あなたは大層退屈していた。
あなたがこのノースティリスの地に流れ着き幾星霜。この所のあなたは大層暇であった。
友人たちと街を更地にしてみたり、店を営んで失敗してみたり、乞食をペットにしてチキチキTSさせて牧場で繁殖させてみたり、信仰しているかわいい(?)神と戯れてみたり、うみみゃぁとうみゃみゃぁしてみたり、etcetc
兎に角、数えきれない程の事をし尽くしたあなたは、暇であった。まるで、定年退職してやることが極端に減ってしまい、燃え尽きちゃった症候群になってしまったかのような状態であった。
今も退屈しのぎにすくつに潜り、下層にて終焉狩りを行っているところである。
あなたは★《虚無の大鎌》を振る。すると、出てきていた竜の首が飛び、終焉が終わった。
やはり、つまらない。あなたは深くため息をつくだろう。やはり、この程度の刺激ではあなたを満たせない。あなたは取り出した帰還の巻物を使い、ホームへと飛ぶ。
あなたがホームに着くと、家の前に一人のゴブリンが立っていた。ゴブリンはあなたの姿を見止めるとニヒルに笑う。
彼はあなたの友人であり、同じ神を信仰する同志だ。野生の奴らと違い、彼は知的で温和だ。あなたが彼にどうかしたのかと問うと彼は言った。そろそろ12月になるが、ノイエルに行かないかと。
12月のノイエルでは聖夜祭が行われており、あなたは友人達とともに大いに楽しんでいた。今年もその時期が来たのだと彼は言った。それに彼はあなたが大層退屈していたことを知っていた。
あなたは大いに頷き、支度し始めた。終焉を引き起こさせるための★《ラグナロク》にとても危険な爆弾、サンドバックにその他諸々、そうしてあなたは準備を整えると、最初の相棒にしてペットの少女に後を任せ、友人とともにノイエルに向かった。
ノイエルでは既に宴が始まっていた。子供たちが雪合戦にて雪原に赤い花を咲かせ、終焉が巻き起こり、酔わせた教会のシスターを気持ちいいことしている奴らがいたりと、まさに聖夜祭に相応しい様相を呈していた。
その大元の元凶となっているのは、やはり、あなたの知り合い、友人達である。皆銘々に好き勝手なことを行っていたが、あなた達を見止めると、手を止めて集まってくる。あなたはにこやかな顔で友人たちに
瞬間、爆発し、友人の一人のカオスシェイプが爆ぜる。だがしかし、彼の十三盾の前では、まったくの無傷であった。そうしていると、神官職の妖精がメテオを降らす。あなた達は回避し、場は更なる混沌と化す。終焉などは最早幼稚な前戯に過ぎず、ここからが彼らの真の
そうしているうちに、辺り一帯が焼け野原になり、お遊びも佳境に入ったところで、友人の一人、観光客のかたつむりがある物を取り出す。それは、とても危険な爆弾、解析名を原子爆弾『Cat's Cradle』。それを取り出すと、他の友人たちも一斉に同じ爆弾を取り出し始めた。
一斉にそれを地面に置き、タイマーを起動する。期せず、今日は12月31日。どうか来年も良き日でありますようにだとか、来年も退屈しないで済みますようにだとか、そんなことよりもっとキチキチしたいだとか、そんなこんなで年越しカウントダウンと爆弾のカウントダウンが始まる。
10…
9…
8…
7…
6…
5…
4…
3…
2…
1…
ハッピイイイイィィィィィニュゥゥゥゥゥゥゥゥゥイヤアアアアアァァァァァァァァァ!!
そして、ノイエルにいくつもの
どこかの空間でコロコロと四つの骰子が振られた。否、振られてしまった。
当たり目は四つとも1d100の100。まさに大ファンブルである。
そして、それがもたらすものとは―――――。
―――――新たな
そしてあなたは目を覚ますだろう。そしてあなたは違和感を覚える。あなたは確実に死んでいただろう。
疑問に思ったあなたは気を失う前の記憶を探る。朧気ながらにあなたが覚えていたのは、熱波が届く前の衝撃により吹き飛ばされ、ムーンゲートに頭から突っ込んでいくところであった。
あなたは辺りを見回す。どうやら、どこかの森の中なのだろう、木々が生い茂る森の中のぽっかりと開いた林間の草地にいるようだが、何かがおかしい。そんな違和感を感じながら、とりあえず帰還の巻物を使う。
そして、あなたは驚愕する。帰還の巻物を使用したはずなのに、効果が全く現れず、巻物が灰となって崩れ去ったのである。ここはダンジョンでもなければすくつでもない。それなのに、まったく効果が表れず、あなたは困惑と同時に好奇心をそそられた。
あなたの知らない法則が働く世界に飛ばされてしまったことにあなたは歓喜する。今までの退屈な日常を飛び出し、新たなる刺激を得ることができるかもしれない。そう思うと、あなたは居ても立っても居られないが、それでも頭の片隅で思うのは、あなたの可愛い可愛い相棒達と、友人たちの顔である。が、まあ何とかなるだろうとあなたは切り替える。そんなことより早くこの世界の探索に――――――――
グサリ
あなたの背後から忍び寄った凶刃があなたを突き刺す。それは小癪で矮小でズル賢く滑稽な魔物。まるで小人の様な体格をしていながらも複数突き出された刃を受け入れたあなたは普通であれば
それは
そんなことを考えながら、小鬼達が短剣を引き抜こうとすると、それはビクともせず、一向に抜ける気配もない。訝しんでいた一匹の小鬼が前方に移り、そしてその顔を驚愕に染めると――――――――
スパン
小気味いい音と共に、その小鬼が真っ二つに断ち切れた。その小鬼は右目で左半身を、左目で右半身を見るというあり得ない体験を感じる間もなく絶命する。
「GOOBBB!?」
「GOBB!?」
そのあまりの光景に、一斉に後退した小鬼達。バカな、あり得ないとでも言いたげな小鬼達の方へとゆらりと人間が振り返る。いつの間にやら抜かれた片刃の剣に同胞の血を滴らせた只人に小鬼達は別の意味で恐怖を抱く。それは只人の顔が凄惨な笑みを浮かべていたからであった。
「ッッッッ!!!???GOOOGOOOBBBBBBBBBBBBB!!!!!???」
堪らず小鬼達は逃げ出す。アレはなんだ。あんなのは知らない!!まるで蜘蛛の子を散らすように逃げていくが―――――
スパン
ある小鬼は頭と胴が泣き別れになり――――
スパン
ある小鬼はその躯体を十文字に断たれ――――
スパン
ある小鬼は一片の無駄もなく八つ裂きにされ――――
スパン
スパン
スパン
そうして出来上がったのは無残な小鬼の死体だけ。それを何故か生かされた小鬼は見届けるまでもなく一目散に逃げ走る。
あなたはそれに満足しながら、出来上がった小鬼の死体を一つ摘まみ、徐に口に運ぶだろう。
そしてあなたは
――――不味い!!こんなものは初めてだ!!!
嘔吐して気持ち悪くなった口の中を祝福された水で濯ぐ。水を飲みながらあなたは逃げて行った小鬼の後を目で追う。あなたは最初から気づいていたのだ。小鬼に刺されることも、小鬼達の短剣が薄く紫色に濡れていたことも。あなたの友人が経営している小鬼牧場ではないにしろ、あんな知性的に動く小鬼はきっと集落があるに違いない。
あなたは★《斬鉄剣》を仕舞いながらワクワクして小鬼の後を追っていった。
あなたの
そんな姿を見ていた神々は一斉に頭を抱えた。《真実》《幻想》《死》《光》は己が振った骰子の目にどうしてぇと嘆き、それを見ていた神々はゲラゲラと笑うモノやうわぁと顔を引き攣らせるモノ等と三神三様である。
そんな中で、ある一グループの神々は顔を青くしながら後退る。そう、彼らこそ
機械のマニ
風のルルウィ
元素のイツパロトル
地のオパートス
幸運のエヘカトル
癒しのジュア
である。
かの神たちは知っていた。彼が彼の信仰する神のお気に入りであることを。彼の前ではかの神もメスであるということを。
それを知っていたからこそかの神々はそそくさとこの場から離れようとする。かの神が此処に現れる前に早く退散しなくてはと―――――
「君たちかい……僕の……私の………大切なしもべを奪ったのは」
そして現れてしまった。彼の信仰する神。収穫のクミロミが。
・elona
ローグライクPCゲームの一つ。基本的に何でもできる。ゲームの操作の仕方や仕様の理不尽さでゲーム自体をゴミ箱にシュートするまでがチュートリアル。
・★《〇〇〇》
elonaの中で現れる固定名詞のアーティファクト。ものによってはそこそこ強い。
・農民ゴブリン
あなたの友人の一人であり、同じ収穫のクミロミの信者。元クミロミのお気に入り、現在はあなたが現れたことで二番目となっているが、それでも信仰し続けている。ほかにもあなたの友人は幾人か存在する。
・ムーンゲート
どこにつながるかわからないどこでもドア。行先は指名できないが、だいたいはどこにでも行く。
・収穫のクミロミ
elonaの中での信仰対象。あなたが信仰している神。あんなしゃべり方だが、一応男神(という設定)。しかし、あなたの前では身も心もメスになる。――――あなたはクミロミをメスにした!!
―――――あなたは人肉の味の虜になった