既にご存知の方は改めまして、ダグライダーです。
刀使ノ指令ダグオンの続きを書かずに何をしているのかと思われる方もいらっしゃるでしょう。
申し訳ございません。
しかし、ふと書かずにはいられなくなりまして、つい書いてしまいました。
スカルマン、ご存知の方はどの程度いらっしゃるでしょうか?
仮面ライダーのデザインの元になった存在、そんな作品を元に制作されたアニメ版の設定を使わせて頂いております。多少改編はしましたが。
兎も角、私の個人的な世界観的に合うだろうという思いのもとリリスパとクロスさせてみました。
━━人々は鷹揚に言う悪は正義に討ち果たされるモノだと。しかし思うのだ、悪と対となるのは善であって正義では無いのだと…。さもなければ、悪と呼ばれた者達の大義は何処に在るのか。
無論、大義無き者が悪を為す事もあるだろう。
だが、喩え間違いであったとしても彼等には彼等の大義があったのだ。
であれば、悪を倒すべきは同じ悪である事を自覚せねばなるまい。
そも、人を傷付ける事は悪だと世界は言うのだ。
ならば、この手を鮮血に染めた我が身は悪となるだろう。しかし、この手が奪うは大義無き悪、弱きを喰らう悪、そして人為らざる悪。
さぁ、今宵も示そう我が悪を。確と刻め無為なる悪よ。
この姿こそ確固たる悪である。
━━━我が名は、スカルマン。悪を以て悪を裁く者
夢を見ている。いつもの夢を───
「……たぞ!………完…した。………極……兵士…!」
誰かが何かを叫んでいる。別の誰かも何かを叫ぶ。
「博士……や…て……さい!?」
「え……!…めるな!これさえ……………なぞ、ゴミクズ同然………。………会を………見返し………!」
所々、聞き取れないが誰かと誰かが言い争っている。
どちらも白衣を纏っている。周りは水槽の様な物で囲まれている。中身は動…物…だろうか?
「これこそ………全なる……人…、………9など必要無い!」
少しずつ、鮮明に聴こえてくる会話、その中身は知識の乏しい自分でもおぞましいモノだと解る。
「邪魔を……なら貴様もここで処分する。この成果は私の物!全ては黒き■■の為に!」
「こんな事は間違っています!こんな幼い…、組織はどうかしている!?」
「煩い奴め!ももいい、その口を二度と利けなくしてやろう」
パンパンッと乾いた音が鳴る、片方の男の手には黒い鉄の塊。
もう一人は、一瞬驚く顔をするも己の腹部に手を充てる。手を見やれば赤黒い液体がベットリと手を染めている。
「カフッ……逃がさ…なく…ては、ハァ…げほっ、こんな事は…あっては…いけない……」
撃たれた男は残された力を振り絞り、手近な機械を操作する。
すると水槽の蓋が開き、中の動物達が目を覚ます。
そこから少し場面が飛ぶ、機械的な通路を誰かが自分を抱え走っている。
顔はよく分からない、けれど白衣の男では無い。その誰かは自分以外にももう一人連れているようだ。
誰かは必死に自分ともう一人を連れ走る。必死に──とは言ったが、顔が見えてないので、悪魔でもそう感じたという事に過ぎない。
そうして、通路を抜けたのか眩い光の中に飛び込む。
「ああ、また此処までか……」
何時も、ここで夢は終わり、目が醒める。
この夢は何なのか?自分の記憶?けれど自分には両親が居る。ならばこの夢は何なのだろう?
時計を見る、まだ夜中だ。
「……寝よう」
こうして何時も同じ事を繰り返す。今度は夢に微睡むことなく深く眠りにつくのだ。
夜の海を一望する街、空崎。
大きな工場地帯があり、多様な文化の入り交じる港町。
ネオンが照す夜景に複数の影が飛び交う。
ビルからビルへと移ろうソレはうら若き乙女達。
年齢は15~18といった所か……。
彼女達は私設諜報機関"ツキカゲ"、室町時代に金塊と同価値とされた香辛料を扱う商人が東南アジアの香辛料を売買する事で成した財を投じ設立された財団を母体とした自警団を前身とする正義の組織である。
正式名称、空崎財団特殊事業部秘密工作課。
そこに所属する者は皆年若い少女ばかり、これは財団が独自に開発品種改良を施し、研究を重ね産まれた香草を調合した身体強化スパイス──通称"スパイス"を服用、効果を発揮出来る者が女性と限られ、特に高い効力を得られる年代が十代である為だ。
しかし、スパイスの効力が発揮される期間は短い、何れは効き目が鈍くなっていく。その時が彼女達ツキカゲが引退をする時であるのだ。
故に彼女達はその技術を、その信念を後世へと残し伝える為、弟子を採る。
弟子は師匠と共に任務に就き、共に戦い、そして一人前となり、今度は己が師匠として次代の弟子を育てる。
それを繰返し、様々な悪と戦い続けて来たのだ。
そして今、21世紀も最たるかと言う平成の終わりが近付くこの時代に駆ける、現代のくノ一達はまさに今宵も悪事を働く不当な輩を退治せんと自らの正義を掲げ舞う。
『皆さん、目標との接触まで後少しです。気を付けて』
少女達の耳に同じ年頃の少女の声が伝わる。
「大丈夫だいじょーぶ!初さんは心配性だな~」
一際明るいサイドテールの少女が答える。
「千代女、油断は禁物よ」
それを嗜め、叱咤する真面目な少女
「もう師匠ったら、幾らなんでもふざけすぎですよ!」
サイドテールの少女を師匠と呼ぶ、ツインテールの気の強い少女。
「…あはは」
苦笑する背の高い艶やかな黒い長髪の少女。
先の通信の声の少女──青葉 初芽、コードネーム局を含めた彼女達が、今の空崎を守る現在のツキカゲのメンバー、彼女達は長らく空崎を中心に暗躍するモウリョウなる組織と日夜戦いを繰り広げていた。今回はそんなモウリョウが関係したと思われる海外のシンジケートを潰す為の任務なのだ。
「目標発見。このまま制圧する」
「さぁて、やっちゃうよ!」
「とっとと片ずけてやるんだから!」
「頑張らないと…!」
四人は一気に、コンテナから飛び降り、敵の男達に駆ける。
真面目な少女──半蔵門 雪、コードネーム半蔵が刀を抜き放ち、次々と自分の倍の身長の男達を倒す。
「楽勝~!」
明るいサイドテールの少女──八千代 命、コードネーム千代女がその高い身体能力で相手を翻弄し舞う。
「大人しくお縄につきなさい!」
ツインテールの少女──相模 楓、コードネーム風魔が特殊な手裏剣を投げ相手を張り付ける。
「悪い人達はお仕置です」
背の高い少女──石川 五恵、コードネーム五右衛門が狙撃銃を手に相手の退路を塞ぐ。
「糞がッ!商売の邪魔すんじゃねぇ!」
「畜生、逃げ場がねえ!」 「こうなりゃアレを…」
「バカ!?商品だぞ!」 「構うことねえ、ヤレ」
男達は混乱の中、自らが運んで来た商品を彼女達への対抗策として使う事を選択した。
「悪足掻きを」
風魔が呆れを含んで手裏剣を投擲する。しかし、一歩遅く積み荷は開け放たれる。
「総員警戒!」
半蔵が皆に警告し腿に括り着けたホルダーに手を伸ばす。ホルダーの中身は彼女達の切り札であるスパイスが収納されているのだ。
しかし彼女は知らなかった、連中が運んで来たモノの正体を……。
これがもし人形兵器であったのならば別段問題は無かった。機械は精々硬い装甲に手間取る程度で済む。
これがもし只の武器ならば問題は無かった、手に取る前に制圧出来るから。
だが違った、出てきたのは獣、それも人と同じ様に二足で立ち動く獣。普通では有り得ない、しかしそれは確かに目の前に居る。
「何あれ…?」
千代女が珍しく動揺している。それほど迄に異様な気配を纏っている。
<Guull!GaaaoooO!!>
獣が吼え、周りの男達を喰らい始めた。
「ひっ!?助け…ギャッ」 「何だよ?!何なんだよ!?話が違っグェッ」 「ヒィイイイ!」 「あ、あ…ああ!ブシュィ」
その剰りに残忍な光景に絶句する彼女達。
五右衛門はついその惨劇に顔を背けてしまう。
風魔も顔を青ざめさせている。
局もモニター越しに震えているのか吐息が荒い。
今までも人死にを見てこなかった訳では無い、だがこれは異質だ、異常だ、こんな事は初めてだ。
彼女達はそれぞれに恐怖を憶えながらも、獣が何時此方を襲うかもしれないと考え、スパイスを摂取する。それは戦う為か、はたまた逃げる為か。
そんな空気が蔓延るコンビナートに軍靴の様な靴の音が響き渡る。
「誰!?」
「こんな時間に人……まさか連中の取引相手!」
「いけない、今は危険過ぎる。取引相手を確保して撤退する」
「逃がしてくれるかにゃ~?」
音が近付く、空を覆う雲間から覗く月光が音の方向の闇を僅かに照らす。
顕れたのは骸骨……黒いコートの下に黒いライダースーツを纏う白い骸骨頭、辛うじて口元が肌色を露出している為、それが仮面という事が判る。
「骸…骨…?」
「そこのお前何者だ」
五右衛門が見たままの感想をもらし、半蔵が誰何を問う。
「…………」
骸骨の仮面は応えず、獣を見やると黒い手袋で覆われた拳を握り込み、それに連動するようにナックルガードが展開される。
メリケンの様なそれを獣に向かって走り出し殴りかかる。無論、獣とて来ると解っている攻撃を受ける気など毛頭無い。
獣は跳躍しかわそうとする──が、骸骨頭はその動きに即座に併せ、拳を獣にめり込ませる。
ギャインと悲鳴を挙げ地に叩き落とされる獣、骸骨は獣へ馬乗りになり殴る。殴る、殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る殴る。
執拗に獣を殴る骸骨頭に四人は獣を見た時とは別の意味で畏れを抱く。
やがて、虫の息となった獣に骸骨頭は懐から拳銃を取り出し、引き金を躊躇なく引く、1発、即座に2発を撃ち完全に死んだ事を確認すると獣の躰から退き、新たに懐から液体の入ったボトルとライターを取り出し、液体を獣だったモノに掛け、ライターを着火し放り投げる。
異形は瞬く間に燃えて、跡形もなく消えた。
骸骨頭はそれを見届けると、先程己が来た方向に踵を還す。
「待ちなさい!」
風魔が骸骨頭を止めようとする。
「やめなさい」
しかし、それを半蔵が留める。
「あれは、ヤバいね……正直今のままじゃ勝てないって思っちゃった…」
千代女が弱気を口にする。
「……(何だか悲しそうな背中…)…」
五右衛門は骸骨頭の背中を眺め、心中で想う。
骸骨頭が消えた先からエンジンの音が聴こえる。
恐らくはバイクであろう。
『皆さん、ご無事ですか?』
「こちら半蔵、問題無い」
「同じく千代女、問題なーし」
「風魔、ありません」
「………」
『五恵ちゃん?』
「…は、はい!五右衛門、問題ありません」
こうして、彼女達は見た、そして出会った……出会ってしまった、決して出会ってはいけなかったモノ達に
夜が明ける、骸骨は日が登る前に街から姿を消した。
再び姿を顕すのは闇が支配する時なのだろう。
骸骨頭───彼の者は"悪"。
彼の者の掲げる悪は彼女達の掲げる正義とは相容れる事は無いだろう。しかし、彼女達はその存在を知り得てしまった。
これは源 モモがツキカゲへと加入する数ヶ月前に起きた出来事であった。
これは悪夢を見た少年が己の出自を知る事と向き合う前の出来事である。
正義の影が舞い、悪を刻む髑髏が闊歩し、悪意をなす魍魎が踊り、正義でも悪でも無い少年が苦悩する。
これはそんな物語。
汝、眼を開け、真実から逃げる事など出来はしないのだから。
罪を背負うて、悪となれ。
眼には眼を、歯には歯を、悪には悪を。
しかと刻め、恐れ、怖れ、畏れよ。
我が名を死を以て刻む事こそお前達に赦された唯一の贖罪。
今一度、名乗ろう━━我が名はスカルマン。
悪にとっての悪夢、正義にとっての絶対たる悪である。
如何でしたでしょうか?
こんなのはリリスパじゃない!や、こんなスカルマンは無いだろう。等言われる事を承知で書かせて頂きました。
もし評判があるようでしたら、現在連載作品を完結させてから、連載しようかとは思っています。
感想などがあればどうぞ。
それでは