシュが割烹着を着てて……』。

願望が無意識に口から出ています、正気に戻って。

 

鰹を大きめの一口大に切り、醤油と酒とチューブニンニクを混ぜたタレにつけて……冷蔵庫で少し休ませるのですね。

その間に何かお作りに?

ああ、鯵を捌いて……身は刺身に、中骨は味噌仕立てのあら汁に。

野菜もスライスして……サラダですか。

油の加熱をはじめるのですね、温度が高くなりすぎないように見ています。

 

パン粉を揉んで細かくし、冷蔵庫から取り出した鰹をザルにあげて、水分をペーパータオルで拭き取り……小麦粉、卵、パン粉の順番で衣をまとわせる。

淀みのない実に良い手つきです、お上手ですよ。

油で……キツネ色になるまで……カリッと……。

揚がったものを……小皿に二つ乗せて……。

私に、下さるのですか?

『味見』……そうですね、大切です。

ですが、私の意見が参考になりますでしょうか?

最近何を食べても美味しく感じて……マスターと共にいるからかもしれませんが……。

 

『どんな意見でも受け止めるよ』

 

優しい言葉ですね、では、それに甘えて一口……。

 

……美味しい……周りはサクサクで、中はレア状態でしっとりとしています。

火が通った醤油の香りも格別で……。

とても美味しいです、マスター。

……出来たものを食堂へ運ばれるのですね、私も手伝います。

後から付いて行きますね。

 

…………せっかくマスターが下さったのですから、味見用の鰹のフライを、もう一口……。

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ?

 

 

 

 

 

──味がしないな。

 

 

 

 

 

アルジュナ(オルタ)も交えて、いつもより賑やかなメンバーで、夕食を囲んだ……。

 

料理レベルが上がりました

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

謎の魚A

全身が硬い鎧のようなウロコで覆われた魚。顔は厳つく、牙は鋭い。

出刃包丁は通りそうにない。

ダ・ヴィンチちゃんの所へ持って行こう。

 

謎の魚B

下顎がくるくる巻いていて、目がやばい以外は普通の魚。

……普通の魚。

味は未知数。

ダ・ヴィンチちゃんの所へ持って行こう。

 

 

その7

 

2019/07/13

 

今日は気分を変えて潮干狩りです。

まだ太陽が昇りきっていないので、不思議な空の色……。

明るい水色と緋色が混ざって……とても美しいですね。

この……小さな鍬のような器具で貝類を捕る……楽しみです。

しかし、潮が引いた後の浜辺は混沌としています。

何でしょう、あのオレンジ色のぐにぐにしたものは。

空には巨大な虫も飛んでいますし、カブトガニが大きな体と太い足を持つ鳥類に蹴飛ばされてご飯になっています。

あちこちに苔むしたような緑の丸い石も転がっていますし……。

まぁいいでしょう、魔獣ならいざ知らず、彼らはただの動物です。

自分より力のある存在に牙を剥いたりはしないでしょう。

はい、何を隠そう私のことです。安心して貝を捕りましょうね。

 

ざくざく……ざくざく……。

私、上手に出来ていますか?

あっ、なめくじっぽいお魚が砂の上をのたくっています。

マスターにあげますね。

 

謎の魚P を手に入れた

 

ざくざく……ざくざく……。

……砂の中から……アサリですね、バケツに入れましょう。

これは……見たことがあります、ホンビノス貝です。

待機室のテレビで見た……番組名は確か……テレ……鳥?

一回しか見ていないのですが、エキセントリックな料理ばかりで面白かったです。

ふふっ……胡椒は思っている量の三倍入れるといいのですって。

 

大漁です、バケツが重たいはず、持ち上げる際には気をつけて……。

あっ……。

…………ごめんなさいマスター、ぬかるみに足をとられて、尻餅を。

貝こそこぼれていませんが、全身泥だらけです、ああ、手も……。

……マスター、私に手を、差し伸べてくれるのですか。

泥だらけの手です、マスターの手も汚れてしまいますよ。

『それでもいい』と。

…………ああ、やはりあなたは、どこまでいっても、人間だ。

 

ようやく民宿に帰ってこられましたね。

大漁大漁です、海の貝ですので、おかずに使うためには砂抜きが必要でしょう。

ですが、私がお付き合い出来るのはここまで。

シフトの時間です、急いで体を清めて、業務を頑張ってきます。

マスターも私と同じで泥だらけですから、お風呂に入って綺麗にすること。

それと……いつでもいいですから、貝をどんな料理にしたのか教えてくださいね。

それでは、また。

 

…………手が、触れたはずなのに。

何も、感じなかった。

足も、立っているのか……いないのか……。

修正……プログラム……バックグラウンドで起動……。

もう少し……だけ、この日々を……。

しかし……それすらも……。

……。

ああ……この特異点は……星が……遠いな……。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』で確認できます)

 

謎の魚P

長年脊椎動物の祖だともてはやされてきたが、研究により別の生物の方が祖であることが判明し、今無性に帰る場所を探してる……そんな雰囲気をまとった謎のなめくじっぽい魚。 

別に海辺の村で行われたおぞましい研究の成果でもないし、鯉に餌としてあげても代替わりしたりしない。

武器にこすりつけても神秘の力が宿ったりもしない。

何も分からないので、ダ・ヴィンチちゃんのところへ持って行こう。

 

 

その8 

 

2019/07/14

 

……お見舞いなんて、要りませんでしたのに。

 

『体調悪いって聞いたから』

 

……大丈夫ですよ、マスター。

修正プログラムを起動させています、布団で寝ていれば治りますから。

気にせず、他のサーヴァントと、この特異点の調査を進めてください。

シフトだけはどうにもならず……皆に迷惑をかけてしまいますが……。

 

アルジュナ(オルタ)は体調が悪そうだ……。

何をしますか?

 

コマンド?

立ち去る

話をする

プレゼントを渡す←

 

何を贈る?

海の塩入りブルーアイス←

 

……アイス。

綺麗な空色ですね、いただきます。

……ありがとう、冷たくて美味しいです。

……『体調が良くなったら何をしたい?』ですか。

そうですね……花を、見に行きたいです。

川の岸部に、赤の彼岸花が咲いていて……とても綺麗だと、ラクシュミー・バーイーに聞きました。

彼女は親切で、優しく……素晴らしいサーヴァントだと思います。

……時折、とんでもない不幸に襲われていますが、それを受け止められる器を感じられます。

彼岸花……曼珠沙華は、天に咲く花ですから、もう一度見てみたいと思い……。

後は……盆踊りを。

 

『教えるから、練習してみんなと踊ろう』?

それは……はい、分かりました。

しかし、私も踊りには自身があります。

きっと、先生役のマスターにすぐ追いついてしまいますよ?

……アイスのおかげで少し元気になりました。

一眠りしたら、きっと、何もかも元通りです。

花を見に行って、盆踊りも。

『約束』……はい、お約束します。

では、気をつけて行ってらっしゃい。

 

……回復率12%。

……プログラムの優先度を再設定。

自己修復のため、スリープモードへ移行。

……次に目を開けたとき、私、約束、覚えているだろうか……。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

海の塩入りブルーアイスバー

シーのソルトが入ったブルーな棒アイス。

甘くて、しょっぱい、そして切ない味がする。

どうやら何かのゲームとインドマートのコラボ商品のようだ。

子どものバイト代でも買える優しい値段設定。

高い場所から景色を眺めつつ、気のあう友達と一緒に食べられたのなら最高だろう。

パッケージには少年が描かれており、「だからお前じゃないと駄目なんだよ」と、もう一人のツンツン頭の普通の少年に言っている……。

 

 

その9

 

2019/07/15

 

神社は木々が多いので、昼でも涼しいですね。

そして、夏祭りの準備が続々と進んでいるのが見て取れます。

櫓……でしたっけ、太鼓も設置してあります。

屋台に飾り、花火……色んなサーヴァント達が忙しそうに働いていて……。

……体調不良で休んでいたせいで、皆に迷惑をかけたのを思い出してしまい、申し訳なく……。

 

『みんな気にしていないと思うよ、それより体調はよくなった?』

 

はい!もうすっかり!……ご心配をおかけました。

 

マスター、この木製の製品は一体……。

踊り下駄……踊り専用の履き物ですか。

ふむ……履くと更に背が高くなってしまいますね。

 

『踊りですり減るから、毎年盆のころ買い換える。

すり減った下駄で気の抜けた音を鳴らすなんざぁ、踊りの神さんに申し訳がたたねぇ』

 

マスター、盆踊りに拘りがあるタイプだったのですね、意外な……。

 

こう……片手を下げて、また上げて……腕を開いて、横に二回動かす。

足も忘れず動かし、止まり、下駄で二回地面を叩く……その後前に出て、大きく動き、足を上げ、飛ぶように元の場所へ。

そして、また初めから……。

上半身と足はそれぞれ別の動きをしながらも、連動している、実に奥深いです。

でも、見ていてくださいねマスター、ほら、もう覚えてしまいました。

完コピ……というやつです。

 

『本番では歌もあるからもっと踊りやすいよ』

 

……マスターが歌われますか?

ふふ……違いますか。

 

『みんなで輪になって踊るんだ』

 

……人々が一つの生き物のようになって、一糸乱れぬ動きをするのは、まぶたの裏で夢想するだけでも、儀式のようで壮観です……。

さぁマスター、輪になって踊りましょう?……気が早いですか。

『盆踊りの正装は踊り下駄と浴衣』……。

ああ!他のサーヴァントがうきうきしながら浴衣を選んでいたのは、盆踊りのためだったのですね。

 

『浴衣、着ないの?』

 

……そうですね、普段と違う装いをするのもいいかもしれません。

柄の好みはありませんから、マスターに選んで貰うことにします。

その時はどうか、お願いしますね。

……それと……私……背の中程から尾が出ているので……。

帯を締めるとき、どうしても他者の助けが必要になってくるといいますか……。

……着付けも、お願いできますか……?

 

アルジュナ(オルタ)と盆踊りの練習をした……。

盆踊りの日は三日三晩踊り明かそう……。

 

踊り下駄

紐と堅い木で作られた下駄。通常の下駄よりも少し高く作られている。

踊り狂いには必須のアイテム、これを履いて踊れば、気持ちのいい音がこんと鳴る。

大勢が櫓の周りに集まり、同じ歌を聞き、輪になって踊る。

布がこすれる音、下駄が地面を叩く音、古くから伝えられてきた調べ、人々の息づかい。

それらが渾然一体となる様は、確かに何かの儀式にも見える。

 

 

その10

 

2019/07/15

 

……これですか?

この間のお見舞いの際、綺麗な空色のアイスを下さったでしょう?

そのアイス、当たっていたのです。

なので、お守りに。

……神がお守りを持つの、おかしいでしょうか。

 

『引き換えようとは思わないの?』

 

思いません。

幸運ランクCの私が、次に当たりを引けるとは限りませんし……。

何より、マスターがくれたもの、ですから。

思い出です、そして、幸運の証です。

持っていたら、何かいいことあるかもしれません。

 

『もう一本当たるとか?』

 

ああ、それは夢のある話ですね。

その時はマスターに差し上げます。

お返しです、あなたが私を思ってくれたことへの。

……いけない、何てことのない話をしていたら、もうこんな時間。

最近は動物以外にエネミーや巨大生物が出ると話に聞きました。

明るい時間に民宿へ戻った方がよろしいかと……送って行きましょうか?

 

『大丈夫』

 

その言葉、信じましたからね、マスター。

 

……心配だ、やっぱりついて行こうか……。

本当に、おかしな話だ。

いかにマスターとはいえ、どうして私は、一人の人間にここまで執着しているのだろう……。

この当たり棒だって……神の視点から見れば、些末事……。

なのに、当たりの文字を見た瞬間、幼子のように、心が動いて……。

……この特異点の中にいると、どんどん時間が巻き戻っていく……。

体も、心も。

でも、約束と、この当たり棒があれば、何があっても、引き返せる気がして……。

何の力も持っていない筈のこれが、私への……。

……。

次は、何を失うのだろう。

与えられてから失う方が辛いと……産まれた時から……知っていたのに……。

魔力を修正プログラムへ優先的に供給。

…………少しでもマスターの望む私を取り戻すため、今晩も、集めなくては。

 

アイスの当たり棒

「あたり」と平仮名で書いてあるアイスの棒。

買ったお店に持って行くと、同じアイス一本と引き換えられる。

しかし、「いいことがありますように」と、保管したり、大切な友人に贈る子どもも少なくないようだ。

これは心を動かすもの、思い出の大切な一ページ。

 

 

その11

 

2019/07/15

 

炎の海、雷の矢……廻剣駆動、滅べ!マハー・プララヤ!

…………マスター、今が何時かご存じですか?

『深夜二時』……その通りです。

人の子が活動するべき時間ではない……なぜここに?

 

『窓の外を見たら、光が見えたから、気になって』

 

……インドマート二階にて休息をとっていたところ、外から異音が聞こえ、様子を見に出たのです。

そしたら、魔獣が集まっていたので、追い払おうと……。

 

『30分以上は光ってた』

 

……数が多かったので。

 

『全身がひどく汚れている』

 

……敵に近づかれたからです。

 

『……何か、隠しごとしていない?』

 

……っ!

何も!隠してなどっ……!

……取り乱しました、見苦しいところを……。

 

『降ってきたね』

 

……雨。

 

『民宿で雨宿りしよう』

 

……分かりました。

 

『寒いから、お風呂、入った方がいいよ』

 

……はい。

 

全身をひどく汚したアルジュナ(オルタ)の手を取って、民宿へ帰った。

手は、氷のように冷たかった。

……魔獣と戦っていたと言うが、本当だろうか。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

 

その12

 

2019/07/15

 

……私の黒の石が四隅をとったので、マスターの勝利の可能性は無くなりました。

これでマスターは朝から続けて何敗で……はい、言うのは止めます。

おお……すごい号泣です、外の雨に負けていませんね……。

次はオセロ以外で遊びましょうか。

しかし……昨夜から本当にひどい雨。

窓の外は白く曇り、道路はまるで川のよう……。

私も帰るタイミングを逃し、昨日はお泊まりしてしまいましたし……。

こういう時は遊びに出かけられませんから、室内にいましょう。

次は何にしますか?チェス?将棋?人生ゲーム?モノポリー?

……そうですね、三時も過ぎましたし、マスターの休憩がてら、ロビーにおやつを探しに行きましょう。

 

誰もいませんね、珍しい。

いつも誰かしらいるものですが。

食べるものは……おや、あの果実は……。

 

『机の上に林檎がある』

 

あれにしましょうか。

 

『お皿と果物ナイフを持ってくるね』

 

はい、ここで待っています。

 

マスター、剥くのが面倒だからといって半分に切っただけの状態で……。

……片割れを、私に?

 

『同じものを、一緒に食べよう』

 

では、ありがたくいただきます……。

 

『おいしい?』

 

……はい、色にたがわず、とても美味しいです。

食感も、いいですね。

……。

……。

テレビをつけましょう。映るかな……。

 

ん、ここしか映りませんね。

えーと……「特急列車に乗っちゃえ!」が今終わって、「仰天!子どもを隠しちゃう動物の親たち」……という、番組が始まったようです。

記録映像とナレーションが主の、静かな番組ですね。

……。

……。

林檎、美味しいですか?

『美味しいよ』……そうですか。

 

……クロウサギが穴の入り口から出てきて……土をかけて塞いでしまいましたね。

子どもを守るために、そうすると。

次は魚……敵が近づいてきたら、口の中に稚魚を隠す……。

守りきれない時もあるのは、自然の摂理ですね。

……神と人の関係を見るようです。

神は、子たる人を守らんとする。

しかし、守りきれず、死なせてしまうこともあれば……。

 

『想いあまって、殺してしまうこともある?』

 

……その通り。

……マスターは知っているでしょう、子を想うあまり、子を殺してしまう神のことを。

 

『でも、根底には優しさがあったと思う』

 

……神の想いは、時に恐ろしい力となって現れます。

あれほどの光景を見ても、マスターはそう言えるのですか……。

……。

……。

部屋に、戻りましょうか。

雨、早く止むといいのに。

そうしたら、魚釣りでも虫取りでも、遊びに行けますのに。

じめじめして、嫌ですね。

 

アルジュナ(オルタ)と静かな時間を過ごした。

……雨はまだ降り続いている。

 

林檎

運命の至る所からやって来ていそうな赤い果実。ペンギンはついていない。

丸すぎるわけでもないのによく転がって、色んな人の元へ行く。

蜂蜜と合わせてカレーの隠し味としても使われる。

一人で食べてもいいけれど、出来れば誰かと分け合って、一緒に食べよう。

 

 

その13

 

2019/07/16

 

……夕食の時間の前に、停電とは。

落雷でも落ちたのでしょうか?

この様子ですと、辺り一帯、停電のようです。

廊下も真っ暗……時折窓の外で咲く雷鳴が、唯一の灯り……ですね。

こういったときは、専門の知識を持つサーヴァントが、復旧作業をする手はずとなっています。

灯りが点くまで、人生ゲームは中断ですね。

心配しないでくださいマスター、借金と離婚案件と訴訟裁判と子ども4人を抱えていてもまだ逆転の目はあります。

それに……。

暗いのが怖いのであれば、このとおり、私の角が光ります。

青い色にはリラックス効果があるとか無いとか、リラックスしてください。

 

……。

懐中電灯、探しましょうか。

あった、ありました。

これですね、電源は……点きました!

顔に近いと眩しいですね……マスターと私の間の畳に置きましょう。

しかし……この光量では人生ゲームは出来ませんね。

マスター?どうしました?懐中電灯を壁に向けて、灯りに手を……。

手を組み合わせて……壁に影の形が映り……それは、犬、ですか?

次は鳩……次は……ああ、カニ!

そして……うわっ!マスターそれはどうやって……何をしてるのですか……?

 

手を使って行う影絵ですね。このアルジュナにもやらせてください。

犬、鳩、カニ……キツネ!ドラゴン……タラスク……ナーガ……。

そして、最後に……。

懐中電灯の灯りが……徐々に弱まっていきます。

電池が……。

……雷も止んで、窓に当たる雨の音しか聞こえない……。

 

完全な暗闇だ……何をしますか?

 

コマンド?

手を握る←

プレゼントを渡す

 

……アルジュナ(オルタ)の手を握った。

……ひどく冷たい。

 

……マスター、どこですか?

側に……いるのですか?

私の声……まだ、聞こえていますか……?

 

……数時間後に灯りがついた。

部屋に居たみんなを呼んで、夕食を作り、食べ、早めに眠りについた。

……雨はまだ降り続いている。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

 

懐中電灯(電池切れ)

大きめの懐中電灯。災害時、緊急時の灯り確保に最適。

電池が切れてしまっている。

ここは特異点、何があるか分からない。電池を補充して、次の危険に備えよう。

 

 

その14

 

2019/07/16

 

こんばんは、マスター。

なぜこんな真夜中に廊下へ?皆は眠っているというのに……。

 

『アルジュナが外へ歩いていくのが見えたから』

『何となく目が覚めて』←

 

……私も同じです、何となく、目が覚めてしまいました。

眠くなるまで、ロビーで話でもしましょうか。

テレビの電源が入ったまま……何か映画をやっていますね。

ほぅ……映画好きの少年と、映画館の話ですか。

……白い建物と、空の青が綺麗ですね。

少年が、フィルムの接着に使うゼラチンを舐めていますよ、かわいらしい……。

 

……映画に関わる喜びを教えてくれた恩人の目が、火事で……。

少年は彼の手となり、足となり、成長し……。

愛を知り、恋を知り、別れを知り……。

満たされぬ成功を重ね……思い出を求め始まりの映画館へ……。

……かつて愛したものとの再会と、あったかもしれないもう一つの人生を知り。

最後に、亡くなった恩人からフィルムを受け取る。

…………検閲で切り取られた、口づけのシーンばかりのフィルムが映され……。

終わり……。

……あっという間に、時間が過ぎていきましたね。

まるで、一つの人生が終わったかのような。

別の……人生……。

 

……マスター、この映画を見て……。

いえ、言わないで。その気持ちは、どうかあなたの胸の中だけに。

……雨は止んで、空が明るくなってきました。

私、帰らなくては……。

 

……アルジュナ(オルタ)とこっそり映画を見た。

明け方に彼は帰って行った。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

 

映画好きの少年と、映画館の物語

大人になった少年の視点から、過去を回想していく形で映画は始まる。

出会い、年齢を超えた友情、友を救うための献身、成長、心を通わせた恋、行き違いと別れ、乾いた成功……そんな、生きる喜びと悲しみが込められた作品。

主人公の人生の転換期の度に、美しいメインテーマの音楽が流れ、見る者の心を揺さぶる。

遺されたフィルムを主人公が映写機にかけ、スクリーンいっぱいに、時代のせいで切り取られ、捨てられた筈のキスシーンの連続が映り、映画はそこで終わる。

それに、どのような感想を持ったのかは、その人だけの、大切な気持ち。

 

 

 

その15

 

2019/07/17

 

あっ、どーもどーも。

いつもニコニコあなたのお傍にインドマート■■■村支店です。

マスター、いらっしゃいませ。今日は何をお買い上げに?

アイス……この量ですと、他のサーヴァント達の分もありますね?

暑い時期に食べる氷菓は格別のもの、魅了されるのも致し方ないことですが、そればかりではいけません。

『分かってる』?でしたらよろしい。

他のサーヴァントも食事のバランスに気をつけているといいのですが……。

アイス以外のお買い上げ商品は……焼き肉のタレ。

今日は湖のほとりで皆とバーベキューなのですね。

お昼に放映されている紅閻魔のチュンチュン三分クッキングでも、バーベキューがとりあげられてました。

 

マスター、なぜそんな思い詰めた顔をなさっているのです?

どうしましたか?私の顔に何か……。

『…………前日にタレ作りする時間がなかった』……。

それが理由だったのですね。

どうか気に病まれず。何があってもきっと最後にはうまーくいきますよ。

……この間インドマートの皆で見た、映画のセリフの受け売りなのですけどね。

 

『すりおろし林檎の甘味』……『パパイヤのタンパク質分解酵素』……。

マスター、この特異点に来てから料理に目覚めてしまったのですね……。

『料理レベルの上下差が激しい』……そんな顔をなさらないで。

何かに取り組み、腕を磨くことは素晴らしいこと。

それに、一度目を開けてしまったら、閉ざすのは難しいのです。

キッチンを預かる数多のサーヴァント……彼らの腕前に至るには、想像を絶する苦難が待ち受けていることでしょう。

しかし、その試練を乗り越えてこそ、与えられるものと、見える頂の景色があるのです。それは……存外……。

ご武運を、マスター。

湖のほとりでバーベキューをするあなたを、インドマートのカウンターの向こう側から応援しています。

 

しかし肉の食後にアイスとは……えっ違う?

『準備前にアイス食べて、バーベキュー中にも口直しに食べて、片付けの後にも食べる』……。

マスター、少しお話したいことがあります。

ご安心を、アイスが溶け出さない程度の時間で終わりますから……。

 

……アルジュナ(オルタ)から食生活について苦言を呈された。

 

焼き肉のタレ(甘口)

インドマートブランドの焼き肉のタレ。

ペーストや調味料が付いていて、それらの封を切り、瓶の中で混ぜて作る本格派。

スパイスを自分の手で煎って、すりつぶし、好みの量加えて作る辛口もある。

甘い味のとろりとした液が、焼きたての香ばしい肉によく合う。

高級感漂うパッケージだがお値段は良心的。

宮殿では作っていない。

 

 

その16

 

2019/07/18

 

暑い中来た甲斐がありました。澄んだ、実に綺麗な川です。

……非常識な大きさのトンボが飛んでいなければ、もっといいのですが。

好き嫌いは無くとも、快・不快はあります、私にも。

川辺で……今日はマスターと共にバードウォッチング。

誘ってくださって嬉しいです。

……こうして遊べるのも最後かも知れませんから。

双眼鏡?

私は要りません。弓兵でしたから……それ以上に目がいいのです。

 

……マスター、足元に茶色い、もふもふとした、くちばしの長いつぶらな瞳の鳥が。

キーウィですね、主にミミズを食べる、飛ばない鳥です。

……ニュージーランドの固有種であり、国外への持ち出しは禁止されていたはずですが。

これも、この特異点の特殊性なのでしょうか……。

 

……カワセミがいますよ、マスター。

慌てず、ゆっくりと双眼鏡を向けてください。

レンズが太陽の光を反射しないように、そっと……。

……小魚を捕って、行ってしまいましたね。

セキレイもいます、見えますか?尻尾を上下にぴょこぴょこさせている……。

 

おにぎりと、玉子焼、魔法瓶に入った麦茶が、今日のお昼ご飯ですね。

玉子焼は綺麗な黄色で……麦茶も……冷たくて美味しいです。

……そう言えば、カワセミについて、こんな民話を読みました。

 

カワセミとキツツキとスズメは、かつて姉妹で、ある時一緒に羽を飾る服を染めていました。

そこにこんな知らせが届きました。

「君達の親が危篤になっている、直ぐに行ってやれ」

知らせを聞いたスズメは、まだ白い糸の束を首にかけ、飛んで親の元へ。

対するカワセミとキツツキは、糸を染めてから行こうと考え、染色を続けました。

……スズメは親を看取ることができ、カワセミとキツツキは間に合いませんでした。

 

それを見ていた神は言いました。

「スズメは親孝行者だ、特別に米を食べてもいい。

カワセミとキツツキは親不孝行者だ、罰を与える。

カワセミは魚を水に潜ってとり、キツツキは木をつついて虫を探して食べろ」

カワセミとキツツキは美しくなったが、罰を受け……。

スズメは首が染まらぬ糸で白く、体の色も地味なままでしたが、親孝行な鳥として、神から恵みを受けたと。

……そんな話です。

家族の死に目に会えないと、罰を受けるんですね。

…………もう少し、明るい話を選ぶべきでした。

お弁当、美味しかったです、ありがとう。

食休みをしたら、また鳥を探しましょう。

 

『鳥が落ちてる』

 

マスター、近づいてはいけません、そっと離れて。

……あれはまだ小鳥、スズメの雛ですね、近くの枝に親鳥がいます。

まだ長い間飛ぶ力がないので、ああやって休んでいるんです。

私達が離れれば、ほら……親鳥が迎えに来た。

鳴いて、餌を乞うています……愛らしい。

親は辺りを見て、敵がいないか確かめ……そして、一緒に飛んでいく。

……お互いに強く思い合っている証ですね。

 

『親って、大変だ』

 

……ええ。

餌の面倒なども、独り立ちするまでは見てやるのです。

危険や敵の存在なども教えてやります。

そうやって育った子は……いつか親になり、また子を育てる。

ぐるぐると繰り返す、世界の仕組みです。

 

『空を飛べるって、うらやましい』

 

……そうですね、翼で、どこまでも飛んでいけたら素敵です。

しかし、マスターは人間、飛んではいけませんよ。

…………『アーラシュフライト』?

何ですか、その危険な響きの単語は。

 

アルジュナ(オルタ)と一緒に、バードウォッチングとお弁当を楽しんだ!

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

双眼鏡

ダ・ヴィンチちゃん特製双眼鏡。博物館でマイダ……アラフィフから購入した。

倍率を横のつまみで調整できる。

当然のことだが、こういったたぐいの物で太陽をのぞき込んではいけない、角膜を火傷し、視力が低下してしまう。

自然の動物は敏感だ、観察は静かに行おう。

 

 

その17

 

2019/07/19

 

マスター。

なぜ、ここに。

こんな、危険な山へ、一人で。

 

『山に入っていくのが見えて、心配だったから』

 

……怪我を。

アスクレピオスの診療所へ運びます。

肩を、かしてください。

 

アルジュナ(オルタ)→アスクレピオス

 

あの男が誰を連れてきたかと思えば、おまえか、マスター。

どうした?『診療所が高級ホテルのスイートっぽい』……何を言っている、診療所に変化など無い。

早く診せろ……裂傷と打撲。安心しろ、どちらも軽傷だ。

傷口は消毒し、ガーゼを。打撲した箇所へは、薬草を塗布した貼り薬を処方してやる。

……おい、マスター、『それ』はなんだ?何を持っている?

 

『白の彼岸花』 を見せた。

 

なんだこれは……こんなものどこから……。

…………マスター、彼岸花に毒性があるのを知っているか?

経口摂取した場合の症状は、神経麻痺や嘔吐、頭痛、最悪の場合は死、だ。

そして次に、生物濃縮の話をしてやろう。

少量では害のない物質が、小型生物に集まり、それらが食物連鎖によって徐々に上位の大型生物に貯まっていくことを一般には指すが……。

 

この彼岸花にも、同じ事が起きている。

どこに咲いていたのかは知らんが、長い時間をかけ、毒を吸い上げてきたのだろう。

見て分かるほど、強い毒性と、神秘が込められている、半神や神にすら通ずるかもしれない。

お前に奇妙な耐毒性があるということは、他サーヴァントやスタッフから聞いた。

だが、それを貫通する毒の存在も、お前は知っているだろう。

こんな危険極まる植物、今すぐ取り上げてやりたいところだが……。

 

『でも、邪悪なものではないから』

 

……マスターがそう言うのなら、サーヴァントである僕は従うしかないな。

扱いには気をつけろ、齧りでもしたら、すさまじい吐き気と痺れと頭痛とともに冥界行きだ。

その時は……蘇生薬の一番の実験台にしてやる。

治療は終わった。薬を受けとった後、寄り道せずに真っ直ぐ帰れ。

…………お大事に。

 

アスクレピオス→アルジュナ(オルタ)

 

マスター。

一人で、行動するのは止めてください。

 

『一人じゃないと、調べられないこともある』

 

……そんなものはありません、必ず誰かが、あなたを助けてくれる。

 

『だからこそ、がんばらないと』

 

あなたが、これ以上自らを磨り減らす必要などない!!

っ、ごめんなさい、大きな声を。

…………多くのサーヴァントが、あなたに力を貸している。

それは、あなたへ課せられた使命の証でもある。

……マスター、あなたは、愛されているのです。

親愛、友愛、博愛……様々な形の愛が、あなたへ注がれている。

それは、成長せず、未来へ向かうこともない、既に完結した存在であるサーヴァントが、あなたへ贈ることの出来る精一杯の贈り物。

……あなたが傷つけば、悲しむ存在も多い。

ですから……ご理解、いただけますか。

 

『じゃあなおさら、みんなの想いに応えないと』

 

……民宿まで送ります。そして、これを。

 

アイスの当たり棒 を手に入れた

 

……幸運のお守りです。

私が持っているより、マスターがお持ちの方がいいでしょう。

民宿につきましたら、今日はもう出かけず、安静にしていてください……。

 

怪我をして、アルジュナ(オルタ)に心配されてしまった……。

 

アイテム情報が更新されました

(『夏休み帳』から確認できます)

 

アイスの当たり棒

アルジュナ(オルタ)から受け取った、「あたり」と平仮名で書いてあるアイスの棒。

買ったお店に持って行くと、同じアイス一本と引き換えられる。

しかし、「いいことがありますように」と、保管したり、大切な友人に贈る子どもも少なくないようだ。

持っていたら何かいいことがあるかもしれない。

 

『白の彼岸花』

彼からあなたへ贈られた、真っ白な無垢の花。

全てが終わり、これだけが残った。

かつて英雄だった滅ぼしの神が、最後まで手放したくなかったもの。

空想の木の根元、一面の彼岸花の上、彼は誰を待ち続けていたのか。

 

アスクレピオスの見立てによると、痺れや吐き気や頭痛、死をもたらす、非常に強い毒性が秘められているようだ。

 

プレゼント出来るが、これを渡すべき相手は決まっている。

 

 

その18

 

2019/07/20

 

こんにちは、マスター。夕暮れ時なのでこんばんはの方がいいでしょうか。

蝉の声も静かになって、夜の闇が少しずつ村を覆っていきますね。

もうすぐシフトの交代ですので、それまでの空き時間に本を読んでいました。

紫式部が勤めている公民館の図書室から借りてきた本で……「かいけつ項羽」シリーズ数冊と……宮沢賢治、という人が書いた童話をまとめたものを。

宮沢賢治はマスターの故郷の小説家でしたね、旅の途中、いつか巡り会えるかもしれません。

他に、この地域の民話や歴史を記した書物、写真がありましたが、マスターが調べ物に使われるかと思い、借りるのは止めました。

マスターも積極的に利用されてはいかがです?

この特異点の謎が少しでも解明できるかと……。

 

『宮沢賢治の童話について』、ですか?

言葉選びが面白くて、ええ……『どっどどどどう』……「風の又三郎」、ですね。

不思議な少年の話でした。

人の幼子と、人ならざる幼子との心の交流……ほんのわずかな時間でしたが、お互いにとって特別な思い出になるといいな、と私は思います。

 

後は……「虔十公園林」「よだかの星」「グスコーブドリの伝記」……。

「グスコーブドリの伝記」は、少年ブドリが、冷夏が原因の飢餓で親を失い、妹ネリもさらわれ、その後数奇な運命を歩みながら火山学者になる物語です。

……学者となったブドリは、異常な冷夏に襲われる星を救うため、火山ガスを利用しようとします。

つまり……火山を人工的に爆発させる、しかし、その装置の起爆スイッチを押した者は噴火から逃げられない。

ブドリは最後、自分のような存在を二度と生み出さないため、火山に向かい……。

世界は、救われる。

マスター、ブドリは、何を想っていたのでしょう……。

 

『怒り』

『悲しみ』

『誇らしさ』←

 

……その胸に、『誇らしさ』があったと、マスターは思うのですね。

…………彼は間違いなく、多くの人間を救った、英雄だ。

しかし誰も、彼の最後の気持ちを本当に推し量ることは出来ないのでしょう。

これは自伝ではなく、伝記……伝え聞かれた物語なのですから。

……この本は、全編に渡って、本当の幸い、という言葉が出てきます。

本当の幸いとは何か、を、常に作者は思い悩んでいたのかもしれない。

しかし、その気持ちすら、読み手側は想像するしかない……。

 

本は、あと少しで読み終わります。

最後の物語は「銀河鉄道の夜」。

少年二人が祭りの夜、銀河を走る不思議な列車に乗り、旅をするお話です。

文中には、本当に美しい景色ばかり出てきます。

化石が出土する浜辺、宝石を敷き詰めたような川、輝く建物……。

チョコレートのように柔らかくて甘い、不思議な鳥を捕る男や、林檎売り……。

読んでいると、彼らと共に銀河鉄道に乗っているかのような心地になるのは、不思議なものです。

全て読み終わったら、マスターに感想をお伝えしますね。

そう言えばそろそろ夏祭り。マスターはどんな浴衣にするか選びましたか?

私?私は……。

時間、ですね。業務に、戻ります。

 

アルジュナ(オルタ)と何て事のない話をした……。

 

『???』が解放されました

(?日以降『夏休み帳』から確認できます)

 

宮沢賢治童話集

日本の小説家、宮沢賢治が遺した童話や短編をまとめたもの。

公民館の図書室で借りられるようだ。

彼の遺作である「銀河鉄道の夜」は、版によって物語の細部が違い、読み直す度に新鮮な驚きを与えてくれる。

……この童話集は、全編に渡り、本当の幸い、という言葉が何度も出てくる。

自分にとっての、他者にとっての本当の幸いとは、何だろう?

 

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