めぐねえがいく『がっこうぐらし』RTA   作:鹿尾菜

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おまけ編 めぐねがいくRe3 その10

事故から始まる楽しいラブコメは始まらないけどゾンビから逃げないといけないラクーンシティ24時始まるよー

 

前回盛大に事故を起こしたところからの再開です。それと再開してすぐなのですが……な ん で 無 傷 な ん で す か ね?

いやどう考えたって無傷じゃないだろ。思いっきり煉瓦造りの壁に突っ込んでるんだよ⁈

どこぞのロンドンの刑事の兄弟だって車で壁突っ込んだら虫の息になるんですよ!(アラ◯)

なんでダメージすら受けていないのか不思議で仕方がない。まあここで突っ込みを入れても仕方がないのでちゃっちゃと逃げちゃいましょう。周りにはすでにゾンビーズは集まって肉をよこせ肉をよこせと喚いています。

うるせえお前らにやる贅肉(主に胸)なんてないんだよ!このロリコンめ‼︎

 

近くの建物に入り入り口をロッカーで塞いでしまいます。

もうすぐ例の場所に到着しそうですがここらへんの道はゾンビだらけで使うことはできません。というわけでこの建物の地下下水路から向かうこととなります。

また地下だぜい。ちなみに地下はゾンビは少ないのですが何故かG生命体と仰天サイズのコックローチがいます。先に言っておきます虫注意SAN値に気をつけてください。

 

 

地下室に行くためにまずは鍵を食堂の鍵箱から引っ張り出します。

で、難なく鍵を開けて地下に向かいますがここにもゾンビがかなりいます。避難した先で発症者がいたのでしょうね。残念無念。

階段の中腹あたりからささっと始末してしまいましょう。一撃でも食らうと死んでしまいますので基本はノーダメージ。事故の元は排除しておく必要があります。

 

では全部を始末し終えたので点検用のハッチを開けます。防犯上の理由から内側からは開けられない構造となっています。妥当といえばそうなんでしょうけれど不便な構造ですね。

でははしごを使って降りていきます。

下水道は煉瓦造りの古い構造のもので灯りなんて当然ありません。レナが懐中電灯を持っているのでその明かりを頼りに進んでいきます。

AIは優秀ちゃんなので基本はめぐねえの視界方向にライトを向けてくれます。

おっと早速G成体がいますね。

下水は現在水位が下がっているので腰まで浸かるとかそういうことはありません。なので動きも鈍くならないので不意打ちにさえ注意しておけば大丈夫です。

ここからならめぐねえのアサルトで倒しちゃいましょう。しっかり目を狙って……はい処理完了。

下水は半分迷路のようになっているのでしっかり覚えていないと迷います。

 

 

 

不安でしたらあらかじめ地図を用意しておくと良いのです。同志たちによって地下道全体の地図は製作済みですので。いくつかの角を曲がるとG成体の住処と思われる場所に出ます。似たような光景をRe2でも見ましたがあそことはまた違うもののようです。地下下水がG汚染されてしまっている大変だー。

 

はいここでパイプ通路を通ります。この通路はG生命体が出てこない代わりに巨大なゴキブリがわんさか出てきます。しかも凶暴で油断すると考古学者の冒険映画の如く群がってきてやばいです。

なので基本はダッシュで通り抜けちゃいましょう。うへえ気持ち悪い。

 

再び下水道です。今度は水が完全に引いている状態の通路ですが、こっちにはなんと変異体も湧いてきます。

出現確率としては成体4に対して1といったところです。チマチマ倒した方が安全なのは確かですが弾薬の問題もあるのでスルーも一つの手です。

 

ではここからは地上に移ります。梯子を登っていくとちょうど工事現場近く。開いたままになっているマンホールから道路に出ることになります。

後は地上をテクテク歩いていくだけです。

はい到着しました。前線司令基地です。

基地と言ってもいくつかのテントが貼ってあるだけの簡素なものですけれどね。

その上通信機も破壊されており基地は荒廃しきっています。

周囲にはUBCSのゾンビもかなりの数がいます。

これらゾンビは一般のゾンビとは違い体力が高く防弾チョッキを着ているせいで胴体への攻撃はほぼ通じません。足を撃って動きを止め頭を確実に狙っていくのが定石です。もちろんショットガンなどで頭を吹っ飛ばすのもありです。

 

壊れた車はたくさんありますが現状ヘリは見当たりません。ですが残されていた地図に脱出のためのヘリを止めておくポイントが記されております。どうやらここから脱出するつもりだったようですが襲撃を受けて逃げるまもなくといった感じです。

どうやら虎の子の装甲車があるようでこれを使ってゾンビ達を突破するつもりだったようです。

しかしここで中ボス戦です。

 

あのバカきやがった。と言ってやりたくなりますネメシスたんです。

ちなみに変形はしていません。ですが前回戦った時よりも凶暴性が増しています。おかしいな何が原因なんでしょうねー。

ですが安心してください。ここには必殺の装甲車があります。これの車体上部には12.7ミリ機銃が設置されています。早速これに乗り込みましょう。

では上部ハッチに移動して機銃をセットします。弾薬はたんまりあるので問題はありません。ですがエンジンのキーを回してもなかなかスタートしません。

原因はバッテリー上がりのようです。

リサが別の車両から使えそうなバッテリーを探しにいくと言うのでこちらはネメシスを引きつけたり近くのゾンビを撃って処理していきます。

12.7ミリ機銃はどんなゾンビだろうと当たればそれだけで木っ端微塵に粉砕できます。

ネメシスにもかなりダメージを与えられます。惜しむことなく全力で投射しましょう。

もちろんネメシスもジャンプで飛びかかってこようとします。その時は素早く弱点を狙い撃つことで攻撃をキャンセルできますのキャンセルできなかったら?その時はゲームオーバーです。

 

三回ダウンを取れましたのでこれでネメシス戦終了です。結構あっさりしましたね。まあこれも重機関銃様様です。素直に手持ち武器だけで倒すこともできますが結構時間がかかるのでこちらの方を私はお勧めしますよ。ではムービーです。倒せたことを喜んでいるとバッテリーを抱えたリサが寄ってきます。レナが装甲車から降りてバッテリーを接続する手伝いをします。めぐねえは大人しく運転席で待機です。

リサがエンジンをかけてと合図を送ってきたためめぐねえはキーを回します。するとどうでしょうあんなにキュルキュル言って掛からなかったエンジンが素直に息を吹き返したじゃないですか。

ではこれで最終目的地に向かいます。

 

目的地へはまっすぐ突き進んでいく形になります。

文字通りまっすぐです。道中の故障車や事故車、ゾンビどもはまとめて弾き飛ばしていきます。装甲車万歳!

これがまた爽快なんですよ!もちろん12.7ミリ機銃でゾンビを消し飛ばすこともできます。ですが弾が殆どないので今回はお預けです。ヒャッハー!どけどけ!

 

道中生存者と会うこともなく、時々建物の中を突っ切って、目的地の公園に到着しました。

ちなみにこっちの広場もヘリを残して解決してしまっています。

原因はそこにいるリッカー達です。うーんこのパイロットとか隊員とか可愛そすぎる。

まあ同情してもどうにもならないのでリッカー達を装甲車で跳ね飛ばしてすぐヘリに向かいます。

先にリサとレナがヘリに向かいます。その間に残った12.7ミリでリッカーを近づけさせないように弾幕を張ります。ですが12.7ミリ機銃自体も重いものですので動きも遅く当てるのは困難です。すぐに弾切れになりました。ですが先にヘリに飛び乗った2人が牽制射撃を行ってくれていますので素早くヘリに向かうましょう。

ここまでに弾が切れていると1/2の確率でどちらかが犠牲になります。何気に初見殺しなところあるんだよなあ。

ヘリコプターに飛び込むと、コンマの差でリッカーが突進してきます。

すぐにスライドドアを閉める必要がありますがボタンアクション。しかもランダムなので焦って入力ミスをすると即死する数少ないスポットです。

 

ですが焦らず慌てず素早く入力が出来れば特に問題はありません。

ここからはムービーになります。

リッカーの体当たりがスライドドアによって防がれます。しかし衝撃でドアが歪み窓ガラスが砕け散ってしまいます。

レナがヘリのエンジンをかけて離陸準備をしていきます。離陸できるまでの合間再びリッカーに襲われますが割れた窓から反撃をしていきます。

 

ようやく離陸体制が整いました。すぐに機体が浮き上がります。しかし機体真下にリッカーがぶら下がってきます。

めぐねえがハッチを強引に開けてリッカーの脳にナイフを突き立てます。わお大胆。脳をやられたリッカーは力無く落下していきます。

後はエンティングとなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

何分ほど気絶していたのだろうか?

周囲は呻き声のようなもので溢れていた。

少しだけ痛む頭を抑えて現状を確認。どうやら車は壁に激突したらしい。生きているのが不思議だ。

「リサ、レナ大丈夫?」

 

「イタタ……なんとか」

運転席はエアバックが展開されていたようで、レナ自身もあまりダメージは負っていないようだった。

「あった……ちゃんと前見てよレナ」

 

「ごめん。後で何か奢るよ」

 

「生き残れたらね。動ける?奴らに囲まれる前に逃げるわ」

リサが歪んであかなくなっていたドアを蹴り開けて車外に出る。私もそれに続いて車から降りた。

周囲にはすでに彼らが集まり始めていて何もしなければ数分もしないうちに彼らに食い殺されてしまうのは容易に判断がついた。

 

幸い鍵の空いているアパートを発見することができた。

すぐに室内に入り入口を塞ぐ。化け物が扉をこじ開けようと多当たりする音が響き渡った。

「それで?この後はどうする?」

外に出ようにも出入口は彼らに囲まれてしまっている。

「地上は無理そうだし……」

 

「ねえこっちに地下室あるよ!」

先に奥に行っていたリサが地下室の階段を見つけた。地下室入口には鍵はかかっていたものの、マスターキーはすぐに見つかった。

明かりが切れているのか中は真っ暗だったものの、レナが懐中電灯を持っていたおかげで照らすことができた。どうやら車のダッシュボードにあったものらしい。

室内はジメジメとしていた。脱出につながる何かがないかと思っていると、リサが再び何かを見つけた。

「これってもしかして」

それは下水路につながる点検用ハッチだった。

「大丈夫?危険じゃないの?」

 

「ここにいたってジリ貧だ。とにかくいくしかないよ」

確かにそうだった。だけれど下水道を行くのはなんだか怖いものがあった。今までもそうだったけれど先が見えない暗闇と言うのは本能的な恐怖を呼び起こす。

それでもレナに手を引かれて私はそこに入ることにした。

 

 

下水路はかなり昔からこの街にあった。一部は地下鉄を通すために新しいパイプのものに変えられているけれど大部分はこうやって煉瓦造りだったりコンクリートによって作られた水路のようになっている。だが下水路であるがゆえに臭気がひどく長くいると気が狂いそうな場所だった。

 

だけれど普段人が入らない場所であるが故に彼らもここにはいないようだった。

水の中を何かが歩く音がしたのは、地下水路を歩き出して十分ほどたったところだっただろうか。

「何かいる?」

 

「気をつけて。化物かもしれない」

それはこの先の通路からしているようで、私達は武器を構えながら進むことにした。

だがそいつは自らこちらに現れたのだった。

それはなんとも形容し難い醜い肉塊のような形状で、もはや何の生き物なのかすらわからないまさしく怪物だった。この世のものとは思えない。地獄からやってきた怪物と言われた方がまだ説得力があるそんな存在だった。巨大な目は顔ではなく極端に肥大化した左腕の付け根にありこちらをじっと見つめていた。咆哮のようなものとともに口のある異様に小さな頭部のようなものが4枚に裂けた。

 

「な、なんなのあれ!」

 

「わからない!わからないけどやばいのは確かだ!」

それも一匹だけではなかった。何匹も出てきたものだからたまらない。気づけば私達3人は夢中でそれらを撃退していた。

 

水に薬莢が落下する音だけが残った。

 

「急ごう。まだいるかもしれない」

レナが私とリサの手を掴んだ。

「ゾンビみたいな化け物だけにしてほしいわ!なんであんな惑星からの物体Xとかに出てきそうな化け物がいるのよ!」

そう叫んだのはリサだった。惑星からの物体Xはよくわからないけれど多分スプラッタな映画なのだろう。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

やっとの思いで到着したそこは、すでに化け物の巣窟になっていた。

UBCSの隊員だったであろうそれらは、今はフラフラと歩く屍の群れでしかなかった。大破した車や武器を入れていたであろうケースは数あれど、ヘリコプターのようなものはなかった。

「ヘリないね」

 

「何か情報が残ってるかもしれない。テントの中を確認してみよう」

落胆している暇はなかった。後数時間もしないうちに街は吹き飛ばされてしまうのだ。司令部だったであろうテントの中に入り、そこに残されている資料を探ることにした。テントの布はボロボロに引き裂かれていて、どうやら怪物のような奴らに襲われてしまったのだろうということは想像がついた。

「リサは外を見張っていて。めぐはそっちを探して」

 

「わかったわ」

血飛沫が僅かに残る書類をいくつか探したものの、避難計画に関する書類や報告書のようなものはあったけれどなかなか脱出に関する情報は見当たらない。

命がかかっているのだから探すのも必死だった。直ぐ近くに惨殺された死体が転がっていようと関係なかった。

数分ほど探し回ってようやく見つけることができた。血の手形がべっとりついた書類に必要な情報が載っていた。

「あったわ。脱出経路……どうやら脱出用のポイントが変更になっていてそこまでは装甲車を使って移動する計画だったみたい」

 

「それって……」

レナも横から書類を覗き込む。

「司令部、後少数にだけ知らせる?まるで部下を置いて夜逃げするみたいだ……とりあえずそこはいいや。場所はここだね」

重ね合わせてあった地図をレナがあれやこれやと他の地図と照合して場所を特定してくれた。

「リサ、外に装甲車はないかな?」

 

「装甲車?えっと……あったわ!VAB装甲車」

それは目立たないところにポツンと停車していた。カーキ色に塗られた車体にUBCSの部隊マークとアンブレラ社のマークがそれぞれ刻まれたカクカクした車体。

「……装甲車。こんなものまで」

 

それに近づこうとした瞬間だった。嫌な気配がした。とっさに面の前にいるリサの手を引っ張って抱きしめるように引き戻した直後、リサがいたところを黒い影が通り過ぎた。

それはあの巨大な四足歩行の化け物だった。あれだけ銃弾を叩き込んだのにまだ死んでいないなんて……まさしく不死身の化け物だ。

私とリサがショットガンで応戦。

リサが隙を突いて装甲車の扉を開けた。

目標を私とリサに絞った化け物が突っ込んできた。タイミングを測ってそれを回避する。背後にあったトラックにその化け物は頭から突っ込んだ。

 

「早く乗って!」

すぐに私達も装甲車に飛び乗った。ハッチを締めると少しして触手のようなものがドアにぶつかった。何度も打ち付けてくる音がする。いくら装甲車と言えど無敵ではない。

レナがエンジンをかけようとしているけれどなかなかかからない。

「エンジンがかからない!」

 

「もしかしてセルモーターが動いてない…バッテリーじゃ」

リサがそう言って装甲車の外を確認する。向こうはどうやら様子見をしているようだ。時計塔の時みたいに高い建物はない。体当たりをしようにも装甲車を破壊するために必要な速さはここでは出せないのだろう。

「見てくる!」

 

「まってリサ、危険すぎる!」

 

「動けなかったらどっちにしろ同じでしょ!2人とも援護よろしく!」

リサの警告を無視してレナが化け物とは反対側の扉から外に出た。

「ああもう援護するしかないか」

私は屋根のハッチを開けて屋根に取り付けられた機銃の持ち手を握った。

12.7ミリ弾。機銃の横に取り付けられた弾薬箱にはそう書かれていた。このタイプの銃の使い方は知っている。よくリサと一緒に見た映画でもやっていたしリサ自身も時々教えてくれた。

「この化け物ッ!いい加減しつこいのよ!」

文句の山ほどもあっただろうけれど私が言えたのはそれくらいだった。

夢中で重機関銃を撃った。重たい本体をレールに滑らせるようにして動かし、巨大な化物の頭にたたき込んでいく。頭が弱点なのは今までの戦闘からこちらも学んでいる。

 

流石にあの化け物もこの弾幕には怯んだ。

 

私に飛びかかろうとしてきたけれどやはり何発も当てられては痛いのだろう。悶え苦しむように頭を抱えて、そいつは倒れ込んだ。

真っ赤になった銃口から煙が立ち上がる。夢中で撃っていた。1分だろうか?2分だろうか?

「めぐも随分と容赦ないね……」

 

「そう?」

 

少しして、リサがバッテリーを持ってきた。ボンネットを開けてレナと一緒の作業をしている合間私は機銃を振り回してずっと化け物を吹き飛ばしていた。

 

 

 

 

 

 

 

装甲車が彼らを跳ね飛ばし、踏み潰し、事故車を吹き飛ばしながら突き進んでいく。快調とは言い難く大きく揺れる車に私は必死にしがみついていた。街が吹き飛ぶまでそう時間は残っていない。一刻も早く街から逃げ出すべきだった。

「装甲車も運転できたんだ」

運転席にいるレナが鼻歌を歌いながら化け物を轢き潰していく。

「いや、マニュアルの運転を知っているだけさ!運転したのは初めて」

自動車が吹き飛ばされた。ガタガタと車体が揺れる。

「心配になってきた…」

何度も車運転してたから大丈夫かと思ってたけどちょっと心配になってきた。しかもさっきとハンドルの構造全然違うし。

「大丈夫だって気をつけていれば横転しないからさ」

そう言ってレナはあろうことかよそ見をしていた。装甲車の進路は道路から逸れていた。

「前見て前!」

私が叫んだ時にはすでに遅く、歩道に乗り上げた車体はそのまま思いっきりお店のショーウィンドウを破壊しながら建物を斜めに突き抜けた。

「あ…まあ誤差だよ誤差」

咄嗟に車内に身を戻してなかったら死んでた。体にかかった破片を落としながら流石の私も怒った。リサも怒っていた。

「気をつけてよね!」

 

「ごめんよ。でも装甲車の窓って結構視野が狭くてさ」

そう言われて助手席と運転席を見れば確かに普通の車よりも視界が限られていた。

「私が上から案内したほうがよかった?」

 

「そうして欲しいかな」

そうしていると、高架道路が見えてきた。この街を南北に縦断する高架化されたバイパスに接続するインターにはバリケードのようなものが設置されていた。そんなものお構いなしに容赦無く装甲車は突っ込んでいく。

 

その奥にはヘリが止まっているはずだった。

 

 

 

「うげえっ!化け物だらけ!」

結果から言えばそこには確かにヘリはあった。だけれど同時に化け物達の巣窟でもあった。

「初めてみる化け物……」

 

「リッカー…警察はそう呼んでいた」

リッカー…なんとも嫌な名前だった。

「レナ、あれと対峙した?」

 

「んー……一体くらいかな。あんな大量にいるのは見たことないよ」

しかしあれをどうにかしないとヘリは飛ばせそうにない。グズグズしている暇もなかった。

 

 

「こうなったら…強行突破だ!」

レナがアクセルを強く踏み込んだ。目はないけれどその分聴覚が発達しているのかエンジン音につられて奴らは飛びかかってきた。加速した車体が飛びかかってきた化け物を跳ね飛ばし、長い舌を車輪に巻き込みながら細切れにしていく。車体に血が飛び散り赤く汚していく。ハッチから最小限体を出して機銃をばら撒く。狙いなんて定めていない。とにかく近づけさせないためだ。

「あのヘリの横に止めて!」

 

「了解!」

唯一止められていたヘリコプターの側に装甲車は停車した。すぐに化け物たちが襲いかかってくる。

「援護するから先にヘリに乗って!」

 

「「分かった!」」

レナとリサが装甲車から飛び出した。2人に飛びつこうと化け物が駆け出す。それらに向けて重機関銃を振り回す。

もう重たいものを振り回すほどの体力は残っていなかったけれど火事場の馬鹿力とでも言うのだろうか?

少ししてヘリのエンジン音とローター音が聞こえ始めた。ほぼ同時に機関銃も弾切れになった。

「飛ばすよ!」

そういえばレナもリサもヘリを飛ばすことなんてできるのだろうか?正直ヘリに救助してもらうのを前提としていたからこれは想定外なんだけど……

「めぐ!速く乗って!」

もうそろそろ頃合いだろう。

装甲車から飛び出し、ヘリに向かって駆け出した。

駆け出せば2秒程度でたどり着くはずのヘリがその時だけは遠く感じた。

ヘリに飛び乗った直後、長い舌を鞭のように振り回して化け物が飛びかかってきた。足で蹴るようにヘリのドアを閉める。大きな衝撃が走り扉が大きく歪んだ。窓ガラスが吹き飛び破片が手を掠めていく。鮮血が飛び散った。

「ヘリの操縦は?」

意外にもパイロット席にいたのはレナだった。さっきも運転席にいたような……

「ハワイでお父さんに!」

 

「レナのお父さん何もの⁈」

リッカー達がこちらに襲いかかってくるのを割れた窓から銃を突き出して防ぐ。だけれどそれも長く続かずライフルは弾が切れてしまった。

飛びかかってきた化け物に投げつける。だけれどこちらの勝ちだった。

機体が大きく揺れ、視界が浮かび上がった。

「やった!」

浮き上がった機体に安堵した直後、何かが機体の下にぶつかる音がした。同時に大きく床がずれ動いた。リサが座席から投げ出されてラックに体を打ち付けた。私も席から投げ出されて床に叩きつけられた。

「くそっ飛びついてきた‼︎」

高度は上がっているものの機体は回転するように揺れ、大暴れをしていた。ヘリの扉に深い爪のようなものが突き刺さり、ドアが外側に弾け飛んだ。

「ああもう!」

再び振りかぶろうとしていた腕を腰から抜いた銃で思いっきり弾く。だけれど運悪くこちらも弾が切れてしまった。弾はもうない。何か使えるものは…

そう考えて腰のベルトにナイフをくくりつけていたのを思い出した。カルロスさんにもらったやつだ。

もう一度相手の腕の振り下ろしがくる前に、思い切ってそれに近づいた。

「終わりよ化け物ッ‼︎」

 

脳天に深く突き刺さったナイフごと、化物は力尽きたかのようにヘリから腕を離し落下していった。

 

ようやく機体が暴れるのをやめ、静寂が訪れた。

「アタタ…めぐ大丈夫⁈」

 

「リサ、私は平気。そっちは?」

 

「大丈夫だよ」

 

既に東の空が薄明るくなってきていた。日の出まではもう時間が残っていない。

眼科で誰かがいないかどうか…風が吹き込む機内からでは確認はできなかった。

「他に生存者がいるかどうか探してみよう。少しだけ時間がある」

 

「数分だけか……」

だけれどギリギリまで粘っても他の生存者を見つけることはついに叶わなかった。

夜が明ける。

一瞬遠くに青白い流れ星のようなものが見えた。

 

閃光

衝撃波が機体を跳ね飛ばした。

遅れてきた爆風が破損した扉から入り込んでくる。

 

「……生き残ったの?」

 

「少なくとも今はね」

 

「……」

みんな終始無言で、街を覆い隠す期にキノコ雲を見ていた。

これからどうなるのか。それはわからない。だけれどここで起きた事は、失われた命は、確かに現実なのだ。

 

 

 

 

 

 

はい、Re3ルートこれにて完結です。続きは本編へGOなのです。

 


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