スネーク達が遺跡から帰った日から3日後。
ゴブリンスレイヤーはまだ目を覚さない。俺と2人で街から帰ってくる時に徐々に口数が少なくなっていくのを感じていた。普段から無口な奴でしかもオーガ戦で疲れているのだろうと俺も無理に声をかけずにいた。
だが牛飼い娘が俺たちに声をかけた瞬間、奴は前のめりにぶっ倒れた。
あれから牛飼い娘は頻繁に奴の部屋を見に行っている。起きてるんじゃないかと。
「おっはよ!今日もぐっすりだったね。」
起きたか。
「起きたか。ゴブリンスレイヤー。」
「すまん、2人とも。寝坊した。」
「何を言ってる。今日は休みだろう。」
俺とゴブリンスレイヤーが話しているのを見た牛飼い娘がご飯にするためその場を立ち去ろうとする。
「待ってくれ。今日も配達があるのか?」
「せっかく休みなのに‥」
「構わん。」
早々に朝食を食った俺たちはギルドへと荷車を引いて歩いていた。
「私もスネークさんも心配したんだからね?帰ってくるなりいきなり倒れるんだから。」
「3日も前のことだろう?」
「まだ3日だよ!」
「心配するな。ただの過労だ。」
「あれほどの戦いだったんだ。休むべきだと俺は思う。」
「スネーク。」
街に着いた俺達は牛飼い娘と別れてある店を目指す。
ゴブリンスレイヤーは鎧。俺はナイフだ。
「本当にお前は安物しか買わねえ。そのくせ注文が多い。」
「そしてお前もシンプルなものを選ぶんだな。こっちの万能ナイフとかは興味ないのか?」
「必要ない。持ち手に色々ものを入れると耐久度が無くなる。」
「だったらこういうのどうだい!」
店主の後ろから丁稚奉公がナイフを持ってくる。煌びやかな鞘に入ったナイフだ。
スネークが手に取り、鞘から抜き放つ。
刃には蛇の姿があしらわれている。ゴブリンスレイヤー達から離れて縦横と振るう。
「良いナイフだ。」
「そうですよね!だったらこれを!」
しかしスネークは、ふと持ち手の握りに違和感を覚えて、それを見る。
芸術品のような装飾だ。スネークはそれを見て鞘にしまうと丁稚に返した。
「なんでい。気に入らないんですか?」
「いや良いナイフだ。だがこの持ち手や鞘のエングレーブには何のタクティカル・アドバンテージもない。実用と観賞用は違う。だが刃や振るった感触は良い。」
その後、ゴブリンスレイヤーはいつもの装備、スネークは予備のナイフを2本買って店を後にすることにした。
「そうだ。今日は頼まれごとがあったんだ。帰るなら先に帰っててくれ。」
ゴブリンスレイヤーと別れて着いたのは訓練場。
「来たか!スネーク!」