星と幼子の物語〜未来少女、混沌の街に挑まんとす〜   作:chee

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11話

意識を集中する。あのブラスターから放たれる弾は未来でも危険指定されているもの。重装備のおじ様ならともかく、私は喰らえばひとたまりもない。

 

「死ねぇ!!」

 

リフィルの撃った弾を横っ跳びで躱し、すぐさま距離を詰める。至近距離での射撃はしゃがんで躱す。ミーティアスさんによれば、射撃の衝撃を逃がすためかは分からないが、リフィルにはブラスターを撃つときに自分の肩の高さと同じ高さのラインに撃つ癖がついているらしい。あからさまにしゃがんで躱してばかりいると下を狙われてしまうだろうが、勝負に出たとき、しゃがむと確実に躱すことができ、チャンスを作ることができる。相変わらずミーティアスさんはリフィルのことをよく観察している。

 

「【防火斧・超破壊(フルクラッシュ)モード】!!」

 

「チィッ...」

 

さすがのリフィルもこの火力は耐えられない。大きく後に跳んで躱す。もちろん想定済みだ。

 

「【防火斧・穿砕(スラスト)モード】!!!」

 

斧の刃が突如収納され、取っ手のみになった斧が突如として()()()。その先は新たな刃がついていて、斧は槍へと変化する。前に踏み出しながら槍ヘと変化するこの武器は、後ろに跳んだリフィルを捉える。

 

「...ウガッ!!」

 

一撃で致命傷になってもおかしくない完璧なタイミングの攻撃ではあったが、ギリギリで攻撃箇所をずらされる。それでもかなりのダメージが入ったはずだ。反撃のブラスターを避ける。

 

「まだまだっ!!」

 

一度距離を取られてしまうと弱い。というのも、槍という武器の最大の利点であるリーチは対近接武器で最も力を発揮する。それでも斧よりも長いリーチを活かして中距離からの薙ぎ払いを繰り出すが、中々当たらない。やはり最初の一撃で倒しきりたかった。

 

「所詮は不意打ちしかできない雑魚か!!!」

 

「そんなことない!!」

 

薙ぎ払い主体でヒットアンドアウェイを試みながらタイミングを測る。やはりほとんど攻撃が当たらない。ブラスターの牽制が鬱陶しくてたまらない。

 

「そこだぁ!!!」

 

思い切り振りかぶった槍を()()()。ただリーチの長い槍だって投げてしまえば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「当たるかよぉ!!」

 

避けられる?そんなのはわかってる。速度なんてブラスター弾よりもずっと遅い。だけどこの一瞬の隙を作れたなら十分だ!一瞬で距離を詰める。避けた体勢からはブラスターは撃てない!!

 

「私を...なめるなぁ!!!!」

 

接近した勢いでサブミッションをキメつつブラスターによる反撃を封じる。そのまま全身に未来から持ってきたC4(いりょくがすごい)を張り付けて離脱する。

 

「『強制解錠』!!!」

 

起爆!!!!

 

轟音とともに砂煙が立ち上がる。姿が隠れている間に槍を回収し、視界が晴れたタイミングに備える。砂煙の中から現れたのは、

 

......()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()姿()()()()

 

「しまっ...」

 

「『冥土の宴(ヘル・フィエスタ)』ァァ!!!」

 

予備動作が見れたわけではない。完全に不意をつかれたタイミング。回避はできない。

 

あぁ。だめだこれ。

 

来たるべき衝撃を待つ。

 

轟音が鳴り響き、再び辺りが爆炎に包み込まれる。

 

目の前に広がる炎の海を見つめながら......

 

って待って、なんで私は生きてるの??

 

その時、炎の中に人影が見える。

 

その後ろ姿はあの日の光景と重なって見えていて。

 

徐々に姿が露わになっていく。

 

「...誰だてめぇ!!!」

 

そこから現れたのは...

 

 

「俺様は......いや、俺様がカースドプリズンだ」

 

 

私の憧れのヒーロー(おじ様)だった。

 

 

言葉が出てこないが、必死で絞り出す。

 

「...おじ...様...どうして...」

 

「あぁ??どうしてもこうしてもねぇよ。俺もコイツに借りがあんだよ。だから来た」

 

あぁ。結局この人はヒーローなんだな。そのことが嬉しくて顔が熱くなる。

 

「てめぇ!!なんで無傷なんだ!!その盾は何なんだよ!!!」

 

「これは俺様の数少ない()()()()、ロケットの先端部分だ。少なくともこの時代においては最も硬い金属でできている。未来ではどうか知らんがな」

 

ロケットの先端...ウルツァイト窒化ホウ素。未来でも十分に希少な金属だ。なんてものを持ち出してるんだろうか。全くこの人は。

おじ様の隣に立って槍を構える。

 

「ありがとう。おじ様。助けてくれて」

 

「礼なんかいらねぇ。またお前のシチューが飲みたくなった。だから助けた。それだけだ」

 

「...ふぁぇ!?」

 

ちょ...ちょぁあ!?!?待って待って待っ...そそ...それって、まさ、まさか......プッ...プロポ...

 

「...いや、ちょっと落ち着きなよロックピッカーちゃん。なんて顔してるのさ」

 

「ふぇぇ??」

 

そ...そりゃあ毎日おじ様にシチューを作ってあげるっていうのも悪くはないけど......ってあれ?ミーティアスさんいつの間にここに来たの?

 

「...遅くなったのは申し訳ないけど僕これ来なかったほうが良かったのかな...」

 

「当たり前だろ。てめぇなんていらねぇんだよクソミーティアス。足引っ張ったらぶっ殺すぞ」

 

「その言葉、そっくりそのまま返すよ。『脱獄(プリズンブレイク)』あっさり封印されやがって」

 

「問題ねぇよ...おいガキンチョ!開けられるんだろ?この鍵穴」

 

おじ様が不意にこっちを向いて尋ねる。正直、あまり自信はない。

 

「分からない。でもいいの?余計なことすんなって言ってたのに」

 

「あぁ。俺様は今コイツを殴りたい。だからコイツの加速に追いつく必要がある。だから今はいいんだよ」

 

「分かった。少し時間をちょうだい?ミーティアスさん、少しでいいので時間を稼げますか?」

 

「任せてよ。......さてリフィル、戦いを仕切り直してもいいかな」

 

「あぁ。もういいぜ」

 

リフィルを見ると、さっきの『強制解錠』の傷がほぼ癒えている。この茶番の間に回復してしまうのは改造人間故なのか。

 

「それじゃあ、始めようか」

 

第二ラウンド、始まる。

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