RELEASE OF SCULLMAN   作:ダグライダー

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 どうもダグライダーです。
はい、またやっちゃいました。
 息抜きがてらつい書いてしまいました。
まぁ、まだ連載では無いのでお目こぼし下さい。


己の心に正義を問え

 ○月×日、ある研究者の日誌。

 馬鹿ばかりだ。どいつもこいつも愚か極まりない馬鹿者だ。

 何故理解しようとしない、この研究が結実すれば人類はまた一歩、大きく進歩すると言う…いや進歩など生ぬるい、これこそ人類の新たな進化なのだ。

 その為に身寄りも不確かな屑や獣畜生共を使う事の何がいけない。奴等は放って置いても増えるのだから如何様にでも使い道が在るだろうに、倫理や道徳などとほざく愚か者共。

 今に見ているがいい、私の研究がもたらす成果を…

 


 

 早起きは苦手だ──

 毎晩毎晩、悪夢に魘されて日も上らない内に目が醒めて、今度こそはと二度目の睡眠に微睡み、気付けば昼を回ることもあるくらいだ。

 「今日から学校か……」

ついそんなことを口にしてしまう。

 とは言え無理を言って施設を飛び出し、ここ空崎で一人暮らしを許してもらったのだから、しっかりしなくては……

 【空崎高校】か…二年生の春に編入する事になった高校、借りたアパートから一番近い学校がそこだったから選んだけど、もっと考えるべきだったかな……。

 まあ、なるようになれだ!

いつまでも夢に左右されたテンションでいるのはよくない。さっさと仕度をして登校しよう。

 

 

 

 新品の制服が体の動きを阻害する、どうにも着なれない服というのは落ち着かない。

 ぎこちない動きで歩きながら商店街を通り掛かる。

目の前には…同じ学校の生徒なのだろう女子が何やらワタワタしている。彼女の視線の先には柄の悪そうな男達が談笑している。足元を注視すれば道に煙草の吸殻、成る程ポイ捨てを注意しようとして躊躇ってるのか……難儀だね。

 「あっ……」

 注意する気か?あんな腰が引けてるのに、出来もしない事はしないのが懸命だと思うけど……ほらやっぱり。

 結局、掃除してたお婆さんが男達を注意して彼らも素直に謝ってそれで終わり。

 女の子はお婆さんと顔見知りなのか、何やら楽しげに話している。

 自分に自信がないなら余計な事せずに黙ってれば良いのに、知り合いが助けてくれなきゃどうする気だったのか……自分には関係ない、行こう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 学校に着いた。

転校初日に寝坊や面倒事で遅刻だけは避けられたな…。

 当然だけど見知った顔が居ない、余計な感傷に浸らず職員室を探そう。

 

 

「君が転校生ね。ようこそ空崎高校へ、えぇと…」

 「隼人です、神楽隼人」

「そうそう!では改めてよろしくね神楽くん」

 一抹の不安を感じる──はぁ……。

 

 

 始業式もそこそこに、二年の教室の前に立ちその時を待つ。

 「───さぁ、入って」

何やら前降りを話終えていよいよ自分の二度目の高校デビュー。

 「……………神楽隼人です、よろしくお願いします」 

正直に言おう、自己紹介なんてこれといった趣味も特技も無い人間には苦痛以外の何物でもない。

 訂正、全くの無趣味な訳じゃない。現に今、自己紹介しながら教室全体を見渡すと、何となく……本当に勘レベルだけど何かが違うと感じる相手がチラホラ──。

 二人…いや、今朝見た女の子もこうして改めて観察してみると妙に……いやでもあっちの二人程違和感は無いか。

 趣味、一応人間観察。と言いつつ、決して他人には言わないが。後、特技も無いことも………アレを特技と見なすべきか否か…。

 兎も角、黒髪ストレートに平均的な同年代より高めの身長の娘とポニー?いやサイドテールの見るからに『私ムードメーカー』な茶髪っ娘、あの二人は何かある。

 別に好みとかそんな邪な目で見てる訳じゃない、ただまぁ、黒髪の方は割りと好みのタイプ……いや何言ってんだろ自分。

 心の中でそんな事を思い浮かべながら、周りの質問に無難に答え空いてる席に座る。

 窓側寄り、左隣は例の黒髪の娘に、右側一人挟んで今朝の娘、自分からみてやや右後ろにサイドテールか……席順としては可もなく不可もなくかな。

 

 HRが終わり、休み時間。

さて、どうしたものか…顔を机に伏せ狸寝入りをしながら教室の様子を観察する。

 黒髪の席の前の席にサイドテールがギターを持って陣取る、黒髪が此方を向き申し訳なさそな顔をする。

 まぁ、伏せてるから此方は表情を見せてないが。

今朝の娘の方は、知り合いなんだろう別のクラスの娘が遊びに来ている。

 知り合いとの会話を終えた仮称煙草娘に黒髪とサイドテールが話掛ける。

 聞き耳を立てると、朝の娘は源ももと言う名らしい。

もも…桃か?それとも百?モモ?或いは平仮名のままか……中々目が良いんだな。

 サイドテールが率先して訊いてくるから此方も助かる。そのサイドテールは八千代、黒髪が石川と言うらしい、名前は八千代がメイ、石川がゴエだとか…漢字は八千代の方は幾つかパターンがあるけど石川は割りと予想出来るな…後で名簿を確かめよう。

 

 そうして、学校が終わるまで適当に過ごす。

件の三人娘は仲良くなったのか、一緒に帰宅するようだ。

 自分はどうしようか……取り敢えず街を廻ろう、自宅から学校周辺に何があるのか憶えなくてはならない。

 決まりだ帰ろう。

 

 

 学校からの帰りの道すがら、迷子を避けるため地図アプリを起動して散策を開始する。

 ついでに、晩の食材も買って帰ろうかと思い至る。

途中、港に程近いモール近辺の飲食店が建ち並ぶ一角から香ばしい臭いがする。どうも本格的なカレーなどの専門店らしい。

 店から例の三人娘が出てくるのが見える。そう言えば、あの時、バイト先がどうこう話していたな、バイトか……自分も一人暮らしの身だ、施設に恩を返す為にも働かなくては……あの店、バイト募集してないのだろうか……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜が再びやってくる。

今宵もまた影が舞う、貨物コンテナが積み重なるコンビナートに、怪しい集団に取り囲まれ気を失っている婦警達と偶然予感を覚え、港に来ていたモモ。

 どうやら犯罪集団の取引現場に出会し婦警達は捕まってしまったらしい。

コンテナの陰に隠れ、様子を見ていると婦警が己の知人であることに気付く。

 「どどどうしよう……そうだ警察に連絡しなきゃ!」

 このままで知り合いがは殺されてしまう、そんな事を想像して慌てるモモ。

動転しながらモモはスマホを取り出す、しかし彼女の心が待ったを掛ける。

 "それで本当に良いの"かと数秒モモの手が止まる、彼女は異を決しスマホのカメラを起動し現場を撮影する。

 そのまま勇気を振り絞り犯罪集団の眼前に出る。

 「け、警察呼んでます!顔写真もバッチリ撮りました!!」

 震える声で精一杯、相手に叫ぶ。

「ちっ…まだいたのか」

 集団の頭目とおぼしき女性が煩わしそうに顔を歪める。

 「おおお大人しくして下さい!警察呼んでるんですよ!?」

「捕まえな!」

「了解~」

 モモの決死の行動も意に介さず、仲間に捕獲を命じる頭目。

 筋肉質な大女に追われるモモ。捕まるまいと必死に逃げるも回り込まれスマホを握り潰される

「証拠隠滅~」

 折角の精一杯の勇気も無駄に終わり、死を覚悟し恐怖に目を瞑り心の中で走馬灯のように回想するモモ。

 しかし、運命は彼女を見捨てはしなかった。

 「こんばんわ~!夜の空崎は良いね~♪」

待てども来ない死の一撃から疑問を抱き目を凝らせば、倒れる大女に、場違いな明るい声、声の主を探し上を見れば今日友達となった命と五恵、五恵のバイト先で偶々見た相模楓に学校ですれ違った先輩の青葉初芽と憧れの半蔵門雪の姿がそこにはあった。

 雪達は忍装束のような服を纏い、その手に刀や槍、様々な武器を持っている。

 驚くモモを尻目に次々と犯罪集団を薙ぎ倒してゆく彼女達。頭目が痺れを切らしたのか人形兵器を持ち出す。

 しかし、スパイスによって強化された彼女達の敵では無いのか、あっさり殲滅されてしまう。追い詰められた頭目、そこへ遅れた仲間が車で駆け付け逃亡する。

 雪達ツキカゲはモモを連れ、自らも逃げた相手の追跡に移った。

 

 

 

 暫くして、コンビナートには気絶した犯罪集団と婦警達だけが残る。既に彼女達はツキカゲの記憶消去針により今宵の記憶の一部を消されている。

 そんな中、海に落とされ記憶操作の難を逃れた者が一人──

「くそっ!何だってんだい奴ら…とにかく此処はもう駄目だね、ずらからないと」

──チリン、チリンとそんな空間に鈴の音が鳴る。

 音は女の耳に届く。

「あ?なんだい鈴の音?一体どこか…ガグゴッ!?」

 音を聴いた瞬間、女に変化が現れる。体の至る所が肥大化し血管が浮き出て理性が消えて行く。

『グッ……ガッgGallllllla!!』

 それは獣。女は熊のような姿に変化した。

女だった獣は辺りを見回し、餌を見付ける。

 獣がゆっくり、ゆっくりと眠ったままの嘗ての仲間に近付く。意識の無い人間は獣にとっては格好の獲物だ。

 沫やこれまでかと思われたその時、新たな影が現れる。

 全身を黒で塗り固めた格好に唯一白く映る頭部、獣にとっての悪夢となる者がそこには居た。

 『……人の道理より外れし者よ、断罪の時だ』

骸骨は言う、お前の終わりが来たと。

 既に言葉を解す事の無くなった獣は、唯々本能に従い敵を威嚇する。

 骸骨は意に返さず、袖口から短剣を取り出し獣に投擲する。

 寸分違わず右目に突き刺さった短剣に思わず痛みで絶叫する獣。骸骨はそれを隙と見て駆け出す。

 新たにコートから取り出した剣を振るい獣の躰を切り刻む。辺りに細かく血が飛び散り、獣は攻撃してくる骸骨の体を砕くため腕を振るうもあっさりとしゃがんでかわされる。

 そのまま骸骨は立ち上がる勢いを利用し剣を獣の顎から脳にかけて突き刺す。

 獣が後ろに躰を傾ける。骸骨は獣の腹を蹴りそのまま倒すと、剣を抜き今度は心臓のある場所に突き刺す。

 頭を貫かれた時点で既に息絶えた相手にこの行為、正しく容赦の欠片もありはしない。

 完全に動かなくなった事を確認した骸骨は獣だった塊の首根っこを掴み、口元に何かを捩じ込み海に放り投げる。やがて、小さな爆発が起こると骸骨の周囲はまるで雨が降ったかのように水浸しになる。

 骸骨は既に役目は果たしたと言わんばかりにその場を去る。

 一連の戦闘を目撃した者は居ない。

 

 ツキカゲが新たな仲間を加えた裏側で骸骨男は独り異形を討ち果たす。

 また夜が明ける。

人々は誰も知らない、例え知っていてもそれは悪魔でも噂でしかない。夜を駆ける正義の味方と夜に沈みゆく悪の仮面。

 ツキカゲが巨悪と戦う一方、仮面の骸骨は人外の悪を屠る。

 彼の名はスカルマン。

復讐と妄執、執念によって悪を狩る死神、或いは亡霊。

 誰にも知られず、また知る必要も無い。

今宵も悪が消えた、1つは正義によって裁かれ、1つは悪によって召された。

 

 鈴の音は最早聴こえない。

 

 


 

 悲劇なんてものは曖昧だ。

だってそうだろう?当事者からしてみれば哀しみや怒りがあるかもしれない。けれど、何にも知らない他人からすれば滑稽な話さ。

 悲劇とは喜劇の裏返し、精々俺を楽しませてくれよ人間達?

 

 

とある管理者の発言より抜粋





 うーん、ダークな雰囲気って難しい。
話は変わりますが自分、決して無双が嫌いな訳では無いのですが、どちらかと言えば主人公には苦しんでもらいたいタイプなので、この作品の主人公には私なりのやり方で苦しんで貰います。
 何せコンセプトが小林靖子風なので、まぁ千翼みたいな事にはなりませんよ。
 流石にあそこ迄のはねぇ…まあ隼人は後々の為にも色々酷い目に遇わせてやりたいですけどね。
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