星と幼子の物語〜未来少女、混沌の街に挑まんとす〜 作:chee
今日も町は騒がしい。
ヴィランとヒーローが戦っているという光景は一見すると非現実的であるがその町の住民からすれば見慣れたものだ。
ここはケイオースシティ。全能存在ギャラクセウスの力の届かない唯一の街であり、超常の力を持つ者の集う街。
「ほんっと最近、物騒になったよなぁ」
「この町に住む以上は覚悟の上だろうが」
「そうは言っても怖ぇもん怖ぇだろうが」
そんな街では最近、とある話題が多くの住民の不安を駆り立てている。
『ヒーロー・ヴィラン連続襲撃事件』
最近、新手のヴィランが現れるようになったという噂を聞く。噂によれば、こいつは相手がヒーローかヴィランかは関係なく特別な力を持った人に襲い掛かるらしい。
そして、彼と戦った多くの戦士は彼についてこう語る。
「
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ソイツが現れたのは突然だった。
いつも通りの会社からの帰り道。ソイツは唐突に僕の前に立ち塞がった。僕は
「僕に何の用かな?」
「お前を倒しに来た。それだけだ」
...意味がわからない。
「なぜ?」
「理由......なんでもいいだろ。ヴィランなんてそんなもんだ」
この手の奴は稀にいる。俗に言う戦闘狂という部類の奴らだ。コイツもその類の奴なのかもしれないが、正直今まで会った奴らとは違うと感じる。不気味さが段違いだ。
「じゃあ最後に、君は何者だい?」
「何者でもいいだろ。ただ、俺たちはこれから戦う。それだけわかれば十分だ」
「上等!」
やはり訳がわからない。ただ、
一瞬の静寂が流れる。
「最初から全力だぁ!!!『スターロード』!!!」
全力で一歩を踏み出す。光と音をまき散らしながら宙に舞う。『スターロード』はミーティアスに変身しいてる時に使える技の一つで五秒間空中を駆けることができる。地面を、壁を、そして空中を踏みしめて、三次元的な軌道でヴィランに接近する。小回りこそ聞かないが、そのケイオースシティのヒーローの中でもずば抜けたスピードはヴィランに反応の隙を与えない。すさまじい速度で懐に潜り込み、その勢いのままヴィランを蹴り飛ばす。
「吹っ飛べェ!!」
蹴りを喰らったヴィランは大きく後ろに飛ばされながらも正面にブラスターを構えるが、反射的に横に飛び、虚空を蹴って横からヴィランに突っ込み、そのままわき腹を殴り、ひるんだところを投げ飛ばす。
「まだまだァ!!」
建物の壁にたたきつけたヴィランに勢いをつけて飛び蹴りを決め、回し蹴りで横に大きく吹っ飛ばす。ここまでで五秒。ヴィランの鎧はすでにボロボロ。しかしその不敵な笑みからはいまだに余裕がうかがえる。全く持って不気味だ。
「やっぱ速ぇな、ミーティアス。」
「そりゃどうも。降参するなら認めるが?」
「遠慮しとくよ。......『
ミーティアスは再び駆け出す。左右に揺さぶりをかけながら、再び懐に潜り込み、アッパーを繰り出す。当たれば脳震盪を確実に与えられるその圧倒的速さの一撃を、
いなされる。
一度距離をとり、今度は右から掴みかかろうとして、弾かれる。そのまま足を払おうとして、かわされる。顔面を殴り飛ばそうとして、横から腕を掴まれて逆に投げ飛ばされる。
「急に対応速くなりやがって……!!」
「まだまだ俺は余裕だが?」
「調子に乗ん............グゥァ!」
唐突に脇腹に蹴りを入れられる。反応こそはできたが、十分なガードは間に合わなかった。
「僕はァ...負けない!!!」
後退しつつも機を伺い、一瞬で間合いを詰める。
「
鳩尾めがけて全力の一撃。受け止められてしまうが、そんなことは想定済みだ。そのまま慣性を殺さずに相手に掴みかかる。とてつもなく癪な話ではあるのだけれど、
「
「調子に乗るなぁ!!」
さすがのコイツも抵抗する間もなく地面に叩きつけられる。追撃をかけようとするも、即座にブラスターを構えられ、一時退避。距離を取る。
「オラオラァ!!」
復帰したヴィランが即座に距離を詰める。逃げるように距離を取り続けることは可能だが、それではなんの打開にもならない。隙を作ろうと攻撃を捌き続けるが防戦一方になってしまっている。
「まだまだ続くぞぉ!」
「......厄介な...!」
......これ結構しんどい。
拳と蹴りを捌きながらもブラスターの弾は避けなければならない。しかし、焦っているのか物理攻撃が減ってブラスターによる射撃が増えてきた気がする。
.........まだ、まだ、..................ここだ!!!
ブラスターの弾をギリギリのところで翻すように躱し、一気に距離を詰める。
「喰らいやがれぇ!!!」
その体を殴り飛ばす。しかし、奴は吹っ飛びながらもブラスターを構える。それに気づいたときにはもう遅い。
「負けて...たまるかぁ!!!」
バァン!!
銃声にも似た音が鳴り響き、奴のブラスターから放たれた小球が僕の足に着弾し......弾けた。
「ハァ...ハァ...危なかったが、ここまでだ...」
「クソがァ...」
一分にも満たない攻防の末、地に伏したのは、僕だった。
足が動かずに横たわる僕。その視界に映っているは、
全身の装備が既にボロボロになっているヴィランと、
その手に握られて僕に照準を合わせるブラスターと、