DIE HARD 3.5 : Fools rush in where angels fear to tread.   作:明暮10番

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Guts the Way!!

 事務所で、嫁と一緒にバラエティー番組を観るフラット・ジャック。

 壊れたソファを、無理やりガムテープで固定した上に座っていた。

 

 

「……テレビって、興味ないのについつい見ちゃうのよねぇ〜。マジ依存症〜〜チョベリバ〜〜」

 

 

 ダル絡みしてくる彼だが、嫁は無反応で延々テレビを見続けている。

 フラット・ジャックはお茶を飲もうと、持っていた湯呑みを口元に近付けた。

 

 

 

 

 

「ファぁぁぁぁぁックッ!!!!」

 

「なに──あっっつッ!! うおあーーッ!?」

 

 

 ドアを蹴り開けて登場したチェリオス。

 それに驚いて湯呑みを落とし、暴れるフラット・ジャック。

 

 更にその衝撃で、直したソファがまたベッキリ折れ、二人揃って床に転がるハメになった。

 

 

「なに遊んでやがんだ!?」

 

「遊んでないわよ! てか、どうしたのその格好!? 行きよりボロボロじゃないの!?」

 

 

 そそくさと立ち上がって逃げて行く嫁を見送りながら、テーブルに置いていた彼女のお茶を飲んだ。

 

 

「……うぉ、なんだこの茶ぁ? やけに苦いな……」

 

「それ『玉露』よ! 高いお茶なんだから、気安く飲まないでよ!」

 

「うるせぇ。命は金に換えられねぇんだ」

 

「他人の命で稼いでる男が言う?」

 

 

 お茶を飲み干し、湯呑みはポイっと捨てる。

 

 

「それより、とんでもねぇ事が起きた……奴らのクラブに入ったが、そこが木っ端微塵に吹き飛んだんだ」

 

「は、はあ?」

 

「クソッ! 俺を捕まえた奴らの一員がいたのにッ! 俺以外、バラバラのポップコーン状態だ……」

 

「い、いやいや……そんな、よりによって突撃したクラブが吹き飛ぶとか……中東ならともかくここは日本よぉ? 超古代にとんでも科学力の人類がいたって方が信じられるわよ。そんなのは信じられな────」

 

 

 放送していたバラエティー番組が、突如として速報に変わった。

 

 

 

『臨時ニュースをお伝えします。先ほど、新宿区歌舞伎町のクラブで、爆発事件が発生しました』

 

 

 

 テレビには、黒煙を上げて燻る、見覚えのある通りと見覚えのあるビルが映っている。

 フラット・ジャックはようやく、チェリオスの話が本当の事だと察した。

 

 

「なんで生きてんの?」

 

「奇跡が起きた。アーメンハレルヤ、セックスピストルズだ」

 

「あんたナカトミビルの英雄?」

 

 

 臨時ニュースは続きを伝える。

 

 

『────また、事件発生の数分前に、新宿警察署の警官二名が、外国人男性から暴行を受け、拳銃を強奪される事件が起きており、警察はこの外国人男性と爆発事件との関連を────』

 

 

 内容に唖然としている、フラット・ジャック。

 チェリオスは居心地の悪そうに、顔を顰めていた。

 

 

「手配されてんじゃないのよぉ!? ただでさえ触法行為で食ってるってのに!! 捕まったらあたし、ババァになるまで牢屋入りよぉ!? あたしに網走行けっての!? 網走番外地!?」

 

「……なぁ、頼む。助けてくれ! もう頼みの綱は、あんただけなんだよ!!」

 

「でも、あのねぇ……限度ってのが────」

 

「頼むぜなぁ、オイッ!!」

 

 

 目を逸らし、チェリオスから離れようとしたが、彼によって肩を掴まれ視線を合わせる。

 

 酷い形相で、気の触れたような瞳をしていた。

 だがその目の奥には確固たる意志が宿っている。

 

 

 あまりにも眩いその意志に、フラット・ジャックは少し顔を伏せた。

 そしてすぐに、諦めたように溜め息を吐く。

 

 

「……あー、もうッ! マイルズからお金貰ってなけりゃ、こんな事しなかったのに……!」

 

「金で俺助けてたのかぁ!? そんなら話は早い! 報酬を弾ませるよう、ドクに言っとくッ!!」

 

「分かった分かった! 付き合うわよもう!」

 

 

 請け負う事を表明し、すぐにチェリオスから離れた。

 彼は事務所の壁に掛けられていた鍵入れから、一つの鍵を取り出す。

 

 口笛で嫁を呼び戻すと、彼女にそれを投げ渡した。

 

 

「歌舞伎町はすぐにでも警察が包囲するわん。場所を変えるわん!」

 

「他に事務所あんのか?」

 

 

 下手くそなウィンクをした後に、フラット・ジャックは決めた顔で頷く。

 

 

 

 

「代々木の、あたしのお家よッ!!」

 

 

 

 

 

Lat:35.693916 Lng:139.701240

Lat:35.689666 Lng:139.702139

Lat:35.684950 Lng:139.703732

Lat:35.681913 Lng:139.698094

Lat:35.679486 Lng:139.694221

Lat:35.677298 Lng:139.692016

 

 

YOYOGI

代々木

 

 

 

 

 

「黒人ラッパーの掛け声みてぇな地名と思ったが、カリートの家もありそうな場所だな」

 

 

 彼の家は代々木の閑静な住宅街に建つ、いけすかないデザイナーズマンションだった。

 パスワードを入力してエントランスに入り、そこからエレベーターで更に四階まで登る。

 フラット・ジャックの部屋は、その階の一室だ。

 

 

「かなり儲けてるようだが」

 

「顧客はたくさんいるのよ。ヤクも流しているし、ボロ儲けよぉ!」

 

「てかなんで嫁は喋らねぇんだ?」

 

「ブローカー失語症なの」

 

「なんじゃそりゃ?」

 

「ミスター・タンで有名じゃない! 知らないの?」

 

「俺にそれ知ってる学があるように見えんのかぁ? 知らねぇよ」

 

「言語野に生まれつきの障害があってね、『うう』しか話せない。それがコンプレックスだから喋らないの」

 

 

 部屋は3LDK。

 リビングの至る所に日本人俳優のピンナップが貼られている意外は、スッキリとした印象を受ける内装だ。

 

 

「誰だこりゃ?」

 

「菅原文太知らないの!?」

 

「今度は俺を日本人だと思ってたのか?」

 

 

 フラット・ジャックから追加のアンナカを受け取りつつ、嫁に入れて貰ったエスプレッソを飲む。

 カフェインを吸いながら飲む、危ない光景を見せつけた。

 

 

「歌舞伎町や錦糸町の仲間に色々と探らせているわ。モロ・サンとチョコ、あと歌舞伎町の爆発の件とか」

 

「それ待ちってか……ジッとしてらんねぇ身体だってのによ、クソッ……」

 

「ほら、そこにトレッドミルもあるから、あれで延々走ってりゃ何とかなるわよ!」

 

 

 部屋の隅には確かにトレッドミルがあった。

 埃を被っていたが。

 

 

「当たり前の事聞くが、寝たら死ぬよな?」

 

「当たり前じゃない! ちょっと考えたら分かるわよ!」

 

「だから前置きしただろが?」

 

 

 フラット・ジャックは嫁に作って貰ったタコライスを食べる。

 

 

「でも、言いたい事は分かるわ。いつまで起きていられるかってね」

 

「あぁ」

 

「ちょうど、その話もしようとしてたのよ」

 

 

 タコライスに、チェリオスがドン引きするほどハバネロソースをビチャビチャかけながら、フラット・ジャックは話を続けた。

 

 

「一九六四年にアメリカの高校生がやった不眠実験が、現時点での世界記録よ。彼が起きていられた時間は、二六四時間十二分!」

 

「何日だ?」

 

「十一日ね。日を追う毎に記憶障害やら学習能力の低下とか、攻撃性の上昇とかが起きていたらしいけど……まぁ人間、一週間ちょっと徹夜してもそうそう死なないって事よ」

 

 

 真っ赤に染まったタコライスを美味しそうに食べるフラット・ジャック。

 部屋の中はハバネロとカフェインの香りが混ざり合って、気持ち悪い臭いに満ちていた。

 

 嫁が顔を顰めながら、リビングから避難する。

 

 

「……でも、あなたが今の調子でいられる訳はないわ。ステージ3がいつ起こるのか……」

 

「いつ起こんだ?」

 

「……分からない」

 

「使えねぇ」

 

「仕方ないわよ! トーキョーカクテルは元々、馬と象に使う物よ!? すぐ死ぬ人間に打ったのになぜか死なない人間がいるとか、サンプルなさ過ぎて予想なんか出ないわよ!?」

 

「キレるなキレるな。口臭がハバネロ臭ェ」

 

「あんたはカフェイン臭いわッ!!」

 

 

 激昂するフラット・ジャックを、真剣な顔を見せつけて窘める。

 

 

「……解毒剤を打たずにいた場合、俺の寿命は?」

 

 

 タコライスを口に運んでいたスプーンを置き、彼は悲しげな表情でチェリオスを眺めた。

 唇が辛さによる刺激で腫れていた。

 

 

 

 

 

「……保って、五日。五日以内にステージ3が来て、すぐにステージ4に移るわ。言っても、ステージ3に入れば成年のアフリカ象も死んでしまう……だから、ステージ2の今のまま…五日で全てを終わらせるしか道はない」

 

 

 

 

 チェリオスは打ちのめされたかのように、表情を曇らせた。

 眉間に皺を寄せ、床から天井に視線を移動させ、最後は吐き捨てるように「クソ」とぼやいて頭を抱える。

 

 

 フラット・ジャックは、死の瀬戸際に立たされている彼へ同情し、肩を叩いてやった。

 

 

「……バックアップはするわ。希望はある」

 

「………………」

 

「……とりあえず、今は眠らないように頑張って。夜明けには情報を見つけてあげるから」

 

 

 そう言って彼は、またタコライスを食べ始めた。

 気管に入ったようで、次の瞬間には噎せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、早朝。

 ここは、とある屋敷。

 慌ただしい様子で数人の男たちが、その中へ入って行く。

 

 全員が集まったのは、一つの広間。

 墨で山々が描かれた襖が囲う中、総員の手前に立つ頭領の男は厳しい顔付きをしていた。

 

 

 

 

「……皆殺しでした……まるで嵐でも通った後みてぇに……事務所も賭場もやられてやした」

 

 

 一人の男の報告で、その場にいた者全てが口々に騒めき始める。

 やれ「どこの組だ」、「抗争など気でも狂っているのか」、「外道めが」など、どれもがガラの悪い物言いだ。

 

 

 騒然とする空気を黙らせたのは、頭領の側に控えていた男だった。

 

 

「静かにしやがれッ!! オヤジの前だろうがッ!!」

 

 

 その男は、前時代的なダックテールの髪型をしていた。

 チェリオスが言っていた「モロ」と呼ばれる、男だった。

 

 

 

 彼が場を鎮めたところで、タバコの煙を吐きながら頭領こと、香砂会々長「香砂政巳」は発言する。

 

 

「……聞いた情報じゃァ、現場にはウチのモン以外の死体は無かったそうだ。弾も、軍人が使うような機関銃に使われる代物だ」

 

 

 組員たちは愕然とし、互いを見合わせた。

 

 

「今まで見て来た喧嘩の様子とはまるで違ェ。手慣れてやがる。一端(いっぱし)のヤクザが出来るような芸当じゃねェな」

 

「じゃあオヤジ……他の組じゃねェってんですかい!?」

 

 

 質問する一人の幹部に対し、政巳は首を振る。

 

 

「だからて、なんも無関係な奴らが俺らに喧嘩売る訳あるかい。明らか、俺らに恨みある奴らが雇ってやがる」

 

「どいつらでッ!?」

 

「そいつを見つけるんが、テメェらの仕事だろがよ」

 

 

 タバコを灰皿に擦り付け押し潰し、据わった目を総員に向けた。

 

 

「歌舞伎町もとい新宿にいやがる他のシマの連中を探れ。身内だろうがマフィアだろうが、目を離すんじゃねェぞ」

 

 

 

 

 政巳の命令と、今後の方針を受けた者たちは早速、行動に移る。

 幹部らが続々と自分たちの事務所へ戻って行く最中、政巳はモロに話しかけた。

 

 

「……例の毒ァどうだ?」

 

「へい。チンピラどもを鉄砲玉に使ったお陰で、ウチの仕業だとは三合会にはまだバレておりやせん」

 

「向こうが雇った殺し屋っつうモンは?」

 

「取っ捕まえて、毒打ち込んでやりやした。既にくたばっている頃でしょうよ。馬と象に使う毒を人間に使うたァ、自分でもヒデェと思いましたわ」

 

 

 モロは政巳に耳打ちする。

 

 

「……チョコ先生に複製を急がせておりやす。向こうの約束通り、今月中には何とか」

 

「……その前に、この問題をどうにかしなけりゃなァ。もしかすりゃ、関係あるかもしれねェ」

 

「ウチを探っている輩がいないか、目を配っておきます」

 

 

 そう言った後に、二人もまた部屋を後にする。

 

 

 

 空は既に明るくなり、藍色に満ち始めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 太陽が昇り切った頃、フラット・ジャックの携帯が鳴る。

 彼はトイレの中で便座に座りながら応対した。

 

 

「サカちゃんじゃない!……うん。うん。それ、ホント?」

 

 

 内容を聞き、すぐにトイレからリビングに向かって叫ぶ。

 

 

「シェビー! 情報よーっ!!」

 

「やっとかぁあッ!?!?」

 

 

 チェリオスはトレッドミルで走っていたり、リビングで暴れたりと、ぶっ通しで動き続けていた。

 床にはアンナカの入っていた袋と、缶コーヒーの空き缶が散乱している。

 

 部屋は熱気とカフェイン臭と汗臭さで充満。

 外気との温度差で曇ったガラスの露を拭き、朝日を浴びるチェリオス。

 

 

「太陽引っ張り出してやったぜ」

 

「聞いてシェビー! この八時間で、とんでもない事が起きていたらしいのよ!」

 

「なにが起きたー!?」

 

「戦争よ!」

 

 

 チェリオスはタオルで汗を拭い、脱ぎ捨てていた服を着て行く。

 

 

「戦争だぁ? 日本だけまだ冷戦やってんのか?」

 

「歌舞伎町のあちこちで、襲撃事件だって! そのどれもが、香砂会関係の賭場だったり事務所だったり!」

 

「どっからかに狙われてるって訳か? トーキョーカクテル持ってんのはコーサカイってのが持ってるハズだろが?」

 

「もしかしたら……あなたや三合会以外に、トーキョーカクテルを狙っている奴らがいるのかも」

 

「胡散臭ェな」

 

「あなたは汗臭いけど……オオゥ、ケツが痛い……」

 

 

 窓を開け放ち、篭った熱気を外に排出させる。

 そのままチェリオスは大きく、深呼吸をした。

 

 

 眼下に広がる東京の町々。

 獲物を狙う獣の目で以て、全てを睨みつけた。

 

 

「歌舞伎町は今日は行けないわね。警察の警備が激しいし……」

 

「他に奴らの経営してる店とかがある場所は?」

 

「ここから東の方に、『六本木』って場所があるの」

 

「そこは知ってる。大体、地理も把握済みだ」

 

「さすがはプロのスナイパーねん。それで、情報なんだけど……サカちゃぁ〜ん! もう少し大きな声で言ってちょうだいなっ!」

 

 

 フラット・ジャックは電話越しの仲間から話を聞きつつ、チェリオスに伝えてやる。

 

 

「……うんうん、なるへそなるへそ……下位組織の、巌竜組が怪しいんだって!」

 

「ガンリューグミ?」

 

「香砂会と仲良しこよしなの!」

 

 

 そう言いながら彼は、チェリオスに窓の近くに置かれている戸棚を開けるように伝えた。

 言われた通りに開くと、名刺入れを見つける。

 

 

「確か、六本木でその巌竜組が経営している、高級クラブがあったハズよ。場所とか書いてある名刺が入ってるわ!」

 

「どれだよ」

 

「クラブ・メタンフェタミンっての」

 

「英語表記なのが一つもねぇぞ!」

 

「カタカナ表記だけだったわね……あー、電話番号の下四桁が◯七二一の奴!」

 

「卑猥な電話番号だぜ」

 

 

 目的の名刺を抜き取ったチェリオス。

 裏に地図が書かれてある事を確認した後、胸ポケットにしまう。

 

 

「よっしゃぁッ!! 行って来るッ!!」

 

「開いてないと思うけど……」

 

「従業員ぐらいはいるだろ!」

 

 

 チェリオスは机に置いてあった、切り分けられたリンゴを取った。

 その上に、アンナカを振りかけてから、一つ一つパクパクと食べて行く。

 

 栄養もカフェインも摂れる、効率的な方法だ。

 

 

「おぉぉお……ッ!! カフェインが巡って来たぞぉおーーッ!!」

 

「アンナカでここまでハイになる奴いないわよ」

 

「行くぜロッポンギーーッ!! 殺すぜヤクザーーッ!!」

 

 

 暴走したチェリオスは高らかに叫びながら、部屋を出て行く。

 寝室から出て来た嫁は押しのけられ、不機嫌そうに彼の後ろ姿を眺めていた。

 

 

「近所迷惑になったらどうすんのよ……おぉ……ケツが辛い……ハバネロ入れ過ぎたわ……」

 

 

 トイレから出られないフラット・ジャックを無視し、リビングへと向かう嫁。

 散らかり放題の惨状に驚きつつも、呆れ顔で片付けを始めた。

 

 

 

 

 

 開けっ放しの戸棚に近付く。

 チェリオスによって名刺入れから抜かれて散らばった、カード一枚一枚を拾い集める。

 

 

 

 その内の一枚を拾った時、嫁は怪訝な表情を浮かべた。

 カードを持ったままトイレに向かい、扉の隙間から差し込む。

 

 

「ん? どしたのぉん? カードぉん?」

 

 

 フラット・ジャックは少しだけ尻を上げて屈み、カードを拾う。

 

 

「……あぁ。クラブ・メタンフェタミンのじゃない。ここ好きなんだけどぉ、店員全員がシャブやってるみたいにヤバくってぇ…………」

 

 

 瞬時に真顔になる。

 確か、このカードはチェリオスに持って行かせたハズ。

 

 

 

 

 

 

 

「…………あいつどこのカード持ってったの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 道路を全速力で、フラット・ジャックから借りたママチャリで駆け抜けるチェリオス。

 車と並走出来そうなスピードで、代々木の住宅街を横断する。

 

 

 

 

「殺してやるぅーーーーッ!!!!」

 

 

 

 片手間に胸ポケットからカードを取り出し、今一度場所を確認しておく。

 

 

「待ってやがれヤクザどもぉーーーーッ!!!!」

 

 

 ママチャリに乗ったチェリオスは、あっという間に住宅街を出ていた。

 

 目指すは六本木、そして盛大な勘違いの始まりの地。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ブェーーックシュッ!! うわマジかよ、風邪?」

 

 

 同時刻。営業を終えたストリップクラブ内で、クシャミをかます一人の男。

 高級スーツに身を包んだ、軟派な見た目。

 

 

「今夜は『鷲峰』さんトコと、ロシア人の会談? ぜってぇーおもしれー事やンだろ。休めねぇ〜」

 

 

 そう言いながら彼は、愛銃「スタームルガー」を楽しそうに拭いていた。

 

 

 

 

 ここに、一人の怒れる殺し屋が向かっていると知らずに。




「ガッツだぜ!!」
「ウルフルズ」の楽曲。元々この曲自体、「KC&ザ・サンシャイン・バンド」の楽曲、「That's the Way」のサビ部分が「ガッツだぜ」に聞こえたと言う空耳から作られた。
〜だぜに対応する英語はないし、「Guts!!」だけでは味気ないし、だからってThat's the wayを使うのも違う気がしたので、合体させました。
1996年発売「バンザイ」に収録されている。

ファンクでソウルフル、何よりも清々しいまでのロックンロールが彼らのスタイルだが、その代表曲であるこの曲は小室哲哉のアドバイスを受け、ディスコサウンドが取り入れられている。
執拗なほどに踏まれた韻と、ファンキーなトータス松本の歌声がまた耳に残る、元気になれる一曲。
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