雪ノ下雪乃は告らせたい   作:ザーボン

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雪ノ下雪乃は止められたい

雪ノ下雪乃は考えていた。

どうすればあの唐変木からこちらを積極的に誘わせることができるかと。

考えながら下駄箱を開けるとそこには一通の便箋が入っていた。いつもならうんざりする所だが今日の雪ノ下雪乃はそれを見てニヤリと笑った。

 

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生徒会室

 

「えぇ~!ゆきのんにラブレター!?」

「そうよ、由比ヶ浜さん。中々情熱的な内容で一度食事でもどうかと書いてあったわ。」

「すごい!それデートじゃん!」

 

一方比企谷はそんな姦しい女子達の会話をしっかりと聞いていた。

雪ノ下がデートねぇ~。断るんだろうけどよくもまぁ誘う勇気がある奴がいるな。誘ったが最後毒舌で真っ二つにされる未来が容易に想像できる。少しもやもやとしながらも次に出てくる拒絶の言葉が予想出来るなとほくそ笑んでいた

「それでそれでゆきのんデートするの?」

「もちろんよ。」

何・・・だと!?。血迷ったか雪ノ下!そんな顔も知らない相手とデートなんて。いやこれはきっと何か理由があるはずだ。雪ノ下はこうみえて変な所でちょろい。

「こんな情熱的な文章で誘ってくれる相手だもの、素敵な男性に違いないわ。それにね由比ヶ浜さん。この便箋はねこのシールで封がしてあったのよ。」

そこか。それでいいのか雪ノ下・・・。安定のねこ大好きフリスキーだった。こいつはねこ話聞きたいだけだ。

しかし理由が分かっても尚、もやもやするのは事実。ここは止めるべきだろう。だがしかしここで俺が行くなと言った場合どうなる。

 

『行くな!雪ノ下!お前はねこにつられているだけだ。』

『あらあら、そんなに比企谷君は私が他の誰かとねこ話をするのが嫌なのかしら?』

『くっ!(そこは別にどうでもいい)』

『お可愛いこと』

これじゃ俺が雪ノ下のことを好きだから止めているように聞こえてしまう。そういうのではなくてもっとこう同じ生徒会役員として言うことは出来ないものか。

 

「ゆきのーん。ほんとに行っちゃうの?」

「ええ、私としては楽しみにしているのだけれど」

 

一見ただのちょろい子にも見えるこの雪ノ下の行動だが・・・無論プラフであった。比企谷にデートを引き止めさせるのが何よりの目的。

由比ヶ浜さんは本当に私が行くと思っているのかしら?まぁどうしてもと言うなら何処であのねこのシールを買ったかくらいは聞いてあげなくもないのだけれど。

 

ここに恋愛頭脳戦が始まる

恋愛関係において【先に好きになった方が負け】は絶対のルール

好きになる、好きになられるというのは明確なパワーバランスの序列である。

その関係は上司と部下、リア充とボッチ、大天使戸塚とあざとい後輩のような分かりきったもの。

ボッチを拗らせた両名に於いて自ら好意を向けるなどあってはならない。ならば己の知略と技術を以て相手から言わせるように仕向けるしかない。

如何にして止めるか、止めさせるかの戦いが幕を開けた。

 

「ちょろノ下、さっきから聞こえていたんだがそれは不純異性交遊というのになるんじゃないか?知らんけど。うっかり平塚先生に言っちゃうかもなぁ~」

比企谷が使ったのは絡め手。しかもアラサー教師の名前を挙げることによってそれが伝わった時の具体的な面倒を伝える戦法。これは雪ノ下にとって地味に苦しい。

「何かとても失礼な名前を聞いた気がするのだけれど聞かなかったことにしてあげるわチクり谷君。でも私の話を聞いて平塚先生が焦って結婚出来るならそれはそれで良いと思わないかしら?」

「ばっか!あの人はもう焦ってアレなんだよ。あれ以上悲惨になったらもう俺が貰っちゃうしかなくなるだろう(早く誰か貰って上げて!)」

「それは!?・・・」

一瞬最悪のルート分岐が見えた雪ノ下。思わず言葉に詰まる。

「雪ノ下その程度の覚悟なら止めておけ。俺はもうアラサー独身教師のマジ泣きを見たくはない。」

「確かにそれは私も見たくはないのだけれど。」

ここまで地味に酷い2人である。しかし比企谷の詭弁により場は一時的な停滞がもたらされた。

今一度雪ノ下雪乃は考えるがやはり納得は出来ず無意識に頬を膨らませる。

(何故素直に一言行くなと言うことが出来ないのかしら?)

再度比企谷八幡も考える。

(果たして雪ノ下は本当にラブレターの差出人に会いたいのだろうか?そもそもいくら雪ノ下がねこ大好き人間でもある程度の貞操観念があるはずだ。そしてさっきの発言はそれに見合ったものではない。)

そう考えながらも彼女の顔をもう一度視線に入れると珍しい表情をしていることに気づいた。思わず頬が緩んでしまうがそこからはもう考える必要はなくなった。

少し頬をひくつかせて彼女は言う

「何が可笑しいことがあったかしら?」

彼は笑みを引っ込めて諦めたように言った。

「悪い雪ノ下。なら今回はそうだな…うちのかまくらを見せるからそれで勘弁してくれないか?」

「比企谷君・・・」

 

きっと私が便箋の場所に行く気がないことは最初から分かっているのだろう。会話は繋がってないように聞こえるが彼なりに代案を出してくれているのだ、私ならその意味が伝わると信じて。私にとってはそのことが止めてくれたことよりも嬉しくて思わずニヤニヤとしてしまう。もっともラブレターの代案が自宅の愛猫を見せるというのは些か違和感があるのだけれど。

「ウフフ、そこまで比企谷君が見せたいと言うなら仕方ないわね。便箋の返事は反故にしてかまくらを見に行こうかしら」

「すまんな」

「ゆきのん!ゆきのん!サブレも連れて行こうか」

「由比ヶ浜さん、ハウス」

 




由比ヶ浜推しの方には申し訳ない。
由比ヶ浜の扱いが酷いけど藤原も大概な扱いだから多少はしょうがいないよね?
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