ゴブリンスレイヤー 〜蛇の転生〜   作:JOKER1011

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プロローグ

「私はお前を息子だと思った事はない。しかし、一人の戦士して一人の男として尊敬している。」

 

「あの時の私がお前だったら‥あんな過ちは起こさなかったかもしれない。」

 

その視線はパトリオットに向けられていた。

 

一人の老人が同じく老人‥いや老人のように老けた男の肩を借りてある場所を目指す。

 

「ボスをこの手で殺した時から死んでいた。」

 

そして目的の墓にたどり着き、老人のような男‥ソリッドの肩から離れ、崩れるように膝をつく。

 

彼の名はビッグボス。アウターヘブン蜂起、ザンバジーランド騒乱を引き起こした人物。

 

今、彼は死に瀕している。

 

「ボス、あんたが正しかった。世界を変える事でなく、ありのままの世界を残すために最善を尽くすこと‥」

 

「他者の意思を尊重し、そして自らの意思を信じること‥」

 

「それが‥あんたの遺志だった。」

 

ビッグボスはソリッドの手を借りずに一人で立ち上がる。

 

「やっと‥あの時の行動の意味‥あなたの‥あんたの勇気の真実が分かった。」

 

そう言うと、ゆっくりと右手が上がり、敬礼をした。

 

ビッグボスもまた、一人の戦士として、男として。

 

彼は師であるボスの行動が理解できなかった。

 

そして決定的だったのは、ピースウォーカー事件。

 

ザ・ボスのAIを搭載したピースウォーカーが突如核ミサイルの発射を止めて歌い出し、自らを湖に沈めたときだった。

 

その行動を見て、当時のビッグボスはザ・ボスが銃を捨てたとひどく失望し、決別することを誓った。

 

だが、違ったのだ。このことに気がつくのに50年もかかってしまった。

 

ビッグボスはソリッドの手を借り、師の墓にもたれるように座り、葉巻を咥える。

 

しかし、ライターに火を灯す力は残っておらず、咥えた葉巻も落ちてしまった。

 

落胆したように頭を墓に預けたとき、目から一筋の涙が流れた。

 

「ボス‥蛇は一人で‥」

 

「いや、蛇はもういらない。」

 

ソリッドはその姿を悲しげな顔で見つめると、落とした葉巻を咥え火をつけ少し吸うと、それをビッグボスに咥えさせた。

 

ビッグボスはゴホゴホと咳き込みながらも葉巻を口から離し、ポツリとつぶやいた。

 

「いいものだな。」

 

そう呟くとビッグボスは静かに息を引き取った。

 

ポトリと手から葉巻が落ちる。

 

ソリッドは静かにそれを見ていた。

 

風でオオアマナが揺れる。ソリッドは知らないが、あの時のように。

 

ソリッドの戦いは終わった。これからはソリッドは銃を捨て、静かに生きていくだろう。

 

しかし、ビッグボスには、それが許されなかった。

 

彼の魂は天に昇る途中で消えた。ワームホールに飲まれたかのように。

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