「私はお前を息子だと思った事はない。しかし、一人の戦士して一人の男として尊敬している。」
「あの時の私がお前だったら‥あんな過ちは起こさなかったかもしれない。」
その視線はパトリオットに向けられていた。
一人の老人が同じく老人‥いや老人のように老けた男の肩を借りてある場所を目指す。
「ボスをこの手で殺した時から死んでいた。」
そして目的の墓にたどり着き、老人のような男‥ソリッドの肩から離れ、崩れるように膝をつく。
彼の名はビッグボス。アウターヘブン蜂起、ザンバジーランド騒乱を引き起こした人物。
今、彼は死に瀕している。
「ボス、あんたが正しかった。世界を変える事でなく、ありのままの世界を残すために最善を尽くすこと‥」
「他者の意思を尊重し、そして自らの意思を信じること‥」
「それが‥あんたの遺志だった。」
ビッグボスはソリッドの手を借りずに一人で立ち上がる。
「やっと‥あの時の行動の意味‥あなたの‥あんたの勇気の真実が分かった。」
そう言うと、ゆっくりと右手が上がり、敬礼をした。
ビッグボスもまた、一人の戦士として、男として。
彼は師であるボスの行動が理解できなかった。
そして決定的だったのは、ピースウォーカー事件。
ザ・ボスのAIを搭載したピースウォーカーが突如核ミサイルの発射を止めて歌い出し、自らを湖に沈めたときだった。
その行動を見て、当時のビッグボスはザ・ボスが銃を捨てたとひどく失望し、決別することを誓った。
だが、違ったのだ。このことに気がつくのに50年もかかってしまった。
ビッグボスはソリッドの手を借り、師の墓にもたれるように座り、葉巻を咥える。
しかし、ライターに火を灯す力は残っておらず、咥えた葉巻も落ちてしまった。
落胆したように頭を墓に預けたとき、目から一筋の涙が流れた。
「ボス‥蛇は一人で‥」
「いや、蛇はもういらない。」
ソリッドはその姿を悲しげな顔で見つめると、落とした葉巻を咥え火をつけ少し吸うと、それをビッグボスに咥えさせた。
ビッグボスはゴホゴホと咳き込みながらも葉巻を口から離し、ポツリとつぶやいた。
「いいものだな。」
そう呟くとビッグボスは静かに息を引き取った。
ポトリと手から葉巻が落ちる。
ソリッドは静かにそれを見ていた。
風でオオアマナが揺れる。ソリッドは知らないが、あの時のように。
ソリッドの戦いは終わった。これからはソリッドは銃を捨て、静かに生きていくだろう。
しかし、ビッグボスには、それが許されなかった。
彼の魂は天に昇る途中で消えた。ワームホールに飲まれたかのように。